からっぽ島開拓記~ナザリック風味~   作:甲斐太郎

45 / 46
番外編『モモンガへのどぎつい復讐』

よーし きょうは たびのとびら しゅうへんを せいびするぞ

 

『ウゴゴ』

 

まずは きれいに せいちして~

 

『デュアッ』

 

りふぉーむで いせきらしくして~

 

『デュデュア』

 

あれ なんか たびのとびらから ひかりが

 

『ウゴ?』

 

ぬわぁ~~~

 

 

 

 

 

緑の開拓地にある集会所に急遽招集されたアインズ・ウール・ゴウンのギルドメンバー20人は、ガルガンチュアに肩車されたビルドを見て、頬を引き攣らせる思いになった。顔や体のあちこちに絆創膏が貼られ、目は据わって頬を膨らませており、機嫌が非常に悪い。破壊神の力はすべてハーゴンに抜き取られたはずなのに、赤黒いオーラを身に纏っているように見える。

 

「おい、るし☆ふぁー。お前、次は何をやらかしたんだよ?」

 

「ウルベルトさん、冗談きついって!まだ、俺は何もやっちゃいねぇよっ!」

 

「『まだ』って、何かやらかす気ではいるんだな。しかし、るし☆ふぁーではないとするとビルドくんを、あれだけキレさせているのは一体、誰なんだ?」

 

ウルベルトさんとるし☆ふぁーさん、たっちさんの会話を聞きつつ、俺は黄色い空を眺めていた。2週間に1回は行われるアルベド主導の絞り取りタイム。その翌日は何もしたくないというのに。立っているだけで辛い。

 

みなさんに あつまって もらったのは ほかでも ありません

 

おーばーろーどの ももんがさんに せいだいな いやがらせを したいので

 

どぎつい あいでぃあを おねがいします

 

 

その場にいた全員の視線が俺に集まった。

 

俺自身はビルドに何かをしたということ自体、身に覚えがなく、名指しで嫌がらせ宣言された瞬間になくなったはずの心臓が飛び跳ねた感覚に陥った。俺はメンバーの波を掻き分け、ビルドの前に躍り出ると『どぎつい嫌がらせ』の意見を求める彼に文句を言う。

 

「ちょっと待て、ビルド!俺はビルドに恨まれるようなことをした覚えはないぞっ!」

 

こっちの ももんがさんは ひっこんでて

 

ぼくは おこっているんだ

 

あっちの ももんがさんには じごくを みてもらう

 

「「「「こっちのモモンガさん?あっちのモモンガさん?」」」」

 

ビルドはギルドメンバーの皆の疑問を聞いて、説明を省き過ぎたかと頭を手で掻いた後、この召集の経緯を説明する。

 

・ギルドメンバーが転移してくる『たびのとびら』周辺の整備をガルガンチュアとしていた

 

・たびのとびらが起動して、異世界に迷い込む

 

・転移先は森の中。少し探索した先の村で俺とアルベドを発見し、声を掛ける

 

・殺されかける

 

・森に逃げたらアウラが放った魔物たちに追い掛け回される

 

・気づいたら元の場所に帰ってきていて、ガルガンチュアに介抱されていた

 

・このうらみはらさんでおくべきか ↼ いまここ

 

とうぶん いもうとさんには らーのかがみは かしださない ことにきめたので よろしく

 

「理不尽っ!?」

 

視界の端で妻となったアルベドが姉と妹に連行されていく姿を見つつ、あっちの世界の俺とやらはとんでもない奴を敵に回したようだなと遠い目になった。

 

 

 

 

いつも通り、会議の進行役を務めるベルリバーさんがメンバーの前に立ち、会議で出た意見を採用不採用問わずにすべてをスケッチブックに書き記す役目を勝ち得たユリに目配せをして、

 

【カルマ値が極悪のオーバーロードであるモモンガ改めアインズ・ウール・ゴウンに対する嫌がらせアイディア討論会議】

 

が開始される。会議の発案者であるビルドはじっと、ユリが書くスケッチブックの紙面を凝視している。

 

「その村とやらにアルベドを連れて行っている時点で察することが出来るけれど、多分その世界に転移したのってモモちゃんとナザリックのNPCたちだけだよね」

 

ぶくぶく茶釜さんの考察を聞いて、俺はあり得たかもしれない、“もしもの世界”を思い浮かべる。

 

この世界に適合する形で弱体化した俺たちだが、もしもユグドラシルのステータスそのままで異世界に転移していたら、俺TUEEEからのギルメンの子どもたちTUEEEで世界を蹂躙しただろう。優秀な頭脳を持つ守護者統括のアルベドは俺を愛するようにプログラミングされていて、多分夜のお誘いが半端ないだろうし。デミウルゴスはその頭脳を用いて様々な策略を提示してきただろう。

 

薄っすらと考えただけで胃が痛くなる。しかも、精神安定剤となるギルメンが皆無とか俺だったら辛過ぎて泣くぞ。

 

いや、極悪ギルドの長である支配者はそんなことでは泣いていられないか。

 

弱みを見せられないとか。……つ、辛過ぎる。俺はこの世界に転移してよかった!

