そしてとうとう来てしまった、宴会当日。
幻想郷に赴く為に、歌舞伎町メンバーは万事屋に集合していた。
「ったく、こう見るとなかなか豪華な面子だなチクショウ」
銀時は、居間に集まっているメンバーを見ながら呟く。
新八や神楽はもちろんのこと、桂・猿飛・月詠・お妙の四人に合わせて、やはりというべきか九兵衛も居た。長谷川もまた隅の方に居る。
「銀さんってば水臭いじゃない。どうしてこう、面白いことに私達をおいていっていたのかしら? 私ってば六十話にして初めての登場なのよ? 初期から居るメンバーなのに出番出るの遅すぎじゃない?」
「そうだ、銀時。お妙ちゃんの出番がこんなにも遅いとはどういうことだ!? それに、僕とお妙ちゃんのサービスカットがないじゃないか!」
「知るかんなもん!! 俺に言われたってどうしようもねぇんだよ!! 文句あんなら作者に抗議して来い!!」
初登場で既に抗議モード突入の二人。
一方で月詠は、溜め息を吐きながらそんな二人を眺めていた。
「まったく。そう騒ぐものでもなかろう。出番の一つや二つ、あった所で何の影響もないじゃろうに」
「甘いわよ、ツッキー。私達の出番がない裏でも、銀さんは幻想郷でドンパチ繰り広げてるのよ? そしたら一体何が起きるか分かったものじゃないわ」
「いや、しかし……それはアイツの勝手じゃろう……」
「銀さんを巡るライバルが増えてもいいっていうの!?」
「いや、わっちは元から……」
猿飛の言葉に、顔を赤くしている月詠。もうこの子がヒロインでいいんじゃないだろうか?
「あっはっはっ! まったく愉快この上ないなぁ、銀時! では先行ってるぞ!」
何故か桂は逃げ足が速い。
真っ先に飛び込んでいった。
もしかしたら、お妙がいることで近藤が来る可能性を察知した、のかもしれない。
「なぁ、銀さん。俺、何だかんだで幻想郷行くのは初めてなんだよ。もしよければ、何人かいい子紹介してくれよ? な?」
長谷川は割と本気で懇願している。
「長谷川さんよぉ、幻想郷に居るのは常識を持ってない奴らばかりだぜ? それでもいいのか?」
「銀さん、周り見てみろよ。俺達の周りに居る女で、常識持ってる奴、居るか?」
「……いねぇな」
「ちっとはフォローしてやれよそこぉ!!」
長谷川と銀時がとんでもないことを共有しているのに対して、新八心からの叫び。
「なんでもいいけど、早く行きたいアル。美味しい食事が私を待ってるネ!」
「お前は食事のことしか考えてねぇのかよ……まぁいつまでも待たせるわけにゃいかねぇからな。とっとと行くぞ、オメーら」
銀時先導の元、一同は幻想郷へと足を運ぶ。
この日の宴会は、果たしてどのようなバカ騒ぎが繰り広げられるのだろうか。
願わくば、平和のまま終わって欲しい所である。
※
幻想郷に来た彼らが最初に足を踏み入れるのは、当然博麗神社。
そこには既に霊夢や魔理沙が待ち構えていた。後、先に行っていた桂もだ。
「よぅ銀さん! こりゃまた大所帯で来たもんだぜ!」
「魔理沙か。アリスと一緒に行ってるんじゃなかったのか?」
真っ先に話しかけてきたのは魔理沙だった。
彼女は手に酒を持ちながら、気さくに話しかけてくる。
「アリスは準備するって先に行ったぜ。私と霊夢は、銀さん達の案内係ってわけだぜ」
「そうね。今回は初めて幻想郷に来る人も居るから、私達が道案内するのにぴったりってことで選抜されたのよ」
面倒臭そうに霊夢は語る。
彼女は基本的にはあまり自分から進んで事を為そうとはしない。その点銀時と似通っている部分があり、流石は主人公勢と言った所である。
「銀さんがお世話になりました。私は新ちゃんの姉の、お妙と言います」
一方、歌舞伎町メンバーで最初に挨拶をしたのはお妙だった。
