アインズ様のこと。鈴木悟がチ◯コと引き換えに茶髪巨乳美女(ウィズ)をアヘ顔にし快楽堕ちにして彼女を作るお話です。

※R18な部分は多分ないです。骨のままですし。

※アクアが吐きます。苦手な方は注意してください。


1 / 1

アインズ様がウィズを快楽落ちにする事を一番に書いたので設定に矛盾あるかもしれませんが温かい目で見てください!

作中に嘔吐描写(アクア)があります!苦手な方は注意してください!


幸せな二人に祝福を!

「サトルさん。今日もお願いしますね・・・」

 

 茶髪の妙齢に見える美女が目の前にいるサトルさんと呼んだ彼。鈴木悟に恥じらいながらベッドへ誘う。

 

 柔らかいマットに横たわる彼女は服を少しだけはだけさせ、肌を見せながら彼を誘惑する。ちらりと見える鎖骨や細い肩はとても扇情的である。

 

「はぁっはぁっはぁっ」

 

 女の顔は赤い。諸事情で呼吸する必要もないはずだが何故か息も荒い。そして、酸素を口から吐き出す度、豊満な胸を揺らして男の劣情を煽ってしまう。

 

「サトルさん・・・見つめないでください」

 

 

 プイっと赤面した顔を逸らし彼女は恥ずかしがる。毎日やっている事なのだが、とても緊張しており身を焦がすような熱い快感と興奮は生娘のようにいつまでたっても慣れない。

 

「は、早く私のナカに注ぎ込んで・・・」

 

 もう待てない。そう思わせるようなダラシない顔つきで鈴木悟を求める。

 

 求められた彼は"白い手"で彼女の腕にそっと優しく触れる。それはまるで壊れやすい物を触るように見えた。

 

「んっ!あぁん!」

 

 鈴木悟の指がスーと自分の肌に触れる度、ビリビリと電気が走るような快感を脳が感じる。彼がさするだけで彼女は軽く絶頂してしまった。

 

 彼は続けて手首から肘まで撫でようとしてーー

 

「ダメぇ!」

 

 あまりの気持ちよさに体がついていけず彼女は鈴木悟の手を制止する。ビクビクと体を痙攣させて大きな胸を揺らす様はとにかくエロい。もう一度言うがエロい。

 

「や、やめないで・・・」

 

「ウィズさん・・・」

 

 ウィズと呼ばれた彼女は行為を止めたのにまた催促する。矛盾だ。でも仕方がない。ウィズは鈴木悟がもたらす快楽の虜なのだから。これなしではもう生きられない。

 

 彼女はアクセルの街で道具屋を営む有名な美人店主だ。交際を望む者や一目見ようとお店を訪れる男性は多い。そして所謂、高嶺の花と言うべきだが今は鈴木悟の手によって唯の雌に成り下がっている。

 

「はぁ・・・はぁ・・・次はもっと激しくお願いします」

 

「あ、はい」

 

 行為を続ける内に、もっともっと喜びがほしい彼女は彼の指と手がもたらす快楽を求めた。よがるウィズに気の抜けた返事をしてしまった鈴木悟は目の前の光景に“少し”獣欲を抱いていた。男なら発情した美しい女が自分の前にいれば誰でも劣情を募らせしまうのは自然な事である。

 

 まぁ腕をスリスリとさすっているだけなのだが。

 

 だが、残念ながら彼は彼女を性欲にかまけて襲おうと思えない。いや、少し違う。そう思っても体が行動についていけないのだ。なぜなら、

 

(今日も生殺しかぁ〜。辛い。辛すぎる!)

 

 彼にはチ○コが無かった。いや、それどころか彼の体には肉が無い。あるのは白い骨だけ。そう、鈴木悟の正体は骸骨のモンスターだったのだ。

 

「あぁん!あぁん!」

 

(ウィズさんにはお世話になってるとはいえ毎日は辛いなぁ・・・せめてチ○コがあれば自分で発散できるのに・・・)

 

 手首をスリスリしながら、乱れに乱れきったウィズを見ながら鈴木悟は自分の溜めている性欲をどう発散すべきか考えていた。彼は冷静だ。目の前の嬌声を上げた彼女に動じない。此処に来てからウィズとの関係は出会ったときから同じだ。そう、もう慣れてしまったのだ。最初の頃こそ気が動転する度緊張したが、今では少しムラムラするくらいである。それが返って彼を苦しめる。

 

 骨の体をもった鈴木悟には幾つかの特殊能力がある。戦闘で役立つものや魔法を補佐するもの、死霊を召喚と使役する術もある。そして、毒や寒さなどの耐性といったものも彼は保持している。今の鈴木悟はオーバーロード。この世界で魔王に匹敵、いや凌駕するほどの力を持ったアンデットだ。

 

 そして、その中にも精神に対する耐性も、もちろんある。これが問題だ。これが本当に今の彼にとって問題なのだ。精神作用無効。いかなる時も己の感情に支配されず冷静になれる体。脅迫も絶望も怒りも抑えられる。そして、喜びもだ。厳密に言うと強すぎる刺激ならば精神抑制が働き平静になる。強制的に賢者モード。だが、微弱な心の動きまでは作用しない。

 

 エロいウィズを見る毎日。最初こそ精神耐性が機能してたが、今ではしていない。強すぎず弱すぎないエロい刺激で常時ムラムラモンモンの毎日だ。彼女のエロい吐息。エロい仕草。エロいおっぱい。エロい唾液で濡れた唇。エロい潤んだ綺麗な目。もう鈴木悟の頭の中はウィズのことでいっぱいだ!

 

 彼女と出会った頃なら良かった。常に賢者モードだからだ。だけど今は性欲まみれの中学生並みの煩悩を抱えている。最初の頃と落差!が!激しくて!辛い!

 

 この時ほどオーバーロードの体を選んで後悔した事がない。せめて竿があれば・・・。

 

 そして、さらなる悲劇が彼を襲う。彼が馴染みの冒険者から聞いて最近知ったのだが、鈴木悟とウィズが同棲しているこのアクセルという街にはサキュバスの夢による性風俗があるとの事だ。精神世界での出来事なのであらゆるシチュエーションやプレイに対応してるらしい。現実での体の調子なんて関係ない。EDを患った老人も通っていると聞く。

 

 性欲にまみれた彼にとってそれは吉報だった。なので、鈴木悟も当然のごとく行ってみた。だが、ウィズにバレないように隣町にある宿屋のベットで淫夢の魔法をかけられても何も起こらず、サキュバスの店員に土下座された。理由は知っている。そりゃ精神耐性を持っているのに精神世界に連れてく魔法をかけようなんて無理だよね!彼はもちろん、その事はわかっていた。が、一抹の希望にすがった。だって夢の中ならチンコ生えるって聞いたら行くでしょ!?あー!精神耐性なんて無くればいいのに!!無くしかたもわかんねぇーーーよ!!!んあーーー!!!

 

 ちなみにサキュバスのお姉さんに対して罪悪感を感じたのとウィズに「他の女の匂いがする」と冷たい声で言われたのでもうあのお店行けない。あの時の彼女はめっちゃ怖かった。

 

「あのー・・・。ウィズさんやっぱり感じてますよね」

 

「あぁん!・・・か、感じてなんか!いま!あぁん!せん!」

 

 えー。と毎回同じやりとりをしている鈴木悟。ちなみにこんなにも桃色のエロい空間でエロい声が鳴り響いているが、これは性行為ではない。もう一度言うがこれは性行為ではない。

 

 彼女いわく、栄養補給だそうだ。鈴木悟の手は〈ネガティヴ・タッチ 負の接触〉というスキルにより触った相手に負のエネルギーを送り込んでしまう不浄の手。人間ならば触られただけで腐り落ち取り返しのつかない重症や場所によっては死んでしまうこともある。残虐でとても危険なスキルだ。ちなみにONOFFは出来るので暴発の心配はない。

 

 しかし、見た目は人間であろうウィズは触られても大丈夫だ。それどころか快感を感じている。なぜだろうか?

