双夜譚月姫   作:ナスの森

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先に謝ります。
霊夢ファンの皆様、ごめんなさいっ!!(土下座)

後、一部空の境界の描写をパクっている所がありますので、そこの所をご了承ぐださい。


第十夜 『浮遊』する巫女と『死』を視る殺人貴

 ――――頭が……痛い。

 ――――脳髄が溶けてしまう程……熱い。

 ――――寒気が……する。

 ――――視界がおかしくて……目眩がする。

 ――――息が、苦しい。

 ……だが、それ以上に――――昂揚、歓喜、狂喜する……ッッ!!

 

「ク……アハハハッッ……!!」

 

 ――――ああ、世界に死が満ちている。

 何も考えられない。何も見えない。何も感じない。……もう、何の感覚も分からない。

 ただ……手に届くことない最高の獲物との殺し合いを楽しむ

 ――――否、ソレは殺し合いというにはあまりにも一方的すぎた。

 ……視界を埋めてしまう程の弾幕。

 七夜はソレを木と木の間を跳びながら、時には空中をも高速で蹴り、回避し、ソレでも避けきれぬモノはナイフで受け流し、時には魔眼で“殺”してゆくものの、数々の弾幕が彼の身体を掠め、ソレが徐々に彼の体力を奪ってゆく筈である。

 ――――しかし、男は笑っていた。

 殺し合いとは、互いに殺すべきであると。

 殺し合いとは、互いに命を奪い合うべきであると。

 殺し合いとは、互いに傷付けあうべきだと。

 ……しかし、これまで一度たりとも彼の凶刃が眼の前の巫女に届くことはなかった。

 ――――それでも、男は笑っていた。

 身体に疲労が溜まり、身体に傷が増え、身体も限界に近づいている。

 ――――それでも、男は笑みを深くしていった。

 

「楽しい、楽しすぎだってあんたっ!!」

 

 ――――男は楽しげに、そして愉しげに笑う。

 本来、人が生きられる隙間など存在しない筈の弾幕を、蜘蛛の如き動きで、獣以上の速さを持って、木と木の間を交互に跳び、時には弾幕の“死”をなぞり、受け流す。

 ……そしてなお、男はその行為をしていながら、その眼はずっと己の獲物を見定めていた。

 ――――果たして自分はアレを殺れるのだろうか?

 ――――あの美しくて、綺麗で、強かな女をこの手でバラせるのだろうか?

 ……ソレを考えたら、限界に近づいている筈の身体が何故か弾けて、動いてしまう。

 ……この豪雨の中でも、この弾幕の中でも、彼は獲物の姿を見続けた。

 今も彼は彼女に惚れている。

 最高の獲物として、殺したい程に……彼女という存在に恋焦がれていた。

 

「届けてみせるさ。この刃を、想いを、手向けの花を、あんたに――――」

 

 弾幕を避ける事に集中していた男――――七夜はそう呟くと、豪雨の中を駆け出した。

 弾幕を切りながら、獲物――――博麗霊夢の真下を通過する。

 蜘蛛のような低姿勢で、草に隠れ、地を這いながら、それでいて左右にぶれながら速度を落とさずに、風の如く駆ける。

 ……そして、七夜がソコに踏み入れた瞬間、ソレは発動した。

 七夜の周囲に――――博麗の御札が短冊状に付けられた縄が十本、七夜の周りに出現し、七夜を捉えんと殺到する。

 

「……ああ、罠か。これまで四十近く“殺”してきたつもりだったんだが……まだあったのか」

 

 まるで狩猟用の罠のように七夜を捕らえんとする罠形の術式。

 ……罠にかかった狼は、そのまま捕らえられるのみ。

 

「……だけど、もう慣れたよ」

 

 七夜は一番最初に飛んできた縄に走っている“線”を切り、そして他の縄が彼を捕らえる前に、彼は地面にナイフと突き立てる。

 ……ソレはこの縄を発動させる術式の“死点”だった。

 ナイフが縄に突き立てられると同時、殺到していた縄が、ソレに連動するように消滅していく。

 

「ソコね……」

 

 同時に、何処からか声が聞こえる。とっさに七夜は後ろに、七メートル後退。

 七夜がいた所には、無数の御札が地面に刺さっていた。

 ……息をつく暇もなかった。

 

「蹴り穿つ……っ!!」

 

 七夜は地面に着地すると同時、身体を反転させ、虚空に向かい六度の蹴り上げを放った。

 ドン、という手応えを感じた。

 

「――――っ!!?」

 

 その手応えともに、影は再び『浮』き、また元の位置へワープした。

 

 ――――コイツ、なんで止まらないのよ……!?

