13年前。南通りの孤児院
「レイーー待てー!!」
「やっだよー!捕まるものかー!!」
オレは今逃げている。鬼に捕まらないために
「鬼ごっこ」という先生の故郷の遊びらしく。最近オレたちはこの鬼ごっこに夢中だった。ただひたすら逃げるだけだけど
足に自慢があるオレは逃げ続ける。途中ほかのやつに近づくと
「っげ、こっち来んなよーー!!」
「ごめーん」
「レイ!それ絶対悪いって思ってないだろ!」
鬼はほかのやつに狙いを変えた。うまいこといったと追われることとなったやつに適当に謝った
「ん?誰だあのおっさん?」
逃げている途中でオレたちの家の門にひげ面のおっさんが立っていた。もしかしてお客さんかなと思ってオレは先生を呼んだ
「せんせーい!誰かいるよー!」
「え?あ、ホントだわ」
おっさんに気づいた先生はあわてて行った
「ところでレイ」
「ん?なに」
「お前が鬼なーーー!!」
「あっっ!!?卑怯だぞーー」
「へっへーん!止まっているほうが悪いんだよーー!」
後ろから鬼が来てオレにタッチしているのに気づいていなかった。言われて気づいて慌てて追いかけるがすでにみんな遠くに逃げていたから捕まえるのに苦労した
夕方になってご飯ができたと先生が言ってきたため、みんな遊ぶのを中断してお皿やフォークなど人数分用意する。5分もしないうちにテーブルには食事の準備ができた
「それじゃ手を合わせて。いただきます」
「「「「「「いただきまーーす!」」」」」」
今日のご飯はハンバーグでラッキーだった。オレの大好きな食べ物だからだ。先生の国でも人気の料理らしく誕生日とかうれしいことがあったりとかそういうときに作るって言っていた。そういえばここでもなにか特別なことがあると大体ハンバーグだった。けどそんなことはどうでもいい、大好きなハンバーグを食べれれそれでいい
「レイ。あとで先生の部屋に来てくれる?」
「ん?うん、わかった!」
「何かしたのかよ」
「何もしてないよ!」
「ほんとにー?あやしいなぁー?」
先生はオレたちの親みたいなものだから呼び出されるってことは怒られることがほとんどだから内心怖かった。最近は何も悪いことはしていないのに
「今日はお別れする子がいます。おいで」
「…え、レイが!?」
次の日。朝ごはんの後みんなはいつもなら遊ぶけど、今日はお別れをしようということに残っていた。お別れするのはオレだった。昨日の話は引き取りたいという人がいたらしく、それがオレだったみたい
本当なら誰もがお父さんやお母さんができることに喜ぶのだけれど、オレはなんだか素直には喜べなかった。住んで4年くらいらしいけど、それでも血は繋がってなくても一緒に過ごしていたから誰かの家族になるのがちょっと寂しい
うれしいけど悲しかったりと頭の中がごちゃごちゃになってる
「レイ、おいで」
お迎えが来たみたいで、オレは荷物を持って外に出た。門のところに行くと見覚えのある人が立っていた。ひげがもっさりと生えた汚そうなおじさん。昨日の来ていた人だった
「っげ、オレあの人の子になるの!?」
「そうよ」
いやいや、そうよじゃないよ先生。オレこんなひげのおっさんの子なんて嫌だよ
「この子ですか?」
「ええ、すこし活発ですけど他の子の面倒も見てくれていつも助かってます。ロゥベントさんのお子さんの面倒も見てくれると思います」
おじさんと先生がそんな話をして今度はオレのほうを向いた。なんかちょっと怖いから後ろに下がった
「こんにちわ。これからよろしくね、レイくん」
「…ひげ剃れよ。お父さんがひげのおっさんなんていやぁだっ!?」
「こらレイ!失礼なこと言わないの!」
「だってー…」
ひげがいっぱい生えている人って汚いから、こんな人がお父さんになるなんて嫌だった。隠すことなくそんなこと言ったら先生に叩かれてしまった
「ははは…帰ったら剃るよ」
「絶対だぞ!」
おっさんは少し笑ったが髭は剃るということを約束してくれたから仕方ないから子供になることを決めた。みんなと別れるのは悲しいけれど、先生がいつか遊びにおいでと言ってくれたから行くことにする
「オレっておっさんの子供の面倒見るために?」
「そうだよ。1週間前ほどに生まれたばかりの男の子だ。フィーロっていうんだ」
「へー。でもなんでオレなんか引き取ったの?」
「…おじさ、お兄さんは傭兵をしていてね。家にいないこともあるんだ。いつも家政婦さんを雇っているんだけど夜には帰らないといけないから、フィーロが家出独りぼっちになるんだ。仕事で居ない間に換わりに見てくれる子を探していたんだ」
「ふーん、お母さんとは別れたのか?」
「……死んだよ。フィーロを産んで少しして」
「ぁ……ごめん」
おじさんの家に向かっている最中話をしていたら傭兵をしていることに驚いた。こんなおっさんがって。しかもすでに子供がいるのになんでオレをもらおうとしていたのか聞いたらお母さんは死んじゃってたみたい。聞いちゃいけないことを聞いてしまってオレは謝った
「いいよ、覚悟はしていたんだけどね。傭兵をしていたら他人が死ぬのはよく見かけてて、親しい人が居なくなってもすぐに切り替えられるって。でも妻が死んだときはかなりショックだったよ、3日ほど寝込んでしまった。案外人間って感化されやすくて脆いんだよ?だから一緒に居てくれる人を求めたりするんだ」
「ふーーん…」
「まだレイには早かったか」