 

「あひーあひーあへぃー」

 

(おっアヘ顔になってきたな。もうそろそろ終わりか・・・。そういえば最初もこんなんだったな)

 

 快感によりヨダレを出して意識が朦朧としてるウィズを見ながら彼女との出会いを鈴木悟は思い出す。

 

 そう、これは彼が異世界に転生しウィズと出会うまでの半年も前の事だ。

 

 

 

 

 

「あなたは死にました」

 

 大好きだったVRMMOゲーム『ユグドラシル』のサービス終了の日。このゲームが人生の大半を占めていた鈴木悟はその日ログインした。だが、その時に何を行なったかの記憶はあんまりない。なぜなら、前日、上司が青い髪の女に貰った酒を瓶ごと分けてもらい(押し付けられた)しこたまそれを飲んで意識がぶっ飛ぶほど酔っ払ってしまったからだ。彼がいる時代では黄金に匹敵するような価値を持つ合成ではなく自然のものだけでできた日本酒。銘は『女神ゴロシ』。なぜそんな貴重な物を上司が渡したのか深く考えるべきだったが美酒の誘惑には勝てなかった。

 

 そうだ。この酒は美味い。鈴木悟も一口飲んだだけで意識が消し飛ぶほど旨かった。だが残念ながらこの日本酒には一つ欠点がある。上司はそれで粗相を犯してしまい手放したかったが貴重な自然物で出来た酒を下水に流すのは勿体無い。ならちょうど朝一番で出くわした彼にあげよう。そしてお前も悪酔いして粗相しろという俺もやったんだからお前も道連れだ精神で押し付けられたのだ。

 

 ちなみに『女神ゴロシ』は鈴木悟が住んでいた世界で流通しているものではない。地球とは程遠い、神々の世界の酒だ。そして、とてつもなく美味い酒だが悪酔いすると有名な銘酒でもある。神をも狂わすこれは男神が女神を酔わせてイケナイことをするためによく使われるらしいが大抵、豹変した女神に返り討ちされる事が多々あり販売禁止になっている。『女神ゴロシ』を飲んだ者はどんなに優しく慈愛に満ちた女神も血と殺戮を好む女神。カーリーごとくヤベー奴に変わってしまう。女神は死んだ。もうそこにいるのは破壊神だ。そういった経緯でこの名前がつけられた。ちなみに男性の神にも影響あるのでイタズラによく使われる。もはや、悪ふざけってレベルじゃないが・・・。

 

 それを人間が飲んだらどうなるのか?想像に難くないだろう。まぁ神の世界で知られているものであって鈴木悟には知る余地もないが。

 

 しかも、厄介なのがとてつもなく美味と言う事だ。酒好きな神達の中ではとてつもなくプレミアがつく代物であり、入手困難である。そして、鈴木悟の目の前いる不穏な発言をした人物も酒好きだ。もう、感のいい人は察したのではないだろうか?

 

 まぁ、それをチビチビと少量だけ飲んだ上司と違い、旨さと好きなゲーム終わる悲しさを紛らわすためにバカ飲みした鈴木悟がどうなったかはもうわかるだろう。それが原因で死後の世界に来てしまったことも。

 

 

「これから、あなたには異世界に行ってもらいます」

 

「え、ちょっ」

 

「拒否権はありません」

 

 暗い空間でスポットライトの光を浴びるように佇む青い髪を持つ美しい女性と対面する鈴木悟。彼女の発言もそうだが、この場所はとても現実離れしていた。

 

「ど、どういうことですか?」

 

「異世界に行くの。拒否はできないわよ」

 

「え?異世界って何ですか?」

 

 目の前の女はすごい高圧的だった。普段なら記憶を無くして赤ん坊からやり直すか、天国へ行く。そして最後に異世界に転生するという三つ選択肢を与えるはずが、こちらの意思など関係なしに押し通そうとしてくる。特に異世界行きをゴリ押ししてくる。それはとても愉快な気分になれない雰囲気だった。しかし、鈴木悟はその事で気分を害したが、憤慨せず冷静だった。

 

 だって、彼女の表情が顔色が悪く、凄い必死で涙目だし、すんごく冷や汗をかいているからだ。それもダラダラと滝のように。ただ事ではない。

 

「えっと、だからどういう事なんですか?」

 

「う、うるさい!早く了承しなさい!早くしないと先輩が来ちゃうじゃない!ねぇ〜お願いだからOKしてよぉおおお!!!」

 

 彼女は感情に任せて喚き散らす。先輩という新しいキーワードが出て来たがもう彼女は限界だったみたいでそれを気にする余裕はない。そして、青い顔をしながら彼女はどこからともなく、ポンとバケツ?を取り出した。

 

 うわ。ついに彼女の端正な顔立ちが崩れ、涙が溢れて来た。いろいろ飛び散って汚い。あ、吐いた。バケツを取り出したのはやっぱりそういう意味だったかぁ〜。そうか、吐いちゃったかぁ〜。汚いなぁ。彼女の状態から考えると凄いストレスを感じたために嘔吐したのだろう。だが、鈴木悟もストレスがありすぎる日本社会で割と見る光景だったので動じなかった。彼が凄いのか。22世紀の日本が酷かったのかは、気にしないでおこう。

 

「ぉ、オェー」

 

「大丈夫ですか?」

 

 そういいながら、彼は青髮の彼女の背中を手慣れた手つきでさする。おえぇ。おえぇ。とえづいている彼女を鈴木悟の見る目は優しいものだった。ダメな子供ほど可愛いと昔の人は言ったがなんかわかる気がすると彼は思った。

 

「ぇぐ。ぅぐ」

 

「ほら、うがいして」

 

 バケツ同様、どこからともなく水の入ったコップが出て来たので彼女に渡す。

 

 改めて、周囲を見渡すと、とても非現実的で、まるでVR空間にいるような感覚を覚える。実際、何もないところから替えのバケツやハンドタオルが出てくるとまるでアイテムボックスがあるゲームの中にいるような感覚に陥った。でも、手触りや音、表情。そして匂い。特に匂い。いや臭いか。VRではまだ嗅覚は再現できないはず。というか、法律で制限されているはず。再現できたとしてもこの臭いはとても嫌な気持ちになるため作る必要性が無い。あまりにもリアルすぎるのだ。少し吐き気を覚えてしまうほどに。胃の中が逆流しそうな感覚は仮想現実ではあり得ない事だ。強烈なゲロの刺激臭が否応なく現実だと突きつけてくる。彼、かわいそう。

 

【悲報】鈴木悟。吐瀉物の匂いでこの空間がVR空間ではなく現実と自覚する。

 

「や、優しいのね。あなた」

 

 体調が少し良くなったのか、目の前の女は椅子に座り仕切り直し始める。冷静になった彼女は事の発端を鈴木悟に説明する。相変わらず、顔色は悪いが。

 

 彼女の名前はアクア。水の女神らしい。神と宣言した時、威厳を出そうとしたが彼女の粗相見てしまったためにとても残念な空気になる。まぁ、でもここが現実ならば、さっきの超常的な現象は神様の仕業ですと説明されて納得できる。敬うかは別としてだが。

 

 彼は最初の言葉通り日本で死んでしまってここに来たらしい。つまりここは死後の世界だ。だが、本来ならば鈴木悟は死なず、アクアが先程、言葉にした先輩の女神が彼を違う世界で『ユグドラシル』で鈴木悟が使っていたアバターでギルドごと転生させる予定だった。

 

 彼には先輩女神の強力な加護が授けられていて、それによって死の運命から守られており、ゲームのサービス終了まで死ぬ事は無いはずだった。

 

 でも、死んだ。酔っ払って街で暴れまわり、近くにいる女性に痴漢しようとして警察に撃ち殺されたのだ。

 

 そう、鈴木悟は女のおっぱいを揉み揉みしようとして撃ち殺されたのだ。射殺。それが彼の死因。その時の鈴木悟の顔はとてもだらしなかった。よだれをいっぱい垂らしてた。かっこ悪い死に方すぎるだろ・・・。

 

 普段の彼ならば、たとえ酒を飲んだとしても理性を働かせて乳房を揉みたくなっても我慢するはずだ。生涯を通して、女性経験はなく童貞だし酒なんかで本能に負けるものか!鈴木悟の名誉の為に書こう。彼はそんな性欲に負ける人でないと!負けたら童貞じゃないよ!

