死する時は共に   作:カカオの錬金術師

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新人指揮官に対する最初の餞別として送り出される最高級戦術人形。
しかしその先の人間はとても…


死する時は共に

S06地区に着任したのは今から丁度三ヶ月前の事。新人の指揮官の所に赴く最初のハイエンドモデルとして私は選ばれた。

I.O.Pの倉庫から出荷され基地に納入されて最初に私が見たのはみすぼらしい基地だった。

基地が発足して間もないのか各種設備は埃かぶり少ない人数の人形が忙しなく動いていた。

本部からの補助で駆り出された副官もカンカンに怒りながら指揮官にダメ出ししながら手取り足取り教えていた。

こんな基地で大丈夫なのかと不安を覚えた物だけど私が入った以上そんな事も心配は要らない。

納入された私を見つけたのか怒り心頭な副官を差し置いてこちらに近寄って手を差し伸べてきた。

 

「君が今日から配属になった人形だね?よろしく」

 

私はその意図に最初困惑したものよ。人形に対して対等に立とうとする人間は見たことがなかった。

この世界ではかなりの物好きだ。人形なんて人間の為の走狗。使い捨ての駒なんて思っている人間の方が圧倒的に多い。

I.O.Pの職員達も私の事は商品としてしか見ていない。そこに感情なんてものは介在しない。

だからこそ指揮官の最初の対応に困惑しきってしまったの。

 

「あれ、握手っていうのは知らなかったかな?挨拶だよ挨拶」

 

そんな私の様子に世間知らずな人形と受け取ったのか指揮官は苦笑しながらさも当たり前なことを教えてきた。

ただ私は困惑しただけで知っていたから憮然とした態度を取りながらも握手に応じたのよね。

今でもあの時の指揮官の顔は鮮明に覚えているわ。

 

「HK416です。指揮官、覚えてくださいね」

「うん、よろしくね」

 

人形に向けられるには眩しすぎる笑顔だったんだもの。

今思えばそれが貴方という存在に惹かれる第一歩だったのかも知れないわ。

同じく人形である副官にもペコペコと頭を下げては怒られて申し訳なさそうにしていたし…

他の人形達に対しても人間に対する扱いと同じ様にしていた。

言ってしまえば甘ちゃんよね、それも度し難い程の甘ちゃん。非効率的とも言えるわ。

ようやく一部隊フルに動くか動かないかといった弱小基地らしい事だったのかも知れない。

慣れてきたら他の人間の様に私達を捨て駒にするんだろう…そんな思いが私の中にはあった。

まぁ言ってしまえば人間に対する不信感が拭えなかったのよ。

それでも私は人形、命令されるがままに動くしか無い存在。そう、思ってた。

 

一週間が経ち基地運営についても指揮についても一応様になってきた頃ね。

その頃には救出した人形も増えて二部隊を使って代わる代わる人形が出ていっていたわ。

人形に割り当てられる宿舎も増やされ数合わせではあるけど最低限の寝具も用意していたわね。

慣れから来る驕りはあったけど貴方の根幹と言うものは変わらなかった。

人形に対して寄り添い、使い捨てや道具として扱うことを良しとしなかった。

人形に寝具なんて必要ない、立ったままでも眠れるし倉庫に纏めてしまっても良いなんて私が言った時…貴方相当怒ったわよね。

ある人形が作戦に失敗してボロボロになって帰ってきた時は血相変えて心配して優先的に修理施設に入れていたし…

その失敗を責める事も無かったし…それどころか人形の失敗を庇って自分の責任にしていたわよね。

あぁ、本当に人形に対して甘い指揮官…怒ったのも私が覚えている限り後にも先にもその一回だけよね。

だからこそあの時は私も驚いたし縮こまってしまったわ。貴方の逆鱗に触れたなんて思わなかったもの。

その後すぐに怒ったことを謝ってきて本当に毒気を抜かれたわ。それも今は私の大事な思い出。

 

