第六十四訓 どんな仕事でも服装って大事だよね
歌舞伎町某所にて。
仕事をしているのか、それとも休日をエンジョイしているのか。恐らくはパトロールをしていると思われる四人組がいた。
「女性達が次から次へと吸い込まれていった不思議な紅い館……ここがその建物か」
タバコをふかしながらそう呟いたのは、真選組鬼の副長、土方十四郎。
「なんでも、ある日いきなり建てられて、しかもある日いきなり見知らぬ女性達が次から次へと入っていった、ってことらしいですぜ」
表情の変化なく見つめているのは、真選組一番隊隊長、沖田総悟。
「それだけじゃなくて、一部目撃情報によるとあの桂によく似た人物も出入りしていたってことみたいですよ……はむっ」
アンパン食べながら証言したのは、真選組諜報担当、山崎退。
「ジッとしていても何も始まらん! とにかくまずは乗り込むぞ!」
そして三人に対してそう提言したのは、真選組局長ーーゴリラ。
「いや俺ゴリラって名前じゃねえけどぉおおおおおおおお!? なんで俺だけゴリラ表記なんだぁあああああああ!!」
「近藤さん、それは作者がシリアスに疲れた証拠ですぜ。原作でもたまにありやすぜ? シリアスしてたかと思いきや唐突に笑いぶっ込んでくるやつ」
「シリアス続きになると疲れますからね……」
「いやそれと近藤さんがゴリラ呼ばわりされることの繋がりはほとんどねぇだろ」
冷静にツッコミを入れる土方。
「とりあえずまずは事情聴取。攘夷志士の疑いがあればすぐ確保。これでいいんですね?」
改めて土方が、ゴリラ改めて近藤に確認をとる。
「そうだな。妙な動きを見せたら、そいつら確保ってことでいくぞ!」
近藤が先陣する中、真選組は紅い館ーー紅魔館2ndGへと近づいていく。大きくそびえ立つ門をゆっくり開け、扉をノックする。
コンコン、という音が鳴った後に出てきたのは……。
「はーい、新聞ならお断りですよー……」
燕尾服の上にエプロンを着けている、坂田銀時の姿だった。
※
時を遡ること数日前。
「突然なんだが、数日間バイトを頼まれてくれないか?」
いつものようにグダグダしている万事屋に、咲夜と共にレミリアが現れる。彼女にしては珍しく、銀時達に依頼をしに来たようだった。
「バイトぉ?」
その言葉だけでは全容が見えてこないため、不思議そうな表情を浮かべながら銀時が尋ねる。その質問には、咲夜が答える。
「実は、長谷川様には紅魔館にて図書館の整理を手伝っていただきたいと思ってまして、そうなるとその間、紅魔館2ndGの方が完全に人手が足りなくなるのです」
「なるほどな……」
「あれ? でもそれならば、僕達がそっちに行った方がよくないですか?」
確かに新八の言う通り、図書館の整理の為に長谷川が駆り出されるのだとすれば、銀時達が幻想郷に向かった方が効率は良い。
しかし、今度はレミリアがこう言った。
「もちろんそれは分かってる。けど、フランがそっちに遊びに行きたいと言っててな」
「あー……なるほど。それならば納得です」
新八はその一言だけで納得した。
今回の場合、フランが歌舞伎町に遊びに来るのと、図書館の整理がブッキングしたのだ。普通ならば銀時達を呼び寄せればそれでいいのだが、フランが遊びに来ているというのに、そこに銀時がいなかった場合、どうなるか分かったものではない。だからこそ、長谷川を呼び寄せて、銀時達には紅魔館2ndGの管理をお願いしようということなのだ。
「図書館の整理をズラせばいいんじゃないアルか?」
「図書館の整理を放置すると、魔法使いが訪れてしまいます故……」
「魔理沙か……」
銀時は真っ先に思い浮かべた。魔理沙はパチュリーのところに行っては、『本を死ぬまで借りる』という。すごく簡単に言ってしまえば泥棒もいいところなのだが……。
もし整理してなかったとしたら、魔理沙が何を持っていったのかがわからなくなってしまう。ならば、出来る限り早めにやってしまった方が良い。
「魔理沙さんも懲りてないんですね……」
「さすがは白黒魔法使いアル」
新八と神楽までこういう始末。
実際には割とちゃんと返しているそうなので、魔理沙本当は良い子説。
「そういうわけだ……なんとかお願い出来ないか? もちろん報酬も出すし、咲夜も何度か顔を出すつもりだから」
レミリアの言葉に咲夜が頭を下げる。
「ま、依頼とあれば受けるさ。万事屋が責任を持って引き受けるぜ」
「本当か!?」
レミリアは嬉しそうに笑顔を見せる。
そこには、依頼を引き受けてもらえて嬉しいというのと、それとは別に何かあるのではないかと思わされるほどの、悪戯な笑み。
「そらならば制服を用意しなければならないな。咲夜、三人分の制服を用意して欲しい」
「かしこまりました、御嬢様」
何処から飛び出したのかもわからないし、いつ作られたのかも分からないが、気付いたら机の上に三人分の洋服が用意されていた。
銀時と新八には燕尾服が、神楽にはメイド服があてがわれている。
「ほわぁ……可愛いアル!」
神楽にはなかなか好感触のようだ。
新八も興味津々といった形で広げてみて、試しに合わせてみると、
「あれ? これサイズぴったりですね」
「お、本当だ。ぴったりだな」
銀時も合わせてみたところ、ちょうど良さそうだった。
これについて咲夜は、
「メイドですから」
「それだけで解決出来ねぇからな?」
「メイド、ですから」
銀時の言葉に揺らぐことなく、咲夜はそれを貫き通した。
「というわけで、ハセガワが帰ってくるまでの間、よろしく頼む」
こうして、万事屋三人は一時的に紅魔館2ndGでバイトをすることになったのだった。
銀魂×東方project
銀色幻想狂想曲
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