銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第四十三訓 念のため許可はとっておけ

 寺子屋での依頼を終えた帰り道。

 辺りもすっかり暗くなり、大きな月が空に広がる中。

 歌舞伎町へと帰る為に博麗神社へと戻ってきた銀時達だったが、

 

「おぅ! 待ってたよあんた達!」

 

 そんな時、鳥居の前で女性に声をかけられた。

 薄茶色のロングヘアーを先の方で一つにまとめ、真紅の瞳、白のノースリーブに紫色のスカートを履いた女性。一見すると普通の女性なのだが、

 

「いつまで待っても来ないから、少し飲んじゃったよー!」

 

 その頭から、長くてねじれたような角が生えている。

 

「お前、誰だよ?」

 

 訝しげな表情を浮かべながら銀時は尋ねる。

 対する女性は、手に持つ瓢箪を口元に寄せ、そこから酒を飲んだ後で、一言。

 

「私は伊吹萃香。さぁ、宴会をはじめよう!!」

 

 幻想郷に帰ってきた鬼は、曇り一つない満面の笑みで、嬉しそうにそう提案してきたのだった。

 

「……は? 宴会?」

 

 思わず銀時はぽかんと口を開けてしまう。異変解決が終わったわけでもないのに、何故か唐突に宴会がしたいと申し出る萃香。そもそも宴会自体はそんな理由がなくても行うものではあるのだが、それにしたって随分といきなりだった。

 

「そう、宴会だよ! こんなにも綺麗な月なんだ! だったら月見酒でもしなきゃ勿体無いだろう?」

 

 よく見ると、すでに顔は赤くなっている。確実に酔っているのが分かった。

 そんな彼女を見つつ、新八は尋ねる。

 

「銀さん、幻想郷ではこれがデフォルトなんですか?」

「んなわけねぇだろ? いくら常識を捨てた方がいいっつっても、俺達と同じ世界観でも生きていけそうなやつがデフォってわけじゃねえはずだ」

「確かにアイツ、こっちでも活躍しそうネ。酒飲み回とかで大はしゃぎするタイプアル」

 

 いつまで経っても歩き出さない銀時達にしびれを切らせたのか、萃香は銀時達に近付いてくる。そして銀時の手を掴み、一言。

 

「もう、つれないじゃないかー。鬼の酒は飲めないってのか?」

「いや、そういうわけじゃねえし、なんなら酒は好きなんだけどよ。そもそも何処で飲むんだよ?」

 

 宴会開くにしても、そもそもの話場所がなければ何も始まらない。酒についても同様だろう。

 しかし萃香は、その疑問に対してあっさりとこう答える。

 

「え? ここにあるじゃん?」

 

 指差した先にあるのは、博麗神社。

 

「お前……ここで飲もうってのか?」

「そうだよ? まぁ霊夢なら許してくれるだろう、『宴会やるよ☆』って言えば」

「いやどうにもなりませんからね!? それもうただ単に迷惑かけに行ってるのとなんら変わりないですからね!?」

 

 悪びれる様子もない萃香に、新八からの強烈なツッコミが入った。

 

「五月蝿いわね……早く帰るならさっさと……って、萃香?」

 

 あまりにも五月蝿かったからか、眠そうな目をこすりながら霊夢が出てきた。そして萃香の姿を見た時に、『げっ』みたいな表情を見せていた。

 

「霊夢! 宴会しようぜ!☆」

「いやそんな何処ぞのモンスターマスターみたいに言われても私眠いんだけど」

「酒飲めば上手いこと眠れるようになるよ?」

「いやいや、アルコール摂取した後に寝ると効率良くないわ。眠い時は寝るに限るの。だからおやすみ」

「えー、せっかく外来人達も飲むって言ってるんだからさー」

「いや言ってねぇよ? 何勝手に決めつけてんの? 第一新八と神楽飲めねぇよ?」

「あー……銀さん、後のことはよろしく頼みましたよ?」

「私も眠いからそろそろお暇するアル。あまり飲みすぎるんじゃねえゾ。居間をゲロまみれにされたらぶち転がすアル」

 

