銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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調子に乗って本日は3話更新で、かつ、あのキャラの登場も……!


第三十一訓 懐かしい人物との再会が常に嬉しいものであるとは限らない

「これは一体どうなってるの?」

 

 銀時と妖夢が剣を交えているちょうどその時、霊夢が目の前に広がる景色を眺めながら、ポツリと言葉をこぼす。

 見たこともない大きさの桜が、そこには咲き乱れていた。

 ただし、見た感じ満開ではない。とはいえ、その桜が満開を迎えるのも時間の問題だろう。それ程までにおおきくなっていた。

 

「霊夢、これって……」

「あらあら、こんな所まで来てしまうなんて。随分と早かったみたいね。もう少し時間がかかるものかと思って、演奏を楽しんでいた所だったのだけれど」

 

 魔理沙の声を遮るように、よく通る女性の声が現れる。大きく咲き誇る桜の前に現れたのは、

 

「アンタが、西行寺幽々子……」

「そういう貴女は博麗の巫女ね。そこにいる二人は……?」

「霧雨魔理沙。普通の魔法使いだぜ!」

「フランドール・スカーレット。吸血鬼だよ!」

「そう……もう一人は妖夢が足止めしてくれているわけね」

 

 幽々子は、霊夢達が冥界に足を踏み入れた段階で、何人で来ているのかを察知していた。その上であえて泳がせていたのだ。

 

「私の名前を知っているということは、紫から聞いたのね?」

「そうね……最も、居場所までは分からなかったから、春の残骸を元にここまで来たわけだけど」

「あらやだ。私ったらうっかりしてたわ。もう少し丁寧にやるべきだったかしらね」

「巫山戯るのも大概になさい。どうせわざとそうしていたのでしょう?」

「あらあら、そう思うのなら勝手にどうぞ?」

 

 悪戯を思いついた子供のような笑みで、何処までも楽しそうに彼女は言う。

 恐らく、霊夢の考えは当たっていることだろう。幽々子は一連の異変を起こした主犯格でありながら、敢えて解決に勤しむ者達を誘き寄せた。すべては、彼女の退屈を紛らわせる為に。

 

「どうして春を奪うなんて真似をするんだぜ? おかげでこっちは寒くて大変なんだぜ!!」

 

 魔理沙は幽々子を指差しながら、事の真相を尋ねる。

 意外にも、幽々子はすんなりと答えた。

 

「あの桜……西行妖を満開にさせる為よ」

 

 見惚れるような表情を浮かべながら、西行妖を眺める幽々子。

 

「あの桜を満開にさせる事で、何かが起きるの?」

 

 今度はフランが尋ねる。

 その質問にも、彼女は笑顔で答えた。

 

「満開にさせたら、綺麗でしょう?」

 

 それが本心から来る答えなのかはわからない。別の意図があるのかもしれないし、もしかしたら本当にそれだけなのかもしれない。

 だが、どちらだとしても。

 

「たとえアンタがどんな目的で桜を満開にさせようと企んでいたとしても、幻想郷から春を奪う事については容認出来ないわ。おかげでこっちはコタツから出られなくて駄目人間が増えてしまうところよ」

「それはそれでいいじゃない。冬にしか出来ないことだってあるでしょう?」

「えぇ、そうね。けど、春にしか出来ないことだってあるのよ」

 

 一通り宣言して、霊夢は幽々子を睨みつける。そして、札を掲げ、構える。

 魔理沙とフランの二人もまた、各々戦闘態勢を取る。

 

「引くつもりはない、と言うことね……それは明確な宣戦布告と捉えて構わないのかしら?」

「当然。私達はこの異変を解決する為に来てるのよ? なら……」

「犯人を前に敵前逃亡なんて出来ないぜ!」

「それに、ギン兄様だって頑張ってるんだもん! 私だってここで頑張らなきゃ約束守れない!」

 

 互いに戦う目的は違うだろう。

 しかし、だからこそ、ぶつかり合う。

 

