異変から一夜明け、翌日のこと。
珍しく一切の怪我をしなかった銀時からしてみれば、異変翌日に普通に目が覚めることは、この上なく幸せに感じる筈、なのに。
「……何だ、凄く嫌な予感がする」
銀時の身体からは、常時冷や汗が流れ出る始末。
異変解決した時には既に夕方から夜に差し掛かっていた為、銀時・新八・神楽の三人は揃って永遠亭にお邪魔することになった。
レミリア達は既に紅魔館に帰っており、幽々子達もまた冥界へと帰っている。
霊夢や魔理沙、アリスも、それぞれの家へ帰っていることだろう。
なので、何か事件が起きうる可能性など早々ないというのに。
「……何故だ、この布団、不自然な膨らみがある」
銀時は、自分の布団に、見慣れない膨らみがあることに気付いていた。
フランが銀時の布団にもぐりこんだ可能性が一番高いのだが、レミリアが一緒に寝たいと言って引き取った為、その可能性は消える。
「……仕方ねぇ、剥ぐか」
覚悟を決め、銀時は布団を思い切り――剥いだ。
「あら、大胆……♡」
そこに居たのは、白襦袢のみを羽織っていた輝夜の姿だった。
しかも、顔は朱色に染まっており、恋する乙女そのものと言ったような表情だった。
「なんでテメェが俺の布団にもぐりこんでやがるんだぁあああああああああああああああああああああ!!」
それはもう驚く程綺麗な叫び声だった。
多分ここ数日で一番の悲鳴だろう。
「え? だって輝夜姫からの無理難題を貴方はクリアしたのよ? だったらこれはもう、私は貴方に嫁ぐしかないでしょう? 何を分かり切ったことを言ってるの?」
「テメェに興味はねぇって言ったよな? 断ったよな? 惚れてねぇって言ったよな!?」
「関係ないわ? 惚れさせるだけよ? ていうか婚姻届出すわよ?」
「話が飛躍し過ぎなんだよテメェは!! 第一なんで俺の布団もぐりこんでんだゴラァアアアアアアア!!」
「え? だって愛する二人が一緒の布団で寝るのは当たり前のことでしょう?」
「一方通行だっつってんだろ!! もうそれストーカーの域だよね? おかしいよね!?」
困惑するばかりの銀時。
残念ながら半ば箱入り娘である輝夜に、ある程度の人間としての常識は通用しないところがある。
特に彼女は、恋愛感情を持ったことがあまりない。故にその愛情表現の仕方に関しては、フラン並に極端なのだ。たちが悪いのは、輝夜の方が無駄に知識を持ってしまっているということ。外に出られなかったフランとは違い、人並みの交流はあるせいで、中途半端な知識があるのが気難しい所。
「私は貴方様と一生添い遂げると決めたの! 旦那様……どうか私を受け取って!」
「出来るかぁああああああああああああああああああ!!」
銀時、逃走。
※
所変わって、迷いの竹林。
そこではてゐと鈴仙が、新八や神楽と話をしていた。
「てゐさんってここにどれだけのトラップを仕掛けているんですか?」
「キシシ。よくぞ聞いてくれたな眼鏡君」
「眼鏡君って何だよ!!」
「まぁまぁいいじゃないか眼鏡君。私がここに仕掛けたトラップをすべて説明しようとすると、一週間はかかるぞ?」
「それだけのトラップを仕掛ける暇があるのならば、もっと他のことに費やしなさいよ、てゐ……」
鈴仙が溜め息交じりにそう呟く。
「同じ兎でもここまで違うアルな。てゐとかいう奴は私達の世界に来ても十分通用しそうネ」
「確かに……他の人達を次から次へとトラップで一網打尽していく様が浮かびそうだよ……」
てゐのトラップ技術は、そんじょそこらの一般人では敵いそうにない程強力だった。事実、かなり油断していたとはいえ、銀時を捕える程には強い。その後は
「ところで、いつものパターンで行くとすれば、今回の異変解決後の宴会はここで開かれる筈なのですが……」
「えっ」
新八の言葉に真っ先に反応したのは、てゐだった。
何故なら、客人が来るというのであれば、竹林に仕掛けられたありとあらゆるトラップ達は……。
「……そういうことだから、てゐ、頑張りなさい」