 

 原因はわかりきっている!あの酒だ!『女神ゴロシ』!なんであんなものが22世紀の日本にあるんだよぉ!

 

 なぜ、あの酒が鈴木悟に渡ったか。それを知っているアクアは真剣な顔をして、『女神ゴロシ』の効能と値段、そして旨さと共に説明する。

 

 

 

 なんと運良く、数本手に入れたあの美酒を一人で楽しもうと飲んだ彼女は定石通り人格が豹変。いや、元がアレなので普段の5倍増し凶暴ですんだアクアはか弱い後輩女神。エリスに絡み、違う。訂正する。彼女を襲い柔肌を蹂躙しながら『女神ゴロシ』を無理やり、しこたま飲ませ破壊神を創造し、神界で立場の弱い、新米女神とか下っ端天使を二人で難癖つけていじりぬいた。恐怖の一日だった。とくに、皆に優しく評判の良いエリスは『ギャッギャッギャ』ととても下品な笑いをして天使の尻をスパンキングしてたためかギャップがすごすぎて彼女だと認識できなかった。皆がこれが夢だと思いたかった。エリスがスパンキング!?信じられない。信じたくない。ちなみにアクアは普段のより五倍ひどいなぁー。早く帰らないかなぁーと周りに思われた。ヤダ、この子。信頼ゼロ!人望ゼロ!

 

 そして、やることを殆どやってしまい、「あー。悪魔ぶっ殺してぇー。てか、またあそこでヤりてぇ」とすごいセリフを半眼でつぶやくエリス。もはや、清楚な彼女の面影はすでにない。めっちゃ面白うそうと思ったアクアはその言葉に便乗して根掘り葉掘り聞く。そして、「いいところ知ってるんすよー!」とエリスは気前よくアクアをおすすめスポットに案内した。

 

 そこは、22世紀の日本。それもマンションの一室であった。

 

 天界から世界間移動した彼女らが待ち受けていたものはVRヘッドゴーグルがついた巨大な椅子とパソコン。そして、それにインストールされていたのは『ユグドラシル』だった。

 

 なぜエリスがここに案内したのか。それは気軽に悪魔をぶっ殺せるゲームをこの世界を担当する先輩女神に教えてもらったからである。自分の手でプチプチと悪魔を潰せるのがストレス(主にアクア)を解消するのにはちょうどよかったみたいでドハマリした。具体的に言うと、ネット回線速度を安定させるのにわざわざ部屋を先輩女神に頼んで借りたり、トップギルドである『アインズ・ウール・ゴウン』に所属している悪魔系異形種プレイヤー。ウルベルト・アレイン・オードルをゲームを始めて早い段階から定期的にボコボコにしたり、闇討ちをした。これがどれだけすごいのかというとレベル差やPK経験の差があるのにもかかわらず、魔法最強のクラス。ワールド・ディザスターを打ちのめしたことであろう。このゲームでは10レベルの差があれば絶望的なのだが、そんなのは彼女に関係ない。エリスは悪魔に滅法強いのだ。「もう俺を狙わないでくれ〜〜」とウルベルトが懇願しても笑顔のエモート打ちながら彼の顔面にメイスを振り下ろす彼女は執念と情熱を感じる。もはや、職人だ。

 

 そう、エリスは悪魔殺しに特化したユグドラシルプレイヤー『撲殺天使クリス』その人であったのである。悪魔がいるエリアには必ず姿を現し、ソロで根絶やしにしていくプレイスタイルは有名だった。彼女は色々逸話を残しており、パーティや使役モンスターに悪魔がいるだけでPKを仕掛けた事や悪魔が関わってそうなアイテムを片っ端から壊したりなど。特にすごいのが、先程も書いたが1500人のプレイヤーを一度で撃退した極悪トップギルド。『アインズ・ウール・ゴウン』の拠点。ナザリック地下大墳墓に定期的にカチコミすることだろうか。必ず、守護者と呼ばれる強力なNPCのデミウルゴスを含む悪魔をぶっ殺し、それ以外はあまり手を付けず最低限の被害しか出さないプレイは神業と言えるだろう。神だけに。もちろんウルベルトはボコボコだ。

 

 こう書くと、はた迷惑な存在だが。積極的に初心者プレイヤーの面倒をみたり、即席パーティでもヒーラーとして有能だったり、他のプレイヤーがHPが真っ赤でピンチになったときどこからともなく辻回復や辻蘇生をしてあげたりと悪魔を除けば超優良女神プレイヤーなので割と好意的に思われている。あと純粋にかわいい女性プレイヤーというのもある。特に、被害を受けている『アインズ・ウール・ゴウン』にはNPC復活費用としてたんまりとゲーム内通貨を渡したり、ギルド長であるモモンガのギルドの維持費を稼ぐために狩りを手伝ったりしていたので友好な関係を築いてた。ちなみに、このモモンガというのは鈴木悟のプレイヤーネームである。世間は狭いなぁ・・・。

 

 でも、最近は宿敵のウルベルトが引退したのと、仕事のほうが忙しくなってしまいエリスはログインしていなかった。しかも、サービス終了まであと数日ということで狂気で意識を塗りつぶしてしまう酒を服用しても行きたかったのだろう。思考が鈍った頭で現実と仮想現実の区別がつかずアクアを連れて来てしまったのは予想外だったが。それに二人の世界間移動は普段より負担が大きく体力を消耗してしまい、酒乱で暴れまわったせいもあるがエリスの意識は限界だった。彼女は部屋に着くなりバタンと倒れ寝てしまった。昏倒とも言う。実際、一週間、エリスの体は起き上がることはなかった。ちなみに目を覚ました彼女は『ユグドラシル』のサービス終了日はとっくに過ぎており、さらに被害を受けた天使や女神に説明と謝罪。そして、一週間の間、溜まった仕事で忙殺されることになる。ずっと遊んでいたゲームが終わってしまうことに悲しみが考えられないほど忙しい彼女は泣きながら働いてたという。かわいそう。

 

 エリスがアクアに殺意を覚えたのは当然の結果である。

 

 まぁ、『女神ゴロシ』と飲みなれてない酒。天使スパンキングなど、数々の悪逆。そして、他の女神を世界間移動させるというのは想像以上に彼女の体には過酷なことだった。アクアが「ねぇ〜。悪魔どこ〜?」と起こそうと体を揺すっても起きないのはしょうがないのかもしれない。

 

 さて、エリスが寝てしまって見知らぬ部屋に残されたアクア。寝息を立てるエリスの横顔を見てやる事は一つ。自分も寝る事である。正直なところ彼女もエリスほどではないにしろ疲れていた。アクアは酒瓶を床に置きエリスの腹を枕にして寝たのであった。

 

 だが、アクアは異臭の為か途中で起きてしまったのだ。原因は彼女の寝ゲロ。盛大にエリスの上にぶっかけてしまったのだ。・・・さすがに彼女が不幸すぎるだろ。幸運の女神のはずなのに。

 

 そのため胃の中が空っぽになったアクアは酔いが覚めたが、彼女は飲兵衛。ゲロ塗れのエリスを置いて大事な『女神ゴロシ』を持って、次なる酒とツマミを求め部屋から出る。扉をに手を掛け開けたその先は、

 

 22世紀の日本だった。

 

 それを理解した瞬間、彼女の顔は青ざめる。ここはアクアの先輩女神が幾つか管理する世界の一つ。荒廃したディストピア。運営に失敗した神の代わりに数多くの世界を繁栄と導いた手腕を買われ、アクアなど比べ物にならないほど、優秀な先輩女神が現在、浄化している場所だった。

 

 アクアの心臓の鼓動が早まる。彼女の心が恐怖に染まる。先輩女神は普段はとても温厚な性格で優しく面倒見が良い非の打ち所がない存在だ。だが、一度怒ると宥めようとした彼女より位の高い神。つまり至高神ですら半殺しにするなど手がつけられない女神なのだ。

 

 アクアは彼女に怒りを向けられた事は無かったが、仲の良い女神(彼女と同類レベル)が先輩女神の一線を越え折檻を受けて無残な姿になるのを目の前で見たことがある。アクアは本能から恐怖した。コレに関わってはいけないと。

 