 

 七夜を一度見失った霊夢は、自分が仕掛けた罠の術式が発動した事で即座に七夜のいる位置を特定し、そこにワープし、後頭部からかかと落としを見舞ったはずなのに、相手はそれすらも予測していたかのように反撃してきたのだ。

 霊夢は戸惑っていた、焦っていた。

 今、現状においては彼女が圧倒的に有利な筈なのに、何だこの恐怖は、この焦りは、この戸惑いは。

 少女との戦いで七夜はもう、身体的にも、精神的にも、限界が来ているはずだった。

 しかし、彼に反撃された時に彼の顔から垣間見えたのは、絶望でもなく、疲労でもなく、“笑み”だった。

 無論、一度夢想転生を解いての攻撃だったので、十分相手の反撃が自分に届いても物理的にも間合い的にもおかしかくはないのだが、ソレでも異常だった。

 ……それどころか、今は相手の刃が自分に届くはずのない状態であるというのに……あの“蒼い眼”が彼女に悪い予感を走らせるのだ。

 たとえ彼の刃が届いた所で、触れられる事は叶わない。

 ……なのに、あの“蒼い眼”を直視すると、何にも干渉されないはずの自分に嫌な予感を走らせる。

 

「ああ、ようやくだ。ようやく届いたな」

 

 そして彼は蹴りが、自分の想いが、彼女に触れたことに歓喜する。

 その蹴った感触を確かに感じ取り、そして忘れなかった。

 ……ああ、今、確かに届いた。

 自分の蹴りが、あの女に届いたのだ。

 

「まあ、届いたと言っても足だけだが……」

 

 ――――だが、次はこの刃を“死”に走らせてみせる。

 七夜は雨に滴れている己のナイフの刀身を眺め、その淨眼の蒼を一層深めながら、ふたたび木と木の間を交互に跳び始める。

 ……そうだ、自分はただ『殺す』だけ。

 ソレ以外にできる事なんて存在しないし、元よりこの身はそれだけしか取り柄のない出来損ないであり、人でなしだ。

 ……だから、そんな人でなしが眼の前の最高の獲物を逃す事など、ありえないのだ。

 霊夢の眼前にある木を蹴ろうとする七夜。

 霊夢も七夜が蹴ろうとする木を特定し、弾幕を撃つ用意をするが――――ソレはフェイク。

 七夜は即座に蹴る対象を木から、今この場にいる空中に切り替える。

 幻想指輪で足場を“幻想”し、そこから直線距離で霊夢へと突っ込んだ。

 

「――――ッッ!!?」

 

 突如、霊夢の予想を裏切る正面からの奇襲。

 霊夢の漆黒の瞳と、七夜の蒼の魔眼が相対する。……霊夢は呆れと焦りを抱きながら、……七夜は興奮し歓喜しながら。

 ……この距離では弾幕を撃ったところで消されてしまう。ならば、どの道相手の刃が自分に触れられないので、何もしないのが一番。

 ……しかし、霊夢の勘はあの凶刃を避けろと告げる。

 そして、七夜の凶刃がたどり着く直前に、霊夢の姿が――――消えた。

 

「やれやれ、また瞬間移動だなんて……これじゃあ、拉致が開かない。アプローチがきかない程つらい世の中なんてないね、まったく……」

 

 そう呟き、七夜は慣性を無視し、地へ急降下。

 そして七夜がいた所は結界で覆い尽くされた。

 ……あと一瞬でも遅れていれば、束縛結界が彼を捕まえ、その命を奪う所であった。

 

「ああ、なんて愉快ッ!!」

 

 それでも尚、愉しげな笑みが消えない七夜。

 元より修羅に身を投げた男――――生の実感よりも死を体験してきたこの男にとって、今この瞬間こそ生きているのだと実感しているのだろうか?

 ……ふと、七夜は霊夢が言ったことを思い出す。

 彼女は、自分のことを“死人”と言った。

 ――――ああ、そうかもしれないな。

 七夜は、今なら彼女が自分が死者と言っていたことが納得できた。

 この世界で眼が覚めた時から、なんとなく自分が出来損ないであることを感づいていた。

 そもそも以前の自分を知らない彼にとって、以前の自分とはどのようなものだったかと、この世界で目覚めてから何度か思った。

 きっと今のように殺し合いに明け暮れていただろうか、と思い続けたが、今思えばソレは違うような気がする。

 記憶を失う以前の自分は、本当に今の自分だったか。

 ソレを確認する術をもう彼には存在しないが、以前の自分が今の自分と違い、真っ当な人間であったとしよう。

 以前の彼が何らかの形で死を遂げ、ソレで何らかの要因で生き返ったと仮定しよう。……一度壊れた魂はもう元には戻らない。

 一度破損した機械が、壊れた部品を拾い集めて再構築されたモノ……ソレは元のままの機械と同じであるか、という例えで言えば分かりやすい。

 

「フフフ、アハハハ……」

 