「ふふふ……いいわ。三人まとめてかかっておいでなさい。私は西行寺幽々子。弾幕ごっこの始まりね」

 

 ここに、異変の犯人と解決へ導く者の、最後の戦いが幕を開けた。

 

 ※

 

 銀時は、妖夢との戦いで疲れ果てた身体を引きずりながらも、霊夢達の元へと向かおうとする。多少身体にダメージは残っているが、それでも尚まだ動く。だからこそ、彼は戦っている彼女達の所へ向かう。

 だが、そんな彼の前に、とある『男』が立ち塞がった。

 

「……なっ」

 

 その男の姿を捉えた時、銀時は血相を変える。

 

「人がせっかく眠ってるって言うのに、こんなにも騒がしいとあっちゃ眠れもしねぇ……」

 

 如何にも気怠そうに、しかし標的を必ず逃さない獣のような雰囲気を出しながら、

 

「だが、それも構わないか。こうして懐かしい光に相見えることが出来た訳だからなぁ……」

 

 その手に握る刀は、鮮やかな紅色。

 

「どうしたんだい? さっきから一言も発しないじゃねえか。つれないねぇ、まさか昔斬り伏せた奴のことなんざもう忘れた、とか言わないだろう?」

「て、てめぇ、は……」

 

 まさしく獲物を狩るに相応しい刀ーー美しく咲き乱れ、今にも満開になろうとしている西行妖の元にあるのに相応しい、『紅桜』を持つその男の名は、

 

「久しいねぇ、白夜叉。銀色に輝くその光、ここで掻き消してやろう」

 

 人斬り仁蔵ーー岡田仁蔵の姿がそこにはあった。

 

「どうしてテメェがこんなところに……テメェはあの時……」

「あぁ、確かにあの時『死んだ』。だから俺は『ここにいる』」

「なんで……っ!」

 

 仁蔵の言葉を聞いて、ここに入った直後に霊夢から聞いた言葉を銀時は思い出す。

 今自分たちがいる場所は冥界。即ち、本来ならば死者が集いし場所であると言うこと。故に仁蔵は存在する事が出来る。この地に確かな形を得て、銀時の前に立ち塞がる。

 

「おいおい、こんなの冗談だろう?」

「本来ならば俺もこんなはっきりと形になるわけじゃなかった。だが、あの桜が満開に近づくにつれて、徐々に力を取り戻しつつあるというわけだ。まぁ、俺としちゃ願ったり叶ったりだが。またこうして、腑抜けた侍の剣を折る事が出来る訳だからな」

 

 口元を歪ませて、紅桜を構える。

 相手は戦う気満々。もはや止めることなど出来ない。

 

「ちっ、あっちで霊夢達が戦ってるってのに……っ」

「おいおい、つれないねぇ。目の前に戦う相手がいるってのに、他人の心配する暇があるとは。その甘さは、時に命取りになるということにいい加減気付け、白夜叉!!」

 

 地を駆け、仁蔵は銀時に襲いかかる。とっさに木刀で攻撃を止めた銀時。

 しかし、先ほどの戦闘での体力消耗もあり、少し身体が重く感じる。

 

「おいおいどうした? 動きが鈍いぜ? 心なしか銀色の光も鈍くなってるように見えるぞ、ん?」

「ほざいてろよ。こちとらちょっくら花見気分で盛り上がってるところだってのに」

「そいつぁいい。俺も花見がしたい気分だ」

「あんた目ェ見えねぇだろ?」

「見えなくても感じることは出来るからなぁ。テメェの身体に咲く真っ赤な花を!!」

 

 激しい攻防が繰り広げられる。

 いや、それは果たして先ほどとは別の意味で戦いと称してもよいのか分からない。互いの命を刈り取ろうとする、正真正銘殺し合い。

 仁蔵の刀が砕けるのが先か、銀時の刀が砕けるのが先か。

 今ここに、本来ならば実現することのなかった再戦が行われる。

 

 

 

銀魂×東方project

 

 

 

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第三十一訓 懐かしい人物との再会が常に嬉しいものであるとは限らない

 

 

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