 しかし、今いるのは彼女が管理している世界。アクアは錯乱する。そして、手に持つ『女神ゴロシ』は本来販売を禁止されているもの。禁止=怒られる。見つかったら、自分もあの子みたいになっちゃうと考えた彼女はたまたまこのマンションの通路にいた男に『女神ゴロシ』を美味しいお酒だよ!と渡しこの世界から逃げてしまう。そして、その男性こそが鈴木悟の上司だったのだ。

 

 一般人にそんなものを渡してしまう方がヤバイと後になって冷静になって考えた彼女は『女神ゴロシ』を神の力で追跡したが時すでに遅し。それを上司から譲渡された鈴木悟は『女神ゴロシ』を片手に持ち、しこたま飲んで街で暴れまわって射殺されてた。アクアは空気中に浮く鈴木悟の魂を見た瞬間にヤバイと思った。なんと、彼は先輩女神の加護持ちだったのだ。そして、『女神ゴロシ』の名は伊達ではない。この酒は神だけでなく加護すらも狂わしてしまう。守られず死んでしまったのもそれが理由だ。そのため、先輩女神に鈴木悟の生死が察知されず処理されずにいた。

 

 アクアはすぐさま放置された鈴木悟の魂を掠めとる。全ては保身のため。この事が先輩女神に知れたらアクアは死ぬ。この魂は天国に送っても、赤子に転生されても先輩女神に察知されてしまう。最善の選択肢は先輩女神が管理していない異世界に送ることだ。見つけるのに時間がかかるはず。しばらくは持つだろう。

 

 そう、アクアが生まれて初めて頭をフル回転させた結果は時間稼ぎだった。問題の先延ばしが彼女の答えだった。

 

 そして、鈴木悟を説得。つまり冒頭に戻るというわけだ。

 

 

 

 

 

 って俺が死んだのはこいつが元凶かよ!親切に介抱して損した!!とアクアに事の次第を説明された鈴木悟は思った。

 

「・・・」

 

「・・・ぅ、ぐす」

 

 涙目な彼女が醸し出す、とてもいたたまれない空気が鈴木悟を襲う。つらい。

 

「異世界に行きますから、な、泣かないでください」

 

 涙を流した女の子は童貞である鈴木悟の心にくる。確かに、彼女には非がありまくる、だがアクアはアホなのだ。アホの子なのだ。彼女の行為には不可抗力というか、悪意はあんまりないだろう。ちょっぴりだけ彼女に同情した。それに、お詫びに死んで生き返らせてくれるのだから文句も言えない。しかし、彼と彼女は知らない。鈴木悟は22世紀の日本で死んでも先輩女神がモモンガとして異世界に転生させることを。そして、お気に入りのプレイヤーが異世界送りにできず先輩女神が発狂しているのを知らない。

 

 彼は偶然、ポケットにあったハンカチをアクアに渡す。

 

「ぁ、ぁりがと」

 

 そう言って彼女は涙を拭き、鼻をかむ。ぇ、汚い。一応、美人の粘液がついたハンカチを返された鈴木悟はコレをどうすればいいのかわからなかった。友人であるエロゲーマスターのペペロンチーノならペロペ(ry

 

「さて、異世界といえばチートよね!」

 

 そう言って、鈴木悟の介抱のおかげか、いつもの調子に戻った彼女はいつも転生者に異世界に行っても大丈夫なようにチートを渡す準備を始める。

 

「これなんかオススメよ!」

 

 鈴木悟の対人スキルで上機嫌になった(ちょろい?単純?)彼女は普段、転生者に渡さないようなすごいチートの力が込められた紙を彼に渡そうとする。

 

「ありがとうごっ・・・ぇえ!燃えた〜!?」

 

「ぎゃー!?私のチートがぁ!?」

 

 だが、悲しいかな。鈴木悟が手にした途端、燃え上がりチリとなった。

 

「・・・」

 

「・・・」

 

 静寂がこの場を支配する。さっきから何回も試してもチートが灰になるだけで鈴木悟に渡る事が無かった。

 

 そう、鈴木悟はチート無しで異世界転生する事が決まったのだ。

 

 実際には、鈴木悟は先輩女神からチートを既に貰っており、アクアの神格では干渉出来なかっただけなのだが彼らはそれを知らない。鈴木悟に先輩女神の加護がかけられている時点で気づくべきなのだがアクアはアホなのでわからなかった。エリスならわかったかもしれない。

 

「ま、まぁなんとかなるわよ!」

 

「・・・そうですね」

 

 彼の目は死んでいた。まぁ最近流行ってた小説に出てくる異世界チート(22世紀では現実が地獄なので凄い人気)に憧れていたわけではないが、これから赴くのはヨーロッパ中世に近い世界。魔法もあるし、わかりやすい脅威としてモンスターや魔王すらもいる。『ユグドラシル』の様なファンタジーな世界だ。

 

 正直、心踊る。汚染されていない青空だって見えるし、食事だって本物が食べれる。外を出るのにマスクだってしなくていい。だって、それらが22世紀の日本では富裕層。いや、違う。そこに本当の豊かな自然があるのならば、どんな金持ちでも感受できないものだ。

 

 それをこれから思う存分に味わえるのだ。最高じゃないか。

 

 だが、それと同時に危険もある。アクアによると魔王が闇の軍勢をもって人間を攻めているという。モンスターすら活発的になって死人が増えているとのこと。しかも、過酷だからその世界で転生を拒否する人間も多く、人口は減る一方で応急措置として異世界の人間を送っている。現代人は弱っちいからチート付きで。

 

 さて、鈴木悟の場合はどうだろうか。うん。オワタ。すぐ死ぬねこりゃ。だってサバイバル知識もないし、武術の心得のない。体も魂の記憶の元に再現されるから22世紀の労働環境のためか貧弱で筋肉がなく肉体労働すら満足に出来ない。唯一は知識労働だが、そんなの身元が不明確な人間を雇うだろうか?詰み。彼は異世界に行く前から詰んだのだ。目に光が無くなるのも当然だろう。

 

「ね!大丈夫だから!アクシズ教徒になって私の信徒に頼れば生きていけるから!」

 

 もうどうしようもないので、ヤケクソに根拠のない励ましを言うアクア。しかもナチュラルに人が弱っているところに救いの手を差し伸べ入信を迫るのはあまり良い行いではないと思う。詐欺師がよく行う手法だ。まぁ彼女はそこまで考えてないと思う。これが神か。鈴木悟は内心イライラしてた。怒ってるよー彼!

 

「もういいです。なんとかやってみます」

 

「だから入信しよ!ねぇ!無視しないで!」

 

 鈴木悟は決意した。異世界で泥水を啜っても生きてやると。乞食でもなんでもやると。そして、アクシズ教徒になんかなってなるものかと誓った。まぁ、それは妥当だ。実際、22世紀の日本と違い泥水を飲んでも即死しないでので思ったよりマシかもしれない。

 

「はぁ。わかったわよ。じゃあ、えーと先輩が管理している世界の人間だからコレね!コレを使うわ!」

 

 鈴木悟の意思を感じ取ったアクアは宗教勧誘を諦め、異世界転生の準備をする。

 

 今の彼の体は魂の記憶によって構成されている。故にプラスチック製の肺や神経に繋がったナノマシーンインターフェイスなどの人工臓器はそのままである。それらは長年の時を経て魂に癒着しているのでメンテナンスが出来ない異世界では置き換える必要がある。その為のプログラムが書かれたオーブが彼女の手元にあった。ちなみに先輩女神作である。

 

 22世紀の人間専用のもので少し取り扱いに注意が必要だが、現地の言語や免疫も高め病気にも副作用もなく100%対応させてくれるのでとてもありがたいアイテムだ。流石は先輩だ。ところで、他の人間、例えば違う世界の日本人とかには、在庫管理や不正使用をさせない様にプロテクトをかけているので使えない。後始末をも考えるとは流石は神だ・・・。在庫管理ということはこれってバレるのでは?

 

 その心配は要らない。在庫処分された旧式のものだからだ。アクアが天界のゴミ置場に大量にあったものを偶然見つけ拾っておいたもので綺麗だし、高価な素材が使われているので目が眩んだとかで一個だけくすねたのだ。カラスかな?まぁ、なんでも欠陥があったようで新型に変わったので現在は使われてないので隠れて使っても察知はされないだろう。新型は先輩女神しか持ってないのでアクアはこれを使わざる得なかった。まぁ、持ってなかったらそのまま鈴木悟を異世界へと送っただろう。偶然って凄いね!