この頃からね、貴方の指示に対しては心の底から従順に従うようになったのは。

ただ指示が甘くて私から度々指摘をされては細かく修正したものよね。

本部から送られた副官も本部に戻って別なハイエンドモデルが送られてきたのよね。

貴方も一週間で帰られるとは思って無くて焦ってたわね。

それに指揮下に入るハイエンドモデルが私の他に更に増えて緊張もしてたわね。

 

「大丈夫よ、完璧な私が居るから」

「はは、そりゃ頼もしい限りだよ」

 

ガッチガチに緊張した貴方を見かねて私がサポートに回った時の貴方のセリフよ。

それから私は戦場にあまり出されることはなくなって専ら貴方の副官として動いていたのよね。

貴方に頼られるのは悪い気はしなかったけど…とにかく手のかかる指揮官だったわね。

朝は弱くて起こしに行かないと毎回寝坊して来るし食事の好き嫌いは激しい…

指揮能力だって特筆して光るものは無く言ってしまえば代わりなんていくらでも居そうな指揮官だったわ。

スキさえあれば仕事をずるけて昼寝に行こうとしたり街に遊びに行こうとしたり…

人形と一緒に遊ぼうとして仕事を投げ出したこともあったわね。

その度に私が怒って引っ張って司令室に叩き込んだ物よ…貴方に怒った回数今まで数えて403回よ?

どれだけ貴方は私を怒らせたか分かってるのかしら?きっと脳天気な貴方だから知らないでしょうね。

知っていてもきっと苦笑して謝り抜くだけよね。

 

一ヶ月が経った頃ね…

日に日に激しさを増していく戦火だったけど殉死者を一度も出すことは無かったわね。

それは本当に褒められたことよ、私が保証するわ。

他の基地の情報を聞く限りでは鉄血に攻め込まれて基地が壊滅したとか撤退させる事に成功したが壊滅的な被害を被ったとか。

飛び抜けて良いものは無かったけど貴方は守ることに秀でていたのね。

攻めるのは苦手でへっぽこだけど人員を守る戦術や施設を守る防衛戦術に頭角を現したのよね。

新人指揮官ながらにそれが評価されて基地もみすぼらしい物からようやく基地らしい物になっていったのよね。

貴方の部屋は相変わらず狭っ苦しい一人用の部屋だったけど…指揮所は立派なコンソールが納入されて前線の状況をより鮮明に把握できるようになった。

データ蓄積用のサーバーも納入されて貴方の要望が通ってか宿舎もちょっと豪華になったのよ。

皆喜んでいたし私も嬉しかったわ。

 

この頃からね私は貴方の傍に自分の居場所を求め始めたのは。

情と言うもの知らなかった私達に愛情を注いでくれた貴方に私は惹かれていたの。

戦術人形としてはあるまじき感情よ。抱いていると自覚した時はもう大変だったわ。

どんなに誤魔化そうとしても貴方の顔が浮かんでは胸を締め付けた。

貴方の笑顔が困った顔が苦笑いを浮かべた表情が…私の何よりも大事になっていた。

貴方に頼られる毎日が愛おしくて愛おしくて堪らなかった。

寝坊助な貴方を起こしに行くのも朝食を共にすることも執務中の他愛ない会話も…何もかもが愛おしかった。

それと同時に他の人形に貴方が笑顔を向けることに苛立っていたのよ。

貴方はそんな私の心境も知らず変わらず人形に別け隔てなく愛情を振りまいていたわね。何度貴方を理不尽に睨んだかしらね?

貴方は私にいろんな知らない世界を見せてくれた。

戦闘のみにリソースを割けば良い私達に色んな事を教えてくれたわね。

美味しい食事、週末の過ごし方、楽しい映画、その他工芸品の作り方なんてものも…

次に教えて貰える物はなんだろう?私達の楽しみになっていたのよ?

時に失敗しては笑い合って成功すれば褒め合い…私達の距離は縮まっていっていたわね。

 

貴方の趣味って言ったブレイクダンス、私達出来なくて悔しかったわよ?

