彼方の傭兵   作:悠士

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22話 夢と約束

 今夜もボーダーとの契約にある防衛任務を行い、もうすぐで予定の終了時刻ってところで忍田本部長からオレに通信が着た

 

『篠島くん、いま大丈夫かな?』

 

「なんですか、忍田さん?」

 

『君から頼まれていたことが終わったから、時間があるときにでも構わない。メディア対策室の根付さんのところへ向かってくれ』

 

「わかりました。ありがとうございます」

 

 どうやらオレが前に頼んだことの調査が終わったらしい。その報せを伝えにきてくれた

 

「何を頼んでたの?」

 

「ああ、ソチノイラに住んでいるミデンの人の…元々こっちで暮らしていた人たちから手紙とかビデオを預かっててね。それを家族に届けるために居場所を探してもらってたんだ」

 

 ソチノイラには多くのミデンの人が住んでいる。オレが知っているだけでも4~5人くらいだ。その人たちから旅行のことを伝えて家族に渡す手紙をとかを用意してもらった。届けられるかは分からないとも付け加えて

 だけど色々あったがボーダーと繋がれた事で捜索は苦労することなく、事情を話して代わりに探してもらったわけだ

 

「よくそんな面倒なことするな?」

 

「オレは赤ん坊だったから覚えてないけどさ、同じ国の生まれとしては少しくらいは力になりたいからさ。ほら、傭兵になっていろんな国に行けるくらいの移動手段はあるわけだし」

 

 金にならないことをしているあたり傭兵らしくはないと思うが、なにも金を積まれればなんでもやりますって言うほどオレは困ってもいないし腐ってもいない

 

「フィーロも来るか?」

 

「え…うーん…オレはいいよ。玉狛で訓練してる方がいい」

 

「…そっか。じゃあ進さんは来て下さいよ?」

 

「は!? なんで!?」

 

「だってオレ、こっちの住所よく分からないから。案内してくれる人がいてくれないと?」

 

「……嘘だろ…」

 

 フィーロに来るか声を掛けてみたがやっぱり断られた。残れないなら少しでも訓練でもして強くなろうってことなんだろう。なんだかフィーロが独り立ちしていくのを見ているようで少し物寂しいけど、理由を話してくれないなら連れて帰るだけだ

 代わりに進さんは連れて行くことにした。ミデンに来て半月以上は経つが住所なんて分かるわけもないし、こっちの文字は多すぎて覚えきれない。漢字とかいうのも似たものとかいっぱいあるし。そういうわけで案内人としてきてもらうことにした

 

 根付さんから住所を教えてもらい、できる限り問題を起こさないようにと注意をされて近いところから向かうことにした。まず最初はオレがとてもお世話になった施設の先生の家族だ。本部を出てバスというものに乗って大体30分くらいで着いた

 

「えーっと……ココだな」

 

「ここが…」

 

 うちと比べると小さいなというのが第一印象だし、何だから古そうな家だった。壁につたが這っているけど中から人の動く音とかが聞こえるからまだ暮らしている。もしかしたら行方不明になった自分の子が帰ってくるのを待っているのかもしれない

 呼び出しボタンを押した

 

「はーい? どちら様でしょうか?」

 

 女性の声がしてゆっくりとした足取りで玄関の扉が開かれた。白髪で背が曲がっている。介護もなしでずっと1人なのか気にはなったが、オレがするべきことはそんなことじゃない

 

「はじめまして。ネイバーの世界で小さいときに娘さんにお世話になった伶と言います」

 

「…菫が? 娘は…生きているの?」

 

「はい。オレが暮らしている国で生きてます。今日はコレを届けにきました」

 

 自分の子が生きているって知って老婆は目を少し開いた

 オレは鞄から1通の手紙を取り出し渡した。表には「母へ」と短く書かれていて、それを見るとこの文字は娘の…と呟いて口を手元で隠した

 

「菫は…娘は帰ってきていないんですか…?」

 

「…すいません。もちろんお誘いはしましたが先生は、娘さんは結婚されていてこれからもあちらの国で暮らすと言って断りました」

 

「そ、んな………菫…っ」

 

「……娘さんは孤児となった子たちの施設の先生として過ごしています。オレも4歳までお世話になりました。先生が拾ってくれなければオレは今こうして生きていません。とても感謝しています」