 

 ・・・ちょっと待て。無視できない問題がある。旧式。つまり、欠陥品。そう、欠陥がある。このオーブには致命的な欠陥があるのだ。欠陥だ!致命的な欠陥!※大事なので4回書きました。

 

「じゃあいってらっしゃい!」

 

「ありがとうございました。アクア・・・様」

 

 もう神として敬う気持ちは何にも残っていないが一応、礼をアクアに言う鈴木悟。

 

 オーブを使い準備が終わったので、もうここでやるべき事はない。そして、ついに彼は異世界へと旅立つのだ。

 

「あれ〜?なんか書いてある」

 

 オーブには小さい文字で注意書きがあった。と言うか見ずに使ったのか。今気づいた彼女はそれを読む。

 

 ※注意。これを転生者及び転移者に使う際、再生系チートまたは種族変化及び、身体憑依ができるよう魂の入れ物として新しい体を用意してください。

 

 もしそのまま使った場合、人工臓器が強制排泄されるので転生者は死にます。

 

「・・・ぁ。サトルすぐ死んじゃうかも」

 

 青ざめた顔でそれを言うアクア。もう、送還の準備が最終段階まで整っており彼の転生を止めることはできない。

 

「ぇ」

 

 咄嗟の言葉に面を食らった鈴木悟の視界はあの神秘的な空間から、中世ヨーロッパ風の街並みに変わった。

 

 

 

 

 彼はついに異世界へと転生したのだ。素晴らしい情景に胸の鼓動が早まる。空が青い。初めて白い雲を見た。木々や土の匂い。賑やかな人々の喧騒。露店のオレンジのような果実が漂わせる柑橘系の香り。すごい!すごい!凄い!VRで到底感じられない情報量だ!これが現実!これが過去の人間が享受できていた世界!ブループラネットさんの気持ちがわかった気がすると鈴木悟は感動した。

 

 

 

「あぎゃあああぁあああぁあああ!?!?!」

 

 

 

 だが、それと同時に体の奥から強烈な痛みを感じた。

 

 ブチブチと音を立てて体の中が筋肉が血管が内蔵が引きちぎれる。脳の奥に焼けた鉄をぶっこまれるような痛みを感じる。体が裂け、皮膚の割れ目から血がペンキを零したように辺りにぶちまけられる。

 

「・・・ぁ、ぁ。糞女神めぇ」

 

 最後の力を振り絞って神に呪詛を吐きながら、鈴木悟の体は崩れ落ちる。彼は猟奇的なオブジェになってしまった。そして、突然の修羅場。街中。しかも大通りではあってはならない血溜まり。血の強烈な匂いが人々の体を強張らせる。誰も彼もがその光景を直視し動けなかった。理解が追いつかない。

 

 だが、それでも周囲の人間の中に偶然にも回復魔法を使える者がいて魔法を彼にかけるも時すでに遅し、何も効果も意味がなかった。

 

 鈴木悟は死んだ。

 

 転生してから1分も経たずに死んだのはある意味偉業かも知れない。この事は神々の中でも語り継がれるだろう。笑い話として。

 

 

 

 〜終わり〜

 

 

 

 

 

 

 

「って!巫山戯るな!!!この糞女神がぁああああ!!!!!」

 

「ひぇっ」

 

 鈴木悟はどうやら九死に一生を得たようだった。激しい痛みで気を失っていたが無事覚醒することができた。魔法やポーションなどで治療されたのだろうか?見るも無残な姿だったが声も出るし、体の痛いところないし、前より体調が良い。体から溢れんばかりのパワーを感じる。今ならなんでも出来そうだ!やっぱり、異世界ファンタジーは凄い!

 

 ・・・でも、おかしい。周囲の空気が淀んでいる。辺りは暗いし、空を見上げれば綺麗な星が見える。半月状に光っているあれは月か?そして、彼の周りに屋根や壁などない。つまり外。

 

 一番は、近くに地面が抉れ、土の塊が散乱している事と墓標としか言い表せない小さな石の板が何個も倒れている。そして、かすかな腐臭。

 

 鈴木悟は思う。俺は何処から起き上がった?と。

 

 詰まると言うところ彼は死んだのだ。アクアに天界から送られて、アクセルという街の名前を覚える前に何も言わぬ死体となった彼は身元が不明な怪しい人物にも関わらず、アクセルに住む者は皆親切なので森に彼の遺体を捨てて野晒したりしないで、丁寧に街の共同墓地に埋葬された。もちろん誰も鈴木悟のことは知らないので無縁仏としてだが。墓標となる石板が小さいのはそのためだ。

 

 まぁ、その流れは理解できる。だが彼は死んだはずだ。もう、3ヶ月以上埋葬されて時がたち、肉がぐちゅぐちゅに腐さって鈴木悟の体は土に帰りかけている。もう、蘇生魔法が使える凄腕のプリーストでもいくら一回だけ蘇生できるとはいえ、これは無理だ。幾ら何でも条件が悪すぎる。

 

 しかし、彼は蘇った。蘇生の魔法が効かない死者が蘇る方法など一つしかないだろう。それはーー

 

 

 

 

「ひぇえええ」

 

 墓地に結界を張り、成仏しきれない魂の浄化をしに来た茶髪の幸薄系おっとり美人のウィズは土の中からバァン!起き上がって目の前に現れた赤い眼光を持つスケルトンに恐怖した。

 

 彼女は強い。冒険者時代の二つ名は氷の魔女で凄腕の魔法使いとして名を馳せていたほどの実力者だ。たかが、スケルトンに臆する様な人物ではない。しかし、ウィズの本能の中にある危険を知らせる警笛が鳴り響いている。死だ。彼女は今、死の恐怖を感じているのだ。

 

 それもそうだ。そもそも、このアンデットはスケルトンでは無い。いや、姿形こそ似ているがスケルトンなどと比べるのは愚か。あまりに不敬である。この者は死の支配者。低級の神ならば片手間に滅ぼしてしまう超級アンデット。ナザリック地下大墳墓の主、オーバーロードのモモンガであるのだから。

 

 そう、鈴木悟は先輩女神より授けられたチートが死によって覚醒し『ユグドラシル』で愛用していたゲームアバター。アンデットのオーバーロード。モモンガその者になって蘇ったのだ。

 

 ちなみにこれは本来、加護で守られている筈の特別な転生者の意図しない魂の変質を防ぐ超応急的処置である。鈴木悟が鈴木悟ではなく、モモンガがモモンガでなくならない様にかけた保険で実際には死んですぐに蘇る筈だったのだが、『女神ゴロシ』により、チートも加護も狂わされてしまい。酒が抜け、機能が回復するのに3ヶ月もかかってしまった。本当に厄介な酒を渡したアクアは駄女神である。

 

 ところで話は変わるが、先輩女神にこんなに過保護にされているのは鈴木悟一人だけである。その理由は、彼女が地上の調査(息抜きとも言う)で『ユグドラシル』をプレイしてたところ、凄いカッコいい魔王ロールプレイする奴がいるぞ!と見かけたのをきっかけに、観察したのが始まりである。

 

 彼のプレイスタイルは凄い様になっており、カンスト勢の中ではロール重視のビルドでステータスが劣るにも関わらず、PVPでは経験と分析力によって無類の強さを誇ってた。ロールプレイを大切にしながらも文字通り、全てを投入して全力で遊んでいた彼の生き様は先輩女神の心を引きつけた。真面目で誠実なところもプラスだ。たかがゲーム、だがされどゲーム。本気でやればそれは本物になる。彼女にとって鈴木悟の魂が持つ輝きはまさに物語の主人公のように光り輝き綺麗で魅了するもの。彼の『ユグドラシル』内での行動は先輩女神の感情を動かし心をワクワクさせる。特に1500人のプレイヤーから集まる討伐隊がナザリック地下大墳墓へ侵攻し防衛側の彼が活躍したのを侵攻側のプレイヤーの中に混じり、間近で見た彼女の興奮と感動は今でも、先輩女神の良い思い出だ。そう、先輩女神の推しキャラ。つまり、彼女はモモンガの大ファンなのだ。

