彼方の傭兵   作:悠士

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アンケートなんて追加されてたんですね!
へ~今度何かアンケートとってみようかな?


4話 戦い

 蒼也とその仲間に押されるフィーロとオレ。髪を上げた奴と怜が隠れて見つけた奴の見事な連携に後退しながら戦っていると怜から離れてしまった。これまでに消えるトリガーで分かったのはレーダーには映るということ、つまり目に見える姿だけみたいだ

 

「おっと!?おりゃ!」

 

 気配を感じ取れるフィーロは夜の雨(レーゲン)で防いで反撃している。もう一つ分かったのは長時間隠れていないことだ。長くても2分程度、おそらくトリオンの消費量が大きいのだろう。距離を取って様子を窺っているが隠れていない

 

「……こっちか!蒼也!なんでいきなり襲ってくるんだ!!」

 

「任務遂行の障害を排除するだけだ」

 

「任務?」

 

 後ろに現れた蒼也にギリギリ気付いたが左肩を少し斬られてしまった、だが腕が切られるほど深くはない。両手に持った弧月を振り下ろすが、2本の剣に防がれてしまう

 

「任務って何をやってんだ?」

 

「兄とはいえ教える理由はない」

 

「それもそうか」

 

 任務と言うのは何なのかは知らないがただ事ではないだろう。帰って来たときには大勢いた。多分2,3部隊はいると思う。トリオン兵排除の任務だというなら1部隊でいいはずだ。じゃあ一体なんなのか? トリオン兵排除以上の任務となると、やはり近界民(ネイバー)関連になる。だがボーダーは交流するための組織のはずだ、この5年で一体何があったのか知る必要がある

 

「っ……かくれんぼが好きな奴等だな!」

 

 蒼也から距離を取ると分かっていたかのように髪の長い奴が現れて剣が横に振るわれた。頭を下げて辛うじて切られることはなかったが、今度は前髪を上げている奴が剣を突き降ろそうとしてきた。横へ転んでなんとか回避するが、長い奴が追撃してきた

 これじゃ回避も防御も間に合わない。こいつ等の連携は見事だなとトリオン体を破壊されると思った瞬間、黒い流星が飛んできた

 

「避けろ歌川!」

 

「っく!!」

 

「シールドを貫通した!?」

 

 長髪の少年はいち早く気付いて回避行動を取ってから手をかざした。歌川と呼ばれた前髪を上げている少年の後ろにシールドが展開されたが、フィーロが放ってくれた夜の雨(レーゲン)に簡単に砕かれた。歌川と言う少年は右肩を貫通、右腿外側にかすり傷を受けた

 

「助かったよフィーロ」

 

「いつもよりは落ち着いたほうがいいっすよ?結構やっか……!!」

 

 立ち上がってフィーロのそばに来ると上空から光る玉が降り注いできた。夜の雨(レーゲン)を丸く広げて縦を作って防いでくれた。ブラックトリガーだからこの程度で壊れることなどないが、数が多すぎた。もしかして怜みたいにトリオンが多いのかもしれない

 

「風間さん!ここはオレが押さえるから太刀川さんの援護に行ってくれ!」

 

「出水か、任せたぞ。行くぞ、歌川、菊地原」

 

「「了解」」

 

 今度は黒いコートの少年が両手にトリオンキューブを持って現れた。武器らしいものも持っていないから多分射手(シューター)だろう。接近戦に持ち込めば勝てる見込みがあるが、蒼也たちのトリガーの事もあるし下手に近づけない

 

「ハウンド!」

 

 展開していたキューブを細かく分割して放ってきた

 

「フィーロ!下がれ!!アレは追ってくるぞ!」

 

「わ、わかった!!」

 

 ハウンドは味方以外のトリオンに反応して追従してくる弾丸トリガー。オレが知る限りじゃ放った後はただ追ってくるだけだが、消えるトリガーこととかあるから油断はできない。フィーロと一緒に下がっていると、後ろから何かの気配を感じた

 

「フィーロ!あっぶな…こういうことか」

 

「あっちゃ~防がれてしまったか」

 

「上手く狙えよ槍バカ!」

 

 振り返ると何かが飛んできていたので咄嗟に顔を傾けて回避する。すぐに弾丸も撃たれたがフィーロが守ってくれたので何とかなった。体勢を整えて見れば前髪をカチューシャで上げた槍の少年とメガネのスナイパー。服装が同じだから同じチームなのだろう

 

「援軍?面倒だなー…」

 

「どうだろうな。どちらもあの場にはいなかったからもしかしたら遅れてきたのかもしれないぞ?」

 

