銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第七訓 鳥籠の中で少女は何を思うか

「キャハハハハハハハハハ!」

 

 部屋を覆い尽くす程の弾幕を放っているのはフランだった。その弾幕を、銀時はなんとかギリギリのところで避けているという状況。避けきれないものを木刀で捌き、それでも防ぎきれなかった弾幕は、銀時の身体を容赦なく貫いていく。

 

「ちっ……数が多すぎる……っ」

 

 今まで戦ってきた中でも強敵だと称することが出来る相手だった。何より、相手に近付くことが難しく、銀時は攻撃を当てることが出来ていないのだ。

 

「逃げてばかりだと、つまらないよー! もっと攻撃してよー!」

「だったら少しは手加減しやがれ!」

「やーっだよ! だってそうしちゃうと遊びじゃなくなっちゃうじゃん!」

「ああそうかよ! テメェと違って銀さんはそんなの撃てねぇんだから、卑怯じゃねえのか!?」

「撃てない方が悪いんだよー!」

「ちっ! ど正論かましてきやがって!」

 

 フランは本当に楽しそうに、愉快そうに、狂った眼差しで弾幕を放ち続ける。たちが悪いのは、その弾幕が、銀時が避けられるか避けられないか分からない程度の密度で、しかも即死しない程度に抑えられているということ。彼女が手加減しているのではなく、楽しむために措置を取っているのだ。

 少しでも、この時間を長引かせる為に。

 

「まだまだいくよー! キュっとして……」

「!!」

 

 弾幕を放ちつつ、フランは右手を前に差し出して、言葉の通りに握り締める。

 その様子を見て、銀時は咄嗟に地面に転がっている肉片を木刀で打ち上げて、自身はその反動を使って後ろに転がり込む。

 

「ドカーン!」

 

 瞬間、肉片は跡形もなく爆ぜた。

 何の前触れもなく、唐突に。

 

「出鱈目かよ畜生……」

 

 思わず銀時はポツリと零してしまう。

 

「アハハ! これも避けちゃうんだー! さっきから攻撃してこないけど、いつまでも生き残ってるのはすごいね!」

「そりゃどうも。反撃の機会伺ってるだけだから心配すんなって」

「そっかー! でもね? そう簡単にはさせないよ!」

 

 唐突に、フランは弾幕を放つのを止める。

 しかし、それは攻撃のチャンスなどではない。

 

「禁忌『フォーオブアカインド』!」

 

 スペルカード。

 彼女の発した言葉がきっかけとなり、銀時の死角より、フランと全く同じ姿の少女が三人登場し、合計四人となった。

 

「なっ……!」

「「「「どんどんいくよー! 禁忌『スターボウブレイク』!!!!」」」」

 

 四人のフランが、声を揃えてスペルカードの名称を宣言する。彼女たちの背中に生えている羽根についた虹色の宝石より、無数の光が頭上に放たれる。それらは空中にしばらく漂って、部屋の中を虹色に彩った後、

 

「っ!!」

 

 一気に降り注がれた。

 

「くっ、そ……!」

 

 その密度はあまりに異常。

 最早避ける場所など存在しないのではないかと思われる。

 だからこそ銀時は、咄嗟の判断で地面に転がる骨を拾い上げ、空中に投げつけた。

 骨と弾幕がぶつかり合い、周囲に爆煙が漂う。

 その中を、銀時は駆け抜ける。

 

「ぐっ……」

 

 避けられない虹色の爆撃を身体に受けながら、彼は走り続ける。擦り傷が出来ようとも、風穴が開いたとしても関係ない。

 とうとうたどり着いた銀時は、目の前にいるフランに向けて、木刀を突き刺した。

 

「きゃっ!」

 

 しかしそれは、スペルカードによって作り出された分身。

 攻撃して姿こそブレたが、消え去ることはなかった。

 

「本体にダメージ与えなきゃ消えないってか……!」

 

 それならばと、彼は咄嗟に足元を確認する。四人のフランの足元を一通り確認し終えた後、一人のフランに向けて木刀を、投げつけた。

 

「っ!」

 

 咄嗟に、フランは木刀を弾いてしまう。

 