私も凄く悔しくてね入門姿勢から必死に練習したのよ。

そのせいで手首を損傷させたのは申し訳ないけど…それ位貴方のもたらす世界は楽しく光満ち溢れていたの。

貴方は覚えているかしら?ロシアンルーレットシュークリーム事件の事。

いたずら好きな人形が主犯の事件よ。私がカラシ入りのシュークリームを食べさせられた事件。

発案は貴方だって後で聞いたのよ?酷いじゃない。

そんな風に戦術人形らしからぬ日常を過ごさせてくれたこと感謝してるわ。

 

それから一週間ね、貴方がそわそわとし始めたの。

何があったのかって私達揃って不審になってたのよ?

貴方は隠しきれてるつもりだったみたいだけど全員気づいてたわ。

もっと言えば何か物理的な物を隠していたこともね。

聞くことも出来ずもやもやとしたまま隣りにいたのだけど貴方そんな私に気づかない位だったわね。

指揮にも身が入らない始末でヘリアンに叱られたわね。見てられなかったわ。

 

「何があったか知らないけど…私で良ければ相談にのるわよ?」

 

なんて私が言ったら思い切り目を泳がせて悩みがありますって自白してるようものだったわ。

でも全然それについて口にしてはくれなかったわね。まぁ悩みが悩みだったから仕方ないわね。

見かねたヘリアンに休むように命令されてもずーっと上の空。

何に誘っても心ここにあらずといった様子で困ったのよ?

副官である私に何があったのかって聞きに来る人形が多くて私まで困ったのよ。

 

三つ夜を越えてようやくなにか吹っ切れた感じで私を呼び出したわね。

何事かと私は思ったけど…貴方は私に跪いてからそっとアレを差し出したのよね…

 

「僕は君なしにはもう要られない…結婚してくれ」

 

もう、何がなんだかって私は困惑したけど…理解してからボロボロ泣いちゃったのよね。

貴方はそれを見て嫌だったのかって慌てたけど…違うのよって首を横に振って見せたら怪訝な顔したわね。

嬉しくて嬉しくてたまらなくて泣いたのよ。私も制御できない感情の爆発だったのよ。

泣き笑いを浮かべてそう告げた私の返事を聞いてから貴方は…誓約の証、エンゲージリングを私の左薬指にそっと嵌めた。

それから私、寮を蹴り出されて貴方の部屋に転がり込んだのよね。

夫婦になったんだから相部屋が当然でしょうって皆茶化したわね…

それに私も貴方も真っ赤になってから暫く口も利けなかったわね。

 

私が基地に来てから二ヶ月。私と貴方の生活も落ち着いてきて基地業務も円滑に動いてたわね。

私って言う副官も必要ないくらいに貴方も慣れてきて所属人形も順調に最適化されていった。

どこから見られても恥ずかしくない立派な前線基地と指揮官として育ってくれたわね。

その、夜の営みだって最初はぎこちなかったけどこの頃には私が鳴かされる様になったのよね。

 

何度と無く鉄血のハイエンドモデルの攻撃を退けつつ戦線をじわりじわり上げていた。

他の基地とも連携をとって最前線を押し上げていっていたわよね。

日に日に苛烈になってくる鉄血の猛攻にこの基地からも帰らない人形が出てき始めた。

回収不能、鉄血に囲まれた人形は通信越しに指揮官への最期のメッセージを遺してから自爆して散っていった。

殉職者を出したことは指揮官、貴方の心に深い影を落としたわね。

無論人形はバックアップからまた再生された…けれども思い出と記憶では違う。

私達と培ってきた物はごっそりと失われて戻ってきていた…

それを目の当たりにして貴方は取り乱して狂ったように叫んでその人形に謝った。

それから…貴方は酒に溺れるようになっていった…

私にも泣き言を幾度と無く漏らしては甘えてきたわね…もう嫌だ、こんな無能な自分は指揮官としてやっていられないと…

その度に私は励ましたわ、時に優しく…時に厳しくね。

貴方がここで退けば今まで貴方を慕って散っていった人形に申し訳ないと思わないの?と…

 

けれども貴方は立ち直れず腐って…結局段々と前線から私達を遠ざけるようになった。

人形という道具を人間と同じに考える優しい貴方だからよね…優しすぎたのよ。

自分の給料を煙草とお酒に全て費やしていって…貴方は荒んでいった。

いつしか笑顔も消えて基地全体の雰囲気も失墜していった…

指揮に出ることもなくなり私室に引き篭もって…出たがらなくなった。

代わりに私が最低限の業務を代行して居たけれど…それも限界があった。

 

