進さんから日本語は習ったが怜は平仮名とカタカナは大丈夫、フィーロは平仮名を少しくらいにしかわからない。なので漢字は全然だめですね・・・「篠島怜」と「風間進」は書けるくらいにはがんばったのだ
昨日の体調不良は薬のおかげですっかり治った。今日はフィーロと共に二度目の散策に出掛けているのだが
オレはいま衝撃を隠せない
手に持っているのはご飯を入れて蓋を押すことでできる簡単おにぎり製作調理器具だ。サイズは小さめだが一度に3個もできるのだ。だが問題なのが値段が書かれていないことだ。これが一体いくらなのかわからないのだ棚にも書かれていない
「すごいな、フィーロ」
「うん。熱いご飯を触らなくていいね」
全くもって驚きだ。他にもゆで卵をきれいに切る、ねぎを細く切るなど便利な道具を。だけどフィーロがゆで卵は嫌いなのでウチで作ることはあまりない。ほかに調理板、すり潰す板やスライス板。多種多様だ
「あ、兄ちゃん!」
「どうした?マジか…軽い……」
フィーロが何かを見つけたようで、そちらに目を向けるとそれなりの硬さがありつつも軽い器を発見した。この感じだと落としたとしても割れなさそうだ。しかも4枚セット。器以外にもスプーンにフォークなどあっただけどこっちは強度が不安になる。だけど使い捨てと考えればまあ悪くないと思う。コストがどれくらいなのかと、ソチノイラでも作れるのかわからない
食器コーナーを出ると今度は文具コーナーが隣にある。そこで少し懐かしいのを見つけた
「兄ちゃんなにそれ?」
「これか?折り紙ってやつだ」
「紙を折って動物とかヒコウキってやつを作って遊んだりするんだ」
「ふーん、でも簡単に壊れそうだね」
「紙だからな」
まだ孤児院にいたころ先生に教えてもらった遊びだ。色のついた紙は染料も使うので気持ち高めだから孤児院ではあまりなかったけど、四角にきった白い紙を折っていろんなのを作った。懐かしいなと昔のことを思い出して1つカゴに入れた。次は何があるのかなと横を見るとまた衝撃のものだ
「フィーロ、これ…」
「ん?ツルツルで変な紙だ」
「ああ」
不自然なくらい大きなカバーみたいなのを手に取ると、中には透明なツルツルした紙がある。一体何のためにあるんだと思っていたら上が開いた。なんだ? と思って広げると使い方がわかった
「わかった。これ、紙を中に入れるんだ!」
「…ほんとだ、これなら依頼書とか入れても雨とかで濡れないね!」
時と場合にもよるが悪天候の中動いて依頼者に確認をとってもらうことだってある。依頼達成後にサインしても紛失すれば未達成となるため、この中に入れれば敗れることも濡れることもなくなるし、もしかしたら紙ではないだろうコレは透明だから見やすい。これは作ったほうがほかの傭兵たちにも役に立つだろう、研究者たちにも
「兄ちゃん……他国のものを持ち帰って作るのは違法だよ」
「ぁ……そうだったな」
口に出てたみたいだ。フィーロから指摘されなければ危うく犯罪者になるところだった。と考えたところで思い出した。確かに他国の商品を自国で作るのは違法だ、けれど交流があまり行われていなければ別だ
閉鎖的な国もあり、貿易の交渉を行ったらしいがことごとく失敗したと。そこで国王が考えたのが交流のしない国、又は交流をしていなかったけど積極的ではない国はその法律からは対象外となる。その理由はもし国の商品が素敵なもの、便利なもの、新しい技術を必要だった場合自国で作れば必要以上に余計に干渉することはない。逆に友好的であれば作らなくても取引で快く卸してくれるからだ
「だけどフィーロ、
「うん、そうみたいだね?」
「そういう場合…国として判断されると思うか?」
「………わかんない」
国王が定めたのは『国』であり、『組織』ではない。国の一部ではあるが、
だけど
国の援助はなかったとしてもこの商品は
「これ何に使うんだ?」
「ん?板?……使い道がわからん」
フィーロの手に持っていたのは金属板が垂直に立つように作られた不思議なもの。文具コーナーになるのだからそれに関することに役に立つのだろうけど想像もつかない。もって帰っても意味のないものだったら邪魔にしかならないから買わないでおこう