 新八と神楽は、銀時を置いてさっさと帰ってしまった。

 

「おぃいいいいいいいい!! 何ナチュラルに置いて帰ってんだよアイツらぁあああああ!!」

 

 銀時もそれに乗じて帰ろうとするも、萃香がニコニコしながら銀時の腕をつかんでいるため、動くことが出来なかった(しかも鬼の力で掴まれているため、余程のことがない限り解けない)。

 

「どうしたんだ? そんなに慌てて」

「いや、もう夜も遅いし帰ろうかと……」

「なんだい? 私との酒は飲めないと?」

「いやだからそうは言ってないって」

「じゃあ飲むしかないじゃん?」

「そんなことないじゃん?」

「たとえ霊夢が来てくれなくても、私は二人きりで飲むじゃん?」

「そんなこと聞いてないじゃん?」

 

 二人のやりとりを見て、霊夢はぷるぷると身体を震わせる。そしてとうとう我慢出来なくなったのか、

 

「分かった! 分かったわよ! 酒ならあるからうちで宴会やるわよ!」

「そうこなくっちゃ!」

 

 嬉しそうに中へと入っていく萃香。

 解放された銀時は、

 

「いってぇ……助かった……どんだけ馬鹿みたいに力入れてやがるんだあの女……」

「……ほら、行くわよ」

「え?」

 

 銀時の手を握って、中へ連れていく霊夢。その表情は、不機嫌なのに、少しだけ嬉しそうだった。

 

 ※

 

「宴会と聞いて!」

「帰れマスゴミ」

「酷くないですか!?」

 

 中に入った銀時と霊夢が最初に出会ったのは、カメラ片手にニコニコしてる文だった。もちろん、今この瞬間も撮影していたわけで。

 

「ほほう……ところで霊夢さん、今この瞬間を写真に収めてしまったんですがね?」

「何してんのよ、ちょっと」

「これは明日の新聞が厚くなりますなぁ!」

「ならねぇよ。俺達の怒りが熱くなるだけだよ」

 

 元々マスコミに対してあまりいい印象を抱いていない銀時と、手を繋ぎながらエントリーする様子を撮られた霊夢。二人の写真が大々的に載せられたら、修羅バトルが開催されることまちがいないだろう。

 

「あやや、まぁまぁ今日は宴会らしいですし、パーっといきましょうよ!」

「つか、俺達宴会やるってさっき聞いたんだけど? 誰から聞いたの?」

「え? 紫さんですけど?」

「「あのやろう……」」

 

 二人の怒りがシンクロした瞬間であった。

 

「家主に断りも入れずに宴会ぶち込むなんて……」

「ちなみに、もう結構な人達がいますよ?」

「いつの間に準備してるのよ」

「咲夜さんが急ピッチで」

「ちょっと待て。え、紅魔館の奴らもいるの? なんでそんな用意周到なのテメェら」

「前回の宴会に来た人たちは大体来てると思いますよ?」

 

 これには銀時と霊夢も目を合わせる他なかった。

 いくらなんでも、宴会までの道のりが早すぎる。準備はもちろんのこと、そこまで人をかき集められたことも、何より、家主の許可なく勝手に結構な人数が入っていることも。

 

「なんで私には何一つ報告がないのよ……」

「そりゃ、言うと断られるかと思いまして」

「当たり前じゃない!? 異変後でもないのにそう頻繁に宴会なんてやってられないわよ!?」

 

 霊夢の意見はごもっともだった。

 

「まぁまぁ、そう怒らないで〜、今は酒飲む時間だぞ?」

 

 そういって現れたのは、酒瓶を片手に持った萃香だった。

 

 

 

 

銀魂×東方project

 

 

銀色幻想狂想曲

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第四十三訓 念のため許可はとっておけ

 




今回はギャグ回です、たぶん!
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