彼方の傭兵   作:悠士

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8話のタイトル変えよう・・・男心じゃなくて童心だ
こっちのほうが内容的にもしっくり来るしね


9話 契約

 街であった男は唐沢というらしい。ボーダーの外務というのを担当していて、内容はスポンサーという支援してくれている会社や組織からお金の援助をしてもらうために交渉に言ったりするらしい。他にも仕事としてはあるらしいが、この人は主にそういったことをしていると

 

「それにしても……たくさん買っているね?」

 

 突然唐沢さんがオレたちが買ったものを見て呆れているのか戸惑っているのか微妙な声で聞いてきた

 

「この国はソチノイラにはないものがあるからな。丁度いい、さっきこれを買った店で見たんだが、金属の板が繋がったものは一体何に使うんだ?」

 

「金属の板?……ああ、それは本立てだね」

 

 両手を使って形を伝えると本立てと答えが返ってきた。ブックエンドとも言われ、用途はテーブルなど壁がないところに置いておくと本が倒れないようにするための道具だという。また棚に置けば空いたスペースに小物とか置いたりなど活用もできたりする

 

 使い方を知ると買っておけばと後悔した。まさかそんな便利な道具だったとは、あの形を見ただけでは見当も付かなかった。そうなると全部は見えていないけど不思議な形をした便利な道具とかあるのかもしれない。今日で帰るわけじゃないからまた今度行けばいい

 

 しばらく車という乗り物はボーダー本部に着いたようで降りてから少し歩いた。エレベーターに乗って上にあがると近くの部屋に入った。大きな机に数人の大人が囲むように座ってた。おそらく中央に座っている顔に傷のある人が司令官かそれに相当する役職の人なんだろう

 

「あんたたちか?オレたちに用があるというのは?」

 

 移動中にこの唐沢さんから大まかなことは聞いた。オレたちに契約したいことがあると

 

「そうだ。私は界境防衛機関ボーダーの指令をしている城戸だ。まずはこちらの質問に答えてもらおう」

 

 探して連れてきておいて間髪いれずに質問ときたか。随分と勝手な組織だ。オレたちの胸中を無視して城戸という男は続けた

 

「何が目的でこっちの世界に来た?」

 

「進さんやそっちの戦士たちに聞いていないのか?ただの観光だよ。ほら」

 

 この前戦ったやつらも最初に目的と聞いてそれしか聞くことが無いのかと思ってしまった。とりあえずオレたちに敵意が無いことも知ってもらうためにもさっき買って手に持っていた物をテーブルに乗せた

 

「お、おもちゃ!?」

 

「……どうやら風間進()の言っていたことは嘘ではないようだね」

 

 太った男は驚き、少し痩せている男は呆れを表した。なんとも微妙な空気の中笑ったのはめがねをかけた男だ

 

「あはは。遊真といいお前たちといい、最近のネイバーは愉快なやつらばかりだな」

 

 咥えタバコでこの部屋の中ではこの男だけが雰囲気が違っている。敵意をとは違う、だが全面的に迎えてやるとは言えない。まるで値踏みでもされているようで居心地が悪い。その隣に座っている男も似た雰囲気だ

 他にも「遊真」という名前に聞き覚えがある。人違いでなければ7年前に会った黒髪のチビだったきがする

 

「ところでそんなわかりきった質問をするより先に、こっちは()()なんだ。交渉すなら対等にするのが当然じゃないのか?そっちが何もしなければオレたちだって荒事にしたくないんだ」

 

 めがねの男の笑いが収まると今度はオレから言葉を発した。この部屋に目に見える人数より1()()()()()()にも向けて。ほぼ棒立ちで音はしないが、城戸指令たちの発した声の波でおおよその位置と姿がわかった。姿が見えなければ優位に立っていると勘違いしている馬鹿な連中はこれまでにもいた。自分たちの口がその隠れているやつを見つけ出すレーダーの代わりを果たしてくれていると知らずに

 

「っ!!……」

 

「言い当ててほしいか?」

 

「…城戸指令」

 

「…出てきたまえ」

 

 ここでとぼけるやつはさらに馬鹿だ。城戸指令はオレの言葉がハッタリではないと思ったのか隅にいた少年が現れた。この前の夜にいた消えるブレードを使う戦士だった

 

「こいつ…なんで僕の居場所がわかったんだよ?」

 

