笑えない提督と笑顔を求める艦娘達   作:チャンリョ〜

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 モチベーションが燃え尽きるまで書き続けます。

 少しずつ書き換えたりするかも。

 では、どうぞ。


プロローグ/0

 

 

 駅へと続く大通りを往く。歩き疲れたと弱音を吐く相手もボクにはいなかった。

ボロボロになったユニークなスニーカーは小指が挨拶しているのが面白い。

 

 長く続く嫌な雨はここ数週間、止んだところを見たことが無い。(きたない)色の空から溢れる(きたない)色の雨。

 

 大人たちはこれを陰雨(インウ)だなんて呼んでた。

 

 廃ビルを覗けば焚き火(たきび)をして暖を取りながらゴミを食す有象無象(みすぼらしいニンゲン)の影。僕も混ざりたかったけど、焚き火に当たるだけでも貯めてきたお年玉が消えていくから諦めた。

 

 なら、せめてと雨の当たらない場所を探して早数日。ぐう、とお腹が鳴った。

 

 駅前では身なりを似たようにボロボロにし、薄汚れた子どもたちがお恵み(ビスケット)を分けてもらっている。

 

 端で鼻を垂らしてる男の子は綺麗な一張羅に身を包んだおじさんにお恵みをいただくのか、一緒に歩いていく。二人の影は路地裏へ消えていった。

 

 

 一迅、冷たい風が吹く。雨で冷え切った身体に容赦なく突き刺さしていくと、中身から凍らされている様に感じた心をへし折っていく。そのままこの氷柱も折ってくれればいいのに、溶けるどころか大きくなっていくばかり。

 

 やがてボロアパートの軒先にちょうどいいスペースを見つけゴミと一緒に蹲る。雨垂れ水が鬱陶しい(うっとうしい)けど、雨に打たれるよりマシ。風に吹かれるより随分マシだった。

 

 

   このまま眠ってしまおうか。

 

 

 なんて考えてた頃、遠くで叫び声。それも沢山の。なんだろうと顔を覗かせると何とも珍しい推定三メートル。黒い四足歩行の獰猛なクジラが動物園の檻から抜け出していた(群れを為して襲ってきてた)

 

 

  ――深海棲艦だ。

 

 

 誰かが叫んでいる。彼らが蟻なら奴らはトカゲやヤモリだろうか。

 

 (人間)がワラワラと住処(住処)に隠れるがそんなことお構い無しにビルへ突撃していった。

 

 地鳴りが止まらない。顔にパラパラなにか降ってくる。

 

 でもゴミの山に上手く隠れられたおかげか、奴らはこちらに気づくことなく餌を追い求め惨殺(パーティー)を始めるのだった。

 

 あちこちで聞こえる断末魔に金切り声。

 

 

 ――煩い。

 

 

 タスケテ、タスケテとなんと間抜けな音だろう。

 

 

 ――うるさい。

 

 

 骨も肉も中身もお構い無しに聞こえる咀嚼音咀嚼音(ぐちゃぐちゃ、もぐもぐ)

 

 

 ――ウルサイ。

 

 さっきまでホコリと腐敗臭。それとナニカ良くないものが焼ける臭いしか感じなかったのに、今は海が腐った(死んだ)臭いが鼻腔(びこう)を犯し尽くしていた。

 

 そんな状況なのに寒さか恐怖か。情けなく震えて一歩も動けない自分がいた。

 

 流れる涙は冷たいのに股間から溢れる尿はとても温かい。

 

 

 

   ◇

 

 

 暫くして音が成り止んだ。聞こえるのは風の鳴き声。

 

 

 助かったのだろうか?