 その考えにたどり着いた瞬間、七夜は自嘲の笑みを翻た。

 ――――そうか、自分は所謂、“ジャンク品”――――壊れ物という事だ。

 歯車は壊れ、砕き、もう二度と噛みあわない。

 そうなれば、後は戦い、殺し合い続けることでしか己を見い出せない。

 

「なら……とことん狂ってみせるさ。この刃が――――あんたの“死”に届くまで――――」

 

 その為ならば、修羅、出来損ないは愚か――――“餓鬼”にすら、成り下がってみせよう。

 ソレで己の意味を見い出せるのなら、いや見いだせなくても自分にはそうする事ぐらいしかできないのだから……。

 

「いい加減……止まってよッッ……!!」

 

 霊夢は困惑していた。

 これだけ追い詰められておきながら、木々を通してくる強烈な殺気は尚増しつつあり、ソレは敵がまだ己を殺す気でいるという事を暗に示していた。

 霊夢は過ちを犯してあり、霊夢自身もソレは十分に承知していた。

 ……この森林は視界が悪く、しかも日光を僅かにしか通さない。その日光でさえも、豪雨を降らす曇天によって遮られ、実質、月の明かりすらない“夜”に等しかった。

 ソレは、相手にとっては有利な場所であり、自分はソコに誘い込まれた。

 木の上まで逃げてしまっては、しつこいまでに根付いた木の葉が森の上空から彼の姿を隠してしまう為、実質的に彼の空間であるこの森という“蜘蛛の巣”で戦わなければいけない事を。

 おまけにこの豪雨の中では、ただでさえ視界の悪い森も、更にその視界の悪さを増幅させた。

 ……どれだけスペックがこちらの方が上であろうと、戦う者としての能力は彼の方が上であることを、霊夢は思い知らされていた。

 

 ――――それでも。自分の方が、強い。

 

 ソレは彼女の思い込みでも何でもなく、覆しようのない事実。

 男の服はボロボロ、所々から血を流し、更に雨によって体力も徐々に奪われ、精神的にも肉体的にも限界の筈である。

 それに比べて、彼女には傷は一切見られぬどころか、疲れすらも見られない。

 おまけに『浮』いている彼女に、彼の刃は通らない。

 いや、彼の直死の魔眼があれば切れるが、そもそも彼はその状態の霊夢の“死”を理解するのに、多大な負担を脳にかけ、その時点で体力の半分はソレに奪われた筈なのだ。

 おまけにこの森林に入る前の戦闘で、右腕の骨に亀裂が入り、さらに肋骨を二、三本イってしまっている。

 ……それでも、彼の殺しへの“執念”は彼の身体を止める事をよしとしていないのだ。

 “生粋”の殺人鬼は、ただ霊夢という届かぬ極上の獲物を求めて、その“死”を断たんと、迫る。

 その殺気は今まで感じていた殺気とは、“質”が違った。

 紅霧異変の時に、吸血鬼のレミリアから感じた自分を見下す高圧的な殺気とも違う。

 春雪異変の時に、西行寺幽々子の従者・魂魄妖夢の、主を守らんとその剣を振るう美麗な殺気ともまた違う。

 ――――“生粋”の殺人鬼としての、単純で、他の意が混じらぬ鋭くて、純粋な殺気。

 圧倒的に自分の方が有利な筈なのに、それでも霊夢は自身の背中に伝わる恐怖を拭えることができなかった。

 元より、純粋な殺し合いを体験した事など彼女はないのだ。

 彼女の方が圧倒的であるとはいえ、相手の殺意がソレであれば、その恐怖を拭える筈もなかった。

 『空を飛ぶ程度の能力』。世界の理さえも拒絶する究極の一手。

 その極地とも言えるのが、彼女の固有結界「夢想天生」である。

 己の身体そのものを『空を飛ぶ程度の能力』の固有結界とし、存在そのものを世界の理から拒絶させる――――解脱に至るものの極致と言っても過言ではない。

 ……しかし、物事には何事も“終わり”が存在する。

 “始まり”があるからこそ、“終わり”がある

 ソレは世界の理以前に、その物事が存在した時点で決められる事だ。

 故に、彼女の勘は感じ取るのだ。

 ……自分という“世界”すら殺しかねないあの蒼い眼を見て、彼女は無意識に自分の“終わり”を感じ取ってしまうのだ。

 

 

 

 

 

――――夢想封印・瞬――――

 

 

 

 

 

 不可視の霊力弾

 八つの不可視の大玉は、普通の夢想封印と同じように、敵を執行に追尾する機能が付属されており、更に相手のスピード、動きに合わせて、それ以上の機動力をたたき出しながら飛んでいく。ソレでいて高威力。

