というわけで、階段を降りて下の階にあるスナックお登勢までやってきた銀時達。時間帯でいうと今は昼間なので、店自体は開店していない。ただ、準備の為にお登勢達は既に来ているのだ。
「なんだい? 珍しいじゃないかい……そこの子達は?」
グラスを洗いながら迎え入れたのは、ここのオーナーを勤めるお登勢。
「滞納シタ家賃払イニキタノカト思ッタラ、女紹介スルタメニキタノカ?」
悪態をつく猫耳娘(ただし萌えない)はキャサリン。ここで働く従業員である。
「お久しぶりですね、フラン様」
そして床掃除をしながら挨拶をしたのが、前回既にフランと会っている、たまである。
「あっ! たまお姉様!」
フランは、たまを見つけるや否や、嬉しそうに抱き着く。前にたまがカラクリであることを聞いているので、それで気に入っているのだ。
「それで? あんた達は一体?」
お登勢からの言葉により、霊夢達は軽く自己紹介をする。お登勢達も一通り自己紹介をして、互いに顔と名前を認識することとなった。
「なるほど。そんな不思議な場所もあるもんだねぇ……」
幻想郷という場所について聞いた時のお登勢の反応は、感心といったような物だった。
行ったことのない人物からしてみれば、幻想郷という場所は十分過ぎるほどに不思議な場所だった。
「ここはどんな場所なの?」
辺りを見渡しながら霊夢が尋ねる。
「ココハスナック。酒ヲ飲ム場所ダ」
「ほぇー、居酒屋みたいなものかぁ。なかなか風情があってよさそうだぜ。通いたくなっちまうぜ」
「少人数で飲み会するのならば丁度良さそうね……それに、隣同士の間隔が狭いから、新しく出逢う人達との距離も近くなりそう」
魔理沙やアリスからの評価は高かった。
幻想郷にも、居酒屋のようなものが決してないわけではない。ただ単に酒を飲む機会があるときは、大規模な宴会が開かれることがほとんどであるだけで、仲の良いもの同士で飲むことはあるだろう。
ただし、スナックのような場所が珍しいというのも事実だった。
「来たきゃいつでも来な。つまみの一つくらいならサービスしてやるよ」
「マジか!? ありがたいぜ!」
お登勢からのまさかのサービスに、魔理沙は嬉しそうに答える。
「けど、いいのかしら……?」
霊夢は少し戸惑っている様子だ。
「お登勢様がそう仰るのですから、ご安心頂いてよろしいかと」
たまがフランを撫でながら言う。
「やったネ! つまみサービスだってヨ!」
「あんたらじゃねえよ!! あんたらはサービスどころかむしろツケ溜まってんだよ!! いい加減家賃と一緒に払いな!!」
最早毎度お馴染みとなる家賃戦争。
お登勢は青筋立てまくっている。それだけ彼らがお金を払わないのが見て取れる。
「いいじゃねえかよ……家賃の三ヶ月くれぇ」
「こちとら散々待たされてんだよ!! さっさと仕事探して金の一つも用意して来いや!!」
「そう簡単に金用意出来るわきゃねぇだろ!!」
「開き直るんじゃねえよ天然パーマ!!」
気づけばいつも通り、銀時とお登勢の言い合いに突入。
「……銀さん、そんなに家賃払ってねぇのか?」
「コンナノ日常茶飯事ダヨ。お登勢サンガ言ッテモ聞カナイ」
「…………金回りまでちゃらんぽらんなのね」
魔理沙の疑問に対して、キャサリンは呆れながら答える。
アリスは銀時のちゃらんぽらんっぷりに溜息をついた。
「ギン兄様、お金に困ってるの……?」
いつの間にやらたまから離れたフランが、銀時の側に近づいた後で、心配そうな表情を浮かべながら尋ねる。
「い、いや、その、な……?」
まさか素直に答えるわけにもいかず、銀時は答えに困っていた。
これがもし他の人ならば、銀時だって正直に答えるどころか、金を要求することさえ辞さなかっただろう。
だが相手はフランなのだ。素直すぎる彼女は、本気にしかねない。
「もし困ってるなら、フラン、お姉様に相談してみるよ……?」
「「「……」」」
幻想郷陣からの冷たい眼差し攻撃。
「銀ちゃん、幼気な女の子にこんなこと言わせるなんて最低ネ……」
「銀さん、そろそろそのちゃらんぽらんっぷりを改善してください」
「だからってテメェらがそんな目で見るこたぁねぇだろ!? 別に俺はヒモになろうってわけじゃねぇからな!?」
フランの純粋無垢な提案も、他の人が銀時を冷たい目線で見るきっかけにしかならなかったようだ。
銀魂×東方project
銀色幻想狂想曲
第九十一訓 お金の問題は非常にシビア
短めですが、キリがいいので投稿しましたー。
とりあえず暫くは歌舞伎町でのエピソードが続きます。