進さんのイメージはあくまで作者のイメージです
ところで進さんって一体いくつなんだろう・・?25~27ぐらいかな?22からってのももしかしたらありえるかも?
ピンチだ
緊急事態だ。この基地広すぎる
「………迷った」
いい年した男が迷うなんて恥ずかしいにもほどがある。と言うよりは初めて来たところなんだから分からないのは当然だ。とにかく適当に歩けば階段かエレベーターに着くだろうと思ったのだが当てが外れてしまった
「つーか、なんで同じ扉ばっかりなんだ?何の部屋なのか書いとけよ」
ひたすら同じ廊下、同じ扉。しかも大体の感覚だが区画ブロックのように均等な分かれ方をしている、まるでそれぞれが部屋のようになっているのじゃないかと。パネルを操作しても反応はない。近付いても開くことはなかった、どうすればいいのか分からない。そのとき聞き覚えのある声が掛けられた
「風間さん」
「ん?おー!迅!丁度よかった、どこ行けばいいのか分からなかったんだ。とりあえず司令官か誰か会えないか?」
振り返ると迅が立っていた。なぜか手にはお菓子をもっていたが
「大丈夫ですよ。これから城戸さんたちのところへ行くところだから」
「城戸さんは生きてるのか!」
あの戦いで
迅に案内されてエレベーターに乗っている間に離れてからの話を大まかに聞いた。まず半数が死んでしまったこと、その残りが帰ってから
今まで基地として使っていた河川敷の建物が玉狛支部として機能していること。真都ちゃんが脱退して一般人に戻ったこと
「………そうか。あの日からそんなに変ったのか…」
5年経って戻ってきたと思ったら、ここまで変化しているのは衝撃が隠せない。蒼也みたいにポーカーフェイスを貫けれないから、いまフィーロがいたらすごい心配していたと思う
そうだ。フィーロといえばさっきの戦い。なんで戦わないといけないのか聞かないといけない
「迅!ここに戻ってきたとき戦うことになったけど、何の任務なんだ?」
「太刀川さんたちの任務は玉狛にいる
「玉狛にいるのか!?
ネイバーを敵対視している割には玉狛にいるというのはおかしい。オレの不安を考えてか迅は大丈夫だと言った。これからそのネイバーを守るための交渉をするために向かうのだと
「交渉?なんでだ?同じボーダーだろ?」
「大体3つくらいに別れてるんだ。
「ってことはあれか?派閥ってやつ?」
「そうだよ」
なんど驚けばいいのだろう。今度は組織内で派閥が生まれていたという。それだけでなく今のボーダーはオレの知っているボーダーとは全く逆、
「…辛いな……」
知っている者が変わり、親しい人が去り。胸の中に広がる哀愁は口にできるようなものではなかった。真都ちゃんみたいでもいいから、脱退してでもいいから生きてて欲しかった
「風間さん。着いたよ」
着いたドアは大きい。司令室とかだろうと思ったが、違うようだ。中は大きなテーブルを囲うように数人が座っていたが、1人右側に座っている人は知っていた
「忍田さん!!」
「っ!もしかして…風間なのか!?」
「っ…!」
少し老けているが忍田さんだというのは分かった。あと中央に座っている人も驚いているが知らない顔だ。あんな大きな傷を負った人をオレは覚えていない
「風間さん。あそこに座っているのが城戸さんだよ」
「え?……城戸…さん?」
迅が教えてくれるがとても信じられない。昔はよく笑う人だったのに、オレの知っている城戸さんなら笑って生きていてくれたことに喜んでくれる。そんな人なのにいま目の前にいるのは目を少し見開くだけで笑いも感動の言葉も言ってこなかった
しかも座っている位置から恐らく、このボーダーの司令官かそれに相当する役職なんだと思う。つまり
「一体……なにが…?」
「迅!なぜ
「はっ!?」
ネイバーってオレのことだよな? 確かにこの人たちは知らないからトリガー持ってるオレをそう見えるのかもしれないけど、忍田さんと顔見知りだって事くらいは想像できるんじゃないかと思うが