 受ける側からすれば、逃れようのない必殺技。

 そして、不可視の光弾は、男を捉え、殺到していく。

 しかし、七夜は骨に亀裂の入った右手をそのままに、左手に持ったナイフを光弾の数に合わせて八回振るっただけで霊夢の“夢想封印”を無効化した。

 いや、殺した。

 

「――――ッッ!!?」

 

 その光景に霊夢は驚く。

 ――――やはり、視えている。

 消滅させる以前に、視えていなければ対処がしようのない事は覆しようがないので、十中八九、敵は自分の不可視の技が視えている。

 ……だが、おかしい。

 たとえ視えた所で、唯のナイフで消滅させられるような代物ではない。

 ――――能力。

 その結論に至るまでに時間は掛からなかった。

 だが、ソレがどんな能力かを考えている余裕など、向こうは与えてくれない。

 

「殺す」

 

 男が眼前に迫る。

 霊夢は至近距離から弾幕を見舞い、仕留めんと、霊力を前方に放つ用意をしたが――――七夜の姿が消えた。

 

「――――ッッ!!?」

 

 その時、どくん、と感じる嫌な予感。

 感じることも、見えることもなく、霊夢はただ己の勘に流されるように自然に体を後ろへ向け、霊力弾を放った。

 ――――ドォンッ!!

 ……同時に聞こえる、被爆音。

 ――――バキィ、ゴキュリッ!!

 ……同時に聞こえる、骨が粉砕する音。

 霊夢が至近距離から放った霊力弾は七夜の右腕の骨を容赦なく砕き、神経をズタズタにした。

 ――――が、七夜はただ己の右腕を盾にしたに過ぎなかった。

 七夜の右腕から噴き出た血が、霊夢の視界を遮った。

 

「――――ッッ!!?」

 

 瞬間、霊夢の勘が避けろと告げた。

 まただ。相手は自分に触れられない筈なのに……拭えぬ嫌な予感が自分の肌に付きまとい、汗となって流れる。

 霊夢は無意識に『浮』いた体を、右に逸らした。

 ……瞬間、霊夢の視界を覆っていた血しぶきを突き抜けるかのように、雨に濡れた凶刃が霊夢のすぐ左を通る。

 

「ちっ!!」

 

 同時に聞こえる舌打ち。

 七夜は霊夢のすぐ横を通り過ぎ、悲鳴を上げる右腕を抑えながら、空中に幻想した足場で受け身を取る。

 ……彼の右腕はもう、使いモノにならなくなっていた。

 

「消えてっ!!」

 

 同時に放たれる八つの色とりどりの大き目の光弾。

 ……おそらく、これが当たれば、決着がつく。

 そう信じていた霊夢の期待を裏切るかのように、七夜は無惨になった右腕を気にすることなく、八つの大玉を――――“殺”す。

 

「――――なッッ……!!?」

 

 今度こそ霊夢は驚きを隠せなかった。

 潰された右腕の痛みは尋常ではない筈なのに、七夜はソレを気にせず、自分の弾幕をナイフを振るって相殺してみせたのだ。

 ……気が付けば、七夜の姿はもうない。

 また、何処かの木陰に逃げ、身を潜めているようだ。。

 自分に襲い掛かる気配が一時的になくなった事を感じた霊夢はハァ、とため息を一息ついた。

 

「――――なんて――――」

 

 やつ、と霊夢は漏らす。

 霊夢は神経質に周囲の闇に気を配る。いつ、その中から七夜が飛び出し来るか分からない。

 霊夢は自分の左頬に手を当てた。……今の出来事で、自分の左頬に傷が出来ていた。四ミリほどの傷は、けれど出血はない。

 ……傷と言えるかどうかもあやしいが、それでも自分が相手に傷つけられたという事実に霊夢は恐怖する。

 ……彼の蒼眼と相対する度に付きまとっていた嫌な予感は、かくして的中どおりだった。

 だって、『浮』いている自分に傷をつけたのだ。

 その事実に、霊夢は今までかすかに感じていた恐怖が確かなものになっている事を感じた。

 

「腕を潰したのに、どうして――――」

 

 止まらないのよ、と。その疑問から来る恐怖に耐えられず、霊夢は呟いていた。

 今の一瞬が、忘れられない。

 右腕の骨を砕かれたにも関わらず、なお走ってくる七夜の目が。

 愉しんでいた。この、今さっきやっと左頬にナイフを掠められた程度で他は傷一つ付いていない自分を前にしても、それでも彼は、愉しげに笑っていた。

 もしかすると――――七夜にとっては、腕が潰された事は苦しみではなく喜びなのかもしれない。

 ここまで来て、霊夢はようやく確信に至った。

 あの男は殺し合いが好きなのだ。その状況が極限であれば極限であるほど、七夜は歓喜する。

 

「退治……いや、殺さなきゃ」

 

