「……で、これは一体何なの?」
魔法使いの森に到着した一同。そこで遭遇したのは、色々と調達しているアリスだった。彼女は銀時に抱きついているフランと霊夢の二人をーー特に桃色巫女の様子を見て、思わず尋ねてしまっていた。
「それがよ、アリス。この前香霖堂行ったろ? その時のやつに霊夢がやられたんだぜ……」
「あー……たしか、愛染香、だったかしら……」
魔理沙の言葉を聞いて、アリスはすぐさま思い至る。霊夢が普通の状態ではない事を十分に理解し、
「そしたらすぐに香霖堂ね……にしても、随分と愉快な面子してるわね……」
改めてアリスは、今この場にいるメンバーを眺めてそう呟く。文やフランも一緒にいるというこの組み合わせは、普段ならあまり見られないものだ。
「いやぁ、坂田さんのお近くにいるとなかなかに特ダネが見つかりやすくてー」
「事態解決よりも出歯亀精神全開の発言ね……」
アリスはため息をついた。
「早く行こうぜ……いい加減解放してくれ……もう何か色々搾り取られそうになる気分だ……」
何処か遠い目をしながら銀時が懇願する。
「……道中何があったのよ。何処か霊夢はツヤツヤしてるし……」
ある意味恐怖でしかない瞬間だった。
※
そしてとうとう、一同は香霖堂に辿り着いた。
「よくぞここまで辿り着いたな! キシシシシ!」
なぜか門番のように、てゐが待ち受けていたが。
「おい兎! お前のせいでこちとら散々精神持っていかれたんだぜ!」
魔理沙は目の前でジャスタウェイテロを目撃している。よって、犯人であるてゐが現れたことにより、追求する立場へとなったのだ。
「なんか思ってた展開とちょっと違う気がするけど、まぁいい……博麗の巫女を陥れる為に、まだまだその状態でいてもらわなきゃ困るんだ!」
「なんでそこまで霊夢を嵌めようとしてやがるんだ?」
「え? ハメる? やだ銀時ったら……こんなところで……んあぁ♡」
「ちょっとぉおおおおおおお!! 何盛大な勘違いしてるんですか霊夢さぁあああああん!!」
霊夢はもうダメかもしれない。
「というか、なんでそこまで拘るアルか?」
純粋な疑問を神楽はぶつける。
するとてゐは、不敵な笑みを浮かべながら……。
「その方が面白いからだ!!」
「そんな理由で俺達を巻き込むんじゃねぇええええええええ!!」
銀時のシャウトが辺りに響き渡った。
「さぁて、ここを通りたければ私を倒して行くがよい!!」
「なんかボスのテンプレ台詞みたいなこと言ってるぜ!?」
謎に最終決戦間際みたいな展開になっているが、その実やっていることは、店の中に入るか入らないかの攻防戦。ものすごくくだらない争いだった。
今まさに、その戦いが始まるーー!
「「どいて」」
と、その瞬間の出来事。
銀時に抱きついていた二人が、ふらっとてゐに近づいて、静かに、ドスの効いた声で、ただ一言そう告げたのだ。
「え、いやだから通りたければ……」
「「どいて」」
「ですから……」
「「どけ」」
とうとう命令形。
かつ、冷酷な眼差しを向けながら、吐き捨てるように一言。
これ以上抵抗したら分かってるんだろうな? とでも言うような、そんな感じ。
「はい……」
身体を震わせながら、その場を退く。
フランと霊夢はそれを確認すると、銀時の手を引っ張って中へと案内する。
「……流石に、今の迫力は、すごいぜ」
「正直ちびるかと思ったネ」
「恋するお二人が揃うと無敵極まりないですな……」
「僕にも……近づく勇気はなかったよ……」
「相手が私じゃなくて、良かった……」
それぞれがそれぞれ、自分が対象とならなくてよかったと、心から思ったという。
※
後日談というか、今回のオチ。
あの後、なんとか霊夢に愛断香を嗅がせて、愛染香の効果を打ち消したことにより、今回の喜劇は幕を降ろした。
しかし、その反動というか、なんというか。
「…………私、しばらくアイツに顔向け出来ない……」
その間の記憶が消える程都合の良い展開が起きるはずもなく。
愛染香の効果で銀時に惚れていた時に自分が行なっていたことについては、全て覚えてしまっていた霊夢。
しばらくの間、彼女は銀時の顔を見るたびに逃走する日々が続いたそうな……。
銀魂×東方project
銀色幻想狂想曲
第七十二訓 恋は人を強くする
「……あれ? ここは……」
一人、人里に立ち尽くす女性がいた。
「私は……でも、ここに……生きてる……?」
彼女は自分がここにいることよりも、『自分が生きている』という事実に驚いているようだ。
「でも、きっと……あの人達はここにはいないのですね……」
ポツリと、寂しそうに呟く。
そして彼女は、事情がよく分からないまま、
「……とりあえず、まずは情報収集、ですね」
あたりを見渡して、自分が今置かれている状況を確認することから始める。
「……神様が、私にもう一度チャンスを下さったのでしょうか」
そこに不安など存在しない。
ただ、自分がもう一度生を得ることが出来た事に対する、喜びの感情。
「号外ー! 号外ー!」
ちょうどその時、烏天狗の手によって、新聞がばら撒かれる。
彼女のもとにも新聞が飛んできて、それをゆっくりと拾い上げる。
「あっ……」
そこに書かれていたのは、『桃色の片想い♡ドキドキ色情魔現る♡』という、なんともゴシップ色満載の見出し。だが彼女は、そんなことよりも、同時に掲載されている写真の方に目がいっていた。
「この方は……それなら、まさか……」
彼女の心が少し弾む。
「もしかしたら、あの人達に……あの人に、会えるかも……!」
彼女が目にしたのは、天然パーマの侍。
彼を目指したならば、もしかしたら自分が最も会いたいと思う人物達に会えるかもしれない。
そんな事実が、彼女を突き動かしているのだ。
「こうしちゃいられません……!」
彼女は決意を秘めて、前へと足を運ぶ。
それはまさしく、神様が与えてくれた奇跡なのかもしれない。
というわけで、今回でポロリ篇その参は終わりとなります!
そして、次回からは大結界異変篇の始まりです!
さて、最後に登場したキャラは一体誰なのでしょうか……。