 

 

 ゆっくり立ち上がろうと震える足に手をかけようとした時。

 

 突如、右腕を初めとして身体中から嫌な痛み。慌ててゴミ山から手を抜けば、さっきのクジラの化け物を小さくした奴が肩の付け根から牙を立て、喰らいついていた。

 

 酷い叫び声を上げながら路地を出る。既にそこは安置ではなく化け物の巣になっていた。

 

 噛み付いてたのを必死に外しながら逃げる。肉が抉れて骨が削れた気がするけど、あえて意識はしない。

 

 傷を見ればきっと動けなくなるから。

 

 

 バシャバシャと足元がヌメつく。

 

 

 雨はそんなに酷くなかったのに、大通りは既にプールだった。

 

 逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる。肺にため込む前に走り出したせいでもう燃料はカスカス。顎が上がっていくのが分かった。

 

 何処までもニゲルにげる逃げる逃げるにげ――――――― 

 

 途端に力が抜けた。こんな所で転ぶとか運動音痴(うんち)にも程がある。右腕は痛くて力が入らない。左腕で無理やり立ち上がろうとするけど脚に力が入らない。

 

 

「え」

 

 

 久しぶりに発声した音はずいぶん間抜けで、はあはあ。と息を切らしながら現状を確認した。

 

 数秒前まで一緒だった脚は、路地から飛び出してきた大型の(くじら)に脚を食いちぎられて、ドバドバと流れる血液と共に消えていた。凍傷が悪化したのか、既に繋がってるだけの状態だった腕が、さらに酷いことに。唯一無事だった左腕は転んだ際に瓦礫で切ったのか、深い裂傷が入っている。

 

 

「――あ」

 

 

 そんな状態、見れば(理解したら)力が抜けるのも道理で。それは分かってたのに見てしまった罰なのだろうか。急に力が入らなくなる。

 

 流れ込んできた海水が染みるとかどうでも良くて、もう目の前の死しか見えてなかった。

 

 

 ――死にたくない。

 

 

 それでも身体は死んでも、心は死んでないみたいで、生存を願っている。もう迫ってくる死を躱すことも出来ない。けど、まだ僕は生きてる。

 

 

 

 ――死にたくない。

 

 

 

 左腕に力を込め腹ばいで芋虫のように蠢く。まだ諦めたくなかった。

 

 

 

 

 

 

 ――――死にたく、ないっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 その不格好な願い(叫び)は鼓膜を破るような轟雷(ごうらい)が鳴り響きと、不格好な協和音を奏でた。

 

 

 広がる硝煙の匂い。目の前の巨体が倒れ込むと同時に見えた久しぶりの朝日。それに照らされ後光が――――少女を指している。

 

 美しいと思った。でも美しいって言葉だけじゃ彼女を汚してしまいそうでない頭を必死で動かす。

 

 

「生存者発見。重症です」

 

 

 そう呟くと、もう一度炸裂音。

 

 さっきは気づかなかったがビル街を震わせる音に身体が痺れた(感動した)

 

 身の丈以上に長い砲身を格納しながら下部に着いている機関銃を斉射する様はさながらフィギュアスケート。

 

 水上スケーターがその身に不釣り合いな鋼鉄を構えて突進してくる。けたたましい炸裂音。一体、一呼吸でどれだけ弾が出ているのか。音が聞こえるたびに水面に波紋が散っていく。そのどれもが僕を避けて小型種を蹴散らしていくのだから、一朝一夕で身に着けられる技じゃないのは分かった。

 

 

 ぶつかる。とさえ思わなかったのは思う暇もなっかったからか。

 

 

 辺りに広がる青黒い血潮。その身を青く染めた頃、目の前に少女が立っていた。

 

 

「少し待ってて」

 

 

 それだけ告げるとモーター音が飛沫を上げて爆発し、少女の後ろ姿が遠くなっていく。

 

 それから……それを確認してから僕は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ああ、思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ああいう光景を――――確か、『尊い』っていうんだっけ。 

 

 

 

 

 

 

 




 






 
 これからよろしくお願いします。



 見づらい、等ありましたらコメントお願いします。


 気を付けているつもりですが、誤字脱字多いと思うのでよかったらこっそり教えていただけたら助かります。

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