銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第三訓 バカにつける薬はない

 改めて銀時は、目の前に現れた二人の少女を見つめる。

 博麗霊夢と名乗った少女は、如何にも『今起きてる状況を片付けてさっさと帰りたい』という表情を浮かべている。

 対して、霧雨魔理沙と紹介された少女は、何処かこの状況に対して燃えており、やる気に満ち溢れている。

 あまりにも対照的な二人だと思った銀時。

 そして、銀時と霊夢の二人の心は一致していた。

 

「「((こいつ……おそらくダメ人間だ))」」

 

 と。

 

「霊夢から紹介されたけど、改めて……霧雨魔理沙だぜ! よろしくな! 銀さん!」

 

 気にせず、魔理沙は自分のペースで自己紹介をしつつ、右手を自然と差し出す。

 銀時は気だるそうにその手を握ると、

 

「はいよ、よろしくな。魔女っ子」

「魔理沙って呼んで欲しいんだぜ。それに私は普通の魔法使いだぜ? 魔女ではねぇぜ!」

「どう見ても魔女だろ? 黒猫引き連れて宅急便やってそうだろ? 箒持ってるし、いかにもって感じだし」

「空は飛べるけど、黒猫はいねぇし宅急便もしてないけど? 銀さんは魔女に対してどんなイメージを持ってるのか分からないんだぜ」

「なにってそりゃお前、ジブ……」

「それ以上は言わせないわ」

 

 三つ目の言葉を発するところで、霊夢の右ストレートが銀時の顔面にクリーンヒット。

 

「あぶぎゃっ!」

 

 奇声と共に数センチ後方に吹き飛んだ。

 

「何すんだこのアマァ!!」

「私の勘が告げてたのよ。これ以上言わせてはいけないと」

「勘で人の顔面ぶん殴る凶暴女がどこにいやがる!!」

「ここにいやがるけどなにか?」

「開き直るんじゃねぇよ脇出しビッチが!!」

「誰がビッチよこのやろぉおおおおお!! 良いわよ? ここをアンタの墓場にしてもいいのよ?」

 

 瞳孔開ききって互いに怒鳴り散らす二人。

 そんな二人に対して、魔理沙が一言。

 

「どうでもいいけど、そこの妖怪はどうすんだ?」

「「あっ……」」

 

 先程霊夢がぶっ飛ばしたルーミアは、目を回して気絶している。

 そんなルーミアを見て、銀時は頭をガシガシと掻きむしった後、

 

「やれやれ……どっこいせっ」

 

 ルーミアの身体をお姫様抱っこし、少し離れた木に優しく降ろす。その際、ルーミアの身体が木の幹に寄りかかるようにしていた。

 

「意外に紳士なのね」

「流石にそのまま放置ってわけにもいかねぇだろ。コイツの住処は恐らくこの森なんだろ? だったら、ここでゆっくり休ませときゃ、すぐに元どおりになんだろ」

 

 霊夢の言葉と、銀時が先程経験したことを合わせて、ルーミアが人間ではなく妖怪であることはなんとなく察しがついていた。

 

「へぇー。銀さん、頭回るんだなぁ。天然パーマなのに」

「天然パーマ関係ねぇだろ?!」

「死んだ魚の目もしてるし、本当に頼りになるのか不安だぜ?」

「安心しな。俺の目はいざという時には輝くから。普段は省エネなの。そこの脇巫女なら分かると思うぜこの気持ち」

「脇巫女言われるのは納得いかないけど、その気持ちは理解出来るわ。面倒臭いのはごめんよ」

 

 やはりというべきか、予定調和とも言うべきか、何処か通じ合っている様子の二人。もし今この二人の前にコタツを出そうものならば、数日間はそこから抜け出せなくなることだろう。主人公組がどうにもやる気なさすぎて大丈夫なのだろうか。

 

「とにかく今は先に進むわよ。外来人であるあなたにも、今の状況とか、この世界のこととか伝えなきゃいけないし」

「そうしてくれると助かる。銀さん、ここにきてからまだ数時間も経ってないからわからないことだらけなんだわ」

「だろうと思ったわ。じゃあ、行くわよ」

 

 三人はルーミアを一瞥した後で、霧の深い方へと歩みを進める。

 去り際に、

 

「……ありがとうなのだー、銀さんー」

 

 と言う小さなつぶやきが溢れたが、銀時の耳には届いていなかった。

 

 

 道中、銀時は霊夢と魔理沙より、この世界についてのことを聞いていた。幻想郷がどんな場所なのか、弾幕とは何か、スペルカードルールとは何か、今回の異変はどんな異変なのか。

 

「すると、この霧は世界特有のものではなく、れっきとした異変ってことでいいんだな?」

「えぇ。霧のせいで太陽の陽が届かないって嘆く人も多いみたいなのよ。洗濯物干してるのに乾かないから早くなんとかしてくれって声もあったわね」

 

 現在三人がいるのは、湖のすぐ近く。

 紅い霧による被害を聞いている最中だった。

 