「何のためかは知らないが戦士を隠して配置させる奴らに教えると思うか?」

 

 不満を口にしながら城戸指令の横に行った

 

「気を悪くしたのならすまない。ボーダーとして君たちがウソを言う可能性があったから念のために来てもらっていたのだ」

 

「交渉で負担を軽くしようとするやつらはいるからそれはいい。だがこっちは襲われる危険を冒してまで生身で来てやったんだ。そっちが一般人を守るための組織だって言うのは進さんから聞いてはいるが、たかがネイバーだからってこんな扱いはいくらなんでも横暴すぎないか?」

 

 小国なんかは成果に見合わない報酬を要求されたときとか武器を向けてきたり拘束しようと稀ではあるがそんなことをするやつらはいる。そのときは返り討ちにして倍額で要求するけれど。とにかくボーダーのこの行動は逆に自分たちの首を絞めたということになる

 

「どうだね?」

 

「ウソを言っているような感じはしなかったですよ。ほんとうに観光に来たなんて信じられないですけど」

 

 確認を取るように聞いた城戸指令。なんのウソも言っていないのだから当然の答えだ。オレと同じ耳がいいのかウソを看破する類のサイドエフェクト持っているのかは知らないが、少年の言葉が決め手となったようで敵意は無いと納得はしてくれたみたい

 

「で?契約したいって聞いているんだけど?」

 

「ああ、それは私から説明しよう。私はボーダーの防衛部本部長の忍田真史(しのだ まさふみ)だ。君たちが来る少し前、こちらでイレギュラー(ゲート)が何件か発生した」

 

 これでやっと話が進めれると安堵しているとめがねの男の隣のやつが立ち上がった。この人は雰囲気でわかる、かなり強い。見えない脅威(ノヴァ)を発動しないと確実にオレはやられる。なんでそんな男が本部長などという後方にいるのかは知らない。トリオンの成長は大体20歳くらいで止まると言われているが、それが関係しているのかもしれない。そうなれば教えを受けたやつは幸せだな、確実に強くなれる

 

 忍田という男にそんな評価をしていると聞きなれない言葉が聞こえた

 

「イレギュラー(ゲート)?」

 

「これだ、見てくれ」

 

 テーブルから画面が投影されてひとつのトリオン兵が映し出された。体躯は極端に小さく細い足と尻尾が生えている。背中はレンズの様のような物が埋め込まれている。間違いなくこれはアフトクラトルの偵察型トリオン兵・ラッドだ。遠征にいく国に向けて戦力調査などに使うために開発された。また周囲の人間から微量だがトリオンを吸収して単体で(ゲート)を開くことができる。戦闘力ないものの、量産が容易で小型なため捜索も面倒になる

 だが上手い使い方さえすれば敵を撹乱できたりするため何気に厄介なのだ

 

「原因はこのトリオン兵であり、先日C級隊員も招集して殲滅作戦を決行した。総数3千にも及ぶ数により、我々はこれを大規模侵攻の調査ではないかと結論を下した。またこれまで確認されていなかった中を浮く巨大なトリオン兵も確認された」

 

 今度はイルガーだ。本部長はこれが始めてのように言うがそれは当然だ。イルガーは体内に大量の爆弾を抱えている、それだけでなく自爆のためのトリオンもあるため簡単には使わないのだ

 

「これだけか?」

 

「何か気になることでも?」

 

「だからイルガーは1体だけなのか?いつ?どこで?」

 

「場所は市街地。イレギュラー(ゲート)から出現した。出てきたのも1体だけだ。それがどうした?」

 

 オレの質問に答えたのは太ったやつ。後に教えてもらったが鬼怒田といい、トリガーの開発室の室長というらしい

 

「ふーん。市街地でたった1体だけ?」

 

「ああ、だから我々はボーダー隊員たちをおびき出すのが目的だったのではないかと考えている」

 

 おびき出す? それだけじゃないはずだ、アフトクラトルならもう2体ほど追加で送れるはず。それをしないというのはその1体で得られる情報があったということだ。とはいえ次があったと知っているわけじゃないからこれ以上のことはなんとも言えないけど

 

「いつになるかはまだ不明だが、大規模侵攻(そのとき)までこちらに滞在してボーダーに協力してはくれないだろうか?」

 

「報酬は?」

 