いろいろ見て回ったけどそろそろ清算を済ませようと店員にカゴを渡したのだが。この店は一体オレを何度驚かすのだろう。思わず表示された金額を疑った
「23点で合計2484円になります」
「え……安い」
6000円はするだろうと思っていたのに予想よりかなり安かったのだ。本当にこの値段で大丈夫なのかと不安ではあるが、とりあえず財布からお金を出して清算を済ませた
「お客様外国の方ですか?」
商品を袋に入れていた店員に聞かれた。とりあえずここは外国に住んでいたことにしてこんなに安い店があったのを知らなかったことにしないとたぶん怪しまれるかもしれないし
「そうですけど?」
「そうでしたか。このお店はお客様に便利なものを安く販売しているのですよ」
確かに便利なものだ。一部用途がわからないものもあったが大体あったらいいな、みたいな商品が多くて驚きの連続だった。ソチノイラにもこういう店があればいいのに、店じゃなくても商品が流れてくれればと思ってしまう
この店は「ひゃっきん」というものらしく。ほとんどの商品は100円と税を足した額で買えるらしい。物によってはそれ以上もするらしいが、基本的にはお手ごろな値段で便利なものを売っていると店員に教えてもらった
「すっごいお店だったね」
「ああ、中々使えそうなものがあったな。進さんがいればいろいろ教えてくれたのかもな」
「話したのは兄ちゃんじゃん。というより、投げ飛ばした…」
「………」
何だか最近はフィーロに怒られたり呆れられる。兄なのに。昔から散歩に出てはお菓子を持って買えると呆れた表情をよく向けられる。進さんも同じ顔になってた。オレの散歩はそんなにいけないことなのかわからない。見つけたお菓子屋でお土産を買っているだけなのに
「兄ちゃん。あそこ行ってみたい!」
袖を引っ張って指をさした方向には「TOYSHOP」と1文字ずつ違う色で作られた店だった。これから行く予定の場所はないから行ってみたのだが、近づくにつれて店がかなり巨大だというのがわかった。確かタイヤが4つで走る機械が車と言っていた、それが数え切れないほど広いスペースに置かれている。移動手段の車を止めるスペースも含めると相当広い
とりあえず中に入るとタイヤのついたカゴが大きかった。何でこんなものが必要なのかわからず、無視して店に入るとなにやらよくわからないが、たくさんのイラストが描かれた軽い箱が並んでいる棚を見つけた。残念だけどあまり字が読めないから何なのかわからない。本かとも思ったが軽すぎる。フィーロが目を輝かせていたが分からないものを買っても意味がないのでほかのコーナーへ行く
「っ!!ぅわぁぁぁ……」
「…フィーロ?」
棚に沿って歩いているとフィーロが突然立ち止まってさっきより目を輝かせた。何なのか見ればただのロボットだった。でも確かにかっこいい。ソチノイラ、というか
「ぁあ!こっちは全部入ってる!あ、これはベルト?でもかっこいい…!」
棚にある商品をあれこれ見ては手にとって悩んでいる。別に自分の金で買うのだからほしいのを買えばいいだろうと思う。20分悩んで選んだのは全部セットのよりは少ないセット商品だ
「兄ちゃん……」
「ん?買ったらいいんじゃないのか?」
「ぁ…うん、そうなんだけど……」
いつもより低いトーンで来たフィーロは表情は暗い。予想はつく。全部セットのがほしいからお金を出してほしいということなのだろう。もちろんそのときは管理しているフィーロのお金から渡すつもりだ。だけど今回からお金は管理すると決めている。傭兵だから荒稼ぎしているから一般家庭よりは余裕のある生活をしているが、だからといって好きに買ってお金に糸目を付けずに贅沢するのを覚えたままだと先が心配なのだ。上げてあげてもいいがここで甘やかすと結局管理する意味がない
ここは我慢
「旅行前に言ったろ。使いすぎないように管理するって。今もっている分使い切ったらまた渡してやるから」
「…!じゃ…だめだ……足りない」
どうやら全部セットのロボットおもちゃは今もっているお金では足りないらしい。それでもある程度揃っているは買えるほどには残っているようだ。それならまだ渡す必要はない
