香霖堂。幻想郷の中で様々な珍しいものを売っている不思議な場所。そのラインナップには、外の世界から流れ着いてきた珍しい物も含まれており、行く度に品揃えも変わる為飽きる事はそうそうない。
そんな店の店主である霖之助は、今日も店の品物を並べ、それがどんなものなのかを見出すのに精を出していた。
彼の能力上、道具の名前とその仕様用途を理解することが出来る。ただし彼に出来るのはそこまでで、やはり実際に使ったことのある人から聞くのが一番ではある。
「あれ?」
そんな彼は、品出しをしている最中にとあることに気付く。
「…………あれが、ない」
本来ならば置いてある筈のものが、行方不明になってしまっている。
「しまっちゃったのかな……まぁ、いいか。そのうち見つかるだろう」
この時彼は、品物が盗まれた可能性について考慮していなかった。何せこの店、普段から人はほとんど来ない。それに今まで泥棒に入られたこともない。敢えて言えば魔理沙から『これ貰ったから駄賃払うぜ!』と、後から料金をいただくパターンがある程度だ。今回も魔理沙がそうしたのか、それとも自分が無意識に店の奥へ引っ込めてしまったのかのどちらかだろうと思い、対して気にも留めなかった。
後にこれが、幻想郷の歴史に名を残す喜劇の幕開けになるとは、霖之助は思いもしなかった。
※
紅魔館2ndGでのアルバイトが終わってから数日後の万事屋銀ちゃん。
毎度お馴染み、銀魂名物BGオンリー。
「ったく、あの日は真選組のせいで面倒くせぇことになったぜ」
「逮捕寸前までいったんでしたよね?」
「そのまま逮捕されれば良かったネ。その方が世の為人の為アル。原作でも何度か捕まってたじゃネーカ」
「馬鹿野郎。誰が捕まりたくて警察に出頭するかよ。ブタ箱になんざ入りたかねぇよ」
「それはそうと、ようやっと紅魔館2ndGにも紫さんのスキマが出来たみたいですね」
「それでもまだうちに来てから歌舞伎町に遊びに来るやつは後を絶えないアル。あれ使ってるの紅魔館の奴ら位ネ」
「何人かは敢えてうちから来てるからなぁ。ったくそろそろ交通税払わせるぞ? もしかしたらその方が商売繁盛するんじゃねえか?」
「悪徳にもほどがありますよ。遊びに来る人に対して金要求するなんて」
「霊夢ならやりかねないネ」
「へぇ、それは大変興味深い話を聞いたわね」
三人がその声を聞いてから、居間にある襖を確認するまでにかかった時間は、たったの一秒。
そこに居たのは、青筋立てまくりながらニコニコ笑っている博麗霊夢だった。
「よ、よぉ霊夢。今日はまたどうしたんだよ? 随分とまた珍しいじゃねえか」
「暇だったから顔出しに来たのよ。悪い? それとも何かやましいことでもあるの?」
極上のにっこにっこ。
金にがめつい霊夢に対して、それをネタにするようなことを言った報いが今、彼らに襲いかかる!
「ところで、アンタ達にちょっとした依頼があるんだけれど……引き受けてくれるわよね?」
断ったら分かってんだろうな、というような迫力すら感じる霊夢の一言。普段とは予想もつかないほど低く、それだけで相手を威圧する事が出来るような気すら感じる。
「「「は、はい!!」」」
結局、霊夢の迫力に負けて依頼を受け入れざるを得なくなった三人なのだった。
壁に耳あり障子に目あり。普段怒らない人を怒らせるとろくな事がないことを彼らは学んだのだった。
※
「あれ? 銀さんじゃねえか! 何してるんだぜ?」
箒にまたがり訪れてきたのは、霧雨魔理沙。彼女はどうやら暇だったようで、博麗神社に遊びに来たところ、珍しい人達がいたもので思わず声をかけたのだ。
「何って、見りゃわかるだろ?」
銀時は、手にしている箒を魔理沙に見せつける。
「掃除してんのはわかるけど、なんでまた銀さんが掃除してるんだぜ?」
「霊夢からの依頼でな……ちょっくら万事屋総出で分担して掃除してるところだ。霊夢なら中にいるから、用事あるなら入ってけ」
「いや、銀さんがいるならここにいるぜ!」
「いや掃除の邪魔だからな?」
「まぁまぁそう言わずに」
「遠慮って言葉覚えろよ?」
魔理沙は頑なにそこから動こうとしないので、結局銀時が折れて言及しないことにした。銀時が箒で地面を履き、魔理沙がそれを階段に座って眺めているというなんとも不思議な構図が誕生した。
「てか、箒あんだろ? それで手伝えよ」
「何言ってんだよ銀さん。これは空を飛ぶものだぜ? 掃除用具じゃないから掃除に使うのは無理だぜ?」
「箒の元々の使用用途は掃除だかんな?」
魔理沙は頑なに手伝わない。そもそも彼女には掃除をする義務などないのだから当然の反応ではあるものの、箒を掃除用具と認めない姿勢は最早流石としか言いようがなかった。
「にしても、なんかこうして銀さんが神社の掃除してるところ見るの、なんか不思議な気分だぜ」
「なんだよ? 唐突に」
魔理沙が物珍しそうな表情を見せながら、そう言ってくる。
さらに魔理沙は付け加える。
「だってよ、私達が出会ってまだほとんど時間が経ってないんだぜ? なのにもう、ずっと前からいるような感じに思えて……なんか、柄にもなくこんな日々が続けばいいのになって思っちまったんだぜ」
今でこそ騒がしい日々が日常と化しているが、こんな日々も思い返せばつい数ヶ月前からのこと。紅魔館の異変がなければそもそも出会っていなかったのかもしれない。様々な偶然があったからこそ、今がある。
「だからさ、これからもよろしく頼むぜ、銀さん!」
「……あぁ」
魔理沙の言葉に、銀時は短く同意したのだった。
銀魂×東方project
銀色幻想狂想曲
第六十七訓 人の噂をするときは本人がいないか十分に気を配ること
誰か挿絵描いて欲しいです……