彼女は新八の姉として、色々お礼を言いたいところなのかもしれない。
「これはこれはご丁寧に。霧雨魔理沙! 普通の魔法使いだぜ!」
「私は博麗霊夢。博麗神社の巫女よ」
この二人を皮切りに、九兵衛達も自己紹介を簡単に済ませる。
そうして粗方自己紹介も終わった所で、
「んじゃ早速永遠亭に向かおうぜ! みんな待ちくたびれちまって始めちまってるぜ!」
「……出来れば俺としちゃ回れ右して帰りてぇんだが」
もう面倒なことが起きるのが分かっている銀時としては、大人しく万事屋に帰りたい所。
しかし霊夢が、
「アンタが来ないと、フランがそろそろ爆発寸前よ? ここ最近アンタも忙しかったし、向こうもそっちに行けなかったりで、寂しさ満点よ? レミリアが私のところに妹自慢を交えて言ってくるもんだから大変よ」
「フラン?」
聞き慣れない名前に反応したのは、猿飛だった。
「その子、銀さんとどんな関係なの?」
もう、これこそが面倒事の幕開けだろう。
「銀時に懐いているのよ。前の異変で色々とお世話になったみたいだから」
「ふーん……」
恐らく、猿飛の中で警戒リストに入ったことだろう。
一方で月詠は、
「……もしや、前の宴会で銀時に飛びついていた女子か?」
「あぁ、そうかもしれないわね。銀時を見つける度に飛びつくから」
「なるほどな。確かに、あの様子では相当銀時を好いておるようじゃな」
「……こんな天然パーマを、か?」
九兵衛は目を丸くする。
まるで信じられないものを見るかのようだ。
実際、彼女達からしてみたら、銀時がモテまくる状況というのが信じられないのかもしれない。
「信じられませんよね? 銀さん、こっちの世界じゃ無茶苦茶モテてるんですよ」
「おかしいアル。絶対何か裏で金払ってるとしか思えないネ。いくらつぎ込んでるアルか」
「何その特殊な風俗に金落としてる駄目男の図。そんなんじゃねえからな? 普通にしてるだけだからな?」
彼女達からしてみれば、銀時が普通にしているのにモテていることがもうおかしいのだが。
猿飛は嫉妬の眼差しを見せ、月詠は溜め息を吐いている状況。
お妙は我関せずと言った所だろうか。
「フランが待ってるって言うなら仕方ねぇか」
「……今、ふと思ったのだが、銀時。フラン殿に関しては随分と甘いな」
桂がある点に気付く。
それは、銀時はフランのこととなると、そこそこ能動的に動くという点だ。
確かに、彼の性格上自ら抱え込んで勝手に行動することが多い。それもまた他人の為に動いていることでもある。しかし、フランに関してはどことなく、自分の為にも行動しているように見えたのだ。
そんな質問に対して、銀時は答える。
「……フランは好意を素直にぶつけてくるからな。無碍にするわけにゃいかねぇんだよ。約束もあるしな」
約束。
坂田銀時という男は、一度交わした約束を果たそうとする。彼とフランについては、最初に会った時に約束を交わしている。今でも彼はそれを果たそうとしているのだ。
それに、銀時に対して真正面から常に好意をぶつけてきて、かつ、猿飛や輝夜のように一方的ではない感情は、彼にとって初めてだったのだ。それが尊敬とか家族愛、隣人愛に収まっていないことも把握しつつ、彼はフランのことを、少なくとも新八や神楽のように大切に想っていることは確かなのだ。
「そうか。それならば良いのだ」
桂は銀時の答えを聞いて満足したようだ。
「話は終わった? それじゃあ行くわよ」
霊夢の言葉により、銀時達は永遠亭に向かう。
本当の地獄は、これからだ……。
銀魂×東方project
銀色幻想狂想曲
第六十訓 ようやっと登場する原作キャラも存在する
お妙さんと九兵衛初登場回ですー。
次回、ようやっと宴会が始まります……!