第七十三訓 人探しの基本は情報集め
少女は花を見るのが好きだった。
だから彼女は、一人で幻想郷中に咲き誇る花を見ては、きちんと咲いていられるように愛でるのだ。
そんな彼女だからこそ、今幻想郷で起きている異変に真っ先に気付けた。
「……花が、咲き乱れている?」
少女――風見幽香は、辺り一面に咲く、『季節に関係のない花達』を眺めながら、ポツリと呟いていた。これがもし花が枯れる異変だとすれば、彼女は黙っていなかっただろう。犯人を捕まえて、命を奪うだけでは足りない程の地獄を味合わせるに違いない。
しかし、今回の異変は違う。
「今のところ、それ以外におかしな点は見られない……けど、花は自然。自然に紐づく妖精たちが、酔ったみたいに暴れるのも目に見えているわね」
過去の異変からも見て分かる通り、異変はほぼ自然と絡んでいる。そして自然に紐づけられている妖精たちへの影響も少なからず存在する。
ただし、幽香は別にこの異変をどうこうするつもりはなかった。
彼女は花を愛する少女。悪しき者ならばともかくとして、今回に関しては明確な目的も悪意も存在しない。
今までだって、悪意というものはなかったように思える。人伝に異変について聞いただけだが、それらを聞いた限りでも、何かしらの目的や行動理念が存在していた。
だが、今回は違う。
花が咲き乱れる、妖精が暴れ出す。
これらの行動を起こすことによって得られるものが存在しない。
「……自然現象、と捉えるべきなのかしら?」
異変とは性質の違う何か。
だとすれば、今彼女に出来ることは、ほとんどない。
敢えて言えば見守ること位だが……。
「すみません」
「え?」
その時、幽香の元に一人の女性が歩み寄ってくる。
どうやら困っているようで、幽香は話しかけられた女性に対して、
「どうしたの? 何か困りごと?」
一応、そう尋ねたのだった。
すると女性は、
「この方に……見覚えありませんか?」
「人探しね……って、まさか……」
一枚の新聞記事を見せてきた。
見せられた新聞記事に写っている人物を見て、幽香は思い至る。
「この人……坂田銀時さんについて聞きたいのですが……」
男の名前は坂田銀時。
ある意味今起きている異変よりも厄介なことが起きる予感が、幽香の脳裏を掠めた。
※
毎度お馴染みBGオンリー。
「銀ちゃん! 気付けばこの作品も七十話越してたアル!」
「随分と長く続きましたよね。最初の方僕等はほとんど登場しないとか言われたから、ここまで出番もらえてよかったですよ」
「作者の気が変わったんじゃねえか? 最初の頃は銀魂からは俺しか出さねぇって話だったみてぇだし」
「それならナイスプレイネ! でもそのせいで新八までハーレム着々と作り始めてなんかキモイアル」
「いちいち僕を弄らないと気が済まねぇのか!!」
「ま、何にせよここ最近異変解決が多くて疲れてたからなぁ。いい加減平和な時間もらいてぇもんだぜ」
「そうアルな。この前は愛染香で疲れたネ」
「あれはもう災難としか言いようがありませんでしたね……」
「もうあんなの願い下げだぜ……一番の被害者俺じゃねえか」
「霊夢も大概だけど、銀ちゃんもドンマイアル」
「見ているこっちも疲れましたからね……」
「つかよ? 結局てゐの奴ぼこぼこに出来てねぇよな? アイツ逃げやがったよな?」
「しかたないネ。逃げ足はかなり速かったアル」
「そうですね……流石というべきですね……」
「まぁ……もういいんだけどよ……」
そうして会話が一区切りついた時。
「よぅ、万事屋!」
突然の来訪者。
入ってきたのは、お馴染み真選組の四人。
ゴリラ、ニコチン、ドエス、あんぱん。
「もう全員名前じゃないんですけど!?」
あんぱんこと山崎が地味なツッコミをしていた。
「地の文にまで地味って言われる筋合いねぇし?!」
「まぁまぁ、山崎。その辺にしとけよ」
止めたのはニコチンこと土方。
彼は万事屋の中でもタバコを吸うことを辞さない。
「今日はどうしたんですか? 四人揃って来るなんて」
とりあえず話を進める為、新八が四人に尋ねる。
代表して話を始めたのは、ゴリラこと近藤だった。
「いやぁ、最近テメェらが行っている幻想郷って所に行ってみてぇと思ってな?」
「近藤さんの言う通りでもあるし、桂捜索の手がかりがあるんじゃねえかって思ってな」
「ヅラの?」
銀時が反応する。
「桂の野郎が以前紅魔館2ndGに出入りするところを見たって目撃情報があったのは事実なんでさぁ。つまり、紅魔館が元々ある幻想郷に、桂の手がかりになるもんもあるんじゃねえかと思って、その足取りを調べることになったってわけでさぁ」
「なるほどな……筋としちゃしっかり通ってるな」
確かに、紅魔館は元々幻想郷に存在する。
そもそもの話、桂の目撃情報が出ていた時点で最初にマークしなければならなかったのだが、江戸で起きている事件を解決するのに追われていてそれどころじゃなかったということもある。
「と、いうわけで万事屋! 幻想郷を案内してくれ!」
「観光と仕事のダブルたぁ、なかなか殊勝なことだな……まぁそういうことなら別にいいぜ」
仕方ない、と言った感じで銀時は了承する。
「幻想郷の女に変なことするなヨ、チンピラチワワ」
「余計なお世話だメスブタ」
神楽と総悟は既にキャットファイトを開始していた。
相変わらず仲のいいことである。
「まぁ……なんにせよ行くぞ」
銀時先導の元、今回に関しては異変解決の依頼なしに幻想郷へ遊びに行くこととなる。
これが、今回の話の幕開け。
そして――とある男の、やり直しの物語。
銀魂×東方project
銀色幻想狂想曲
第七十三訓 人探しの基本は情報集め