そして迎えた宴会当日。歌舞伎町に最近建てられた住居、紅魔館2ndGの前を通る人々は、中に入っていく人物達を見て、皆一様に驚いていた。
その誰もが、今まで決して見たことのないような美少女もしくは美女ばかり。衣服や姿形からしてもう違うのだから、まるで異邦人が現れたのではないかと思われる程の賑わいを見せていた。
「なんじゃ、あの大名行列は……」
たまたまその現場に居合わせたのは、買い物帰りの月詠だった。今まで見たことのない人物達が次から次へと入っていく様に、一体何処から来るのかと気になって、列を逆走してみれば。
「……なんじゃと?」
当然といえば当然なのだが、万事屋銀ちゃんにたどり着いたのだった。
「何故、あの女達が彼奴の所から出てくるのじゃ……?」
月詠は困惑する。
今までこんな知り合いを見たことはなかっただけに、一体銀時が今度は何をしでかしたのか気になるところであったのだ。
事の真相を確かめる為に足を踏み出そうとして、
「あら、もしかしてアンタ……ツッキーじゃない?」
銀時に付き纏うストーカー忍者こと、猿飛あやめが現れた。
「お主、こんな所で何をしておるのじゃ?」
「それはこっちの台詞よ。銀さんと私の愛の巣に近付こうだなんて許さないわよ?」
「主の家ではなかろうて……」
呆れながら呟き、その後で本題に入る。
「主も、最近建てられた紅魔館2ndGは知っておるだろう?」
「あぁ、あのゴスロリ娘が建てたとかいう面妖な屋敷ね。最近街中で話題になってるし……それが?」
「今日になってその屋敷の中に、次々と女達が入っていくのを目撃したんじゃ。しかも、今まであった事のない者達ばかり……それも皆同じ方角から来ていたもので、気になって列の出所を探ってみたら……」
「……まさか、銀さんの所に繋がったってこと?」
猿飛の言葉に対して、月詠は無言で頷く。
「流石に可笑しいとは思わぬか? あの銀時だぞ? 次から次へと女達が現れるなんて……」
「……これは私達も、紅魔館2ndGに行かなきゃいけないわね。ツッキー、狩りの時間よ。人狩り行こうぜ」
「いやなんか漢字が違う気がするし、それにわっちはあの場所へ行く気など……」
月詠は渋る。
猿飛はそんな彼女の肩を掴んで、一言。
「銀さんを魔の巣窟から救い出すためよ。女だらけの所に銀さんがいるだなんて許せないわ……ツッキー、協力しなさい。これは命令よ? いいわね?」
「……はぁ。あとは帰るだけだし、付き合うしかないのなら仕方ない」
こうして、月詠と猿飛の二人も紅魔館2ndGへと足を運ぶこととなる。
そこでどんな騒ぎがあるのかなんて、誰も想像つかないだろう……。
※
「んじゃま、俺達もそろそろ行くとするか」
「そうですね。本当、今日の宴会楽しみです」
「新八は羽目外しすぎるなヨ。眼鏡とんでも知らないアル」
「眼鏡が飛ぶ状況ってどんな事態だよ!?」
万事屋の三人も、準備が整った為出かけることにした。あれだけベタベタくっついていたフランは、今日はレミリア達に引っ張られている為今はいない。
そうして部屋を出ようとした時に、
「あら、貴方達もちょうど出る所だったかしら?」
銀時にとっては、聞き覚えのありすぎる声が聞こえてきた。
同時に、とある時のことが蘇ってくる。
それは向日葵畑で行われた、とんてもない修羅場……。
「幽香も今日の宴会に呼ばれてたのか?」
風見幽香が、にこにこ笑顔を見せながら銀時を見つめていた。
「銀ちゃん、今度はナイスバディなお姉さんアルか? 節操なしアルな」
「どうして銀さんばかりそんなにモテるんですか……なんかジャンプでのあんたらしくないじゃないですか。どこのハーレム主人公ですか。刺しますよ?」
「おい新八。お前はそんなキャラになっちゃいけねぇんだ。お前がいなくなったら魔理沙一人に負担がかかるんだぞ? ボケキャラはお前には千年早い。諦めろ」
「どうして今のやりとりだけで僕の今後の人生決められなきゃならないんだよ!?」