 

 生きていることにこの人は一抹の希望を抱いたのだろう。だけど先生を含めみんなソチノイラで暮らすことを決めていた。誰一人帰ることを望まなかったのだ

 

「失礼します」

 

 他にも行くところはある。冷たいかもしれないが涙を流す老婆の住む家から離れて次の家に向かった

 

 

 

 

 

「無理矢理にでも連れて来いよ!!」

 

「っ!! す、みません」

 

「お父さんやめて!」

 

 次の家に行くと手紙を届けたあと本人が帰ってきていないことに、父親は怒って胸倉を掴まれた。進さんが助けに入ろうとするが止めさせた。そのあとに小さい子が父親の服を掴んで暴力行為をやめてと叫んだ

 

「美野里。ちょっと黙っといてな。こいつにはしっかりと文句言わな気がすまないんだよ! なぁネイバー!」

 

 眉間に皺がよるほど怒りをぶつけられた。確かに無理にでも連れて行くことは可能だった。実際にそうするべきかなと考えたりもしたけど、もしそんなことすればオレたちを勝手に攫っていったネイバーたちと同じことをすることになる。攫って不必要なら捨てる身勝手な奴らと同列になるのは嫌だし、何よりオレはその人たちの意思を尊重したい。だから無理に連れて行くことをしなかった

 

(いさむ)は警察官になりたい言うてたんや! なのにネイバーのおまえらがその夢をぶち壊したんだよ! なのに今更この手紙一つで安心なんかできるわけないやろうが!」

 

「っぐ……勲…くんは…国の、衛兵として……はた、らいてます……警察、かん…のように、街の人たちを守って…」

 

「んなことはどうだっていいんだよ!! 女房が死んでワイが2人を苦労して育ててたんだよ! 勲を返しやがれよ! ワイらの…宝を……返し、やがれよ………」

 

「………」

 

 石動勲は街の衛兵として日夜訓練と警備に勤しんでいる。故郷に帰る誘いをしたとき迷っていた。けれど残ることを選んだのはその隣に1人の男性がいたからだ。いわゆる恋人だ

 一人不安な日々を過ごさなくてはいけない状況で最初に手を差し伸べてくれたのがその人だという。ネイバーの世界のことやソチノイラのことなど色々教わったりしてもらったという。それでも家族がいないことで寂しかったらしく、それを埋めるように助けてくれた男の人が慰めたらしい

 オレは赤ん坊の頃からだったから親がいないということに劣等感は多少あれど、施設には沢山の子達がいたから寂しくはなかった。もしオレが勲の立場だったなら拠り所になる誰かを探していたかもしれない

 

 結局この人たちにこれ以上の話を聞いてもらえず半ば逃げるような感じになったが次へ向かうために去った

 

「辛いな…大丈夫か?」

 

「ちょっと苦しかったけど…あの人たちが怒るのは当然だよ」

 

 バスが来るまで待っていると進さんが口を開いた

 

「それに……いや、なんでもない」

 

「なんだよ…言いたいことがあるなら言えよ」

 

「大丈夫…ただ、会いたい人にもう会えないってのは辛いのは分かっているけど。やっぱり思わずにはいられないな、って」

 

「…伶……」

 

 もう父さんには会えない。死んでしまった人にどう願ったところで会えるわけないのだから。だけどオレを引き取って養ってくれた父さんは、オレとフィーロの立派な父親だ。だらしないところもいっぱいあったけど。でもそれがこの人も普通の人なんだなって思える一面だった。言い方を変えるなら変に父親として頑張ろうとするより、普段通りに過ごしている方がこれがこの人なんだなって思えるから

 

 今日はこのあともう1回だけ怒る家族があっただけで残りは生きていたことに嬉しければ、帰ってこないことに悲しむ人もいた

 

 玉狛支部へ向かっている途中住宅街でオレはまた心が揺れてしまうものを見てしまった。それは後ろから猛スピードで近づいてきて横を通り過ぎて行った

 

「進さん……アレってなに?」

 

「アレ? バイクのことか?」

 

「バイク………」

 

「おまえ……まさか…」

 

 どうやら機械に跨って進む乗り物はバイクと言うらしい。小さくなっていく姿が見えなくなるまでじっと前を見つめてしまっていた。どうやらオレはまたしてもミデンの物に惹きつけられてしまったらしい