「100万でどうかな?」

 

「足りるわけ無いだろ?いつ来るかわからないときまでこっちに居ろと無茶苦茶なこと言っているんだ。200万だ」

 

「え?……兄ちゃん?」

 

 倍の額を要求したことでフィーロは戸惑っているが、大事な報酬の話だから終わるまで待っててほしい。広報の室長という根付と鬼怒田もうろたえている

 

「必要とあれば私が持ってきますよ。ちなみに君にとって200万の報酬は高いのかい?」

 

「いや、大体がそれくらいだ。ただ内容によっては上下する。進さんがいた組織だから少しはまけている」

 

 いつもは300万リィルあたりが平均して稼いでいる。「黒狩りの魔術師」として知れ渡ってから依頼を受けてもらおうと上乗せされていったらいつの間にかこれくらいになったのだ。これでも一応協会で与えられているランクはSSだからそれなりに報酬は高いが

 

「悪いが200万円は簡単には出せない。代わりにといってだが、隊員たちが普段行っている防衛任務に君たちも参加してもらえないだろうか?」

 

「忍田本部長」

 

「城戸指令、この時期は何かと中高生は多忙です。夜間は彼らに任せればその分隊員たちの負担は減らせます」

 

「……ですが本部長、正隊員ではない者に我々の任務を任せるのは…それに他の隊員たちに知られれば…」

 

「彼らが担当する場合は周辺の担当部隊を調整します。太刀川隊、風間隊、嵐山隊、加古隊や木崎隊に任せれば問題は無いでしょう?」

 

 この時期は多忙というが何かあるのだろうか? それに今あげられた部隊はネイバーに対して寛容という事なのか? と思っていたらそうでもないらしい。城戸指令の隣にいるやつが「あんなやつと隣でやりたくないんですけど」と偉い人に向かって生意気な口をひらいた。あの少年の神経は一体どうなっているのか初めて気になった。骨みたいに図太いのだろうかと冗談みたいなことを思ってしまった

 

「君は何か要求はあるかい?」

 

 本部長が根付さんと話していると、唐沢さんが突然話しかけてきた。少し考えたオレは2つを要求した

 

「まず1つ、ネイバーに対して憎しみを持っているやつを近くに配置しないでほしい」

 

 この前は姉を殺されたことで復讐を考えているやつに会ったから、組織人間で無いと知ればまた襲ってくる可能性だってある

 

「もちろん配慮する。今言った部隊は意味も無く君たちを攻撃などはしない」

 

「2つ、そちらの仕事を肩代わりするのだから報酬を用意すること」

 

 報酬をボーダーが提示した100万円に戻す代わりに、大規模侵攻とは別に防衛任務の参加に対する報酬を要求した

 

「それも当然だ。風間から話だと相当腕が立つようだしA級と同等の報酬を用意する、観光するには十分過ぎるくらいの金額にはなるが」

 

 A級というのは多分協会で言うランクとかそういうものだろう。オレはそう結論付けるとそのA級と同等の報酬というのはどれくらいなのか気になった。本部長が言うには観光には十分過ぎると言う。ホテルはとってるから衣食住は問題ない。他になにかあるかとフィーロに聞いてみた

 

「……フィーロは?」

 

「うーん…ここの人たちと戦いたい!!」

 

「た、戦いたい!?お前さんはなにをいっとるんじゃ!!」

 

 案の定戦いたいと言ってきた。オレ以上に感覚派のフィーロはとにかく体を動かすのが好きだ

 

「こっちの人たち強いからもっと戦いたい!」

 

「…とフィーロは言っているが、ボーダーの判断は?」

 

「それについては検討しよう」

 

「大体まとまったか。それじゃコレにサインをしてくれ」

 

 予定外だが依頼を引き受けることになった。オレはそのつもりはなかったが、フィーロは戦えることにうれしいのか喜んでいる。といっても戦士同士は考えるといっているから、これはトリオン兵を倒すことに対してだな。身に付けている鞄から2枚の紙を取り出して必要なところを書いていく。あとは署名が必要なところにサインをもらうだけなのだが

 

「…すまないがなんて書いてるんだ?」

 

 読めなかったのだ。だが生憎オレは玄界(ミデン)のことばは少ししかわからないためこちらの文字はわからない。書いてある内容を伝えると本当かどうか怪しまれたが一応はサインしてくれた。面倒ではあるがボーダーが用意した紙にもオレとフィーロの二人の名前を書いてサインした

