銀色幻想狂想曲   作:風並将吾

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第九十七訓 たとえどれだけズボラな人にもファンは存在するのかもしれない

 霊夢達が射命丸文から情報を聞き出そうとしている間、とある場所ではこんな会話が繰り広げられていた。

 

「神奈子様、諏訪子様、なかなか博麗の巫女来ませんねぇ」

 

 胸元近くまで伸びている緑色のロングヘアー、深緑に染まった色鮮やかな瞳を持つ顔は整っている。白地に青のラインが入った上着を着用し、スカートは水玉模様が入った青色のものを履いている。豊満な胸は上着からでも見てわかるほど。そして彼女の髪には、蛙と白蛇の髪飾りがつけられていた。

 彼女の名前は東風谷早苗。煽り成分マックスな予告状を叩きつけた張本人である。

 

「まだ出してからそんな日数経ってないからねー。今頃動き出してるんじゃないかなー?」

 

 だらだらとしながら返したのは、金色のショートボブ、青と白を基調とした白装束、白のニーソックスを履き、頭には二つの目がついた帽子を被っている少女――いや、れっきとした神様である、洩矢諏訪子。

 

「犯人捜しに躍起になってるのよ。待てばそのうち来ると思うわ」

 

 紫混じりの青いセミロング、冠のようにした注連縄を着け、右側には赤い楓と銀杏の飾り物が施されている。茶色に近い赤い瞳。上着は赤色の半袖、その下にはゆったりとした白色の長袖を着ている。スカートは臙脂色のロングスカート。何よりも特徴的なのは、胸元につけられた黒い鏡と、背中につけられている、大量の紙垂がくっ付けられた大きな注連縄。彼女の名前は八坂神奈子。同じく神様である。

 

「でも、ただ待ってるだけってすごいこう、暇なんですよー」

「気持ちはわかるけど、ここは結構入るのが難しいわよ。だから到着するのも結構時間がかかると思うわ」

 

 落ち着かない様子の早苗を、神奈子がなだめる。

 事実、彼女達が今いるのは妖怪の山の奥。元々この山は警戒心の強い天狗達によって監視されている場所であり、最近来た異分子である自分達も警戒されている程だ。それでも追い出されることがないのは、表立って登場している神奈子が『神様』であることが相手にも分かっているからだろう。

 

「それにしても、文面は本当にあんな感じでよかったんです? ぶっちゃけ書いてて物凄く楽しかったんですけど、煽りが半端ないと思ったのですが……」

 

 多少なりとも心配している様子の早苗。

 書き上げるまで自分も相当楽しんでいたようだが、後で客観的に読み返してみると、相当相手の怒りを買いまくる文章になっていたことに気付いていた。一応、そのレベルの文章を書いた自覚はあるようだ。

 そんな早苗に対して、諏訪子がニヤリとさせながら答える。

 

「あれだけの文章を読んだ人は相当イラっとするだろうね。そしてその怒りは、犯人を見つけた時に爆発して、冷静な対応が出来なくなるんだよ。そこを突いてしまえば、いくら博麗の巫女とはいえ勝ち筋が見えてくるんじゃないかなーって思うよ」

「流石は諏訪子様!」

 

 早苗が喜ぶのに対して、諏訪子が『ドヤァ』という表情を見せる。

 ちなみに、早苗は諏訪子・神奈子ガチ勢である。

 というかこの三人が、互いに互いのガチ勢である。

 

「そう言うわけだ。どの道ここまで来ようとするのは明らかなわけね。それに、妖怪の山を越えられなかったとしたら、それまでの相手だったということでこっちから攻め入っても勝てる相手だということが明らかになるわよ」

「信仰力の弱い神社相手ですからねぇ。新参者でも勝てるんだという所を見せてやりますよ!」

 

 神奈子の言葉を受けた後で、俄然やる気になっている様子の早苗。

 

「弱いとはいえ幻想郷で唯一の神社だから、そこさえ抑えてしまえばこっちのものになるわよ」

「つまり、幻想郷を支配するには博麗神社を倒してしまえばいい、ってことですね!」

「あー……まぁ、そうなるのかな?」

 

 元々、博麗神社をもらい受ける計画については神奈子が立案していた。

 彼女達は神様である。人々からの信仰心があってこそ姿を顕現させることが出来るというもの。そしてこの幻想郷において唯一の神社は博麗神社。参拝客がほとんどいないとはいえ、彼女達のプロデュースがあれば、離れていた人も来ることは想像ついていた。

 厄介なことがあるとすれば、その神社の巫女である博麗霊夢が、こういった荒事に長けているという点。

 それと――。

 

「少し厄介だなって思うのが、幻想郷で起きた異変の数々を解決してきたという、白夜叉の存在だね……」

 

 ポツリと呟いた諏訪子。

 幻想郷にとって新参者である彼女達からしてみても、異変解決となると大抵セットでくっついてくる坂田銀時の存在は認知していた。それだけいよいよ以て銀時の話は文字通り幻想郷中に知れ渡っていると言っても過言ではない。諏訪子と神奈子にとって、霊夢の次に危険な人物として据えられていた。

 だが、

 

「白夜叉……坂田銀時……凄い男の人ですよね!!」

 

 何故か早苗は、目を輝かせていた。

 

「いや、なんで目を輝かせてるのよ?」

 

 これには神奈子もツッコミを入れざるを得ない始末。

 早苗はより一層目を輝かせながら語る。

 

「だって、この幻想郷って荒事を解決するのが大抵女性の方なんですよね!? それなのに、何の能力も持たずに、木刀一本で異変の数々を解決に導いてきただなんて、物凄く強いってことじゃないですかっ! 私大ファンなんですよ!! そんな人と戦えるのかと思うと、今から本当楽しみで楽しみで……サインとかもらえないかなぁ」

 

 まるで何かのアイドルグループのおっかけみたいな反応を示す早苗。

 その勢いの強さには、諏訪子と神奈子も驚かされる程。

 と言うのも、今の今まで表に出していたことがなかったのだ。話題に出さなかっただけで、実は新聞記事の切り抜きとかを用意していた可能性はあるのだが。

 そして、諏訪子と神奈子は決意する。

 

「……諏訪子、何としても、白夜叉と早苗を会わせないようにするわよ」

「合点招致」

 

 今回の異変、思った以上にお間抜けな展開を迎えるのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

銀魂×東方project

 

 

銀色幻想狂想曲

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第九十七訓 たとえどれだけズボラな人にもファンは存在するのかもしれない

 

 

 

 




守矢神社は、互いに互いのガチ勢が多い気がするんですよね。
そんな彼女達の中で、一人だけまた別のガチ勢要素も組み込まれてしまったら、果たしてどんな展開を迎えることになるのでしょうか……。
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