 

 異世界に送り経験を積ませてから、眷属に迎え入れようと計画するほど入れ込んでいたのだが、アクアによってそれは破綻した。何処を探しても鈴木悟の魂は見つからず、今の先輩女神は鬱になり引きこもってしまう。そのせいか、管理している世界が放置されてしまい徐々に問題が起きて部下の天使達が対応の忙しさで死ぬ思いをしている。ほんと、順調にアクアは罪を重ねている。

 

 まぁ話を戻すが、ウィズの体は目の前の怪物が起き上がる時に力んでた余波で漏れ出したオーラな様なものにあてられてしまい、金縛りにあった様に手足が動かなくなった。しまいには力が抜け後ろに座り込む様にぺたんと尻餅する。

 

 〈絶望のオーラⅠ(恐怖)〉。ウィズはオーバーロードの持つスキルによって恐怖という名の状態異常にかかっていた。効果は文字通り恐怖で怯え、体が思い通りに動かなくなる。だが、彼女の体に引き起こされた影響はそれだけでは無かった。

 

(体が熱い・・・。なんだろうコレ?変な気持ちになってきちゃった・・・)

 

 ウィズの顔は赤くなり、下腹部あたりが疼くのを感じた。慣れない。いや初めて体験するかもしれない現象が自分の体に起き、困惑するウィズ。発情。つまり、性欲が刺激されエッチな気分なっているのをウィズは自覚できなかった。いや、したくてもできない。だって、彼女にはそういった経験がないのだから。

 

 年齢=処女歴。ウィズは生まれてから彼氏ができたことがなくキスは勿論のこと、恋人と愛し合いエッチな事をする様な淫ら事は縁が無かった。勿論、それなりに長く生きてきたので知識としては知っている。でも、自分の都合で恋は半ば諦めているのもあり彼女は生娘のままでこのような性的な感情は体験した事がなく判断ができない。そう、あまりにも経験不足なのだ。知識と本物は違うという事。え、一人でヤッてないのかだって?知らねぇよ!!

 

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

 

 鈴木悟は自分に何が起きているのかを一旦、頭の隅に追いやり目の前の腰を抜かした見知らぬ美女を心配して声をかける。

 

「ひょぇぇ」

 

 彼女は涙目で何かに怯え恐怖している様に見える。しかし、顔が赤い。動悸がするのか、肩で息をしている。その際、大きい胸が揺れとても扇情的な雰囲気を醸し出している。とてもエロいと鈴木悟は思ったがそれ以上に何かが起きていると感じた。原因は自分のスキルなのだが。

 

「本当に大丈夫ですか?」

 

 彼はウィズの側に近寄り彼女の様子を心配する様な言葉を言う。・・・さっきより、顔が赤くなり動悸激しくなってないか?目もトロンと焦点が合ってないように見える。流石にヤバイ雰囲気だと思った鈴木悟は医者か病院や診療所などの場所を知っている人のところまで彼女を運ぼうとウィズの肩を持とうとする。今の彼は日本にいる時より体中に力が漲っており女性一人を抱えるなど小枝のように簡単に持てると確信していた。

 

 そして、鈴木悟の手がウィズの体に触れてーー

 

 

 

 

「あぁああん!!イッくぅ!!!ダメェぇええ!!!変なのきちゃぅうう!!!」

 

 

 

「え」

 

 

 ビクンビクンと痙攣するウィズ。それを見て、混乱する鈴木悟。

 

(えぇ〜!?!?ナンジャコリャ〜!?!?・・・ふぅ。なぜだか急に気分が落ち着いたぞ!?)

 

 オーバーロードの基本能力の一つ。後々の(鈴木悟にとって)地雷になる能力。精神作用無効により冷静になった彼はなぜ急に彼女が絶頂してしまったのかを考える。

 

(ん〜。手が白い骨だ。やっぱりそうか)

 

 鈴木悟は自分の骨だけの手を見て、自身がアンデットの中のスケルトンになってしまったのをすんなりと自覚した。だって、周りに墓石が見えるという事は此処は死者を埋葬する墓地という事だし、体が妙に軽いのも肉がないからだ。状況的に考え、自分が不死者として異世界のファンタジー的な力で蘇ったのだろうと推測できる。ファンタジーってすげぇ!

 

 だが、それでは彼女がイッてしまったは説明ができない。鈴木悟はその事で少し気になった事があり、墓石の近くに生えた雑草を握る。

 

(・・・枯れた。しなしなだ。これはたぶん〈負の接触〉だ。俺が『ユグドラシル』で良く使っていたスキルが現実になったらこうなるだろうか?テキストには触った相手に負のエネルギーを送り込むと書いてあった気がする。このスキルが使えるということは、俺はただのスケルトンでは無くモモンガになったのか!?)

 

 自身の変化を正常に理解した彼は驚愕する。それと同時に安堵した。自分の全てをかけたものが無くならず手元に残った事が嬉しかったのだ。まぁ、骨のゲームアバター自身になってしまった事にはかなり動揺したが。自分はもう人間じゃないの!?人間を突然やめてしまったら誰もこうなるだろう。

 

 自分がオーバーロードになったということは理解した。それでもウィズが未だに「あぁんあぁぅもうだめぇ〜」とエロい声で喘いでいる原因には繋がらない。でも、解決の鍵となるものはあった。

 

 〈負の接触〉だ。

 

 このスキルは命ある生き物に触るとネガティヴダメージを与えるというものだ。英雄や賢者といった強者はまだしも、オーバーロードのモモンガが唯の人間の腕や肩などに触れればすぐに腐り落ちるだろう。それほど凶悪なスキルだ。

 

 それなのに触られたウィズは腐るどころか、快感を感じて絶頂している。・・・なんで?なんで感じちゃうの?

 

 鈴木悟には思い当たるフシがあった。ネガティヴダメージを受け入れても大丈夫な存在。それはアンデットだ。自身も負のエネルギーで回復できる。ということは、

 

「彼女はアンデッドなのか」

 

 モモンガのスキルに〈不死の祝福〉というものがある。効果はアンデット感知。そのスキルを使うと目の前のビクンビクンとしている彼女はやはり不死の存在だったとわかる。ウィズの正体はリッチー。凶悪な不死の大魔術師だった。逆に普通の人間だったら大惨事だ。ウィズが最初に出会う人で本当に良かったと鈴木悟は思った。

 

 つまり、彼女はモモンガから生まれた濃密な負のエネルギーを受けて、それを己のものとしたという事だ。

 

 そして、その際にとても信じがたい事だが、エネルギー吸収に快感を伴ってしまった。それがウィズがイキ堕ちてしまった原因だった。

 

 これは正常な事ではない。バグだ。本来、鈴木悟は送られるはずの異世界でこの力を行使するはずだった。そこではちゃんと法則があり、先輩女神もそれを管理しデバックもしっかりとやっていてこんな問題は起きるはずがなかった。

 

 まぁ、その異世界ではの話だが。

 

 実際、この世界ではそもそも先輩女神の管轄外で、『ユグドラシル』を模した力を使わせる予定も無く、どのような問題が起きるか調査もしていなかった。不都合が起きるのは当然だった。負のエネルギーの譲渡に快感が加わるのもこの世界の不具合の一つだ。それに、先輩女神が与えたチートも影響してくる。

 

 鈴木悟に与えた力はあまりにも強大だ。下級の神ならば簡単に八つ裂きにできるだろう。現実には、神によって相性もあるので苦戦を強いられるかもしれないが総合的に中級下位の神と同等の力量とPVPの経験で負ける事はない。流石は先輩女神。やりすぎだ。

 

 そう、神に匹敵するほどの力を持ったアンデッドなのだ。モモンガの負のエネルギーは他のアンデッドよりも3000倍くらい濃密すぎるのだ。それがさする程度マッサージぐらいの気持ち良さが媚薬服用超強力パワフル電マに変わるほど影響を与える。感度3000倍だ。凄くない?