 正直に言って跨って走る様がカッコよかったのだ。あとで父さんにでも持ってるか聞いてみようと頭の片隅に留めて止まっていた足を進める

 

「進さん…あのバイクって乗り物はオレでも乗れる?」

 

「え? うーんどうだろうな…アレは多分大型だから乗れないんじゃないか?」

 

「…そうか……」

 

 大型ということは小型とかあるのだろうか? それにオレでも乗れないってどういうことなのか聞くと「免許証」というのが乗るに必要で、そのためには戸籍やお金、道路交通のルールや法律を学ばないといけないらしい。後で教えてくれたが年齢も18歳からだそうだ。今はまだ17歳だからギリギリ届かなかった。そういうわけでミデン(こっち)でそういうルールなら仕方がない。諦めるしかなかった

 

 

 日が変わり今日は篠島家に来ていた

 前から父さんがオレの持っている新幹線の模型と一緒に走らせようと約束していたのだ。それで今「リレーラー」とかいう線路に簡単に乗せる道具の使い方を教えてもらっている。何のためにあるのか分からなかったけど、線路に乗せてから模型を滑らせると自動で線路に乗るという超便利な道具だった

 

「すげー、乗せるのに苦労していたのが嘘みたいだ…」

 

「使い方は簡単だからやってみろ」

 

「あ、ああ…!」

 

 やってみろとリレーラーを渡されたオレは受け取ると父さんがやっていたようにやってみた。そしたら思った以上に簡単で、乗せて離すってだけで勝手に線路に乗ることに感動していた。今まではいちいち前輪を乗せてからゆっくりと後輪も乗せて、ズレたら持ち上げてやり直しって繰り返していたから、こんな便利道具だったなんてともっと早くに気付くべきだったと後悔していた

 

「よし、走らせてみるか」

 

 全車両を連結したら電源ボックスから電源を入れた。ライトが点灯しダイヤルを回せばゆっくりとオレのN700Aは走り出した。さすがに数が多いから重くて加速に時間が掛かっていたが、速度が乗ってくるとただ線路の上を走っているだけなのに感動していた。多分その理由はわかっていた。「ジオラマ」とかいう鉄道模型を走らせる舞台があるからだ

 父さんが時間掛けて本物そっくりに再現したジオラマがあることで、たとえ模型でも本物のように見えてくる。実際にあるモノを空から俯瞰してみているかのようだ

 

「……楽しいか?」

 

「ああ、ただ乗せて走らせて見ているだけだけど…不思議と興奮する」

 

「そっか、それはよかった」

 

 模造品が用意された線路の上を走るだけの、たったそれだけの玩具に胸の内が高揚するよな感覚に嬉しくなっていた。パーツを変えなければ同じ道をただ繰り返す。それのどこにこんな子供がプレゼントをもらって喜ぶのような興奮を感じるのかまだ分からない。父さんはオレのそんな様子が嬉しいのかよかったと言ったけれど、どこか寂しさを感じているような雰囲気があった

 

「父さん?」

 

 耳が言葉の抑揚がハッキリと分かる。なにか気になることでもあるのかと聞いてみた

 すると父さんは寂しそうな、だけど申し訳なさそうな表情になって答えてくれた

 

「…本当なら…もっと早くお前とこういう時間を過ごせたのかもしれないな、って」

 

 本当なら、そう言って続けた父さん。いや、父さんたちは再会した日からずっと、今日までそんな後悔を抱えてきたのかもしれない。それなら合わなければよかったのだろうけど、オレの心が体を動かして父さんたちの元へ帰って来た。もしかしたら、進さんを送り返すって目的のこの旅行は、本当はオレ自身が帰りたかったのかもしれない。玄界(ミデン)を選んだのは進さんの帰る国だからと考えていたけど違ったのかもしれない

 

「…………そうだね。正直、このまま過ごすっていうのも悪くはないなって思ってる」

 

「っ、こっちで暮らしてくれるのか?」

 

「いや、オレはあっちに帰るよ」

 

「そう…か…そうだよな。伶は長い時間違うところで生活してたもんな」

 

 父さんたちも玉狛の人たちも良くしてくれる。それは嬉しいことだけど。でもミデンはネイバーにとっては生き辛い国だ。たとえオレがこの国の生まれであっても、17年も過ごしたネイバーで過ごしたヤツを受け入れてくれるとは到底思えない

