銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第七十八訓 同じ戦いでも温度差が激しい

 魂魄妖夢は、今回の異変に関してある程度察しがついていた。道行く草花に対して、自身の得物である白楼剣を用いて斬っていく。ただし彼女が行っているのは自然破壊ではない。草花に宿る幽霊のみを意図的に斬っているのだ。

 

「ふぅ……」

 

 半人半霊だからこそ、何処に何が宿ってしまっているのか、妖夢にはある程度予測が出来る。今回の異変に関して、彼女の得物はかなり効果的であるだろう。

 

「幽々子様が仰っていた通りでしたね……この異変、特に大きな災いを呼ぶ事はありませんが、それ故に厄介である、と」

 

 明確な敵意を持つ敵であるならば、その為の解決手段も一本筋である。要は相手の気持ちを折ってしまえば自ずと勝ちが見えてくるのだ。しかし今回に関してはあくまで幻想郷的には自然現象に過ぎない。幽霊が湧き出る周期がたまたま今回だっただけ。放っておいても時間が勝手に解決してくれるが、それを待つには些か時間がかかり過ぎる。

 よって、人為的に後押ししなければ解決が早まる事はないのだ。

 

「それに、これの終わりはいつになるのでしょうか……」

 

 何より最大の壁は、異変解決となるシグナルがわからないということ。何をもって解決とするのかが、今回に関しては不透明なのだ。

 

「とりあえず、この辺一帯は私の方で……」

 

「おいおい嬢ちゃん、随分とひどいことをするもんだなぁ。おかげで俺達の同胞がどんどん消されちまって困るってもんよぉ」

 

 男の声が聞こえた。

 これまで片方の剣しか持っていなかった妖夢が、今の声を聞いて二本目の剣に手を伸ばす。やがて彼女の前に姿を現したのは、

 

「人型の……動物?」

 

 人の形をした様々な動物であった。犬、猫、猿、鳥、熊、その他様々な動物。彼らに共通する点は、二足歩行であることと、得物として刀を持っていること。

 妖夢は知る由もない。

 何故ならこいつらはーー天人。本来この場所に居るはずのない存在なのだから。

 

「ただそこに居るだけならば俺達も何もしなかったんだがな……同胞を斬られたとあっては話は別」

 

 どうやら先ほどの声は、彼らの代表格である男から発せられたものらしい。口元に長い草を加えて番傘を被った男が、妖夢に刀の刃先を向けて高々に宣言する。

 

「ゆけぇえええええ! あの者の首を取れぇえええええええ!!」

「「「「おおおおおおおお!!」」」」

 

 掛け声と共に、天人は一気に襲いかかってきた。

 

「くっ……!」

 

 妖夢は剣を構え、そして向かい来る敵を斬り伏せる。彼女の動きにブレはない。一撃のうちに確実に斬り伏せる。

 やがて斬り続ける内に、白楼剣の効力が相手に効いていることに気付いた。

 

「幽霊……それならば……っ」

 

 楼観剣で受け止めて、白楼剣でトドメをさす。そうやって相手の数を減らしていっている、のだが。

 

「数が多過ぎる……っ」

 

 妖夢が一人で戦っているのに対して、相手は百を軽く超えている。数の暴力で攻め込まれてしまえば妖夢に勝ち目がない。

 

「けど、負けるわけには……!」

 

 迫り来る敵を、一閃。

 確かに彼女の攻撃は効いている。確実に数を減らすことは出来ている。しかしそれは微々たる変化。同時に体力も奪われているのが事実。少しずつ、妖夢の剣筋に疲れが見え始める。

 

「てりゃああああああ!」

「なっ……!」

 

 相手は二人あわせて刀を投げつけてくる。

 当然妖夢はそれを剣で弾き飛ばす。

 しかし、

 

「はぁっ!」

「しまっ……!」

 

 集団戦の旨みである、四方向からの攻め。妖夢の注意が逸れた隙に、背後から別の敵が斬りかかりにくる。

 致命傷は避けられたとしても、このままでは恐らく攻撃を甘んじて受けてしまう。

 そう予感した妖夢は、

 

「……え?」

 

 しかし、身体に走る筈だった痛みがいつまで経っても来ないことに驚きを感じていた。

 

「……気に食わぬ。かつて倒した仇敵と、こうして再び相見えることになろうとは。幻想郷という場所はここまで面妖な場所であったとはな」

 

 妖夢の背後より男の声が聞こえてくる。

 

「あ、あなたは……どうしてここに……?」

「たまたま通りかかっただけだ。しかし、こうして敵地に投げ込まれている知人を救うことが出来てなにより。友の荷を護る為に戦うのも気分が良い……だが、俺一人では捌き切れる気がせぬ。共に戦ってくれるか? 妖夢殿」

「……分かりました。共に戦いましょう。だから……」

「「背中は任せた」」

 

 男ーー桂小太郎は、妖夢と共に戦う。

 かつて自身の手で討ち倒した天人を、もう一度斬り伏せる為に。

 

 ※

 

「はぁ……ったくあの女……クソナゲェ時間説教しやがって……」

 

 結局、銀時が映姫の説教から解放されたのは一、二時間後位経ってからのことだった。その間もルーミアは飽きずに聞いていたので、解放されてからも銀時とルーミアは二人で行動していた。

 

「おつかれさまー」

「あぁ、疲れた……あめぇもん食べてぇわ。どうせあいつらとはどっかで合流出来るだろうし、甘味処でも行くか?」

「いいの!? ついていくー!」

 

 銀時の提案はルーミアにとって魅力的なものだったようだ。疲れた身体に糖分摂取ということで人里を目指そうとしたところで、

 

「「ちょっと待ったー!!」」

 

 響き渡る二人の少女の声。

 そう、今回の異変において、全く関係ないところで動き、実に馬鹿っぽい理由で動いている少女がいた。

 

「ここを通りたければ!」

「あたい達を倒してからにしろ!!」

 

 チルノとメディスン。

 二人の連合軍が銀時達の前に現れた。

 

「ま、まってよ〜!」

 

 後から追いついてきた大妖精も合わせれば、三人となった。

 

「……なにしてんのお前ら」

 

 銀時にとぅては一人知らない少女がいる状況だが、チルノと肩を並べている段階でおつむが残念なのだろうということは想像出来た。

 

「私はメディスン・メランコリー! 人形解放の為に立ち上がった!」

「あたいはさいきょーの名前をとどろかせるためだ!」

「えっと、私は二人のことが心配でついてきました!」

 

 一人だけ天使がいた。

 

「……相変わらず馬鹿やってんなぁ」

「ばかっていうなー!!」

「そこで真っ先にお前が反応する辺りやっぱ自覚ありじゃねえか!!」

「うぅ……」

 

 銀時のツッコミに反論できなくなるチルノ。

 馬鹿と言われ続けてつい反応してしまったのだろう。

「と、とにかく! 今日こそあたいはお前を倒す!」

「三対二で私たちに勝てるかな?」

「え? 私も入ってる!?」

 

 ノリノリなチルノとメディスンに対して、自分も戦うことが確定している事に驚いている大妖精。幻想郷で一番苦労している妖精は間違いなく彼女だろう。

 このまま戦闘が始まるのではないかと思われた、その時だった。

 

「ほう……なかなか面白そうなことをしているじゃないか、ギントキ」

 

 チルノ達の負けがほぼ確定した瞬間だった。

 

 

 

 

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第七十八訓 同じ戦いでも温度差が激しい




珍しく桂がシリアスしてます…!
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