 ここまで来て、霊夢はようやく決意を固める。

 あの男の息の根を、ここで止めなくてはならない。

 いや、息の根を止めるぐらいでは駄目だ。

 全身をこなごなにしてもう二度と“死者”として復活せぬよう、己の手で木端微塵にしなければならない。

 そう決意した霊夢は、再び周囲の闇に気を配った。

 

「――――今のはまずいな」

 

 大木の陰に隠れて、七夜は豪雨に打たれながらぽつりと呟いた。

 森の中に入る前の一戦で、隙間のない弾幕を斬りはらう事に使った右腕の骨には亀裂が入り、使い続ければその内支障が出かねないのでいっそ盾にしてしまおう、と今の一撃に賭けたのだが、博霊霊夢の勘が思っていたよりずば抜けていた、という事実に失敗してしまった。

 七夜は執事服の上着部分を取り、そこから所々が少量の血に滲んだ白いYシャツが露わになる。

 薄いYシャツを通して、伝わる雨粒の凄まじい当たり様に寒気を感じたその時――――。

 

「七夜ッ……!!」

 

 前方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 七夜は顔を上げ、その声の持ち主を確かめる。

 

「おや、メイド長。こんな雨のいい舞台に何か御用ですか?」

 

 七夜はワザとらしい、芝居じみた声で、目の前の存在に問いかける。

 そこには――――雨に濡れたメイド服を着ながら、心配そうに慌てながらコチラを見る十六夜咲夜の姿があった。

 

 

 

 

 

 

「うっ……!!」

 

 ……あの巫女との戦いのせいで、全身がきしきしと痛む。

 メイド服も少し破れてしまい、身体の一部からも出血しているようだ。

 今は宙を浮きながら、豪雨が降り注ぐ森の中を急いで飛ぶ。

 霊力が感じる方向へと急ぐ。

 時を止めてから移動しては、霊力を感じる事ができなくなり、七夜と霊夢の居場所の特定できなくなる。

 

「お願い、間に合って……!!」

 

 そう木霊しながら、私は木々のヴェールを駈ける。

 周囲の木々をよく見ると、博霊の御札が所々に突き刺さっており、さらに霊力弾によって抉られた後がある。

 霊夢の霊力弾や、博霊の御札による弾幕を食らって尚、その形を保ち、生き続け、立ち続ける大木に感心すべきか、それともソレを気にせずに七夜を探し続ける己に対して呆れるべきなのか考える余裕など、私にはない。

 ……今は、七夜を探さなくては。

 ポケットの中にある七ッ夜を一回覗き、私は再び前を向く。

 うっとおしい豪雨により、視界が安定しない。

 それでも、私は目を真っ直ぐにしながら七夜を探し続けた。

 ……途中で、数々の妖怪が襲ってくる。

 

「邪魔よッッ……!!」

 

 そう言って、妖怪たちの額に一匹ずつ、ナイフを投げる。

 ……妖怪たちは悲鳴も上げずに地へ落ちていく。

 

「まだ、着かない」

 

 まだまだ距離はある。

 私は森の中を全速力で飛び、疾走する。

 ……ハァ、ハァと息が乱れる。

 ……体中に流れる汗は、降り注ぐ豪雨によって洗い流される。

 それでも、速度を緩めずに、私は木々のヴェールを飛び続ける。

 そして――――

 

「あ――――!!」

 

 この雨が降り交う闇森の中で、その一つの人影があった。

 所々に少量の血が滲んだ白のYシャツ。

 そして手元には敗れた執事服の上着がある。

 そして、漆黒の髪と、この闇の中で赤みを帯びた蒼い眼光を目から放つその人影はあった。

 間違いない、アレは――――

 

「七夜っ!!」

 

 七夜をすぐさま発見した私は、すぐに血に降り立ち、七夜の元へ急ぐ。

 木に背中を付け、無様に崩れ落ちている七夜は、私の姿を見るや否や、こうその口を開いた。

 

「おや、メイド長。こんな雨のいい舞台に何か御用ですか?」

 

 七夜はワザとらしく、芝居がかった口調で、口元に笑みを浮かべながらそう言った。

 ……こんな時に何悠長な事を言ってるのよコイツはっ!!

 

「いやいや、不甲斐ない姿を見られたな、まったく。これじゃあ、あの肉屋の親父が言っていた最低記録と並んじまう」

 

「そんな事言ってないで早く治療を……っっ!!」

 

 そう言って、私は懐から包帯を取り出す。

 そして治療しようとする私だが、ソレを止めたのは七夜だった。

 

「……七夜?」

 

「悪いが殺し合いの邪魔だ。観客に身を甘んじるのなら結構だが、邪魔するのなら……殺すよ?」

 

「そんな事言っている場合じゃ……っ!!」

 

「うるさい、今いい所なんだ。邪魔するのなら、まずお前から……バラすぞ?」

 

 その殺気に――――動けなくなってしまった。

 お嬢様の他者を見下す高圧的な殺気とも違う。

 美鈴のように主を守らんと拳を振るう殺気とも違う。

 その蒼い眼は正に、研ぎ澄まされた刃物そのものだった。

 体中は血に濡れ、限界が来ているというのに、この男は――――七夜はまだこれほどの殺気を放つというのか?