 スナイパーなら後方から来るのも納得はいくが、槍の少年はどうみても攻撃手(アタッカー)だから後から来るのはおかしい。なにか別のことをしていてそれで遅れた、と考えるのが自然かもしれない。前衛後衛が一緒に行動となると不測の事態に備えていたのかも

 

「うわっ!?何で、避けたのに…」

 

「大丈夫かフィーロ?」

 

 槍と戦っていたフィーロは的確な突きを躱していた。だが誰が見ても確実に避けたはずなのに首には浅いが斬れていた。幸い伝達神経までは届いていないようでよかった

 どうやら槍も新たに開発されたトリガーみたいで、思った以上に苦戦を強いられそうだ

 

「ん?こっちか!!」

 

「遅い!ギムレット!」

 

「シールド!!なっ…!?」

 

 コートの少年が大きなキューブを分割して新たな弾丸を放ってきた。炸裂弾(メテオラ)でなければシールドで防げるから、ギリギリ防御できる大きさで展開したらあっさりと破壊されてしまった

 そのまま手足を貫通してフィーロにまで命中しそうになったが、さっきと同じように薄く広げたことで防いだ

 

「マジか、不意打ちになると思ったのに。だが風間さんのお兄さんは結構ダメージ入ったな」

 

「やば……さっさとケリつけないといけないか。ハンティング!!」

 

「っ!!」

 

 ダメージは大きいけどまだ動けないことはない。幸い分割数は少なく弾丸自体の攻撃力を優先してか大きいだけだった。だがトリオンの漏出が無視できないほどだ。早いとこ終わらせて怜の援護に行きたい、そのためには出し惜しみはしないとオリジナルトリガーを使うしかない

 

 ハンティングはその名の通り狩りを意味する。旋空弧月を見た怜が「相手を追って切り刻んだら最強じゃん!!」と言ったことをそのまま形にしたトリガーだ。元は旋空だから拡張した斬撃というのは変らない、違うのは敵と定めたトリオンを追って切り刻むように周囲を回転することだ。放てば最後、余程の硬いシールドでもない限り防ぐのが困難だ

 ちなみに怜と戦ったときはあっさり当然見えない脅威(ノヴァ)に負けた。単純な剣の腕でもあと一歩ってところで負ける。お陰で鍛えられているけど

 

 オレの放ったハンティングはコートの少年の両足と右腕を切り落とした

 

「マジかよ……なんだよこのトリガー」

 

「オレのオリジナルだ。同じボーダーなのは気が引けるが、怜の援護に行きたいのでな」

 

 道路に倒れて言葉を漏らす少年にトドメを刺した。すると破壊された瞬間光となって大きな建物のほうに飛んで行った。混乱していると少年がその場にいないことに気付く。普通破壊されたら生身の体に戻るはずなのにだ。だがないということはさっきの光が運んだと言うことになる

 

「脱出機能みたいなのか?……できたんだ………」

 

 いつできたのかは知らない。だけどあの戦いのときにあれば、どれほどの仲間が助かったのだろうか。そんなことを思ってしまった。何人か死んだのはオレも知っている、だが残りのみんなはどうなったのかは知らないのだ。さっき会った迅以外に何人生き残っているのだろうか? 同窓会とまではいかないがこの5年間のことは知りたい

 

「進さん!!戦闘中になにボーっとしているんですか!!」

 

「ああ、わりぃ」

 

 オレとしたことが迂闊だった。今は戦闘中だったのを忘れてみんなのことを思い出していた。フィーロに呼びかけられて我に帰ると驚いたことに深くはないがあちこちダメージを負わされていた

 

「さっさと終わらせるか。槍の相手、まだできるか?」

 

「もちろんっす!」

 

「なら頼む!オレはスナイパーを仕留める」

 

 レーダーには映らないが気配でなんとなく分かる。怜やフィーロほどではないがそれなりには察知できるようにはなっている。バッグワームで見えない以上これに頼るしかない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フィーロたちのほうで光が飛んでいくのが見えた。何なんだと見ていると弧月が振られたので三日月で弾く。距離を取れば銃で射撃してくので「硬化」で固めてシールドを作って防ぐ

 もう10分近くこんなことを繰り返している。ここまでやれば力の差が嫌でもわかって後退するはずなのになぜかしない

 オレが復讐相手の近界民(ネイバー)だからなのかはわからない。音は聞けるが心の声までは聞こえないため何を考えているのか知ることができない。足止めされても面倒だから早いとこケリをつけようと三日月を2度3度と振るが、シールドと合わせて弧月で防いでくるから掠り傷程度しか付けられない