「影でバレバレだ……!」

 

 弾かれて上へ行った木刀に追いつくように、地面を蹴り空中に飛び上がった後、今度は壁を蹴っ飛ばし、さらに上へ。

 空中で木刀を握り締めると、一気に下へ振り下ろすーー。

 

「きゃっ!」

 

 と見せかけて、フランの鳩尾を蹴り飛ばす。多少のダメージは通ったようで、三人のフランはその場から霧散する。

 

「うぉおおおおおおおおおお!!」

 

 そこから追撃する為に、フランの肩めがけて木刀を振り下ろした。

 

「禁弾『過去を刻む時計』!」

「しまっ……!」

 

 赤弾が飛び、その中に紛れ込んで、時計回りと逆時計回りに回転する青いレーザーが発生する。

 降ろしきる前に矛先を変え、すぐ近くのレーザーを切り裂いて事なきを得る。

 それでもまだ残っている弾幕については、ほとんど体力の残ってない身体を引きずって避け続ける。

 

「今のはちょっと驚かされたよ! だけど、まだまだコワレナイデネ?」

「……お前はどうして、そんなに壊すことに固執するんだ?」

 

 木刀で弾幕を斬りながら、銀時は尋ねる。

 

「どうしてって、それが楽しいからだよ? 何言ってるの?」

 

 質問の意図がわからないと言うより、質問そのものが分からないと言ったような表情を浮かべているフラン。

 彼女の能力を考えれば、それが当然ともいえる答えになる。

 だが、それだけではないのではないかと銀時は考えていた。

 

「テメェはなんで、こんなところに閉じこもってる? これだけの力があれば、別に脱出することだって可能なはずだし、何よりここだって、テメェを完全に閉じ込めきるようには出来てねぇ」

 

 その力が膨大だから、館の主人に閉じ込められているのは理解出来た。しかし、その逆はどうだろう。

 銀時ですら簡単に入り込むことが出来た程だ。これだけ絶大な力を持つフランならば、地下の牢獄から脱出することすら可能な筈。そうしなかったと言うことは、それなりの理由があるのではないか。

 銀時はそう考えたのだ。

 

「……それを聞いてどうするの?」

 

 僅かながら、フランの動きが鈍くなる。

 

「本当にお前が、心からこの状況を望んでいるのかが分からなくなっただけだ。お前はここにどのくらいいたんだ?」

「…………495年」

「なっ……」

 

 それがとてつもない長さであることは理解出来た。いや、正しくは理解という言葉に収めざるを得なかった。

 人間の限界を遥かに超えて、それでもなおこの部屋の中の世界でのみ生き続けた少女。それならざ、感性の一部や思考が歪んでしまっても仕方ないのかもしれない。

 それでも、銀時は言葉を止めない。

 

「そんな長い間、どうしてお前はここに居続けた。抗うことだって出来た筈だ……」

「命乞いならそこまでにして。そろそろつまらなくなってきた」

 

 退屈そうに、そして不満そうに。

 しかしその間、彼女は弾幕を放つことはなかった。

 

「……出たいと思いながら、ここにいることそのものが自分に課せられた咎だとでも思ったか? そうすることで……」

「五月蝿い! お前に何が分かる! 私達姉妹のナニガワカル!!」

 

 フランの右手に紅い光がどんどん集まっていく。やがてそれは一本の槍に姿を変える。形状は、北欧神話に登場するーー。

 

「禁忌『レーヴァテイン』!!」

 

 苦悶に満ちた表情を浮かべながら、彼女は槍を放つ。

 

「恋符『マスタースパーク』!」

 

 悲痛の叫びにも近い北欧神話の槍(レーヴァテイン)を、一人の少女の努力の結晶(マスタースパーク)が打ち砕いた。

 

 

 

 

 

銀魂×東方project

銀色幻想狂想曲

 

 

 

第七訓 鳥籠の中で少女は何を思うか

 

 




銀時vsフランでした。
次回あたりは霊夢と咲夜の戦い、そしてレミリアとの遭遇までいけるんじゃないかなーって思ってたり……。
ご意見ご感想等、随時お待ちしておりますー。
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