ヨヨですけど、何か問題でも?   作:れいのやつ Lv40

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何が始まるんです?

「なんで王女がこんなところにいやがる!? パルパレオスの野郎、逃げられやがったな!」

 

 ゾンベルドと呼ばれた、筋肉隆々の将軍が私を見てそう悪態をついた。なんかパルパレオスって同僚から罵倒ばっかりされてるわね。

 

「サジン、ゼロシン。あの男を捕らえるわよ」

「「はっ!」」

 

 私はこの基地についての情報を聞き出すべく、ゾンベルドを捕縛する事を二人に伝える。

 

「ああー斬りたい! 斬りたい!」

 

 と、ゾンベルドの側についていた兵が何やら喚いて刀を振り上げ突っ込んでくる。ふっ、お前如き下賎の者がこの尊き私の身に触れられるとでも……。

 

「大根が斬りたいいいい!」

「誰が大根かぁっ!?」

 

 不敬極まりないことをのたまう兵士に私が力の波動をぶつけると、その身体は跡形も無く消し飛ぶ。全く、この尊き私を言うに事欠いて大根呼ばわりするとは、万死に値するわ! 

 

「「■■■■────!!」」

 

 私が憤っている間に下僕一号二号が同時に敵陣に突撃し、全く同じ姿の竜騎士のような姿に変身する。その二体が同時に剣を振るうと、ゾンベルドを除いた敵陣のほぼ全ての兵士の身体が真っ二つになった。

 

「んなぁっ……!? お、オレ様の軍が……」

「ひ、ひえー!」

 

 一瞬で自身の軍が壊滅したことにゾンベルドが愕然とした声を漏らす。なぜかレギオンが一人だけ残っているが、まぁいいか。

 

「サジン、ゼロシン! やっておしまい!」

「「アラホラサッサ!」」

 

 私は二人にゾンベルドの無力化を命ずる。

 

「覚悟っ!」

「ちいっ!」

 

 サジンとゼロシンが左右から同時にゾンベルドに仕掛ける。しかしさすがに将軍格らしく、巧みな身体捌きでこの攻撃に対応している。

 

「おらぁっ!!」

「おっと!」

 

 ゾンベルドが振るった金棒をサジンたちが素早く回避すると、叩きつけられた金棒の威力で地面が大きく刔られた。

 その光景にサジンは冷や汗を流し、ゼロシンが口笛を吹く。すると余裕を取り戻したのかゾンベルドが笑みを浮かべた。

 

「怖いかクソッタレ! 当然だぜ、グランベロス将軍のオレに勝てるもんか」

「あら、それなら私はドラグナーよ?」

 

 「試してみる?」と私はゾンベルドに向かい手招きして挑発してみる。すると奴はあからさまに苛立ちを見せる。

 

「てめえ……! がっ!?」

「ふっ、隙だらけだ」

「単細胞は扱いやすくて助かるな」

 

 激昂したゾンベルドが私に突撃しようとした瞬間、密かに背後に回っていたサジンとゼロシンの同時攻撃が炸裂した。私は王であり二人は暗殺者である。正道を重んじる騎士ではないのだ。

 こうして私はゾンベルドの捕縛に成功したのであった。

 

 

 ◇  ◇  ◇

 

 

「このオレ様がこんな無様を晒すとは……」

「うふふふ、いい姿よ? ゾンベルド将軍」

 

 私は拘束されたゾンベルドから情報を聞き出すべく、考えを巡らせる。ちなみにサジンとゼロシンの二人には一応、警戒の為にこのラグーンの様子を見て回ってもらっている。

 

「ぞ、ゾンベルド将軍、俺たちどうなるんですか? も、もしかして拷問?」

「その通り、拷問よ♪」

 

 ゾンベルドのついでに拘束された不幸なレギオンに、私はニッコリ笑ってこれから待つ事態を告げてあげた。ふふふふ、この私がカーナ王家に伝わる拷問術を見せてあげるわ! 

 

「ああっ! やだー! 痛いのやだー!」

 

 そう叫ぶと、どこにそんな身体能力を隠していたのか、レギオンが縛られたままジャンプで器用に逃げようとする。しかし、そんなレギオンに私の放った魔力波が無情に突き刺さり、そのまま彼はあえなく死亡した。情報持ってなさそうだしねぇ。

 

「さて、ゾンベルド将軍。話さないとあなたもああなるわよ?」

「ちっ……」

 

 私の脅しにゾンベルドはあからさまに舌打ちする。まぁ、将軍格がこの程度にビビりはしないわよね。

 

「素直に話してくれれば()()()()()()()()()()()()()()()解放してあげるのだけれどね?」

 

 私はそう約束してみせるが、ゾンベルドはだんまりだ。さすがにそんなに簡単に口は割らないわよね。

 

「キャンベル・ラグーンの駐留軍への供給を担うだけにしては、この基地はいささか規模が大きすぎる気がするのよね。何かご存知かしら、ゾンベルド将軍?」

「さぁてね。オレは皇帝陛下に信頼されてないもんで……」

 