 感じ取ってしまった。

 七夜が“生粋”の殺人鬼なんだと。

 

「――――さて」

 

 七夜はそう言うと、手元にある執事服を足と地面に挟み、さらに端を口で掴んだ。

 よく見れば……七夜の右手はもうつぶれており、神経がズタズタだった。

 七夜は左手に持ったナイフで、執事服の上着の一部を切断する。

 

「何、するの?」

 

「決まってるだろ。こうするんだよ」

 

 七夜はそう言って、左手に持ったナイフを握る。

 ……まさか――――

 七夜はナイフを思いっきり振る、そして何を切ったかと思えば――――

 

 ――――彼は、自分の右腕を何の躊躇も、戸惑いもなく、切り落とした。

 

「――――なっ!!?」

 

 そのあり得ない光景に、私は絶句してしまった。

 自分の右腕を、容赦なく、躊躇なく、戸惑いなく、彼は切り落としたのだ。

 ……同時に、大量の鮮血が舞う。

 

「ぐっ……!!」

 

 悲鳴をあげる七夜……しかし、その悲鳴は小さすぎた。

 しかも、その悲鳴の中には喜びの感情も感じられた。

 ……私は、ショックから立ち直れないのか、ソレをただただ見ている事しかできなかった。

 彼は切断した執事服の上着を口で掴み、ナイフを地面に置いて、切断した執事服の上着のもう一方の端を左手で持ち、器用な手つきで、切断した自分の右腕の断面に包帯のように巻き付ける。

 ……そして、彼の切断された右腕の断面からの出血が穏やかになった。

 

「ククク……あははは……」

 

 それでも尚、彼は笑っていた。

 狂気じみた笑いから読み取れる感情はただただ歓喜。

 ……どうして、そんな歓喜していられるというのだ?

 

「いいよ博麗霊夢。お前は最高だ――――」

 

 まるで恋い焦がれているように、愛しいように、七夜は霊夢の名を言った。

 

「決着を付けようぜ。俺があんたを殺すか。ソレともあんたが俺を殺すか……」

 

 七夜は虚空に向かって、そう呟く。

 ……だから、何故そう笑っていらるのだ?

 分からない、理解できない、狂っている、この男は狂っている、いや狂っているとかそういう次元で表せるのか?

 そう考えている内に、七夜はもう立ち上がっていた。

 そして、再び戦地へと向かう。

 ……私はその背中を、ただただ見つめることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 七夜がゆっくりと現れた。

 霊夢は自分の目を疑う

 こんな真正面、距離も随分と離れているのに、と

 

「……やっぱり。正気じゃないのね、貴方」

 

 そうとしか霊夢には思えなかった

 よく見ると、七夜の右腕は切り落とされていた。

 ……おそらく、もう使いモノにならぬと自分で捨てたのだろう

 七夜は跳びだした。まず空中に足場を幻想して蹴り、そしてまた蜘蛛の如き動きで木と木の間を交互に飛び、死角から霊夢を仕留めんと動く。

 ……まるで殺気の塊がそのまま蜘蛛の巣になったような感覚を霊夢は感じる。

 しかし、過程はどうあれ、敵は必ず自分に接近してくる。

 その事実は――――覆しようなく、揺るがない。

 

「――――捜索結界」

 

 霊夢は範囲十メートル以内に、見えない結界を貼る。

 ソレは結界に入った排除対象を認識するための術式結界。

 ……霊夢には、七夜がどこにいるかなど筒抜けだった。

 そして……周囲から感じる殺気とは別の、確かで一番鋭い殺気を、霊夢は感じた。

 後ろを振り向く事はなかった。

 ……手にありったけの霊力を溜め、それでいて迎撃の機会を待つ。

 

「来たわね……」

 

 霊夢は後ろから敵が驚異的なスピードで接近してくるのを……肌で感じた。

 自分の掌を見つめる。

 霊力をありったけに溜め垂れた手の平は、受ければ、妖怪の最強種族と言われる鬼ですら……一撃で倒しかねない。

 ……それほどの威力を持った掌だ。

 耐久力が人間レベルの七夜がソレを食らってしまうえば、跡形もなく吹き飛んでしまうだろう。

 ――――さあ、来なさい。貴方の居場所は筒抜け、ここで仕留めてあげるわ。

 心の中でそう呟き、霊夢は七夜を待つ。

 ……しかし、七夜の気配が、遠ざかっていった。

 

「――――?」

 

 ――――真下へ、急降下している?