「大丈夫ですよ。この人は風間進さん。このボーダーの古いメンバーです。そうですよね、城戸さん?」
「ご存知なのですか城戸指令?」
「…生きているなら、なぜ帰ってこなかった?」
やっぱり最初はそれが気になるだろうね
「恩返しがしたかったんだ」
「恩返し?」
「ああ、オレを助けてくれた少年に。死に掛けていたオレに自分のトリガーを渡してくれたお陰で命拾いした。そのせいで今度はそいつが怪我をしてしまったけど。とにかくオレは簡単に恩を返すだけじゃ納得できなくてな、そしたら気が付いたら向こうでの生活に馴染んでしまって」
「風間…お前と言うやつは」
さすが馴染んだから5年も暮らしていたなんて呆れて当然だよな
「迅。なぜここにきた?」
どうやらオレのことは終わりなのか城戸さんの鋭くなった視線は迅に向けられた。一体何を話すのか分からない。交渉をすると言っていたが
「もちろん決まっているじゃないですか。玉狛支部空閑隊員の正式入隊を認めてもらいたい。太刀川さんが言うには入隊日を迎えないと隊員じゃないらしくてね」
空閑というのが匿っている
「もちろんタダでとは言わない。こっちからはブラックトリガー『風刃』を差し出す」
「ブラックトリガー!?」
迅が持っていたのはブラックトリガーなのは驚いた。通常トリガーとは桁違いの性能を持っているから簡単に手放すことなんて普通はありえない。1人適合するだけで数十人分の戦力があるのだから防衛するのも1人でかなり有利になる。だが適合する人間は限られている、そのため手放すと言うことはその分戦力を減らすと言っているに等しい
「迅!ブラックトリガーを手放すほど重要なのかよ!?その空閑っていうやつは」
「そうだよ風間さん。それに心配しなくても風刃は適合する人間が多くいるんだ、戦力が減ったわけじゃないよ」
「そんなことしなくても隊務規定違反でお前から取り上げることもできるんだぞ?」
「そのときはもちろん太刀川さんたちのトリガーも取り上げるんですよね?それはそれで好都合、安心して入隊日を迎えられる」
「取り上げるのはお前だけだ」
「へー、それができるならやってみなよ?」
「おい、なんで自分の首を絞めるようなことを言うんだ?」
城戸さんの言うとおり何かに違反したなら罰として迅のだけ取り上げてしまえば済む話。だがこの自信は自分の「だけ」じゃ済まないって確信している
「それに城戸さんの真の目的にも近付きますよ?」
「真の目的?」
城戸さんが一体なにを企んでいるのか分からない。あのころとは違うせいで考えも分からなくなった。すこしの沈黙のあと城戸さんは空閑という
「だが風間といたあのネイバーは別だ」
「そ、そうですね!見失ったとはいえ顔は確認していますし、捜索すれば―」
「待ってくれ!!怜とフィーロは別に攻めに来たわけじゃない!オレを送り返すのと観光をするために来たんだ!」
「観光?バカか!ネイバー他の国を観光なぞするはずもないだろう。大方素質のある奴でも見つけて攫うのだろうが」
「風間の意見に同意するわけじゃないが私はその意見は性急過ぎると思う。本当に観光に来ているのであればこちらに敵意はないはずだ」
城戸さんのあとに体調が悪そうな人が続けて言ってきた。あと太っている奴も。忍田さんの言うとおり怜たちは敵意があるわけじゃない、ただ今回は降りたところがたまたま悪くて戦う羽目になっただけだ
「だがA級部隊を退けた。脅威みなされるほどの戦力を持っているのは事実だ」
「たしかに怜たちは強いけど……城戸さんたちが何もしなければあいつ等は何もしない!なんでわざわざ状況を悪くしようとするんだ!?」
「悪くしているのはそちらだ。我々を脅かす人物が市民の中に紛れ込む、これは十分に危険なことだ。ネイバーを排除するのが我々の責務だ」
「排除……って、城戸さん……一体何があったんだよ?…昔のあんたはそんなんじゃなかっただろ!」
まさか城戸さんからそんな言葉がでるなんて思いもしなかった。こんなことなら怜の言うとおりもっと早く帰っていればよかった。そしたらボーダーがこんなに変わることもなかったかもしれない