 それはボーダーがいきなり話し合いもなにも攻撃したこと、理由なんてネイバーだからと監視や軟禁を強要してきたり。そりゃ平和に過ごしていたところを襲われて被害を受けたのだから分からなくもないけど。自由を奪われるのは納得は出来ない

 さすがにボーダーの幹部や玉狛の人たちは知っているが、「ネイバーは普通の人間」ってことが受け入れられない限り正体を隠して生きないといけなくなる

 

 そんな後ろめたさを抱えながら生きるよりは、ソチノイラに帰って自由に生きられるほうが気持ちがいい。父さんたちには悪いけれどオレは帰らない選択肢を選ぶことはないと思う

 

「でも……いつかは1年でもいいからこの国で過ごしてみたい。玉狛の人たちが言っていたんだが、祭りとかイベントとかあるんだってね」

 

「ああ、あるぞ。春には花見をしたり、夏は山や海に行ったり、夏祭りもあるしな」

 

 花見、キャンプ、海水浴、夏祭り、ハロウィン…ミデンには色んなイベントがあって羨ましい。ソチノイラにもない訳ではないが数で言えば負けている。いつかフィーロと長期の休暇でもとってゆっくりと過ごすのもいいかもしれない。そのときだけはボーダーに入るのもいいだろう。生活費を稼ぐのに丁度いい

 

 具体的にいつになるかは分からないけど、叶えたいことの一つにはなった。それはまたミデンに来てもいい理由になった。次来た時は少しわがままでも言って困らせてみるのもいいかもしれない。ソチノイラじゃオレがフィーロの面倒を見ないといけないからと自分勝手すぎるようなことはしてこなかったけど、篠島家(ここ)じゃオレは父さんたちの子供だ。年的に恥かしいけどちょっとは甘えてみよう

 

「お父さん、伶、ごはんよ」

 

「はーい。食べるか」

 

「ああ、そうだな」

 

 昼ごはんの用意が出来た母さんが呼び来た。話の続きはまた今度にして下に降りて食べることにした

 リビングに行くと見知らぬものが置かれていた。大きな皿に黄色い大きなナニか。色的に卵を使ったのだろうけど、知らない料理に困惑した

 

「母さん……コレ、なに?」

 

「なにって、オムライスよ?」

 

「おむら、いす?」

 

 どうやらコレは「おむらいす」という料理らしい。オレは知らないからどういうものなのか聞いたら、ケチャップライスという炒めたご飯を薄く焼いた卵で包むらしい。卵って柔らかいからこんなに綺麗にできるものなのか不思議だった。そしたら母さんが「もちろん簡単じゃないわよ」と言ってきた。こんな綺麗にできるまでに何年も試行錯誤と練習をしてきたらしい

 早く食べようと急かす父さんの言葉でスプーンを持った

 

 どんな味がするのか想像しながら掬おうとした時だった

 

「っっ!!? なんでこんな時に…」

 

 ネイバーの襲来を知らせる警報が鳴り響いた。これだけ大きいということはいつもの防衛任務とかじゃないだろう、つまり契約にあった大規模侵攻がいま来たのだろうな

 

「はぁ…食べたかったけど、また今度だな」

 

「伶……どうしても、行かないといけないの……?」

 

 初めて食べるオムライスというものを食べるためのスプーンを置いて立ち上がり、外へ出るためにリビングへ出ようとしたら母さんが悲しげな声を掛けて止めてきた

 

「…ごめん、仕事だから。母さんたちは希や涼治たちを守ってやって」

 

 母さんからしたらいなくなった息子が戻ってきて嬉しいのだけれど、また居なくなってしまうんじゃないかと不安になっているんだろう。その気持ちはオレにもなんとなく理解は出来る。初めてフィーロを1人で依頼に行かせたときは無事で戻ってきてくれるか不安で落ち着かなかったから。フィーロの父(父さん)を失ったことがあるから、あの喪失感と恐怖は2度も経験したくはないと思った

 

「ちゃんと……帰ってくるわよね?」

 

「うん。終わったら、この家に帰ってくるよ。またオムライスを作ってよ」

 

 袖を掴んで震える手を見て、不安が拭えない声を聞いて少し胸が痛んだ。世界に絶対はないから死なないという選択肢はありえない。たとえトリガーで安全性がいくら上がったところで変わることはない