 復讐を考えている割には思った以上に冷静で対処も正確だった。怒りを見せるからこの少年の落ち着きは予想外だ

 飛び上がって今度は蹴ろうとするが、左腕で防いでから振り払って弧月が振るわれる。逆さで体勢が悪いが三日月で受けて地面に落ちた。すると少年は銃のカートリッジを捨てて別のを入れなおした

 

「ん?補充しても意味な…っ!?おもっ……」

 

「やっと跪いたな近界民(ネイバー)

 

 弾丸を補充して意味ないと言い切る前に撃ってきて、オレはシールドで防げると思ったら消えることなく貫通してきた。そのままオレに命中したが破壊されず、変わりに六角形の錘が体から生えたのだ。驚きの連続にバランスを崩して膝を地面に付けた

 

 ようやく反撃出れると思ったのか少年は銃を向けたまま近付く。引き金が引かれたので右腕とシールドで防ぐがやはり貫通して腕に命中、錘が出て片腕が使えなくなった

 この重くなるトリガーは見えない脅威(ノヴァ)と理屈は同じだと思う。領域内のトリオンを「硬化」で作ったシールドに干渉しないと言うことはトリオン体に、もしくは物質化しているものに命中して初めて効果を発揮するのだろう

 

 防げない以上回避するしかない。一度でも当たればバランスが崩れて動きが悪くなり撃破が容易となる。だが相手が悪い。それにここは見えない脅威(ノヴァ)の領域内だ

 

「なにっ!?」

 

「大分軽くなった。けどまだバランス悪いな…」

 

 そう。「脆弱」で脆くし「硬化」の剣で錘を切り落としたのだ。飛び出ている分は切ったがそれでも残った分の重さが動きを悪くている。ついでにまた撃たれたら困るので少年の手首ごと切り落とした

 

 傍からは見えない刃で切ったようにしか見えないと思う。何をしたのか分からないのか少年は距離を取るが、それでは弧月の間合いから外れることになる

 限界距離があると予測するのは当然だが、たかが数mは離れたとはいえない

 

「面倒だからさっさと終わらせるか」

 

「この距離でなにを…っ!!?」

 

 掲げた三日月をただ振り下ろす。それだけで少年の上にできた「硬化」の刃が落ちて右腕と右足を切り落とした。両腕がなくなれば戦えなくなるし、片足では機動力が半減する。これで少年は撤退以外の方法を取ることしかできなくなった。地面に伏した状態になって激しく睨んできた。憎い敵にたった一瞬で形勢逆転されたことが気に食わないのか、そもそもオレが憎いのか分からないが、できれば復讐の芽は摘んでおきたい。うつ伏せの状態を仰向けにして星を見えるようにした

 

「復讐したいならすればいいけどさ、近界民(ネイバー)も色んな奴がいるって知ってるんだろ?」

 

「だったらなんだ!?」

 

「見ろよ。近界民(ネイバー)の国ってのはこの星みたいな、無数に存在しているんだ。強者が正しい実力主義の国、トリオン兵の研究に特化した国、食文化の発展した国、神を崇拝する国。オレが住んでいるソチノイラも中立の国だ。どこかの国を攻める軍事力は少しも持っていないんだ」

 

 復讐の目を摘むと言っておきながら何を言っているんだろう思った。伝えたいことを伝えようと思うのは難しい

 

「………だから復讐をやめる理由にはならないっ!お前だって親しい人を失わない限り分かるわけないんだ!」

 

「分かるよ」

 

 これほど激昂するのだから相当親しかったのだろう。家族なら仲がよかったのだろう、友人知人もしくは恋人なら気が許せるほどだったのだろう。気持ちは分からなくもない。オレだって父親に等しい師匠を失ったのだから、しかも助けられる力を持っていながら。これがどれほど虚しいことなのかは言葉で伝える以外何もない

 

「師匠をな、引き取ってくれた父親が死んだんだ。大事な人を失う気持ちはオレだって分かる」

 

「だったらなぜ!!」

 

「そんなことをして、死んだ人は喜んでくれるのか?その人のことを知っているなら、少し考えれば分かるだろ?少なくてもオレは、嬉しくない。むしろなんでそんな馬鹿なことをしたんだと説教したいくらいだ」

 

「………」

 

「…これだけは知っといてくれよ。近界民(ネイバー)も人間だ。考えたり気持ちを感じたりする。誰もが争いを好んでいるとは限らないんだ」

 

 オレから言うことはこれくらいだ。あとはこの少年がどうするかだ。そのうえで敵として立ち向かうのなら選択肢は1つ、オレも敵として今度は手加減もせず倒すだけだ。地面に座って星を見上げていれば足音が近付いてきた、聞き覚えのある音だからフィーロと進さんだ