「風間。その怜って言う子と話はできるか?」
「忍田本部長!?」
「すみません。トリオン体なら通信機能で可能性はあるけど、さっきも言ったけどこっち着たのは観光も目的だから多分使うことはないと思う……」
「そうか…」
僅かな希望でしかないけど。わざわざトリオン体で観光する必要なんてないから無理だと思う。忍田さんはどうやら納得させるために契約を結ぼうと考えてたらしい。城戸さんたちの考える管理のしかたとは違うが、何らかの形で目が届くようにしようと思ってたと。これなら一応は納得するらしいが、体調の悪そうな人、根付さんというらしいがそれでもまだ完全には納得できないと
メディア対策室長と部署の偉い人で、ボーダーの印象をよくするために色々考えるらしい。広報のための部隊もあると後になって知った。でも確かに敵として広まっている
でも怜と会えて契約を結ぼうとしても内容によってはできないことかもしれないし
「内容は近いうちにくるであろう大規模侵攻の戦力として、話を聞く限り怜くんは傭兵なら報酬を用意して契約すれば、こちらの不利になることは極力しないだろう」
「そ、そうかもしれませんが……」
中々首を縦に振らない根付さんに難航しそうだが聞き逃せない言葉が出た
「大規模侵攻って、またあるのか!?だったら怜たちにも協力させれば…!」
「しかし…
「ああ、調査の結果断定ではないがその可能性が高いとでたんだ。念には念を入れておくべきだと私は考える」
「城戸さん、頼む!あいつ等は悪い奴等じゃないんだ!それでも納得できないなら依頼すればいい!報酬を出せばちゃんと守ってくれる!」
「………」
まだ確定ではないらしいが、この世界がまた狙われているのならやることは一つ、力のある限り戦って守り続けることだ。そのためにまずオレにできることといえばボーダーの説得。怜たちと協力できれば守りきれる可能性は一気に高くなる
「迅、お前には何が視えている?」
「そんなに心配しなくても、風間さんの言うとおり彼らは危なくないですよ。むしろ仲良くなればボーダーにとってもいい協力関係を築けますよ」
そうだった。迅には未来が見えるサイドエフェクトがあるんだった。しかも怜たちを直接見ているから安全な奴等かどうかももう知っているから、迅の言葉は説得力がある
「と言うか…迅!お前オレが生き延びてるの知ってただろ!?」
「まあね。風間さんのためにも……みんなのためにも必要なことだったんだ」
「みんなって…迅、お前っ………」
さっきまでの雰因気はまったくなくなり少しだけ表情を曇らせた。必要なことって一体何が? みんなのためにって誰のことだ? ただ言えるのはあの戦いの犠牲は必要だったということだ。当然怒りも沸いてきた。けれど先が見えるって事は誰がいつどこで死ぬのを、誰よりも先に知ることだ。回避することもできるだろうけど、もしその先の未来がよくないことだったら、よくするために必要なことをしないといけない。それがたまたま、オレ達の犠牲だった、ということなんだろう
たとえ知ることがなかったとしてもいずれくることになる。そのときは何の準備もなしに。いや、していたとしても結果が変わらないかもしれない。むしろしないほうがよくなる事だってある
迅は一体いくつこんな経験をしたのかわからない。同じ屋根の下で寝て食べて研鑽して、信頼しあった仲間を見捨てなくちゃならなかったときの気持ちは、オレにはわからない。ただ今この怒りを迅に向けるのは、絶対に間違っている。一番辛いのはコイツなのだから
なんだかんだで甘い兄:篠島怜
普段から厳しいことを言って一人前の傭兵になれるようフィーロを鍛えているが、血の繋がりはないとは言え可愛い弟。ブラックトリガーを持っていても危なくないように数の少ないところへ配置したり、欲しいものがあるときに我慢するように言っても理由を付けて頑張ったからと買ってあげたりなど、結局喜んでくれるフィーロを見るのが好きな甘いお兄ちゃんなのだ