さて、桃色満点とんでも巫女になってしまった霊夢を引き連れて、香霖堂へと向かい始めた銀時達。その道中でのこと。もちろん霊夢の暴走は留まることを知らない。
「ねぇ銀時。何で私とアンタのデートなのに、コイツらもついてきているわけ?」
「デートじゃねえよ。テメェを正気に戻す為に俺達でテメェを緊急搬送してんだ。急病人なの。分かる?」
「そうね……私は恋と言う病に犯された急病人……急患を治療するのが医者の役目よ……銀時♡」
「なんでこっち見て言うんだよテメェ。しらねぇよ? 俺医者じゃねえしな? 何くっせぇ台詞吐いてんの? 後でゲロ吐くぞ?」
「あぁ……銀時の声が……私の……に……響いて……んっ……あっ……♡」
「戻ってこいや変態ガァアアアアアアアアアア!! 何高度なプレイ試してんだよテメェはぁああああ!!」
もう何を言ってもすべてが無駄になる霊夢と、青筋立てまくって切れまくる銀時。
そしてそんな二人を遠目で見守る、魔理沙・新八・神楽の三人。
というか、見守る、というよりかは、見捨てている、が正しいのかもしれない。
「まずい……霊夢さんが、とんでもない色情魔になりつつありますよ」
「このままじゃ幻想郷に悪名轟くネ」
「なんとしても文屋がかぎつける前に片付けねぇとやばいことになりそうだぜ……」
「あ、魔理沙さん! そんな感じでフラグ立てたりしたら……」
「呼びました?」
時すでに遅し。
そこに特ダネの匂いを嗅ぎつけたら、何処へだって行く上になんだってする、清く正しく美しく、何処よりも素早く新鮮なネタをお届けする、文々。新聞を発行する新聞記者、射命丸文が現れた。
新八は頭を抱え、神楽は茫然としていて、魔理沙は途方に暮れている。
「おや? おやおやおや? おやおやおやおやおやぁ???」
新八達の目線を辿って、銀時と霊夢の二人を確認した文は、それはもう凄く輝いた瞳で銀時達を見つめていた。凄く単純に言えば、特ダネの匂いである。
「これはこれは坂田さぁあああん! ご贔屓にさせていただいておりますぅううう!」
「こんな時に余計な茶々入れに来るんじゃねえよマスゴミィイイイイイイイイイ!!」
ただでさえ霊夢の相手に疲れるのに、そこに登場した
「本日はどうされたんですか? 霊夢さんとそんなラブラブイチャイチャデートしちゃって、私に写真撮られたかったんですか? もー先に言ってくださいよぉ! すぐさま幻想郷中に広めてあげるというのに! 水臭いじゃないですかぁ~!」
「るせぇ!! テメェに提供するネタなんざ存在しねぇんだよ!! こちとら忙しいんじゃ!!」
「まぁまぁ堅いこと言わずに! ちょっとパシャっとするだけだから☆ その後でちょっと私がパパッと記事書くだけだから☆」
「笑顔で言えばすべてが誤魔化せると思ったら大間違いだからなコノヤロウ!!」
こんな状況を写真で撮られて、その上新聞という形で出回ってしまったら、何が起きるか分からない。
特に、銀時の脳裏に二人の女性が浮かび上がる。
片方は、日傘を持ってにっこりと剛腕を振るってきそうだし、もう片方は狂気に満ちた笑顔を浮かべながら血を限界まで吸い尽して来そうな予感すら感じられる。
つまるところ、デッドエンド直行だ。
「……なさいよ」
「「え?」」
どうやって文を躱そうかと画策していたその時だった。
ぽつりと、銀時の隣から声が聞こえてくる。
その声はとても小さくて、文にも銀時にも聞き取ることは出来なかった。
しかし、次の瞬間。
「私の銀時から離れなさいよ!!!!」
それは、はっきりとした声となり、辺り一面に響き渡った。
「え、え?」
困惑するのは文。
ここまで感情を露わにする霊夢を見たのは、これが初めてだったからだ。
普段は省エネをモットーに生きており、そこまで感情を吐露することのない少女。
しかし今、銀時に対してここまで好意を剥き出しにし、文に対して敵意を惜し気なく剥き出しにしている。
「さっきから私の銀時に対して猫撫で声で誘惑してきて、一体アンタは何を企んでるの?」
「いやコイツ、何も誘惑してねぇからな? 俺を強請って面白おかしく記事書こうとしているだけだからな?」
銀時は凡そ正解を言うが、
「何言ってるの銀時。どう考えても今のはアンタを記事にするという口実の元、銀時写真集ポロリもあるよを作ろうとしているに決まってるじゃない」
「テメェの脳味噌がポロリしてんじゃねえのか!? そんな発想が出来るテメェの方がよっぽど変態なんだけど!?」
銀時、完全に青筋から血が吹き出始める。
「え、あの、坂田さん? これは一体?」
流石の文も思考回路がショート寸前になったのか。
それとも、今の状況において記事を書くとかそれ以前に、何とかしないと自分の命も危ないと思ったのか、原因の説明を要求する始末だった。
「えっとですね、射命丸さん……」
後から追いついた新八達が、文に事情を説明する。
この際、彼女には本当のことを教えておいた方が後々面倒なことにならないと思ったからだ。
そして事情を聞いた文が一言。
「はへぇ……惚れ薬みたいなものって本当に存在するんですね……それを記事にした方が面白そうなので、このままついて行ってもいいですか?」
あろうことか、同行したいと言ってきたのだ。
「え? 文屋、一緒に来るってことになるのか? 別にいいけど、何もすることはないぜ?」
魔理沙がキョトンとした表情を浮かべつつ、文に言う。
彼女は、
「いいんですよー。香霖堂にある面白グッズを記事にするのもいいですし、それにこうして一緒に行動していれば、特ダネボンボン転がってきそうですからね!」
「全然懲りてないアル」
「流石はマスコミ精神全開の天狗だぜ……」
「射命丸、程ほどにしてくれよ。今の霊夢を刺激するのは危ない。主に俺の貞操と命の危険だ」
「分かってますよ。私も自分の身を削りたくはないので……」
ガルルル、と威嚇する霊夢を見ながら、文が一言呟いた。
こうして、謎にパーティーメンバーが増えたのだった。
銀魂×東方project
銀色幻想狂想曲
第七十訓 マスコミも時には自重する程の相手が存在する