あんまりにも戦果が振るわなくなった事に不信感を募らせた本部からの視察が来ることになった。

私もこれには参った。指揮官が引きこもり代わりに人形が基地を切り盛りしていたと知られればどうなることか。

基地は凍結、指揮官は前線から離され療養を余儀なくされるのだろう。

私という存在からも遠く離されてしまうかもしれない。私は戦術人形…否応なしに戦場を思い出させる存在だ。

結婚という契を交わした間柄であっても…苦しめることになる。その事実が私の胸を締め付けた。

 

 

 

そして…視察一日前…

 

「ねぇ指揮官…お願いそろそろ」

「嫌だ…嫌だ…」

「でもね、指揮官…一週間前にも言ったけど」

「僕はもう指揮官なんかしたくない…!」

 

優しく声をかける416は縋るような眼で布団に包まる指揮官の傍に腰掛けた。

酒の空き瓶は床に転がり大量の煙草の吸い殻が灰皿にあった。

永く風呂にも入っていないのだろうボサボサになった髪…生気を失い暗く淀んだ瞳、伸び放題になっている髭。

嘗て人形に太陽のような笑みを向けていた指揮官の影は形もなくなっていた。

口から出る言葉は最愛の人形の願いも拒絶するもので416の表情も陰りが差す。

どんな言葉を掛けても拒絶するのだろう…今の指揮官はそういう心の病気を抱えてしまったのだろう。

なにも出来ない自分に416は唇を噛むしかない。見るも無残な最愛の人に目を逸らしたくもなる。

 

「頼む…僕をもう放っておいてくれ…」

「……そう、分かったわ」

 

突き放す指揮官の言葉に416は俯きそのまま踵を返し部屋を出ていく。

しんと静まり返った部屋に指揮官の嗚咽が響く。

腐ってもその心根は変わらない。傷つけているのを理解している。

それでも自分は逃げることしか出来ない弱い人間であることに恥じて悔しく思う。

だが行動に移せないそれを拒む自分が居るのだ…

泣いて泣いてまた疲れて泥のように眠ることになる。

そして夢の中でまた指示を間違え配下の人形を殺す…最愛の416を殺すことになる。

指揮官は悪夢に囚われていた。

 

 

ドォン…と低く響く発破音がする。そして遅れて基地内に警報が鳴り響く。

最低限の事しかしていなかった為に鉄血の奇襲を許したのだ。

 

「指揮官!」

「なにが…どうなって…」

「奇襲を受けたのよ!貴方は早く逃げて!!」

「………」

「早く!」

 

扉を開け放って入ってきた416は指揮官を無理矢理に起き上がらせるとまくしたてる。

端的に状況を説明してから早く撤退するように促すが指揮官は暗い瞳をじっと416に向けて動かない。

やがて苛立った416が歯ぎしりして無理矢理にでも連れて行こうとした時だ。

 

「指揮に入る」

「はぁ?あ、アンタねぇ…もうイヤって」

「現状の打破に入る…僕だけ逃げるのは…もっと嫌だ」

「あぁもう、好きにしなさい!」

 

こうして奇襲を受けた基地の防衛作戦が始まった。

防衛に長けた将の采配は冴え渡るが前線を退いて数週間…その衰えは激しく…

久し振りに指揮官の下で動けたことに喜びながら人形は次々に倒れて行く。

救援要請を送ったが到着するのはきっと間に合わない。

絶望的な悪夢が現実の物となっていく。指揮官の目には後悔が浮かんでいた。

 

「さようなら、指揮官…また貴方の指揮を見れて嬉しかったです」

「またね、指揮官…生きてよね?」

「悔しいけどここまでね…指揮官、貴方だけでも生き伸びて」

 

次々に最前線で戦っていた人形から最期の通信が入る。

そして基地防衛には全員出ていっている…最愛の416も同じだ。

 

「くそっ…くそっ…!」

 