おじさんの言っていることってよくわからないけどひげが伸びているのはお母さんが死んじゃって悲しかったからだってのはわかった
「でかっ!?おっさん金持ち!?」
「金持ちではないけど…一般家庭よりは多い方かな?」
家に着いたみたいで見て見たら白い壁に窓が立てに3つも並んでいた。3階建ての大きな家にオレは結構興奮した。手を離して玄関を開ければ廊下があり、横にあるドアを開ければ広いリビングだった
「でけーー!!」
「ロゥベントさんお帰りなさい。この子がそうなのかしら?」
「はい、レイ・シノシマって言うらしいです。レイ、この人が雇っている家政婦さん。一緒にフィーロの面倒を見てくれている人だよ」
「レイ・シノシマ!ねぇねぇ、フィーロってどこ?どんなやつなの!?」
「ちょっと静かにしていようか?さっき寝たところだから」
オレはもう家の大きさにうれしくなり早くフィーロって弟に会いたくなった。家政婦さんに聞くと指を口に当てて静かにって言われたので声を小さくして後を付いて行った
「静かにね」
「…この赤ちゃんがフィーロ?オレと同じだ」
2階に上がりベッドで寝ているフィーロが見えるようにオレを抱えてもらった。手を握ってて静かに寝ている赤ちゃんにかわいいなと見ていたら髪の毛がオレと同じ黒色だったことに気づいた
オレはもうちょっと見ていたいので仕事に戻った家政婦さんに椅子を近くに持ってきてもらい眺める。今日からオレの弟で、何年かしたら「お兄ちゃん、お兄ちゃん」と言ってくれるのかなと想像していたらニヤニヤしてしまった
「お兄ちゃんが守ってやるからな」
お兄ちゃん気分に浸っていたオレは近くに来た男に声をかけられるまで気づかなかった
「そうしてくれ。フィーロはまだ産まれたばかりだからな」
「うん…って誰!?」
「誰って…お父さんだよ。ひげを剃る約束しただろ」
「うそだ!?お父さんはおっさんなんだぞ!?お兄さんなんてオレ知らないぞ!!」
お父さんと言い張る男は髪は伸びているがかっこいい人だった。どう見てもさっきまでの髭面のおっさんだったとは思えずフィーロを守るようにしていたら泣き出した
「おやおやどうしたの?大丈夫よフィーロくん、怖いものはないから」
オレが大きな声出したから泣き出したみたい。家政婦さんが来て抱きかかえて泣き止ますまで何もできず、ずっと自称お父さんというお兄さんを睨む
「その人がお父さんよ。レイくん」
「うそだぁ!?」
「なんだよ、お父さんがかっこいいと文句あるのか?髭のおっさんは嫌だ嫌だ言ってたくせに」
「べ、べつに文句はねぇよ」
こんなにかっこいいなら最初っから髭を剃っておけば文句はなかったのに。なんかだまされたみたいで悔しかった
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「とまぁ家族になった日は驚きの連続だったね」
「ふーーん…お兄さんは弟と喧嘩はしないの?」
「するよ?血の繋がりなんてなくても普通の家族のように育ったつもりだからね。喧嘩はよくしたし、泣かしたことも何度もある」
門まであと少しって言うところで話し終えたオレは質問とか色々答えながらおんぶをして到着する
「よかった、無事だったんだね」
「よかったじゃないですよ。たまたまサイスタイガーだったからよかったけど、それ以外だったらすでに死んでいたかもしれないですよ。ちゃんと仕事してくださいよ」
「…そうだな。私たちの責任だ。以後気をつけるよ」
「ぁ…お姉ちゃん…」
オレが門番の人たちに注意をしていたら背中に居たキーアちゃんが小さく呟いた。どうやら喧嘩をしたお姉さんが来てしまったらしい。少しでも身を縮めて隠れようとするが、体は斜めを向いていたのでほぼ見えているから意味はなかった
「キーア!!よかった…どこに居たのよ…って、レイさん!?」
「こんにちわ、メノイさん。この子のこと知っているんですか?」
走ってきていたのはよくオレの依頼を処理してくれているメノイさんだった。肩を大きく上下させているし、汗を掻いているから相当走り回ったのだろう。顔を上げたと思ったらすごい剣幕でキーアちゃんと怒り始めてからオレに気づいた
「はい、私の妹です」
「あ、お姉さんってメノイさんだったの!?」
意外な繋がりに驚いてしまった
「そうだったんですか。妹を助けてもらってありがとうございます」
「たまたまですよ。耳がよくなければ気づかなかったし」
「そっか…レイさんなら聞こえるんでしたね」
事情や出来事など大通りを歩きながら話し合った。もちろん街の外へ出ていたことはかなり怒られてしまっていた。命の危険もあったのでオレは説教が終わるまで傍観していた。今回のことでまた喧嘩してまた街の外に出るなんてことはしなくなると思う
しかもメノイさんはキーアちゃんのお友達の家を見て回ったらしい。結構な労力に心の中で静かに労った
翌日協会に行くとメノイさんから珍しくお風呂を掃除してくれたらしい。お駄賃を上げるという約束で。オレの入れ知恵のせいで余計なことしたかなと心配したけどそんなことはないらしいみたい。これからも手伝ってくれるならという条件であげるということになったそうだ。これがきっかけでキーアちゃんも少しは大人への成長する土台になれば助けてよかったと思える
「レイさん、気をつけて行ってらっしゃい」
「ああ、それじゃ行ってくる」
いつも依頼に行くときの言葉を交わしてオレは依頼人が待っているゲートに向かった