銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第六十二訓 修羅場は続くよ何処までも

 ようやっと宴会場まで到着した一行。しかしその間も銀時の腕には、輝夜と猿飛が抱き着いているというこの状況。そして近くでは、常に不機嫌そうなオーラを出している霊夢と月詠。その他のメンバーについては、お妙と九兵衛が勝手に百合百合し、桂とエリザベスが何故かラッパーモードに早変わりしたり、神楽は幽々子とフードファイトを繰り広げていたりしている。常識人枠の二人は、既にぐったりしていた。長谷川さんはグラサン。

 

「ちょっと待って! 今俺間違いなくグラサンとしか認識されてなかったよね!? おかしいよね!?」

 

 虚空に向かって叫ぶ長谷川のなんと滑稽なこと。

 閑話休題。

 宴会始まってすらなかったのにクライマックスモード突入していたのだが、これからは攻略難易度ルナティックモードに突入する。

 

「あら……銀時。これは一体どういうことかしら?」

 

 最初に訪れた刺客は、風見幽香だった。彼女は、銀時の両腕に輝夜と猿飛がくっ付いている状況を見て、にこにこ笑いながら問いかける。

 だが、周囲の人は一発で察する。

 この人、絶対笑っていない、と。

 

「旦那様との愛を存分に見せることは大事でしょう?」

「貴女に聞いてないわ。私は銀時に聞いてるのよ」

 

 輝夜の言葉を一蹴し、にこにこ笑顔で銀時を見つめる幽香。笑顔なのに、絶対逃がさないという確固たる決意が秘められている。

 

「いや、このストーカー共が離れてくれなくて仕方ねぇんだ」

「「ストーカーですって!?」」

 

 互いに互いの顔を見やる輝夜と猿飛。

 

「うん、お前らな? ストーカーお前らだからな?」

 

 その隙を見て、銀時はようやっと二人の拘束から解き放たれた。

 

「銀さんをストーカーするとはいい度胸じゃないの!!」

「私と旦那様は一夜を共にした仲よ?」

「誤解を生むような言い方すんのやめろぉ!! テメェが勝手に潜り込んできただけだろうが!!」

 

 今度は銀時が青筋立てる番だった。

 

「とりあえずそのことについて詳しく聞かせてもらおうかしら」

 

 ジリジリとにじり寄ってくる幽香と、

 

「うん。私もそのことに凄く興味あるよ、ギン兄様」

 

 既に目に光が宿っていないフランが現れた。

 この時、第三者達は誰もが思った。

 あ、これオワタ、と。

 

「よ、よぅ、フラン。どうしたんだよ? そんなこえぇ眼差し向けてきて」

 

 流石の銀時も、今のフランを相手に選択肢を間違えたら即バッドエンドに行くことは感覚で理解した。だからこそ慎重に、話を振る。最早彼らに邪魔する者はいない。先ほどまで青筋立てていた霊夢ですら、遠くで魔理沙と酒を飲む始末だ。敢えてこの場面をワクワクしながら見ている存在なんて、それこそ遠目から写真をパシャパシャ撮りまくってる射命丸文くらいなものだろう。

 

「今さっき、旦那様って言葉が聞こえてきたと思うんだけど、何? 銀時っていつの間にか結婚したの?」

「いやしてねぇ。あの馬鹿姫が勝手に宣ってるだけだ。俺は何度も断ってる」

 

 幽香の質問に対して、銀時は正直に答える。少なからず、銀時に対して輝夜が好意を抱いていること自体は理解出来ても、結婚して夫婦になった覚えはないし、今後もなるつもりのない銀時。この答えは彼にとっての最適解だった。

 だが、論点はそれだけではない。

 

「それじゃあギン兄様。一夜を共に過ごした仲っていうのは?」

 

 今回最大の論点。

 輝夜が落とした核弾頭。

 処理の仕方を間違えれば即刻デッドエンドの冒険直行便。

 

「人の布団にあの馬鹿姫が潜り込んできただけだ。目が覚めたら横でぐーすか寝てやがったんだよ。何もねぇから安心しろフラン」

 

 そう言いつつ、彼はフランの頭を優しく撫でる。

 フランは、久しぶりに感じる大切な人のぬくもりに、あっという間に陥落していた。銀時から撫でてくれた嬉しさによって、

 

「ギン兄様!」

 

 それはもう凄い勢いで懐いていた。

 先ほどまでの不機嫌さはどこへ消えたのやら。ぎゅっと抱き着いて思う存分銀時の温もりを堪能している。

 

「…………銀時、これについてはどう説明するのかしら?」

 

 ただし、幽香の前で。

 

「いや、これはだな……」

 

 弁明不能。言い訳無用。

 フランが銀時のことを相当好いているのはどう考えても分かることであり、かつ、銀時もその好意を受け入れているようにしか思えないこの状況。

 

「ちょっと!! 銀さんに軽々しく抱き着かないでよ!!」

 

 それは飛び火し、猿飛までもが向かってくる。

 

「そこは私の特等席よ! 旦那様の横は譲れないわ!」

 

 面倒臭い輝夜姫まで戻ってきた。

 一対三というこの状況。銀時、切り抜けられる気がしない説。

 

「……待ちなんし」

 

 そこに助け舟を出したのは、意外にも月詠だった。

 

「なんでよツッキー! だって銀さんが……」

「好いている者に甘えて何が悪いと言うのじゃ? そこに邪悪なる意思が見られない限り、わっちはその者の味方をするぞ」

 

 月詠は理解出来てしまったのだ。

 フランがどれほど寂しさを抱えていて、そしてようやっと甘えられるひと時が訪れたということ。

 それを邪魔することが、どれほど愚かなのかということを。

 

「そいつの言う通りだ。私の妹が、今こうして存分に甘えている時間を邪魔しないでもらいたい」

 

 そこに訪れてきたのは、咲夜と共にやってきたレミリアだった。

 

「け、けど……!」

 

 それでも尚食ってかかろうとする猿飛に対して、

 

「図が高いぞ、雌豚。程度を弁えろ」

 

 眼光鋭く睨みつけながら、レミリアは吐き捨てるように言った。

 猿飛はもちろん、その場にいるほとんどの者が何も言えなくなったその状況。

 

「……まぁそうカッカするこたぁねぇだろ。俺も、どんな形であれ好意を寄せてもらえること自体は嬉しいからな」

「ギン兄様……」

 

 フランの頭を優しく撫でながら、彼はその場にいる全員に対してそう告げる。

 

「……さて、宴会は仕切り直しだ。今日は私達が酒も食料も準備させてもらったんだ。存分に堪能して欲しい」

 

 場を仕切るように、永琳がそう言葉を投げかけたことによって、辺りは再び飲み食べし始める。

 

「……ありがとな、永琳」

「これで手加減された借りはチャラと言うことで」

「でけぇ借りだったな」

「一言で済むなら安いものよ」

 

 永琳と銀時は、不敵に笑い合う。

 そうして宴会は再び始まるのだった。

 

「……あれ、俺達蚊帳の外じゃね?」

「案ずるな。こうしてラップをしていればYo! きっと報われるZe☆」

『チェケラッ!』

「それあんた達がただ単にラップやりたいだけだろ!!」

 

 長谷川、桂、エリザベスの三人、完全に今回蚊帳の外。

 

 

 

 

 

銀魂×東方project

 

銀色幻想狂想曲

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第六十二訓 修羅場は続くよ何処までも

 

 




今回は修羅場回ってところでした!
最後はフランの一人勝ち?(地味に月詠の好感度も上がった気がします
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