 

「オーバーロードって本来は寝食不要だよね。精神攻撃もほとんど通じないってことは、何かしらショッキングな出来事があっても、強制的に冷静になっちゃうんじゃないかな?常に冷静沈着で、極悪ギルドの長らしく、『下等生物は消毒じゃー、ヒャッハー』ってやっているのかな?」

 

「それならビルドくんが逃げ出せたのは奇跡だったかも。アウラも魔獣たちに殺せって命じていただろうし」

 

ヘロヘロさんとぶくぶく茶釜さんの話を聞いて、俺は密かに向こう側の世界の俺に対して怒りを募らせる。対峙したらその瞬間、殺される自信があるが一言くらいは文句を言いたい。『俺の親友であるビルドになんてことをしてくれたんだ!』って。

 

「なぁ、ビルっち。この世界の物はどれくらい持ちこめんの?」

 

その時、るし☆ふぁーさんがビルドに尋ねた。ビルドは彼の近くに寄って行って、袋の中に入れてあるものは全部そのままであったことを伝えた。それを聞いたるし☆ふぁーさんはニヤリと笑う。

 

「こっちのアイテムが持ち込み自由なら、嫌がらせの方法は山ほどあるな。例えば、【ラーの鏡で人間にしたモモンガさんにこっちの世界で作った料理を食わせる】とか。【守護者たちやメイドたちの間で人気の禁書をばらまく】とか。【モモンガさんとアルベドの結婚式の様子を描いた絵を飾る】とか。やりようはあるよな」

 

「食事はともかく人間の姿にするっていうのは衝撃がでかいだろう。禁書については目を通せていないから意見のいいようがないが、モモンガさんとギルドメンバーの我々が仲睦まじくしている様子を描いているのであれば、NPCたちはこぞって買い求めるだろう。それこそ、『お前を殺してでも奪い取る』の精神で。最後の奴は、確実にアルベドが天元突破するな。いろんな意味で。最近のお腹が大きくなったアルベドも描いてやれば、効果は抜群だな」

 

「あちらの守護者統括殿が暴走するのは確実ですねぇ」

 

るし☆ふぁーさんの意見を自分なりに解釈した、たっちさんの意見に同意するようにパンドラが大きく頷いていた。パンドラは俺とアルベドが結婚出来るようにビルドと共に尽力していたらしく、俺としては褒めればいいのか、それとも恨めばいいのか分からない活躍をしてくれた。

 

「なぁ、ビルド?その『旅の扉』って俺たちは使えないのか?」

 

いけないことは ないとおもうけど つかまったら かんきんるーと まっしぐらだよ?

 

ぼくらじゃ あっちの ももんがさんたちに かてないから きゅうじょは あきらめてね

 

 

素朴な疑問を投げかけたペロロンチーノさんだったが、ビルドの斬り返しにその様子を思い浮かべ、首を横に振る。それくらいなら、こっちのシャルティアを愛でている方がいいやと彼女を抱きしめる。創造主であるペロロンチーノさんの腕の中に抱かれたシャルティアは幸せの絶頂と言わんばかりの姿を見せている。

 

その情景を見ていたビルドがスケッチブックにサラサラっと描いた。色鉛筆も使って、まるで写真のような出来栄えである。

 

よし こうなったら ここにいる みんなの

 

たちえを かいて あっちのせかいで ばらまいてくれる

 

そう言ってビルドは創造主とその子どもというセットで集中して絵を描いていく。

 

アルベドに関しては俺とのツーショットの立ち絵と、タブラさんと3姉妹での立ち絵の2パターン。

 

コキュートスは武人建御雷さんとお腹が大きくなった嫁さんの3人バージョンだ。

 

これは色んな事件を引き起こしそうだと、あちらの世界の自分に俺は静かに冥福を祈った。

 

 

 

再印刷された禁書(モモヘロ、モモペロ、モモマレ)が1冊ずつ、

 

現在のナザリック島にいるギルドメンバーの立ち姿が描かれた絵画(額入り)を袋に詰め込んだビルド。

 

彼が背負うのは、どんな硬いものでも壊して素材化することができるビルダー専用ハンマー、その名もビルダーハンマー。そのまんまだが、仕方がない。

 

目の奥に闘志を燃やし、リベンジする気満々のビルドを見送りに旅の扉がある洞窟にやってきた俺たち。確かに旅の扉は淡い光に包まれており、神秘的であるが、下手したら二度と戻ってこれないような雰囲気を醸し出している。NPCたちも危険を察知しているのか、近づこうとしない。

 

じゃあ いってきます

 

ぼくは おんもおんも それそうおうに かえすおとこのこだ っていうことを

 

そのほねに たたきこんでやる!

 

とうっ!

 

 

そう言って旅の扉に飛び乗ったビルドが光に包まれて消えた。

 

そういう仕組みなのかと興味深そうに見ているのは、源次郎さんとタブラさんだ。ただし2人とも源次郎さんはエントマに引っ張られ、タブラさんはニグレドに手を引かれているので近づけないけど。ぴとっとくっつく気配を感じ、見てみるとアルベドが潤んだ瞳で俺を見上げていた。

 

「安心しろ、アルベド。さすがに俺も、未知の異世界に行くつもりはない。まぁ、お前を助けるためにゲートに踏み込んだことは見逃してくれ」

 

「もう、モモンガ様ったら」

 

ぷくっと頬を膨らませて抗議するアルベドの頭を撫でていると、背中に突き刺さる視線を感じた。恐る恐る見ると、嫉妬マスク同盟の面々が見ていた。

 

俺は見せつけるようにアルベドの腰を自分の方へ引き寄せたのだが、それは火に油を注ぐ行為だったらしく、俺たちはその場でPVPをおっぱじめることになるのだった。

 




原作崩壊待ったなし(∩´∀`)∩
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。