何故かとばっちりが新八に来ていた。しかも割とどうでもいいとばっちりだった。
「なかなかに愉快な仲間達ね。あの時はちゃんと挨拶出来なかったけど、流石は銀時の知り合いといった所かしら?」
「お前もお前でなかなかに愉快な発想してやがるけどな」
「あら、宴会を前に派手に暴れたいのかしら? 良いわよ? 私はあなたとならばどんなことだってするわ」
「おいおい、俺はまだ命捨てる気はねぇぞ?」
「そう……」
そう呟く幽香の声色から察するに、おそらく『どんなことだってする』という言葉に嘘偽りはないのだろう。何せ彼女は、坂田銀時という男に惚れている。幸いなのは、そのことを認識している人物がまだほとんどいないという部分だろうか。
それから彼らは軽く自己紹介をし、紅魔館2ndGへと歩き出す。
「なぁ幽香。そういえば今回の異変って春が来なかったよな? お前んところの向日葵……って、向日葵ってそもそも春に咲く花じゃねえな?」
銀時は色々と困惑していた。
確かに、今回の異変は『春』が奪われていた。それはおそらく幻想郷にある様々な自然にも影響を及ぼしたことだろう。
しかし、元々向日葵は春に咲く花ではない。なのに幽香の所にある向日葵は美しい形を保っていた。
「それは私の能力のおかげね。今日も私が離れるから、ちゃんと能力で守っているわ」
「本当凄いんですね……」
新八は心の底から感心しつつ、彼女の美しさに見惚れていた。
そんな彼に、神楽から一言。
「眼鏡に変態って書いてあるアル」
「書いてねぇから!! そんなピンポイントで器用で便利な能力なんて備わってねぇからな!?」
あいもかわらずアホなやり取りである。
「本当、貴方達って見ていて飽きないわ……ねぇ銀時、これからは私も貴方の元に遊びにきてもいいかしら?」
「いや、まぁ別にいいんじゃねえか……?」
「是非ともそうするわ。今度貴方に見合った花を見繕うわね」
「お、ソイツァありがたい。殺風景な部屋も模様替え出来そうだ」
「そうしてもらえるとありがたいわ。だけどその代わりちゃんと丁寧に育ててね? もし破ったら……分かるわね?」
「自分から命捨てる真似しねぇっての……」
そんな何気ない(?)会話をしつつ、銀時達は目的地まで辿り着く。
そこで待ってたのは、
「あ、銀さん! いやぁーここの働き心地はなかなかいいぜー!」
スーツを着用し、案内人を務めている長谷川だった。
「おぉ! マダオがまじめに仕事してるアル!?」
「こんにちは、長谷川さん。バイトの方は順調そうですね!」
「あぁ! たまに咲夜さんにナイフぶっ刺されるけど、それ以外は問題なくやってるぜ!」
「刺されてるんですか……」
笑顔で告げる長谷川の顔がとても痛々しいと彼らは感じていた。
「銀時、この人もあなたの知り合いなの?」
「あぁ、長谷川さん。通称マダオだ。まるでダメなおっさんだ」
「初めましてでこんな美人さんに、俺のあだ名の由来教えなくてもよくない!? いい歳して泣いちゃうよ!?」
もう泣いていた。
「……ここからは知り合いも多いのよね。そしたら、銀時……ちょっといいかしら?」
「ん? なに、を……」
もにゅ。
そんな効果音が辺りに響いたような気がした。
何故なら、銀時の腕に、豊満な胸を持つ幽香が、抱きついてきたから。
「ぎぃいいいいんさぁあああああああん!! その女からはなれなさぁあああああああい!!」
瞬間、銀時達の目の前に、そんな叫び声をあげながら……。
「うるせぇええええええ!! こちとら困惑してるんだからややこしくするんじゃねぇ雌豚ぁあああああああああ!!」
「ぎゃああああああああああああああ!!」
呆気なく銀時に蹴り飛ばされた、さっちゃんこと猿飛あやめが現れた。
銀魂×東方project
銀色幻想狂想曲
第三十七訓 類は友を呼ぶから諦めろ
気づけばこの小説も12万字超えてたんですね……びっくりしました……。