 霊夢は七夜の動きがそう感じ、下を向いた。

 ソコには――――

 

 ――――地面に、ナイフを突き立てている七夜の姿があった。

 

「――――っっ!!?」

 

 その瞬間、異変は起こった。

 七夜が突き刺した地面を中心に、辺り一帯の地面が崩れ始める。

 まるで、既に定められたかのような亀裂が辺り一帯の地面い走り、ソレが崩れ、崩壊してゆく。

 しかし、地面が崩れた所で元より『浮』いている彼女には何ら問題などない。

 そう、あるとすれば――――ソレは一つ。

 

「木々が、倒れていくっっ……!!?」

 

 そう倒れていく大木だ。

 大木によって直接、潰される事はないものの、大木が自分をすり抜ける瞬間に、自分の視界が遮られてしまう。

 次々と霊夢に向かって倒れていく大木。

 

「何処よ――――!!?」

 

 霊夢は辺りを見回し、七夜の姿を探す。

 張っていた操作神経の結界は、七夜によって殺されたのか、もう既に解除されていた。

 七夜を発見しようにも、倒れていく木々が視界を邪魔し、さらに自分の能力によって倒れていく木々が自分をすり抜ける瞬間で、視界が真っ暗になってしまう。

 ……そして、また一本の大木が、霊夢の体をすり抜けた。

 そして、すり抜けた先、視界が再び開けた時に目にしたのは――――

 

 ――――左手のナイフで、己を斬りかかる七夜の姿。

 

「――――ッッ!!?」

 

 迎撃せんとするが、間に合わない。

 七夜の振るわれた凶刃は。

 

 ――――霊夢の左腕を、切り落とした。

 

「――――え?」

 

 霊夢は間の抜けた声を出す。

 左側から吹き出す大量の血、突如なくなった左腕の感覚。

 霊夢は、己の左腕を見やった。

 

「あれ?」

 

 己の切断された左腕を見た霊夢。

 しかし、霊夢はその現実を受け入れる事ができなかった。

 ――――何処?

 ――――何処にあるの?

 ――――私の左腕、何処?

 ――――何処に行ってしまったの?

 不安そうな顔で、自分の無くなった左腕を探す霊夢。

 

「……ああ……」

 

 そして、ようやく霊夢は、その現実を受け入れいた。

 

「ああああああぁぁぁぁ……ッッ!!!!???」

 

 響き渡る絶叫。

 痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛いっ!! どうしてこんなに痛いのっ!! どうして左腕の感覚がないのっ!! 痛い、痛いよっ!!

 左腕を切断された事による強烈な痛みで、霊夢の“浮遊”は解除された。

 霊夢はそのまま、木々に押しつぶされるように、落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 ――――ハァ、ハァ、ハァ

 

 息が、あらい。

 霊夢は意識はもうろうとしていた。

 ……状況が、把握できない

 その意識はだんだんとはっきりし、そして、痛みも戻ってくる。

 ……そのはっきりしてくる痛みが何なのかと、霊夢は自分の左腕を見た。

 

「嘘、でしょ……?」

 

 左腕は、もうなかった。

 

「何処……? 私の……左腕」

 

 霊夢は辺りはを見回す。

 『浮』いている時には、気にしなかったが、世界の理に当てはまる今の状態では、うっとおしい程の豪雨が霊夢の視界を安定させなかった。

 ――――ザァーザァーと、うっとおしい雨粒が、霊夢の体に降り注いでくる。

 

「私の……左腕……」

 

 霊夢は切断された自分の左腕の断面に、霊力による結界を貼った。

 これで……出血することはもうない

 俯けに倒れた体を、霊夢は辛うじて動くもう一方の腕で、身体を引きずろうとするが――――。

 

「――――っっ!!?」

 

 ――――突如、左腕からの痛みからは別の、右足からの痛み響いた。

 霊夢は、俯きに倒れながら、後ろを向き、その痛みの正体を知った。

 

「あ、ああ……」

 

 ――――ソコには、倒れた大木に潰された自分の右足があった。

 

 だが、左腕のように、切断された訳ではない。

 潰されたぐらいなら、後で永遠亭で治療してもらえばなんとかなる。

 

「……探さなくちゃ、左腕」

 

 そう言って、霊夢は体に霊力を込め、身体を一時的に強化する。

 まずは、倒れた大木に挟まった、右足を引き抜かれければならない。

 

「――――っっ!!?」

 

 途轍もない痛みが右足から来る。

 自分の体を引っ張る事でしか、挟まった右足を抜く手段はない。

 それに加えて、今、ソレができるのは霊夢の右腕だけだった。

 

「あ……ああぁ……ッッ!!!!!!」

 