「主婦の嘆きかよ。にしても、太陽の陽が届かない、か……」

 

 紅い霧を発生させる目的がイマイチ検討つかない様子の銀時だったが、霊夢の言葉が少し気がかりになっていた。あと少しで何か思いつきそうと言う時に、

 

「ちょっと待った!!」

 

 突然、高くてバカっぽい感じの声が響き渡ってきた。

 

「あ? なんだいきなり……」

 

 突然の来訪者に、銀時は面倒臭そうに振り向く。霊夢と魔理沙の二人もまた、背後にいるであろう人物を確認するために後ろを振り向き、

 

「あたいはチルノ! ここを通りたければ、さいきょーのあたいをたおしてからにしなさい!」

 

 宙を舞うバカ(チルノ)がいた。

 青いワンピースに胸元に赤いリボンをつけ、水色の髪の毛に青のリボンをつけた少女。何故か両手を胸の前で組み、仁王立ちして相手を威圧している(つもり)。

 

「あっそ。俺は坂田銀時。こっちは脇巫女に魔女のキ●だ」

「誰が脇巫女よ。博麗霊夢だっつってんでしょーが」

「銀さんいつまでそのネタひっぱるつもりだぜ!? 私は霧雨魔理沙だいい加減覚えろ!」

 

 雑な紹介をされたことにより、当然抗議する二人。

 

「まぁいいわ。ここを通りたくばあたいを倒しなさい!」

「お前の何が最強なんだ?」

 

 銀時が尋ねる。

 

「ふふーん! あたいはね、とにかくさいきょーなの!」

「いやだから、お前の何が最強なんだって聞いてるんだけど」

「だから! あたいはさいきょーなの!」

「話聞けよ!! つか、薄々思ってたけどやっぱバカだろお前!?」

 

 会話にならないドッチボールを延々と繰り返しそうになることを見越して、ついにブチ切れる銀時。

 

「なるほど、バカ最強なら納得だぜ……」

「確かに。妖精の中では(バカさ加減で)最強ね」

「さっきからバカバカ言い過ぎだー! バカって言う方がバカなんだー!」

 

 涙目になりながら抗議するチルノ。

 

「妖精?」

 

 霊夢が零した単語に反応したのは銀時だった。

 

「えぇ。こいつらは妖精よ。危険性はないから心配しなくても平気よ」

「こんなバカな妖精もいるんだなぁ。本当、なんでもかんでも受け入れるんだな、幻想郷ってのは」

 

 その点に関しては素直に感心する銀時。

 人間、妖怪、妖精、幽霊。挙げだしたらキリがない程、この地に住む種族は多い。生き続けることを望んだ彼らにとっての最後の希望が、この世界なのだろう。

 

「あたいを無視して話を進めんなー!」

 

 散々バカバカ言われた挙句、次には放置プレイをされる始末。踏んだり蹴ったりな扱いに、流石のチルノもブチ切れ寸前。

 

「あ、いたのか。わりぃ、小さくて飛び回ってるもんだから、てっきりどっか飛んでっちまったのかと思った」

「本当失礼なやつだな! もじゃもじゃ頭!!」

「誰がもじゃもじゃだ! 天然パーマバカにしてると容赦しねぇぞこの野郎!!」

「うるさい! だったら……」

 

「恋符『マスタースパーク』!!」

 

 言い合ってる二人をぶった斬り、ついでと言わんばかりにチルノを吹き飛ばすように、突然極太のレーザーが銀時の目の前を横切る。その威力は絶大で、そこそこの距離があったはずなのに、銀時の前髪を少し焦がす程であった。

 

「えっ」

 

 突然起きた出来事を飲み込めなかった銀時は、レーザーの出所を確認する為に後ろを振り向いた。

 

「ふっ……やっぱ弾幕は火力……パワーが大事だぜ。またつまらぬものを吹き飛ばしてしまったぜ」

 

 満足そうな笑みを浮かべている魔理沙の姿があった。

 

「おぃいいいいいい!! 前髪こげたんだけど!? ギャグパートじゃなきゃ銀さんの命すら持ってかれてたよなあれ!?」

「何言ってんだ銀さん? そこにいたから悪りぃんだぜ?」

「何登山家みたいなこと言ってんの!? おかしいからな!? テメェの頭どうなってんだ空っぽなのかふざけんなよなぁああああ!?」

 

 相手にしない魔理沙と、色々と状況が飲み込めずに逆ギレに近いツッコミを入れ続ける銀時。

 

「とりあえず、うるさいのが居なくなったから先に行くわよ」

 

 霊夢に引きずられるように、魔理沙と銀時は先に進むのだった。

 

「うぅ……絶対許さないんだからあのもじゃもじゃ……」

 

 だいぶ先に吹き飛ばされたチルノは、何故か恨みの対象を銀時に絞っていたとか、いなかったとか。

 

 

 

銀魂×東方project

銀色幻想狂想曲

 

 

 

第三訓 バカにつける薬はない

 

 

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