銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第九十四訓 いつ何処で誰が見ているか分からないから十分気を付けた方がいい

「銀さんにあーん♡するのは私の仕事なのよ!! アンタなんかに取られてたまるものですか!!」

「そうだ! フランのあーん♡を受け取っていいのは姉である私だけだ!! 妹のあーん♡は誰にも渡さない!!」

 

 面倒な二人がやってきた。

 ストーカー忍者とシスコン吸血鬼である。

 この二人が絡むと、ある意味面倒なことになる事間違いなしである。

 

「テメェは地獄の果てにでも行きやがれ!!」

「ぎゃああああああああああああああ!!」

 

 銀時からの怒りの鼻フックデストロイヤーを受けた猿飛は、ファミレスのガラスをぶち破って遥か彼方へと飛んで行く。

 一方でレミリアは、そんな様子などいざ知らず、フランが差し出していたスプーンの先を、口の中に含んでいた。

 

「あっ……」

 

 驚きのあまり、フランは声を出す。

 そして飛び散ったガラスはと言うと、

 

「ちょっ、なんであっという間に元通りになってるんですか!?」

 

 何故か何事もなかったかのように修復されていた。

 そして何故か外側から、

 

「―――――――」

 

 何かを発している咲夜。

 恐らく、『メイドですから』と言っているのだろうが、ガラスの向こうで発言している為、いまいちなんて言っているのか分からない。

 

「なんでアンタがここにいんのよレミリア……」

 

 呆れたような口調で尋ねる霊夢。

 レミリアは胸を張って自信満々に、

 

「フランセンサーが反応したからな!」

「いや何よその限定的過ぎるセンサー。能力の無駄遣いじゃない」

 

 アリスが冷静に返す。

 

「凄いネ! 離れていても一心同体アル!」

「感心するところじゃないよ神楽ちゃん。多分あれ、ただシスコンが極まっただけだよ」

 

 シスコンが極まると、勘だけで妹の居場所が分かるものなのだろうか。

 というか、勘は霊夢の専売特許だった筈なのだが、レミリアはフラン限定で勘が働くのかもしれない。

 

「というわけで存分に……って、フラン?」

 

 レミリアがフランの方を向き直ると、そこには。

 

「……うぅ」

 

 涙目になっているフランの姿があった。

 

「なっ……!」

 

 これにはレミリア大困惑。

 無理もないだろう。

 銀時に対してパフェを食べさせてあげようとした矢先に邪魔されて、挙句の果てにそのパフェは実の姉の口の中に入ってしまったのだ。

 もう一度食べさせてあげれば済む話ではあるものの、合理的な理由だけではなく、そこには感情的な何かも入っているに決まっている。

 邪魔されたことそのものが、フランの心を傷つけたのだ。

 

「……これは流石にレミリアが悪いぜ」

「そうね……姉として妹が好きなのは結構だけど、妹の心をしっかり理解してあげなきゃよ」

 

 魔理沙と霊夢による追撃。

 レミリアはあわあわしていたが、やがて自分の行動を反省したのか、

 

「……すまない、フラン。私が暴走したばかりに……」

 

 と、頭を下げて謝るのだった。

 するとフランは、

 

「ううん、大丈夫……私、気にしてないから……」

 

 めちゃめちゃ、気にしている。

 そんな時の言葉である。

 

「うぐっ……」

 

 一応許してもらえたものの、レミリアの心に深い罪悪感が残ったそうな。

 

「……まぁ、なんだ? フラン。もう一度食べさせてくれねぇか?」

「え?」

 

 フランの頭を撫でつつ、銀時が優しい声で言う。

 

「おめぇが食べてるパフェ、俺も食ってみたいからよ」

「ギン兄様……」

 

 落ち込んでいたフランだったが、銀時の言葉によってすぐに元に戻る。

 彼の言葉は、フランにとって凄く支えとなっているのだろう。

 

「本当、銀さんの言葉はフランちゃんに響くみたいですね」

「普段はチャランポランなのに、なかなかやるな天パー」

 

 銀時を間近で見ている万事屋メンバー二人は、感心のあまりそんな言葉を投げていた。

 確かに普段はチャランポランだが、いざという時は決めてくれる兄貴分である。

 フランはゆっくりとパフェを掬って、それを銀時に差し出す。

 銀時はそれを口の中に入れ、

 

「あめぇな……」

 

 そんな感想を漏らしたのだった。

 

「本当!?」

 

 フランは嬉しそうにもう一度差し出す。

 銀時はそれを口の中に入れようとして……。

 

 パシャッ。

 

「え?」

 

 銀時、ポツリとこぼす。

 確かに聞こえてきたフラッシュ音。

 恐る恐る、銀時とフランがガラスの方を振り向くと、

 

「……っ!」

 

 サムズアップして、歯を光らせている……射命丸文(マスゴミ)の姿があった。

 

「あんのマスゴミぃいいいいいいいいいいい! こっちまで来て特ダネ狙ってやがったなぁあああああああ!!」

 

 追おうとするも、既に飛び去った後。

 立つ鳥跡を濁さずとはまさしく事のことで、烏天狗は跡を濁すことなく、その場から綺麗に消え去っていた。

 

「わざわざこっちの世界にまで来て、銀さんの特ダネ狙うとは……恐れいったぜ」

 

 魔理沙は謎に感心している。

 

「いや感心している場合じゃないでしょ!!」

 

 新八は思わずツッコミを入れていた。

 とはいえ、文は既に飛び去っている。

 追った所で無駄だろう。

 

「これは翌日の新聞が楽しみね」

「……マジで?」

 

 霊夢の一言に、銀時は思わず茫然としてしまう。

 フランはフランで、今の様子が撮影されたのかと思うと、少し恥ずかしくなったようだ。顔が少し赤くなっているのが分かる。

 今までそれ以上のことをたくさんしてきたように思えるが、改めて幻想郷中に知れ渡るとなると話は別。

 

「……なんで毎回アイツは俺のネタばかり強請ってくるんだこのやろぉおおおおおおおおおお!!!!」

 

 ファミレス内で、銀時の叫び声が木霊したそうな。

 

 お後がよろしいようで。

 

 

 

 

 

銀魂×東方project

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀色幻想狂想曲

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第九十四訓 いつ何処で誰が見ているか分からないから十分気を付けた方がいい

 

 

 

 




少々早いですが、次回から風神録篇がスタートします。
常識の壁を破る女性に、まだ多少なりとも常識があった頃のお話です……。
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