 悲鳴が、周囲に木霊する。

 ――――ズチュ、と生々しい音が聞こえる。

 辛うじて動く右腕で体を引きずることで、霊夢は自分の右足を倒れた大木から引き抜いた。

 

「左……腕……」

 

 霊夢はそう呟き。

 傍に会った、頑丈な……長さが霊夢の背の丈くらい枝を右手で拾い上げた。

 そしてその枝と左足で、ゆっくり……ズルリと立ち上がった。

 

「何処……左腕……」

 

 周囲を見渡す。

 見えるのはただ大量に倒れている大木と、うっとおしいほどの降り注ぐ豪雨のみ。

 霊夢の探し物は、なかった。

 ……そして、そんな時間を与えてくれる殺人鬼は何処にいようか。

 

「――――ッッ!!?」

 

 霊夢は今度こそ眼を大きく見開いた。

 ……血が滲んだボロボロのYシャツ姿。漆黒の髪に、蒼い眼光を放つ男の姿――――自分の左腕を切り落とした、張本人。

 豪雨で遮られた視界のそこに、その男の影があった。

 男はふらりと、よろめくような動作で霊夢に近寄ってくる。

 

「……ッッ!! 逃げなきゃ……!!」

 

 霊夢は男から逃げるように足を動かす。

 しかし、動くのは杖替わりにした枝を持つ右腕と左足のみ。

 対して、男は『浮』いた状態の彼女の“死”を理解するために、脳は溶けてしまう寸前。そして肋骨も二、三本折れ、おまけに左腕がない霊夢と同じように右腕を自分で切り落としている為に、総合的には男の方がはるかに重傷だった。

 それでも、男の両足は霊夢へと疾走する。

 ……そのスピードの差は、赤子と手負いの獣だった。

 男――――七夜はあっという間に霊夢のとの距離を詰める。

 ……そのまま、霊夢を、地面に押し倒し、その上にかぶさるように乗りかかった。

 触れられる程の“死”を前にして、霊夢は喉を震わす。

 

「私を――――殺すの?」

 

 七夜は答えない。

 

「いいの? そんな事をしてーーーー。私を殺したりしたら、幻想郷を囲む博麗大結界が崩壊して、この世界も、私も、貴方も、みんな消えてしまうのよ?

 それでも、いいの――――」

 

「知らないよ」

 

 そんな霊夢の言葉に、七夜はどうでもよさげに笑った。

 

「誰かが残るとか消えるとか、そういうのは俺の知った事じゃない」

 

 本当に、どうでもよさげに、そう笑った。

 そんな、と霊夢は言い淀む。

 そんな霊夢の様子を、七夜はただ殺気を込めながら見て、再び笑う。

 ――――ああ、ようやく届く、この刃が。

 ――――ああ、ようやく届く、この想いが。

 七夜の鼻息が荒くなるのを霊夢を感じた。

 ――――あんたは俺のモノだ、俺だけの獲物だ。

 ――――他の誰にも渡さない。

 ――――コイツは、俺が、殺す。

 七夜は、愛しい女を見るような眼つきで霊夢を見る。

 ――――ああ、恐怖に塗れたあんたの顔も、美しいよ。

 

「――――ッッ!!!」

 

 霊夢は目を瞑る。

 七夜の左手に持ったナイフが上に掲げれる。

 霊夢にはソレが、自分の命を刈る死神の鎌にしか見えなかった。

 そして――――

 

 無慈悲で、残酷で、冷たい凶刃は、彼女の首へ振り下ろされた。

 

 

 

 




・霊夢の左腕
旧作と同じく、七夜にぷっちんされた左腕です。
直死で切られたのでもうくっつきません。

・七夜の右腕
まず八夜での戦闘で、弾幕の囲まれた時に、弾幕を突破するときに、骨に亀裂が入る。
そして、この話で霊夢の霊力弾が直撃し、骨は粉砕、神経はズタズタになる。
挙句に七夜に使いモノにならぬと判断され、七夜自身に切り捨てられる。
……しかし、直死で切った訳ではないので、永琳の医療術ならくっつける事もできる。

・分からなかった人へ。
七夜はどうやって霊夢の左腕を切り落としたか。
まず”地面が崩壊した”という文から想像できる通り、七夜は地面にある死の”点”を突き、地面を崩壊させました。
 それによって地面に支えられていた大木たちも一斉に倒れていきます。
 結界、夢想天生を発動している霊夢は、木々はすり抜け、その度に霊夢の視界は真っ暗になってしまいす。
 つまり、七夜は霊夢の能力すらも利用して、奇襲したという訳です。


第十夜、如何でしょうか。
書いてる内に思ったことなのですが、もしこの小説が完結したら、IFとして、霊夢ルートも書こうかななんて思ったり思わなかったり……。


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