「ぬぁあああああああああああ! 私一人で終わるわけがないよぉおおおおおおおおお! 手伝ってよ鈴仙んんんんんんんんんんんんんんんんんんん!!」
肩を掴み、ぐわんぐわんと揺らしながら、涙ながらにてゐは懇願する。
そんな彼女に、鈴仙がにやりと笑いかけながら、一言。
「ファイト♪」
「もうむしろトラップを仕掛けたまま歓迎してやろうか!! キシシシシ!!」
考えることを放棄し、むしろトラップを仕掛けることで歓迎しようというわけの分からないことを宣うてゐに対して、
「そんな事、認めると思ってるの?」
ドスの効いた永琳の声が、辺り一面に響き渡った。
「「ひぇっ!!」」
てゐだけでなく、その場に居た鈴仙も思わずビクッ!! と跳ねてしまう。
そんな彼女達に対して、永琳が一言。
「明日までに解除なさい。二人で。今すぐ。ハリーアップ」
「「は、はいぃいいいいいいいいい!!」」
何故かとばっちりを受けることになった鈴仙の、可哀想な瞬間だった。
「……流石にこればかりは同情せざるを得ませんね」
「ドンマイ、アル」
新八と神楽からかけられる言葉は、それしかなかった。
※
さて、場所はかなり変わって、異変解決後の紅魔館の様子。
「ねぇねぇ、お姉様」
「何かしら? フラン」
珍しく、同じ布団で眠っていたフランとレミリア。
と言うより、銀時の所に行っていない時には、こうして二人で寝ることの方が多くなっているのだ(主にレミリアがフランと一緒に寝たい為)。
そんな中で、フランがレミリアに対して尋ねている。
「最近、ギン兄様の周りに、女の人がどんどん増えてる気がするの……」
「……聞き捨てならないな」
レミリアにとって、フランが幸せになることこそ至高。
確かに、銀時に対してそれなりの好感度があるのは確かだ。しかしそれはあくまで友人として。フランのように恋愛感情を抱いているわけではない。
だが、そんな妹が愛する者の周りに、余計な人物達が増え続けることについては、姉として頂けない部分があるようだ。
「ヨウムもレイムも、ギン兄様に対して特別な感情を抱いてそうなの……もっとギン兄様にアピールしなきゃなって思うんだけど、一体どうすればいいのかな……」
そこにあるのは、恋する乙女の純粋な悩み。
レミリアは姉として、妹の成長を素直に喜んでいた。
たとえ恋愛対象が天然パーマのちゃらんぽらんだったとしても、外の世界を知るきっかけとなった人物に対してきちんと正しい感情を見いだせていることに、喜びすら感じている程だ。
だからこそレミリアは、しっかりと考え、その上で言葉を紡ぐ。
「そうだな……まずは相手に対して、自分がどれ程好きなのかをしっかりと伝えるべきだと思う。流石にギントキもそこまで馬鹿じゃない。ある程度感情に対して理解はある筈だ。どこぞの鈍感系主人公でもない限り、少なからず好意は気付く筈だ」
坂田銀時は、よくあるラノベハーレム系主人公とは微妙に違う。
少なからず相手の好意や悪意に対しては感じ取ることが出来、理解する。
もちろん、フランからの感情がただの友好で終わるわけがないことを、彼だって理解していることだろう。
だが、感情や気持ちというのは、言葉にすることで改めて認識させられるもの。
相手はもちろん、自分もそう。
「……そっか。私、次の宴会で頑張ってみる!」
「そうだ、その調子だ……フラン」
フランの頭を優しく撫でるレミリア。
姉からの愛情を受け、フランも嬉しそうに微笑んでいた。
こんなにも姉妹愛は素晴らしいというのに、『宴会』というワードが出ただけで、何やら嫌な予感を彷彿とさせるのは、果たして気のせいなのだろうか……。
銀魂×東方project
銀色幻想狂想曲
第五十八訓 朝って爽やかな時もあれば重苦しい時もあるよね
輝夜様がキャラ崩壊してる……(しろめ
あと、お知らせです!
UA数15000突破!お気に入り登録数100突破致しました!!
連載開始からおよそ一ヶ月半……やったね!
これからも頑張っていきます!!
また、「この銀魂キャラだしてほしい」というリクエストがございましたら募集致しますー。
出せる範囲で頑張って出します()