 

 ウィズがこうなってしまうのも無理はないだろう。

 

 

 

「はぁ。はぁ。はぁん。凄いです〜。魔力がすごい漲ってきましたよ〜♡。も、もっと触ってください♡」

 

 

 痙攣が治った彼女の第一声はさらなる快楽の要求だった。今のウィズの目はハートマークになっている。・・・堕ちたか。もう最初の頃の恐怖や死への危機は無い。本能が彼を求めている。

 

 それに、彼女の肌のツヤが良い。なんとウィズの健康面にも作用したのだ!具体的にいうとちょっと触っただけで3日間食事しなくても大丈夫なくらいに栄養補給できる。魔力も同等だ。しかも、とりすぎても害はない。細かい説明を省くがメリットしか無いのだ!ウィズはそれを本能で感じ取ったため欲したのだ。まるで仙◯かな?

 

 つまり、鈴木悟はウィズにとって快楽と栄養を同時に取れる夢のエネルギーを持つ男になる。

 

「ぇ。わかりました。触りますよ?」

 

「は、はい!!ありがとうございます!・・・っん!あぁああああん!イっちゃう!!あぁあ!しゅごいぃいおおおお!!!しゅごいのきちゃううぅうう!!!」

 

 鈴木悟はひたすら彼女の腕をさすると同時にウィズの嬌声が墓地に鳴り響く。精神作用無効の恩恵を受け、彼は常に冷静だ。自分の今の立場を考え、生き抜く為の情報を得るのには彼女の言うこと聞くのが一番だろう。何しろこの世界の事を彼は何も知らないし、怪物になった自分を受け入れてくれる社会なのかわからないのだから。とりあえず、目の前の女性は好意的に接してくれてる。それを逃すのはもったいない。現在進行形であられもない姿をしているのは気にしないでおこう。

 

 彼は冷静だ。能力のおかげで強制的に。逆にそれがなかったらどうなっていたのだろうか?・・・いや、本当にどうすればいいだろう?わからないよ。どうなるの?

 

 

 

「あひぃー。あふぃー。あへぇー」

 

 

 

 鈴木悟がやりすぎたのか、ウィズは意識を失いかけていた。その時の顔が伝説のアヘ顔である。その時の彼は性欲が微塵もなかったため、アヘ顔といえばペペロンチーノさんだなぁとかつてのギルドメンバーの事を考えてた。

 

 というか、君たち。今更だけど、墓地でエロいことすんなよ!墓地なんだぞ!そこは!

 

 まぁ、そんなこんなで、満足したウィズに鈴木悟は気に入られ、一緒にアクセルの街で同棲しちゃったというわけだ!

 

 ぶっちゃけ、まるでバター犬を拾ったかのようなみたいだね!彼は大人のおもちゃとかじゃないんだぞ!

 

 

 

 

 

 

 

(もうあれから、半年か。ウィズとは3ヶ月。・・・幸せなのにつらいなぁ)

 

 そして場面は回想から現在へと戻る。

 

 いつもの様にベッドの上でアヘ顔を決めているウィズ。それを見た鈴木悟は少し不機嫌に近い感情をもった。

 

 一人だけ、気持ちよくなりやがって。もっとアヘアヘさせて無理とか言ってもやめねぇぞ!そんなウィズにムラムラと苛立ちを両方合わせたエロい感情を覚えた鈴木悟。なんか彼女をウサ晴らしにいじめたくなってしまった。

 

「ふぇ?サトルさん!?」

 

 鈴木悟は彼女を抱き寄せ、頭を優しく撫でる。そして、耳元に顔を近づけ愛の言葉を囁く。

 

「ウィズさん。いつもありがとう。君のおかげで俺は幸せになれた。本当に感謝している。ありがとう、愛してる」

 

「っ〜〜〜!?!?!?」

 

 彼が彼女に行なった行為は『言葉責め』。もう溜まりに溜まった彼女に対する思いを告白して性欲を発散させようと試みる鈴木悟。もうヤケクソだ。それに未だ童貞だが、ロールプレイをたくさんしていた彼に愛の言葉などに恥じらいなどない。そして、ウィズにとっても効果はあるようだ。いや、ありすぎるようだ。実のところ、彼女は告白されたのが初めてで想像以上に舞い上がっている。快楽堕ちしてアヘ顔などしている場合では無い。

 

 一方的な快楽から始まった二人の関係だが、彼に堕ちたウィズはまだしも、鈴木悟も彼女を意識していた。だって外見はすごく綺麗で可愛いし、巨乳で気立てもよく性格も良い。それでいて怪物である自分を気にかけてくれる。それにアンデッドになって人間性を失わなかったのはウィズが側にいてくれたからだ。もう彼女なしの生活は考えられない。童貞鈴木悟の心は彼女に射止められてしまったのだ。しかも、毎日あられもない姿を見てるしこれで好きにならない童貞はいないだろう。いないよね?

 

 骨の体で性欲を発散できないがそんなものは関係ない。

 

 彼女を愛しているのは本当だ。そして、それを伝えるのもこれが初めてだ。

 

 少々、ヤケクソ気味で行動に出てしまったが彼女の気持ちも察してるし、自分もまた気持ちは変わらない。

 

 3ヶ月間、彼女と過ごす日々は日本にいる時よりも幸せだ。数億倍幸せだ。一緒にいるだけで心が満たされる。正直、『ユグドラシル』をみんなで遊んでいた時よりも充実している。ウィズに出会えた。それだけでも色々とアクアのおかげで悲惨な目にあったが異世界に来てよかったと思う。

 

 ウィズもだ。最初の頃は頭が完全に性欲に支配されてたが、行為を続けるうちに精神的にも充実し、依存するようになった。もう、鈴木悟が側にいるだけで幸せな気持ちになる。

 

 それに、恋人がずっといなかった彼女にとっては鈴木悟は肉や肌ないけれど理想の相手だった。何も言わなくても日本人特有の気立ての良さでいつも自分を優しく気にかけてくれ、強くて頼りになるし、店の経営も彼が手伝ってくれて大赤字から大黒字になった。しかも、彼女の仕入れのやり方を尊重してだ。たまに手伝ってくれる友人の大悪魔。バニルならこうはならないだろう。

 

 ウィズの仕入れる品物のアイテムは高性能だが、無視できないほどの難点がある。しかも効果の割に高価すぎて売れないものばかりだ。あまりにも出費が多く。収入が少なすぎて大赤字になり、生活費すらなくなってしまった彼女は霞を食べて日々を過ごしていたという。アンデッドなのでそれで死なないのが救いだが。

 

 商材が悪すぎる。それでも鈴木悟の元営業という職歴を生かし、需要を見つけ売りさばいた。品物を売る為に冒険者となって実際にウィズのアイテムを使って宣伝したり、キマイラやワイバーンなどの強力なモンスター倒しまくって名声を高めた彼の言葉はギルドも街の商人も無視できない。そう、鈴木悟はアンデッドなのに冒険者になるという、周囲の人間に正体がバレる危険を犯しながら愛する彼女のために行動したのだ。実際、登録時に危ない場面があったが、『ユグドラシル』時代の友人のクリスが偶然にもその場にいて、彼女の機転で事なきを得た。この時の騒動は長くなるので、次のお話にしよう。また、ウィズに内緒で登録したので、その事を知った彼女はすごく心配しつつも、心がキュンとしてとても嬉しかった。男性経験がない彼女が心から彼に惚れてしまうのも無理ないだろう。

 

 そして、やっぱり一番は夜の営み。栄養補給と半分嘘を言っているが、鈴木悟と肌を(一方は骨)合わせるのが好きなのだ。気持ちいいし、幸せな気分になる。まだ、ウブなので服を脱がず腕のみだが。

 

 なので、恥ずかしくて言葉で伝えていないが、ウィズもまた彼を愛している。

 

 鈴木悟とウィズは両思いなのだ!やったね!