戦況を知らせるコンソールに浮かぶ敵のマーカーと次々に消えていく友軍のマーカー

指揮官は泣きながらコンソールを叩く…それでも最善を尽くそうと指示を飛ばす。

一人でも助けようと…最善を尽くす…

 

「警告:敵性存在が基地に侵入しました」

「くそっここも時間の問題か…」

 

指揮官も覚悟を決めて久しく握っていなかった愛銃416を握る。

基地内にマズルフラッシュと銃声が響く。

 

「指揮官の所に通すな!」

「ここは通さないにゃ!」

 

無言の侵入者と追いかけてきた人形が遭遇しては銃撃戦が繰り広げられる。

汚れが目立たなかった廊下は銃痕と血とオイルに彩られていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大破して戦線に居られなくなった416が這這の体で司令室へと向かう。

右腕は欠損して人工血液は止め処なく流れ出ていく。そう遠くなく機能を停止してしまうだろう。

基地内部は酷い有様で到るところ戦闘の跡が見られて指揮官も無事ではないと思われる。

いや、流石に逃げている…そう嫌な予感を抑え込み顔を顰めながら進む。

その途中雑多な鉄血兵を左手に構えた愛銃で撃ち殺し…やったの思いで辿り着いた司令室は…

 

「何よ…これは…」

 

見るも無残に破壊されていて指揮官が座っていた場所は血に塗れていて銃撃戦を物語る。

血痕を辿ればその先には背中を壁に預けてぐったりとした最愛の指揮官の姿。

 

「あ…ぁ…あぁぁああああぁぁぁ!」

 

理解したくない…どうして?どうして貴方がと慟哭の泣き叫びが響く。

半身とも言える愛銃を手から滑り落としてから転びながら寄る。

出血量はおびただしく…控えめに言っても致命傷だ。

残った左腕でそっと頬を撫でれば…熱を失いつつあるのが感じ取れた。

目は虚ろに開かれたままで全身からはもう力は抜けている。

 

「なんで…アンタは…逃げなかったのよ…!!早く…逃げてなさいよ…!」

「……へ…ぼ…く……」

「指揮官!?だめよ、もう喋ったら…!」

「ながく…ないだろ……最期も…いっしょ…だな…」

「お願いだから…お願いよ…」

「わるい…な…あい…してた…」

 

泣きじゃくる416に微笑むとそれが最期の力だったのだろう…一度向いた顔は再び垂れた。

それから416は静かになってしまった指揮官に語り出した…

自分が着任してからの事…自分の胸中をぽつりぽつりと…

 

 

「指揮官…もう聞こえてないでしょうね…けど言うわ、私は貴方と結ばれて幸せだったわ

私という完璧な人形をバグらせたのは…罪深いわ…だから、死んだ後も離さないわ…絶対に…もう…はな…さ…」

 

語り終えた416は残りわずかな稼働時間をおして冷たい指揮官の顔を上に向けさせて…唇を重ね合わせる。

そのまま段々と動力が抜けていき…416の身体は指揮官の死体に覆い被さる…

銃創で彩られた二つの体は抱き合う様に口づけを交わしたまま動かなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

その後、S06地区の基地は壊滅し鉄血の手に堕ちかけた…が、間一髪救援が間に合い数名の人形は救助された。

いずれもストレスによるメンタルモデルに多大な損傷が生じている為に初期化され再び別な基地へと配属されることになった。

急拵えで基地は修復されまた新たな指揮官が割り振られる…

 

「ここが俺の基地か…」

「えぇ、その通りね」

 

本部付で送られた人形は表情一つ動かさず淡々と告げる。

その左指の薬指には何かの跡が刻まれていた…

 

 

 

 

「しかし良かったのですか?」

「比較的損傷の少ないメインフレームだったからな、結婚済み?知ったことか」

「それもそうですね、資源は有効活用しなくては」

 

損傷が激しくも原型を留めていた残骸は回収され修理された。

その中に薬指にアクセサリーを付けていた人形も混じっていた…




416が好きなんだ。
そしてこの重い波動もどうしても抑えきれなかったんだ。
どう見てもある作品の影響を受けてるんだけどね…

ベタベタなBADENDを書きたかった…後悔はきっとしない。

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