「わかった……これで我慢する」
「ん、ソチノイラだって買えたくても買えない人だっているからな。1個ずつ覚えていけばいつかはいいことがあると思うぞ」
「………ぅん」
すごい残念な顔しているし、見ているこっちは胸が痛い。こんなこと思うオレはまだまだ甘いのだろうか? オレも我慢しなければ、兄として。フィーロが隣で大事そうに抱えて歩いていると今度はオレが足を止めてしまった
「兄ちゃん?…なにこれ?」
「っっ……かっこいい」
「えっ!?」
白く長い青のラインが入ったなぞの乗り物らしき物。N700A新幹線(のぞみ)と一部読めないがこれが商品名らしい。それがなぜだかオレの目を惹きつけたのだ。お菓子以上にこれほどの物があるなんて自分自身でも驚きだ
「…兄ちゃん……」
「っっ!!?……わ、わかってるよ……」
さっきとは違う低い声、恨めしい感じの悪意がこもった様な。父さんの説教以外で背筋が震えることなんて初めてだ。ましてやフィーロに。振り返れば渋々我慢して選んだロボットのおもちゃで顔を半分隠して目が据わっていた。確実に恨めしい表情だ。フィーロのおもちゃが8954円。対してオレが今欲しているものは23890円も倍以上もする
自分は我慢しているのに兄ちゃんだけ我慢しなくてずるい。確実に目でそう語っていた
「わかったわかった。そう睨むな………」
初めてフィーロにトリガー以外で負けた。弟というのはこういうところで意外と強いのか。まさか
その後は見て回っても赤ちゃんや女の子向けのものが多数あった。これ以上は見て回っても時間が無駄になるかなと思ったから清算を済ませた
「
「ぁーーまあそうだね…っ!」
満足ではないがそれなりには楽しめた、という意味ではフィーロに同意見だ。店を出て少し歩いているとオレの耳が聞こえてしまった。『探しているネイバー君見つけた、これから話をしてくる。っと、送信』っと
オレたちのことを「ネイバー」と言うからには少なくともボーダー関係者であるのは間違いない。別にやましい事があるわけじゃないがボーダーには恨まれてるような幹事をこの前の戦闘で知ったから自然と足が速くなる。雰囲気を察したのかフィーロも歩調を合わせてきた
「敵?」
「わからない。ボーダーの関係者かもしれない」
拾える音で乗っている乗り物の音は近づいてきている。走るべきかと思うが、最悪なことに両手に荷物を持っている
「フィーロ、いつでも換装はできるようにしろ。話をしてみる」
「わかった。でも大丈夫なの?」
「さあ?それを確かめるんだ」
ちょうど信号機が赤になったので音は止まった。オレたちよりは少し距離があるから近づいてみることにした
「まさか君たちから来てくれるなんて助かるよ。でもここじゃ話しにくいからそこの角を曲がったところで待っててくれないかな?」
「オレたちが逃げるかもしれないぞ?」
「もしそうなった場合、ボーダーとしてはあまり無視はできないから警察とか協力してもらって探すよ?」
「ほー?安心しろ、ただの旅行だから何かを企んでいるようなことはない」
「そうだね、ソレを見れば遊んでいるのがよくわかる」
髪を後ろに流してる男はオレたちの手の荷物を見てどうやら旅行だというのは一応信じてもらえたようだ。信号が青に変わったので乗り物は動き出した。信号機のところで曲がったので付いていくと乗るように言われた。言われるがまましたがって大丈夫なのか不安だが、少なくても音から聞こえる限りは椅子には何の仕掛けもないようだ
それにオレは腕に、フィーロは首にトリガーを装備しているので、万が一何かあったときは対処可能だ
あまり交流がない
ちまちま描いてたフリー素材を利用した表紙的なもの
怜もフィーロも進さんも上手く描けてなくて申し訳ないです・・・・正面ならたぶんマシになるのかな?まあ今はこれが限界って感じです!
【挿絵表示】
ここで本編の補足
フィーロが欲しかったのは日曜日にやってる◯◯戦隊シリーズのコンプリート版
怜は鉄道模型の新幹線です
ちなみにお店はトイザらスです。作者の地元では何軒かあるのですが他県はどうでしょうね