 

 

「ウィズさん。やっぱり俺の手で感じてますよね?今だってそうだ」

 

「あぁん。あぅ。はぃぃ」

 

「言うのが恥ずかしかったんですか?でもそんなウィズさんも好きですよ。お店で仕入れに失敗して落ち込んでいるウィズさんも成仏できない魂を浄化する優しいウィズさんも俺が女性冒険者に話しかけられて嫉妬するウィズさんも全部好きです。本当に可愛いですね。ウィズさん。

 

 それで、もっと可愛いところ見せてくれませんか?」

 

 ウィズの耳元で囁く執拗な愛のある言葉責め。こやつ本当に童貞なのか!?と思うほどプレイボーイの様なセリフをウィズの耳に囁く鈴木悟。実はこれ、彼の努力の賜物だ。毎日、彼女を喜ばせるにはどうしたら良いのかを考え、ウィズに隠れ街に住民や冒険者仲間のみんなに恋愛相談をしまくって勉強していたのだ。

 

 

「愛しているよ。ウィズ」

 

「っくぅ〜〜〜!?!?」

 

 

 そう言って鈴木悟はウィズの下腹部辺りに右手を伸ばす。もう彼女の脳みそはイケメンボイスの日◯聡cvの愛の囁きでトロトロになっている!やめて!もうウィズのライフはゼロよ!

 

 〈魔法最大強化〉〈魔法効果範囲縮小化〉〈魔法無詠唱化〉《大致死》!!

 

 鈴木悟はダメ押しの〈負の接触〉より凄い負のエネルギーを打ち込む魔法を彼女の体内に染み渡るように唱えた。もっとウィズを気持ちよくさせたい。幸せな気持ちにさせたい一身で。

 

「わ、私もサトルさんのこと愛して・・・ぇええまぁああぁあすぅう!!!だめぇえええ!!!サトルさんのすごいの!!すごいのぉおおきちゃうううううう!!!濃いののぉお中にきちゃぅううう!!!」

 

 ウィズは凄すぎる快感によって叫びに叫んだ。近所迷惑など、お構いなしだ。防音もせず、もう毎日なのでそれを聞いた人はたくさんいる。おかげで、ムラムラしてしまう人がいっぱい出てサキュバスが運営している風俗が毎日繁盛している。まぁ、鈴木悟は遮音の魔法が使えるはずなのだが、冷静な頭ですでに音漏れに気付いているにも関わらずそれでも使わない。それは俺と同じ思いしろという子供レベルの嫌がらせなのだ。幼稚過ぎる・・・。が皆、チ◯コがあるので鈴木悟ほど辛くなくあんまり効果はない。

 

「またや、やりすぎてしまったか・・・」

 

 下腹部辺りに魔法を唱えてしまったせいか、効果が倍々増。結果、ウィズは失神。まぁ、それは毎日のことなのだが今日はいつもより凄すぎる気持ちよさで体が脱力してしまい、スカートが液体で濡れてしまった。なんの液体かはご想像におまかせする。もしかして"聖水"?

 

 鈴木悟は少し困惑したが、以前にも経験があるので汚れを綺麗にする魔法を手慣れた手つきで唱え、ベッドに横たわる彼女の乱れた衣服を整えた。

 

 

「ふぅ・・・。やっぱり綺麗だなぁ」

 

 

 彼は彼女の頭を撫でながらウィズの寝顔を見た。綺麗。彼女の顔はとても美しい。そう感じた。最初にあった頃よりも魅入られる。こうやって、夜の営み?を重ねるほど愛おしくなる。ウィズのためならなんでもできそうだ。例え、世界を敵に回しても。鈴木悟は本気でそう思う。でも、実際できてしまうの実行は本気でやめてほしい。切に願う。

 

 彼の防具や武器は先輩女神の粋なはからいでアイテムボックスに入っていた。ただし、身につけていた装備だけで消費アイテムや素材などはなかった。しかし、それでも神器に匹敵するものばかりで世界征服には支障はない。世界位級のアイテムもギルド武器までもだ。なので、強さはほとんど『ユグドラシル』そのままである。

 

 まぁ、強すぎるので普段、冒険者をやるときは魔法で作り出した全身鎧と大剣で戦っているが。

 

 

 

「はぁ・・・。やっぱりアレがないと辛いなぁ」

 

 鈴木悟はウィズとの行為を終え、椅子に座り落ち込んでいた。理由は・・・言わなくてもわかるだろう(血涙)?

 

「魔王倒すか?」

 

 つい先日、友人のクリスから転生者は魔王を倒せば、なんでも願いを叶えてくれるらしいと聞いた。なんとアクアと同じクリスも女神らしいのでその情報を知っているとのこと。

 

 チ◯コを取り戻すには自分の手持ちの中に他にも方法があるが、レベルが下がるなどデメリットがあって正直それを許容できるほど無責任になれない。ウィズを守る力がなくなるなど話にもならない。魔王退治が一番現実的だ。ていうか、アクアはその説明もしなかった。ほんと・・・もう言葉が出ないよぉ。

 

 なんで、クリスが自分の身分を明かしてまで教えてくれたかというと、不可抗力だがこの世界に鈴木悟が来る原因を作ってしまったための罪滅ぼしだとか。説明を聞けば、アクアが全部悪いので彼は全然怒らなかった。むしろ、冒険者登録で助けてくれてむしろありがたかった。そして、クリスの正体。幸運の女神エリスを祀るエリス教に入信し、アクアに復讐を共に誓ったのは自然な流れである。

 

「でもなぁ・・・」

 

 魔王を倒す。それは簡単だ。実際、それを知った彼はすぐさま飛行魔法で魔王のいる場所へ直行。魔王城を守る結界も試しに魔法を放ったらぶち壊せたし守る魔族やモンスターも〈絶望のオーラ〉で軽く脅しただけで必死に逃げてった。それで拍子抜けだったので幹部の一人をウサ晴らしに尋問していたらウィズが魔王幹部の一人だとわかってしまったのだ。わかってしまったのだ・・・。

 

 ウィズが魔王幹部の一人。それを知ってしまい鈴木悟は凄い苦悩した。そして自分を責めた。だって自分が働いている職場に彼氏が突撃して暴れまわったらどう思う?ドン引きされない?そう思った彼は、すぐさま幹部や姿を見られた全員に記憶操作の魔法をかけ鈴木悟に関する記憶を消して何事もないように転移魔法でアクセルの街へ帰ったという。幸い、実害が結界のみで死傷者はでなくてよかった。まぁ、でもこのことはウィズには言えない。

 

 そう、世界の命運とか、平和などに彼は興味が無かった。ウィズがどう思うのかが一番大事なのだ。彼女には嫌われたくない。そのため、魔王城に突入して彼女の職場を荒らすのは躊躇してしまう。いや、無理だ。もう、魔王倒せない。まぁ、ウィズにその悩みを打ち上げればすぐ解決すると思うのだが彼はしないだろう。それほど、彼女に嫌われるのが怖いのだ。

 

「あぅん・・・。サトルさんしゅき・・・」

 

 夢心地が良いのだろうか、そんな寝言を言うウィズ。それを聞いた鈴木悟は表情はないが微笑んでいたように見えた。優しい気持ちになる。幸せな気持ちになってしまう。そして、ますます愛おしくなってしまう。

 

 

「まぁ、まだいいか」

 

 

 性欲が発散できないだけで、22世紀の日本で生きていた頃と比べ今はとても充実している。いや、人生の中で一番といって良い。幸せなのだ。これを崩したくない。崩壊してしまったら何をするかわからない。人間の体は惜しいがウィズを失うくらいならいらないのだ。幸い、二人共不死者だ。時間はいくらでもある。

 

 それに、彼女と一緒にいるだけでも良い。ウィズと二人でお店を経営するだけでも良い。ウィズの食事風景を見るだけでも良い。ウィズの笑顔見るだけでも良い。ウィズの手に触れるだけでも良い。ウィズの髪の良い匂いを嗅ぐだけでも良い。ウィズのアヘ顔を見れるだけでも良い?そう、彼女と共にいればどんなに小さなことでもそれだけで幸せだ。そして、ウィズもまたそう思っている。今、彼らは幸せの渦の中にいる。それも抜け出せない渦だ。

 

 もう、何があってもウィズと鈴木悟は離れないだろう。一生だ。100年も1000年も100000年も。永遠で幸せな共依存。

 

 

 そう、彼女と彼は両思い。ウィズと鈴木悟は運命の赤い糸で結ばれているのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




〈観覧注意〉









ちなみにベルティアにアインズ様が触れると・・・?

安元ボイスのベルティア「おぉおおおおん!!!いっぐぅううううう!!!な、中にしゅごいいいのきちゃううぅうう!!!メスイキしちゃうぅううう!!!」

アインズ様 「・・・えぇ(ドン引き)」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。