 

「お疲れ。でも進さん、結構ボロボロじゃないですか?」

 

「ああ、蒼也のチームが結構手強くてね。意外と追い詰められた」

 

 全身に傷だらけの姿はチームとしての力を示していたようだった。消えるトリガーは結構厄介みたいだ。風景に溶け込むってのはソチノイラでも実現は可能ではある。だが見えない脅威(ノヴァ)の開発者が言うには消費が大きいらしい。だからトリオンに余裕のある奴じゃないと博打だと。「君のトリオンなら可能だよ?付けるかい?」なんてこと聞かれたが当然断った

 

「さて、その状態じゃ帰れないだろ?送ってやるよ」

 

「いい、近界民(ネイバー)の手は借りない。緊急脱出(ベイルアウト)

 

「おわっ!?光…?」

 

 少年を送ってやろうと思ったのに断ったとたんトリオン体が爆散して光が飛んでいった。あの大きな建物に向かって

 

「脱出機能なんだと思う。この5年の間にできたみたい。って…怜?おまえ何をする気だ?」

 

「ん?基地に送ってやろうと思っただけですよ?」

 

「いやいやいや!!普通に歩くから!というか無理矢理送ろうとするな!」

 

 脱出機能とはすごいものが開発されたみたいでボーダーの技術力は侮れないな、消えるトリガーや重くなるトリガーとか

 進さんも基地へ送ってあげようと思って見えない脅威(ノヴァ)の「硬化」で掴むと中に浮かせる。慌ててやめるように言ってくるが、ここで解放すれば一緒に付いてきそうだから強引に。あと前々からやってみたかった実験を兼ねて

 

「シンさん……さよならっす…」

 

「なんでこんなときだけそっちなんだ!?みてないで助けろよフィーロ!!」

 

「色々大変だけど頑張ってください。そーー…っれ!!」

 

「ドアホーーーーー!!!覚えてろよーーーー!!」

 

 別れは決めていたことだからフィーロは止めることはしなかった。きっとこの先、生きていたことで注目されるだろうし、5年の変化で違いがあって戸惑うことがあると思う。でもソチノイラで普通に暮らせたから大丈夫だと思う。元々シンさんは玄界(ミデン)の人間だし。腕を振ってシンさんを投げると同時に「硬化」を解いた

 

「師匠…これが人間大砲?」

 

「そうだな。結構早いな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぁぁぁぁああああああーーーー!!どわぁぁ!!?」

 

 怜のやつに投げ飛ばされてどこかの家に突っ込んだオレは家一つを貫通して2件目のリビングの壁で止まった。もう帰ることを決めたからこんな強引な事されなくても素直に帰るというのに。オレはそこまで帰りたくない奴に見えたのかと逆に怒りたくなった

 

「でっけー……」

 

 とりあえずボーダーの基地らしいところに行ってみることにした。マークが違うが英語で「BORDER」とあるから間違いないと思う。近くに来れば周辺は更地になっていて、入り口はないのか回るとあった。だけど入り方が分からないがパネルみたいなのがあるから触ると開いた

 

「おいおい、無用心過ぎないか?」

 

 ネイバーから守る組織がこんなんで大丈夫なのかと不安になる。とりあえず開いたので入ることにしよう。誰か知っている人がいるといいけど

 

 

 




味音痴の頼れる兄貴分:風間進

三途の川を渡り損ねた旧ボーダーメンバー。恩人の怜が同郷の者だと知って色々教えたりするが、唯一料理だけは恩を仇で返してしまいかける才能の持ち主。何も知らなかったフィーロがつまみ食いしたら病院に運ばれてしまったため、2人から料理禁止令を出されてしまった残念な兄貴分。いつかミデンの食べ物を食べさせたいと料理修行を始めたが報われる日があるのか……


フラフラ歩くお菓子発見人間:篠島怜

散歩が趣味でよく出歩くことが多いため、街で珍しいものを見かけるとつい寄ってしまう悪癖がある。たまに迷子になってしまうこともあり、中々帰らないことでフィーロを心配させて泣かせたことも。大体いつも片手にはお菓子の袋を持っていて、次の依頼までは家にはそのお菓子が常備されている。半分は怜がいつも食べてしまう


頭より体で覚える弟:フィーロ

小難しいことが苦手だから感覚でなんでも覚えようとする困った弟。戦闘能力は申し分ないので怜となんども模擬戦をして、終わったら勝っても負けても笑っている。何事も体を動かすのが好きなので修行はいつも全力
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