銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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一日ぶりの投稿です!


第八十二訓 幽霊の中には悪い奴もいれば良い奴もいる

「はぁああああああああああああああ!!」

 

 土方は近づいてくる敵を、刀を以てなぎ倒していた。敵は傭兵部族ではあるものの、個人戦においては真選組の方が一枚上手。その剣術で一閃の内にひれ伏すことは造作もないことではあった。

 しかし、彼らは集団戦を得意とする辰羅。ひとたび三人以上を相手に取ろうとすると、倒すのは至難の業。

 

「ちぃっ!」

 

 近藤の力任せで大胆な太刀筋は、確かに相手を確実に斬り伏せる。

 だからこそ相手も、近藤相手には通常よりも複数人で襲い掛かっていた。

 刀の刃が腹に突き刺さろうとも、敵はその刃を握り締め、最後まで抵抗しようとする。その隙に、もう一方が相手の首を斬りおとそうとして、

 

「近藤さん!!」

 

 沖田の刃が、それを防いだ。

 

「すまねぇ、総悟!」

 

 背中を総悟に任せつつ、近藤は敵を更に斬り続ける。

 そうしている内に、彼らは気付いたことがあった。

 

「やはりコイツらは幽霊……倒したら霧になって消えていくわね……」

 

 アリスの言う通り、辰羅はやはり幽霊だった。華陀とは違い、倒したら成仏する。つまり、攻撃を当て続ければ数を減らすことは可能であるということだ。

 

「やっぱり今回の異変絡みってことになるんだぜ!! けど、それなら容赦しない! 私だって異変解決を何遍も繰り返しているから、これくらい楽勝だぜ!!」

 

 近づいてくる敵を、星の弾幕で打ち消していく魔理沙。

 アリスもまた、人形から放たれる弾幕を自在に操ることで敵を一掃していく。

 

「な、なんじゃコヤツらは……!?」

 

 華陀は、その光景を見て驚愕した。

 本来ならば、彼らは目の前で倒れ伏す筈だった。彼女が師事しているのは傭兵部族。ただの一般人が混じっている相手ならば一蹴することが出来ると考えていた。

 しかし、華陀は幻想郷を甘く見ていた。

 確かに数では圧倒している為、相手もキリがないことに対して苛立ちを覚えてはいる。だが、魔理沙やアリスのように弾幕を放つことが出来る存在がいるとなると、話は多少変わってくるのだ。

 

「新八ィイイイイイイイ!!」

 

 神楽と新八は互いの背中を守ろうと躍起になっている。

 そのサポートとして山崎が刀を振るっている。

 少しずつ、確かに数を減らしてはいる。

 

「お、押せぇえええ! 奴らをねじ伏せるのじゃああああああ!!」

 

 華陀もまた、増援を呼ぶことで相手を数で圧倒しようとする。

 敵が幽霊であることから、周囲にいる幽霊を引き寄せれば味方につけられるという発想だ。

 そしてその効果は、次第に彼らにも影響し始める。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 新八は、相手の多さに息を切らし始めていた。 

 彼に限らず、魔理沙やアリスも同様だ。

 真選組や神楽に関しても、息は切らしていないものの、動きに鈍さが見え始めている。

 

「ちぃ……こっちの数に対して、相手の数が多すぎる……っ」

「どうしたんですかい、土方さん。もう疲れちまいやしたか?」

「馬鹿野郎、そんなんじゃねえよ……テメェこそ太刀筋鈍ってやがるぜ。疲れたんならアイマスクつけて寝てていいんだぞ?」

「冗談。土方さんこそマヨネーズ吸い込んで休んでいいんですぜ? その間に背中から突き刺してやりますけど」

「テメェが狙うのかよコノヤロウ!!」

 

 やけになりながら、土方と総悟の二人は目の前の敵を斬り続ける。そうすることで己を鼓舞するように。

 相手も相手で、その空気を察したのかどんどん数で攻めてくるようになった。出来る限り、相手を分断していくように動こうとする。集団と集団ではなかなか攻めきれないと判断し、集団と個人に分離して確実に息の根を止めようとする。集団戦を得意とする辰羅ならではの戦い方。

 

「新八君!!」

 

 真っ先に標的にされたのは新八だった。

 神楽・山崎と組んでいたはずの彼だったが、気付けば一人に分断されていた。それでも彼は、かつての戦線を越えてきただけのことはある。攻撃の手を緩めることなく、果敢に攻めていた。

 

「くっ……!」

 

 それでも、単純な体力差が出てきてしまう。確実に捌き切れなくなっていた。

 

「新八ぃ!」

 

 魔理沙が慌てて駆けつけようとするも、今彼女が向かってしまえば、次に狙われるのはアリスとなる。彼女のことを信じていないわけではないが、それ以上に敵の強さも感じてしまっている。無闇に攻め続けると痛い目を見ることになるのは明らかだった。

 だが、その迷いが致命傷となることだって十分にあり得る。

 

「新八君!! 後ろだ!!」

 

 近藤の叫び声が聞こえてくる。

 その声に従うように新八は後ろを振り向いたが、その時には目の前に刃が迫ってきており、

 

「……え?」

 

 しかしその刃は、新八に届くことはなかった。

 代わりに、彼の前に、

 

「どうして……?」

 

 あり得ない、人物が現れた。

 

「どうした? 新坊。らしくないのぅ! お前の実力はまだこんなものじゃないはずじゃ。もっと本気でぶつからんと、倒しきるのは難しいぞ!」

 

 その人物は、新八の記憶の中と同じ笑顔を振りまいて、右手に己の武器であるビームサーベルを握り締めながら、

 

「じゃが、もう安心だ。加勢は多いに越したことはないだろう! たとえこの日限りの命だとしても、守る為に使えるなら問題ない!!」

「は……一兄ィイイイイイイイイイイ!!」

 

 男ーー尾美一は、曇り一つ存在しない笑みを浮かべながら、彼らの前に現れた。

 

「おんしらも、新坊が世話になっとるのぅ! 今はとりあえず互いに命を護る為に戦おうじゃないか!」

「……へっ」

 

 かつての恋敵(と勝手に思っている)近藤は、不敵な笑みを浮かべながら言葉を返す。

 奇しくも、かつて敵同士だった者が味方として共闘する展開が生まれる。

 

「なんじゃ……なんじゃ貴様は!?」

 

 一番驚いているのは、師事している張本人たる華陀。

 

「おのれ……下等生物共に二度も野望を阻止されてたまるものか……っ!!」

 

 彼女は怒る。

 思い通りにいかない展開に苛立ちを隠しきれていない。

 

「なんだかよくわからねぇけど、これならいけるかもしれないぜ!」

「……そうね」

 

 魔理沙とアリスの二人もまた、闘志が戻っている。

 尾美一の登場は、彼らにとって良い影響を与えていたようだ。

 そんな中、一と新八は隣に並び、

 

「まさか新坊と共に戦う日が来ようとはなぁ……感慨深いものがあるなぁ」

「僕だって……見ていてくださいね、一兄。僕はあの後も、もっと成長してるから」

「あぁ! 存分に見せてくれ!!」

「「うぉおおおおおおおお!!」」

 

 そしてこの戦いに決着をつける為、一同は地面を駆けた。

 

 

 

 

 

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第八十二訓 幽霊の中には悪い奴もいれば良い奴もいる

 

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