「さっちゃん! どうしてこんな所にいるアルか!?」
驚きの声をあげたのは神楽だった。彼女はまさか自分たちの知り合いが、長谷川さん以外に来ているとは思っていなかったのだ。それはその場にいる万事屋メンバー共通の認識である。
「ちょっとぉおおおおおおお! もう心配しかないんだけど!? やめてよね!? 宴会の前に暴力沙汰とか、俺が処刑されちゃうから!」
長谷川としてはせっかく手に入れたバイトだ。そう簡単に手放したくないと願うも、なにぶん相手は万事屋絡み。何が起こるか正直分かったものではない。彼らに絡んだ場合、大抵ろくなことが起きていない。
「長谷川さんよぉ、この雌豚処分しといてくんねぇか? ソイツぁれっきとした変質者だ。しょっ引けよ」
「銀さんのドエス攻撃!あぁん! もっとよ!! 原作並みのドエス攻撃を私に浴びせてェエエエエエエ!!」
「無茶言ってやるな。この小説の作者にそこまでの技能があるわけねぇだろ」
「ぎんさぁあああああん!! そういうネタは危ないですから!! よりによって二次創作の作者ネタはやめたげてぇええええええ!!」
辺り一面に眼鏡が響き渡る。
「眼鏡響き渡らねぇから!!」
「うるさいネ新八」
ぴしゃりと言われてしまう新八だった。
「にしても銀さん、いつまでその別嬪さんと引っ付いてんだ? 何処までがオプション料金なの? どんなサービス? 俺にも紹介してくんない?」
「いや、こいつ俺の知り合い。そういう店じゃねえから長谷川さん」
「またまたぁ、いつのまにか冗談も上手くなっちまったなぁ銀さん。ちゃらんぽらんな銀さんにそんな知り合いがいるわけ……」
「風見幽香。銀時とは熱い一日を過ごした仲よ」
「本当にいたぁあああああああああ!?」
態とらしく『熱い』という部分を強調する幽香。確かに彼女の言葉は間違ってはいない。命を燃やす熱い日であったことに変わりはない。
「で、いきなり何抱きついてんだ。凶暴なマシュマロンが腕に絡みついて俺のネオアームストロングサイクロンアームストロング砲が火を噴いちゃうよ? 辺り一面白い砂漠と化するよ?」
「こいつとんでもねぇ下ネタぶっ込んで来たネ」
「銀さん困惑してるからって、どえらい下ネタぶっこまないでください!!」
焦りからなのか本心なのか。
銀時のそれは、あまりにも最低すぎる発言だった。
だが、幽香はそんな発言を気にするどころか、
「あら、私は貴方ならば別に構わないわよ? どう? また今晩熱い夜を過ごさない? 今度は向日葵畑ではなくて、ベッドで……」
「お二人とも!! そろそろ中に入りましょう!! こんな所でそんな会話してたら、さっちゃんさんが泡吹き出してバブルパニックになってしまいますから!!!」
これ以上会話させるのは危険だと判断した新八は、無理矢理にでも銀時と幽香を中に押し込む。
神楽は溜息をつきつつ、長谷川は震えながら、猿飛は泡を吹きながら中へと入っていった。
※
中に入った彼らを待ち受けていたのは、
「よくきたな銀時! ようやっと出番を得ることが出来て、正直俺としては安心してるんだ! 何せ第一話からスタンバッテたのに全然出番なかったからな! ふははははは!」
「なんでテメェまでここにいんだよヅラぁあああああああ!!」
「ヅラじゃない! 桂だ!!」
何故かカー●ルサン●ーズのような格好をしている桂だった。
「テメェ呼ばれてもいねぇくせに、何堂々と入ってきてんだコノヤロウ!! ここぞとばかりに銀魂キャラ出演すりゃいいってわけじゃねぇんだぞ!!」
「今宵は宴なのだろう? ならば余興がなければなるまい? そこで俺が素晴らしいラップを……」
「攘夷ラップを幻想郷の奴らに聞かせようとするんじゃねえよ!! 意味不明すぎて話が通じねぇだろうが!!」
何故かちゃっかりラジカセまで用意している桂。その横ではエリザベスが、
『Yo! Yo!』
と書かれたプラカードを掲げていた。
尚、新八と神楽は既に中に入って食事に手をつけている。宴会は既に始まっているのだ。
今回の宴会は立食形式となっている。食事が並べられたテーブルがあり、各自がそれを皿に盛り付けて、席まで持っていくスタイルだ。尚、飲み物についても同様。
「本当……貴方の知り合いは飽きないわね……面白い方達ばかりだわ」
相変わらず銀時の腕に抱きついている幽香。そんな彼女を確認した桂は、
「銀時……一体いくら支払ったんだ?」
「テメェまで俺を何だと思ってんだ!! だからちげぇっつってんだろ!!」
どこまでいっても信用してもらえない銀時なのだった。
「まぁ今宵は存分に楽しもうぞ銀時!」
「ラップだけはやめろよな、ヅラ」
「ヅラじゃない、ラップマンカツーラだ!」
「いやしらねぇけどそんな名前!?」
そう言い残すと、桂は何故か道行く人にラップを歌いながら立ち去っていった。もちろん誰も聞いてない。
入れ替わりで
「……銀時、お主、一体何をやっておるのじゃ?」
何やら怒りの形相を浮かべている月詠が現れた。
「いや何って、それはこっちのセリフだ! なんで月詠までこっち来てんだよ!?」
「猿飛に連れられてな。それに、ここに集まった女達の出所を探ってみれば、銀時の所から出ていたのじゃ。そしたらお主……何故そのような女と恋人のような距離感で近付いておるのじゃ」
青筋たてまくりな月詠。
色々と処理が追いつかなくて、彼女の怒りはあっという間に溜まっていく。それはもう驚くほど、一瞬に。
「あら、もしかして貴方銀時の恋人だった?」
幽香は笑いながら尋ねる。ただしその笑顔は、どう考えても相手を威圧するもの。まるで恋の駆け引きを仕掛けているかのよう。
「そうではない。ただわっちは、銀時が鼻の下伸ばしているのが気にくわないだけじゃ」
「美人を囲うことが出来るのも良い男の条件よ。私は銀時のことを魅力ある人として見てるし、一緒に歩いてて恥ずかしくないと思ってるわ。貴方はどうなの?」
「背中を預ける相手として申し分ないと思っている。共に吉原を守った仲じゃ」
何故か、月詠と幽香による修羅場が発生していた。幽香は銀時から離れて月詠に近付く。月詠も幽香に近付く。自然と彼女達は睨み合う形となり、まさしく一触即発。この流れを変えるには外的要因が必要なわけなのだが……。
「ギン兄様ー!!!!」
よりにもよって銀時にとって、更に燃料を投下するだけの声が響き渡ってきた。
銀魂×東方project
銀色幻想狂想曲
第三十八訓 ここぞとばかりに出番を求めることは決して悪いことではない