銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

55 / 254
第五十三訓 時として譲れない戦いがある

 アリス達が合流したことにより、いよいよ戦力過多になってきた銀時一行。一応オシオキから解放させてあげた例として、犯人がいる場所をてゐより聞き出した。

 てゐが言った通りの順路を通っていけばトラップに引っかかることはなかった。どれだけ竹林に彼女のトラップが仕掛けられているのかが伺えた瞬間である。

 

「ここか……」

 

 銀時がポツリと呟く。

 永遠亭。今回の異変を起こした犯人達がいると思われし場所。

 

「ここからは手分けして探したほうが無難ですね……運が良ければ誰かが異変の犯人退治をするということで」

「新八の言う通りね。これだけの戦力がまとまって行動する意味はあまりないわ」

 

 新八や霊夢の言う通り、これだけ人員がいるのであれば、固まって行動するよりも別れて行動した方が効率は良い。

 現在ここにいるのは、銀時・新八・神楽の万事屋メンバー。霊夢・魔理沙・アリスの異変解決組。レミリア・フラン・咲夜の紅魔館組。そして幽々子・妖夢の冥界組。合計すると現在十一人で動いていることになる。はっきり言って、異変の犯人も涙目な豪華メンバーである。

 

「三つくらいに分けられそうだな……その方がまとまりが良さそうだ」

 

 レミリアが提案する。

 大凡その流れで間違ってはなさそうだ。

 

「それじゃあギン兄様は私達と……」

「銀時さんは私と……」

「銀時は私達と……」

「「「ん?」」」

 

 フラン、妖夢、霊夢の三人の声が合わさる。

 同時に、銀時を除くメンバーが悟る。

 あ、これは間違いなく修羅場だ、と。

 

「ギン兄様は私がお守りするの! だから私と一緒に行動しなきゃダメなの!!」

「銀時さんは私に剣の道を説いてくださいました。まだまだ修行の身故、私は銀時さんの太刀筋を学ばなくてはなりません。それならば、私と幽々子様の所に銀時さんが来るのは当然のこと」

「銀時と私の力が合わされば、異変解決なんてすぐよ。効率を考えれば私と組むのが一番のはずよ」

 

 三人が三人、それぞれの意思を曲げない。グループ的に考えれば、『異変解決組』『紅魔館組』『冥界組』の三つに別れるのが現実的ではあるが、どうやら最大の論点は、『銀時が何処に来るのか』と言う部分らしい。

 

「安心なさいフラン。銀時は私達が守ってあげるから、貴女が心配するようなことは起きないわ」

「そう言ってレイムはギン兄様を独り占めする気なんでしょう!?」

「今は異変解決の時なのにそんな私情ばかりで動くのはいただけません。ですから私達とともに銀時さんは……」

「あんたのも剣の教えがどうとかで明らかに理由くっつけてるだけじゃないのよ」

「なっ……私と銀時さんの剣の時間を馬鹿にするつもりですか!? 斬りますよ!!」

「それより前に私が貴女を串刺しにしちゃうよ? コワシチャエバイインダヨネ?」

「上等じゃない。やってみなさいよ吸血鬼。最近銀時との密着度が増えたから実はそこそこイライラしてたのよ」

「なんでレイムがイライラする必要あるの? 私とギン兄様の仲はレイムだって知ってるはずだよね?」

「そうね。二人が『仲良しの兄妹』みたいな関係だっていうことがね」

「仲良しならばあれたけやって当然だよ!!」

 

 キリがない。

 このままでは修羅場が無駄に発展するだけで、異変解決までの時間が先延ばしされていくだけだ。

 

「おい霊夢! 今はそんな言い争いしてる暇なんてないぜ!!」

「無駄よ、魔理沙……あの三人は今、私達の声が聞こえてないわ……」

 

 一番まともなのが魔理沙とアリスの二人なのだが、どうにも止められる手立てがない。

 

「私はフランの味方だ……しかし……今は乗り越えてもらわなくてはならない……ぐぅ……!」

「妹様を想う御嬢様の熱い気持ち……あぁ……メニアック……っ!!」

 

 一方、紅魔館組はもはや使い物にならない。

 

「あらあら。とても面白いことになってるわね……うふふふふ」

 

 愉悦部所属の幽々子はすごくニコニコして眺めているだけ。

 

「……新八、これはどういう状況ネ。天パー巡って女の子が争ってるとか、私は夢を見てるアルか……?」

「帰ってきて!! 現実受け止められない気持ちはわかるけど、今は戻ってきて!!」

 

 絶賛現実逃避中の神楽と、そんな神楽を連れ戻そうと躍起になってる新八。

 はっきり言ってもはやカオス。

 そして当事者たる銀時は何をしてるのかというと……。

 

「お、おい、テメェらそろそろ……って!?」

 

 止めようとした所、地面に大きな穴が開いていた。その穴には、すごく見覚えのある目のデザインが施されている。

 いや、これ穴じゃなくて、スキマだ。

 

「なにしやがんだあのアマァアアアアアアアアアアアアアア!!」

「ギン兄様!?」

 

 そうして銀時は、スキマの中に落とされていったのだった。

 

 ※

 

「ふげっ」

 

 スキマから落とされた銀時は、そのまま見覚えのない和室へと落とされる。その部屋を一言で表すならば、『豪華絢爛』。部屋の隅から隅まで掃除が行き届いているのはもちろんのこと、綺麗に整理された品々、古いながらも輝きを残す畳、そしてちょうど仕切りがわりにかけられているすだれの奥には、何者かがいる気配を感じる。

 

「……っ」

 

 直感で、銀時は思う。

 今自分の目の前にいるのは、恐らく今回の異変に関わる重要人物であると。

 紫が何故自分をここに落としたのかは分からないが、それでも異変の核心に迫る事が出来てしまう、ということを嫌という程感じていた。

 

「今は昔、竹取の翁という者ありけり」

 

 とても凛とした声だった。それでいて、何処か人を魅了するような、和ませるような、戦慄させるような、それら全てを総括したような、そんな声だった。

 

「野山に混じりて竹を取りつつ、万のことに使いけり」

 

 すだれはゆっくりと上がっていく。

 赤い生地に月、桜、竹、紅葉、梅等、日本を象徴するものが描かれた物が見えていく。

 

「名をば、さぬきの造となん言いける。その竹の中に、もと光る竹なん一筋ありける」

 

 大きな白いリボンが施された桃色の服。長く伸びた美しい黒い髪が、その姿を現していく。

 

「あやしがりて寄りて見るに、筒の中光たり。それを見れば、三寸ばかりなる人、いと美しうて居たり」

 

 やがてすだれは完全に開かれ、その人物の全容が明らかになった。

 それは絶世の美女。なんと美しきことだろうか。纏う雰囲気はまさしく姫。荘厳な気配を隠すことのない、そんな女性だった。

 

「初めまして、異界の侍さん」

 

 その人物は、銀時に向かって微笑みながら、

 

「私は蓬莱山輝夜。今の冒頭部分を詠えば、大体どんな存在なのかはわかるでしょう?」

「竹取物語の……輝夜姫」

「御名答。大変よく出来ました」

 

 蓬莱山輝夜が、その姿を露わとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀魂×東方project

 

 

銀色幻想狂想曲

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第五十三訓 時として譲れない戦いがある

 




過程をすっ飛ばしてこの人が現れてしまいました!!
ですが、次回は狂気使いの兎さんの登場です!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。