藍による依頼が完了した後、銀時達はもう少し幻想郷を見て回ることにした。魔理沙と霊夢の二人は用事があるということで別れ、代わりにやってきたのが……。
「で、なんでテメェなんだよマスゴミ」
「あやや!? いきなり憎悪の眼差しを向けられる筋合いはないですよ!? それに前は名前でちゃんと呼んでくれたじゃないですかー!」
カメラ片手に今日も元気に取材をしていた、マスゴミこと射命丸文だった。
「坂田さん! この人たちが噂の万事屋メンバーですね!? 是非とも取材させてください!! 私は射命丸文! 清く正しく美しく、何処よりも素早く情報を届ける『文々。新聞』を発行しております! あなた方のお名前は!?」
やや興奮気味に迫る文にたじろぐ新八と、自分が取材を受けていることを自覚して目を輝かせる神楽。そんな様子を遠目で見てため息をつく銀時。
「あ、えっと、志村新八です」
「みんなのアイドル、神楽ちゃんネ!」
「おおー! 神楽さんですね! 坂田さんからお話は伺ってます! そして志村さん! 天下無双の名ツッコミ眼鏡と伺ってます!!」
「名ツッコミ眼鏡ってそれ最早人間扱いしてねぇじゃねえか!!」
「おぉ! 本物だ! 本物のツッコミだ!!」
「馬鹿にしてますよねそれ!?」
何とも遊ばれているようにしか思えないと、新八は心の中で呟いた。
「そして最初の質問に答えると、私は職業柄、幻想郷の至るところを駆け巡ってるわけですよ。だから、案内役にはうってつけなんじゃないかなーって思ったわけです。なので私が出しゃばらせて頂きました!」
「まぁ……確かに筋は通ってるな」
銀時の言う通り、筋は通っている。
射命丸文は、内容はどうであれ、新聞記者として駆け巡っていること自体は事実である。それ故に、特ダネを求めて日々色んな所を飛び回っているのだ。新聞をほぼ一人で作成している位なので、腕の方も確かだろう。幻想郷の管理人である紫の次位に知っているのではないだろうかと思われる。
銀時は、幻想郷に来たとはいえ、行った場所が限定的過ぎるのだ(主に廻った場所としては、先程のマヨイガを含めると、博麗神社と紅魔館しかない)。
「しゃーねぇな……案内頼むぜ、射命丸」
「まっかされましたー! いい景色が見られる場所があるんですよー。まぁ、花妖怪も居るんですけどね」
「花妖怪、ですか?」
聞き慣れない単語が飛んできたため、新八が尋ねる。
文は、割と真剣な表情を浮かべながら答える。
「風見幽香。向日葵畑の主なんですけれど、踏み荒す者を許さないんですよね……ですから、その近くでは、どうか向日葵とかそう言った類のものを傷つけないようお願いしますね?」
「それ位別に普通のことなんじゃねえのか……?」
「あと、根っからの戦闘狂(バトルジャンキー)です」
「それを先に言ってくんない? そっちの方がこえぇから」
出会って目が合ったらすぐバトル、みたいな風潮になりかねない。
銀時にとってはそっちの方が恐怖以外の何物でもなさそうだ。
そう言う場合、標的となるのは恐らく自分だろうから……。
「まぁ、坂田さんならへっちゃらですよ! 強いですし♪」
「そういう問題じゃねえんだよなぁ……」
不安な面を全然払拭出来ない銀時であったが、それ以外に行く宛があるわけでもない為、仕方なく文について行くことにしたのだった。
これが、本日最大のメインイベントで、盛大に疲れる日の幕開けとも知らずに……。
※
そこは一面に広がる向日葵畑だった。
黄色の絨毯が大きく広がっているかのように、この場所だけは向日葵によって埋め尽くされている。
小さなものから、自分達の身長など遥かに上回る程の大きさのものまで。
ここが幻想郷だと言うことを加味しても、十分過ぎる程に異様な光景だった。
「うわぁ……とっても大きな向日葵ネ。凄いアル!」
はしゃぎ回る神楽。
茫然としている新八。
そんな二人を撮影しまくる文。
皆がこの光景、景色を、それぞれの方法で堪能していた。
「あら、この場所に何か用かしら?」
「ん?」
そんな時だった。
銀時に話しかけてくる、一人の女性。
白のカッターシャツとチェックが入った赤のロングスカート、その上に同じ柄のジャケットを羽織り、首元に黄色いリボンを付け、日傘を差している女性。緑色の髪に、真紅の瞳。その瞳は吸い込まれそうになる程美しく、その人物が、『決して人ではない』ことを強調しているようにも見えた。
「アンタが文の言ってた、風見幽香か」
「あぁ……もしかして先日の新聞でトップを飾っていた外来人?」
「それ、たぶん碌でもねぇ記事のトップだから出来れば記憶から抹消して欲しいんだけど……」
「そうかもしれないわね。英雄色を好む、とは言った物ね」
「頼むから消してくんない!?」
割と必死に懇願する銀時なのであった。
そんな彼を見て、幽香はおかしそうに笑う。
「ふふふ、貴方ってやっぱり面白そうな人ね。少し興味深いわ」
「そりゃこっちも同じだわ。こんだけ綺麗な向日葵畑育てるのに、どんだけ苦労かけてんだ? ちっとやそっとの努力じゃ、ここまで成長させることなんて出来ねぇだろ」
「あら。私は『花を操る程度の能力』があるのよ。だからこそ、育てる分にはそこまで困ったりはしないわ?」
「困らない、ってのと、大変、ってのは別問題だろ? こんだけ向日葵咲いてるのに、全然枯れてる様子もねぇしな。多分テメェは、相当大切にしてるんじゃねえか?」
銀時の発言を聞いて、幽香は目を丸くする。
見た目とは裏腹に、きちんと相手のことを理解し、見る男。
それが、今目の前にいる坂田銀時という男の人間性なのだと理解した。
「……貴方、なかなかによく見てるのね。正直、そこまで言ってきた人間は初めてよ」
「そんなんじゃねえよ。ただ、美しいもんに純粋に触れる位の気持ちが残ってただけの話だ」
そう呟いた銀時の瞳は、とても暖かくて優しいものであった。
まるで、向日葵畑を通じて、もっと別の何かを見据えているような、そんな眼差し。
幽香はそんな瞳に――一目惚れに近い感情を抱いていた。
「あっ……」
それを遠目で見ていた文は、本能でこう思った。
『あれはまずい。これからひと悶着ありそうだ』と。
「ねぇ、貴方。これから少し時間はあるかしら?」
「あ? まぁ、時間だけならあるが……どうしてだ?」
尋ねられたことが不思議で仕方ないという感じの銀時。
そんな彼に向かって、まるでピクニックにでも誘うかのように、幽香はこう提案した。
「私と、本気で殺し合ってもらえないかしら?」
銀魂×東方project
銀色幻想狂想曲
第ニ十四訓 太陽の花は見ているだけで美しい
実は僕、フランも好きなのですが、幽香さんも結構好きなんですよね……。
そして彼女、花映塚までは基本出番がないものですから……だからここで短編載せたかったのです。
まぁ、バトルんですけどね(白目