 あぁ、そういえば囚われている時に聞いた噂では、皇帝サウザーはパルパレオスぐらいしか信頼できる臣下がいないと聞いたわね。しかし、いくら信頼されてないとはいえ補給基地なんて重要拠点を任せられた人材が何も知らないってことはないでしょ? 絶対に基地の目的は知らされているはず。

 

「見上げた忠誠心だけどねゾンベルド将軍? 事ここにおいて忠義心なんて何の役にも立ちはしないわよ? ここで物を言うのはオレルスの重力なんだからね!」

「んなっ……!?」

 

 私はレンダーバッフェにゾンベルドを両足で掴ませ、ラグーンの端の空中に移動させる。ここから落とされればどうなるかは火を見るより明らかだ。

 

「う、ぐううう……」

「念の為言っておくけど、そいつは私のドラゴンじゃないからね。いつまで私の命令を聞いているかわからないわよ?」

 

 まぁ、実際はほとんど私に絶対服従なのであるが、しかしゾンベルドにはそんな事はわからないはず。すると案の定、ゾンベルドが口を開き始めた。

 

「わ、わかった! 話せばいいんだろ!! キャンベルの森には神竜がいるんだ! その神竜に会うのに魔物だらけのあの森を突破する為には、兵士たちに多くの物資の補給が必要なんだよ!」

「ほう、そういうことなのね」

 

 なるほど、単なる駐留軍ではなく、今現在も魔物と戦闘しているから多くの補給物資が必要だったわけだ。でも、わざわざ神竜と会ってどうするのかしら? 

 

「神竜のところへ行って、その後はどうするの?」

「そこまでは知らねえ! 本当だ! ただ、皇帝があの森に来てるはずだ」

「なんですって?」

 

 ここで皇帝サウザーが出て来るの? これはちょっと予想外の展開ね。

 

「サウザーがあの森にいるわけ?」

「ああ。ヨヨ王女、あんたの力が無くても自分が伝説の男になれる事を証明するとか言ってたぜ」

 

 ふむ。つまり、サウザーは私のドラグナーの力が無くとも自分なら神竜を目覚めさせられると考えているわけか。なんて自意識過剰な男なのかしら。この私のような謙虚さを身に付けるべきね。

 

「いい情報だったわ。話してくれてありがとう、ゾンベルド将軍」

「お、おう。それで……そろそろ解放してくれませんかね、ヨヨ王女様?」

 

 ゾンベルドは不安げにそう私に語りかけてくる。そう心配せずとも良いわ、私は約束を違えた事はない女なのよ? 

 

「わかったわ」

「うあああああああああああああぁぁ!?」

 

 ──そして私は約束通り、ゾンベルド将軍をこの世のしがらみから解放してあげるのであった。

 

 

   ◇  ◇  ◇

 

 

「二人とも、戻ったわよ」

「おお、ヨヨ様」

 

 一段落した私はサジンとゼロシンの二人と合流する。二人曰く特にこのラグーンに見るべきものはなかったらしい。あくまで規模が大きいだけで、単なる補給基地の域は出ていないようだ。

 

「あいつはどうしたので?」

「放してやったわ」

 

 ゾンベルドについて尋ねられたので正直にそう返した。きっと今頃は彼も向こうでペルソナと元気にやっているであろう。

 

「さて、それでは行きましょうか。面白い情報も得られたしね」

 

 私はそう言いレンダーバッフェの背にひらりと飛び乗る。いざ、キャンベルの森へ! 

 

「……あら?」

 

 なぜかさっきまで元気に飛び回っていたレンダーバッフェが微動だにしない。

 ……いや、なんで飛ばないわけ? 

 

「ヨヨ様……コイツ、何やら怯えているようですが?」

「あ?」

 

 確かに、よく見ると身体が小刻みに震えているわね。……もしかして、さっきの会話を聞いてサウザーと戦うことになりそうだからビビってるわけ? な、情けない! 

 

「動きなさいこのポンコツが! 動けってのよ!」

 

 痺れを切らした私が全力の蹴りを食らわしてやると、レンダーバッフェは慌ててラグーンを飛び立つ。ふっ、やはり駄竜のしつけはこの手に限るわね。

 

「うふふふ……待っていなさいサウザー」

 

 ──この尊き私に対する数々の罪、その命を以て贖ってもらうわ! オーッホッホッホッホッゲホッ、ゴホッ!?




【ゾンベルド】
グランベロス帝国八将軍の一人で筋肉モリモリ、マッチョマンの変態だ。
キャンベル駐留軍の総司令官であり、原作では初めて交戦する帝国将軍。序盤、ヨヨ奪還前も後も反乱軍の前に度々立ちはだかる男。
単なる脳筋ではなく、伏兵を潜ませて挟み撃ちにした後に橋を落として退路を断つなど策士な面も持つ。

帝国内の派閥では八将軍最強の男であるグドルフを筆頭とする旧ベロス派に属しており、成り上がりのサウザー皇帝をあまり快く思っていない将軍の一人である。
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