 

「篠島怜…きみはこちらの人間だったのか?」

 

「らしい。赤ん坊のころに連れ去られたらしいから人から聞いているだけだ」

 

「親に会いたいかい?必要なら捜索に協力するが?」

 

「……いや、いい。オレにとって親はオレを拾ってくれた施設の先生で、引き取ってくれた師匠だ。それで十分だ」

 

「そうか…」

 

 オレの名前を見て本部長がオレを生んだ家族を探そうかと申し出てくれたが断った。居たとしてもオレの帰る場所がこっちになるわけじゃない。それに生きていたことを知ればどこにも行かせないように閉じ込めたりするかもしれない。そうでなくてもいずれは別れることになる

 オレは平気でも相手はそうじゃない。死んだと思っていた子が生きていたのだから残ってほしいと強く願うはずだ、そんな身勝手な願いのために左右されたくない

 

 本部長はすこし残念そうにしていたがこれがオレの結論だ。用事も終わったから帰ろうとしたときめがねの男に呼び止められた

 

「お前たちこれから玉狛に泊まらないか?ホテルだろ宿泊費がかかるだろう?」

 

 それにと続けて言った。うちでなら強いやつが居るから好きに戦えるぞと。そんなこと言われてしまったら

 

「それホントっ!?」

 

 フィーロが引っかかってしまった。水を得た魚か網にかかった魚か、どっちが正しいんだろう? とはいえ男の言うとおり宿泊費なしで泊まれるのならそのほうがいい。しかもさっきまであった居心地悪い雰囲気はないから何か企んでいる訳でもなさそうだ

 

「すまないが迷惑かける」

 

「おう、気にするな!自分の家に居るみたいに寛げ」

 

 そういうわけでオレたちはホテルに泊まるのが最後になった。明日は玉狛というところで泊まることになり、迎えを寄越すと言ってくれた

 

「そういやまだ言ってなかったな。オレは玉狛支部の支部長をやってる林藤だ。いまはお前たちの先輩がいるから安心しろ」

 

「?」

 

 先輩とは誰のことなんだろう? すくなくともオレやフィーロに先輩に当たる人物は1人も居ない。誰なのか教えてもらえず気になってしまうが明日を迎えるしかなかった

 

 ホテルに戻って夕飯も食べたオレたちは撤収するために荷物をまとめていたのだが、ふいにフィーロは思い出したように昼間のことを聞いてきた

 

「そういえば兄ちゃん、報酬あんなにもらってもよかったの?」

 

「当然だろう?むしろ100万リィルなんて破格で受けたんだぞ?どこが不満なんだ?」

 

「いや、不満じゃないけど……あの報酬って()()()()()()で100万リィルなんだよね?」

 

 何が納得できないのかフィーロの言いたいことが理解できなかったオレは、いままでで一番のアホなことを犯してしまったことに気が付いた

 

「………ぁ…っっぁああ!!?じゃ、じゃあ……帰ったら……」

 

「1000万リィルだよ?」

 

「………」

 

 そう。オレたちは玄界(ミデン)に来る時にお金を換金しないといけない。そうしないと物が買えたりできないからだ。そしてその換金率はソチノイラで「10」が玄界(ミデン)では「1」にと極端に減ってしまう。だが帰るときも換金するので10倍に膨れ上がるのだ

 通貨単位を言わなかったからいつもの調子で交渉してしまったのだ。帰ったときは大金を手にすることとなった

 

「…ま、まあ向こうはこれでサインしたんだ。いいんじゃいか?」

 

「そ、そうだよねー」

 

 やらかしてしまったことにちょっと、いや、かなり罪悪感を感じた。心の中で謝罪して別で受けた防衛任務は真面目にやろうと固く決めた

 

 

 

 

 

 

 




とりあえずここまでこれた~
大規模侵攻も2人の配置とか相手とか考えなくては
それまでの話も・・・

あとお知らせ
非公開にしていた「Something to have that before losing」を通常公開に戻しました。まだプロローグしか直せていませんが、以前のよりは情報を多く書けたのではないかなと思います。空いた時間で修正するので最新話はかなり先になると思います

お暇があればよければ見ていってください(お見苦しい場面もありますけど・・)
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