 オレが母さんにしてやれることは戦って守ること、それから安心できる言葉を言ってあげることだ

 

「………分かったわ。作って皆で待ってるから」

 

 この家に帰るのも後何回なのかは分からない。だけどソチノイラに帰る前に母さんの作るオムライスは食べてみたい。その約束をしたからか袖から手を離してくれた

 

「伶。無理だけはしないようにな?」

 

「…わかった」

 

 最後に父さんも一言だけ言って家から出るオレを見送ってくれた。距離が遠くなってもサイドエフェクトで聞こえる母さんのすすり泣く声に胸が苦しくなった

 

「………トリガーON(オン)

 

 いつまでも母さんたちのことを気にしていては戦闘に集中できないからトリガーを起動した。これは仕事なんだからと気持ちを切り替えて民家の屋根に飛び乗った。ボーダー本部のある警戒区域の方向から逃げるように多くの人が道路を走ったり車に乗っていたりしてた。我先にと逃げ行く人の声がほとんどで、つくづく玄界(ミデン)の人たちは勝手なヤツらだと辟易する

 

『兄ちゃん!』

 

「フィーロか! どこにいる?」

 

 止めていた足をまた進めていくとフィーロから通信が着た。玉狛支部で訓練をしていて、大規模侵攻が始まったからレイジさんたちと一緒に行動しているという。小南を回収してから戦闘に参加するらしい。進さんは今日は本部へ行ったらしい

 フィーロから状況を聞いてオレたちはバラバラに行動していることが分かった。それならオレはこのまま警戒区域に入って手当たり次第にトリオン兵を倒すしかない

 

「フィーロ。分かってると思うけどこれは『仕事』だ。レーゲンを使えよ?」

 

『っ…うん、分かってるよ』

 

 息を呑んだような音がしたけど分かってはくれたみたいだからそれ以上は何も言わなかった

 

「そういえば……フィーロは今回みたいな大規模な戦いは初めてか…?」

 

 他国へ行く依頼にはオレか進さんがいて、しかもランクが低い任務を選んでいたから今日みたいな戦闘はまだ未経験だった気がする

 

『う、うん…?』

 

「一つだけ言っておく」

 

『え、なに?』

 

「敵の目的や規模が分かるまではトリオンを無駄遣いするな。必要なときにトリオン切れになるぞ」

 

『わかった!』

 

 長い戦いで一番避けないといけないのはトリオン切れによるトリガー解除だ。オレたち傭兵は帰還用のトリガーは装備していないから、やられたら死を覚悟するのが大体だ。ブラックトリガーのレーゲンは強いけれど負けたことがないわけではない。相性の問題だってある

 フィーロはいつもの調子で答えるが意味をちゃんと理解しているかは怪しい気がした

 

「…見えた」

 

 警戒区域に入って少し進めばゲートから出現したトリオン兵が向かってきた。もうすぐで攻撃圏内に入るところで腰に刺している三日月を抜いた。最初はモールモッドだったが、横に回ると同時に足もまとめて横っ腹を斬る

 こんなモノに時間を割いている暇は無いから少し雑になるが倒して戦力を削ぐのが一番だ

 

「というか…始まってすぐに敵の狙いが分かるわけもないしな」

 

 狙いを定めて一転突破の電撃作戦なら目的がわかってもいいのだろうけど、聞こえてくる音や視界にはあちこちにゲートが発生しているのがわかった。狙いを絞らせないためか、玄界(ミデン)を支配下に置くために侵略に来たか。アフトクラトルがどういう目的でやってきたのかはわからないが

 

「オレはオレの仕事をするだけだな…っっ!!」

 

傭兵のオレがやるべきことは依頼通りボーダーに協力して大規模侵攻を退けることだ

見えない脅威(ノヴァ)にセットされている『硬化』を起動して幅と厚さは変わらないが長さが数mも伸ばして巨大な剣を作ると、モールモッドもバンダーもバムスターもまとめて振り下ろした三日月で真っ二つに斬った

 




最後の更新が1月末……半年も更新してなかったのか

得に最近は創作意欲がほとんど無くなってしまっていたから余計に伸びてしまった……申し訳ないです

復活したわけではないですが、また少しずつ書き進めていきます





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