ヨヨですけど、何か問題でも?   作:れいのやつ Lv40

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顔合わせ回


ヨヨ様と臣下たち

「ん、んー。朝か……」

 

 ヴァリトラと()()していたらいつの間にやら現実に戻ってきていたようだ。自室の窓から入り込む朝日が眩しい。帝国から皆の元に戻って最初の目覚めである。なんと素晴らしいことだろうか。

 

「ああ、姫様! お目覚めかい?」

「あら、ゾラじゃない。ええ、実に清々しい気分よ」

 

 目覚めた私を出迎えてくれたのはゾラだった。彼女はキャンベル出身のプリーストで私やマテライトとは昔からの知人だ。性格としては、ぐちゃぐちゃした事が大嫌いな筋の通った人で、俗世的に言うと肝っ玉母さんといった感じの女性である。なるほど、彼女も反乱軍に参加していたのね。

 

「みんな! 姫様のお目覚めだよ!」

 

 ゾラがよく通る大声を発しながら艦内に私の目覚めを知らせて回る。少しすると、皆の足音が聞こえてきた。大勢なのでかなりの音量である。私もベッドから下りて皆を待つ。

 

「ヨヨ様、おはようございます。ご機嫌麗しいようで何より」

「おはよう、ビュウ。今日も素敵よ?」

 

 真っ先に入って来たのは私の最も信頼する騎士にして愛しのビュウだ。「ありがとうございます」と私に頭を下げるその動作も素敵。相変わらずややドラゴン臭いが、その匂いも愛おしく感じるわ。うふふ。

 

 と、ビュウに続いて続々と部屋に入ってくる。次に入ってきたのは、ビュウにいつもくっついている三人組。

 

「ヨヨ様、おはよう! そしておかえり!」

「ヨヨ様、ご無事で何よりと言うべきか、私たちが逆に助けられてしまい面目ありませんと謝罪すべきか……」

「おはようラッシュ。トゥルース、そう気に病む事はないわよ?」

 

 私に挨拶してきたのがラッシュ。やや猪突猛進な熱血漢だ。トゥルースは冷静でいつも考え込んでいる。ただ今も私に謝罪してきたように、やや考えすぎるきらいがある。まぁ正反対の二人である。で、その二人の後ろにいるのが。

 

「ビッケバッケ、あなたも元気そうね」

「う、うん! 太っちゃったけど」

 

 そうビッケバッケが言った直後「お前は食いすぎなんだよ」とラッシュに小突かれる。彼はなんというかのんびり屋の純朴男子だ。ただこう見えて結構物事を考えていたりする。

 

「ヨヨ様ー!! お目覚めをお待ちしておりましたぞ!」

 

 大声を発しながらドカドカと部屋に入って来たのは、私がビュウと同等の信頼を置く騎士。乙女座O型のマテライトである。

 

「意外に遅かったわね、マテライト。あなたのことだから真っ先に飛び込んで来ると思っていたのだけど」

 

 彼は私が生まれる前からカーナに仕えているが、その性格はまぁ一言で言うとこの私、ヨヨ至上主義者だ。絶対に一番最初に現れると思っていたのだが。

 

「まぁ、今日ぐらいは若造どもに先を譲ってやろうと思いましてな!」

 

 そうガハハハと笑うマテライトであったが、即座にビュウから突っ込みが入る。

 

「『待たんかビュウ! ワシが一番乗りするんじゃ!』とか言ってたのは誰だっけ?」

「ば、ばらすでないわい!」

 

 ああ、単純に先を越されただけだったのね。しかしそれを譲ったと言い張るとは相変わらず意地っ張りだこと。とか言っている内にまた誰か来たわ。

 

「ひ、姫……ご機嫌麗しゅう……」

「あらセンダック。すごく震えているけど大丈夫かしら?」

「み、みんなにつられて急ぎすぎて……」

 

 マテライトたちのペースに追いつくために走ってきたらしい。ブルブルジジイと化しているセンダックであった。確かあなた一応この艦の艦長でしょうに。しっかりしてほしいわ。あとさりげなくビュウに近寄んなジジイ。シメるわよ。

 

「「ランランランサー! ヤリヤリ!」」

 

 と、部屋の外からフルンゼとレーヴェの声が聞こえてきた。いつものあれをやっているらしい。まぁ私の部屋で槍を振り回すわけにもいかないわよね。

 

「失礼するでアリマス!」

 

 と、聞き覚えの無いだみ声で喋りながら髭面の騎士と、その男に続いて男女が入ってきた。あら、新顔ね?

 

「ヨヨ様! 初めましてでアリマス! 自分は元マハール騎士団のタイチョーでアリマス!」

「同じく、グンソーであります」

 

 なんというか変わった名前ね……しかしそれより重要なことがある。

 

「マハール騎士団……そう、反乱軍に参加していたのね?」

「はいでアリマス! 自分もヨヨ様やマテライト殿と共に帝国を倒すのでアリマス!」

 

 今は帝国の占領下にあるマハールは、カーナと同じく最後まで帝国と戦ったラグーンである。カーナと並んで反乱軍には並々ならぬ想いをかけているであろう。

 

「ヨヨ様はお美しいでアリマスな!」

「あら、ありがとう」

 

 タイチョーがそう私を褒めるが、まぁこの尊き私が美しい女なのは当然の理である。

 

(でも、あなたの目が言っているわよ? 自分はもっと美しい人を知っていると)

 

 ふっ……この尊き私といえど、人の心の中の思い出には勝てないわね。そう、あの教会が失われても私とビュウの思い出が永遠であるように。

 

 私は、彼らと共に入ってきたもう一人の金髪の女性に目を向ける。

 

「私はマハール出身のライトアーマー、ルキアです。以後お見知りおきを」

 

 ふむ、ルキアね。どうやら彼女はマハール騎士団所属ではなかったらしい。

 

「しかし、ライトアーマーとはね」

 

 ライトアーマーは通常はさほど強力な兵種ではないが、我がカーナにおいては重宝されていた。というのも、ドラゴンの加護を受けたライトアーマーは所属部隊の行軍速度を飛躍的に上げる能力を持つのである。

 ただ、どういうわけか女性にしか適性が無いのでそもそもの人数が少ない貴重な兵種なのだ。しかし、ライトアーマーといえば……。

 

「ミスト。ミストはどうしたの?」

「それがヨヨ様……ミストはあの陥落の日に消息を絶っております」

 

 なんと。ミストは今代のカーナ唯一のライトアーマーとして前線で活躍していたのだが……そうだったのね。

 

「まぁ、あのミストのことだからどこかで生き延びているでしょう」

「確かに。あのミストですからね。殺してもくたばるとは思えません」

 

 私の言葉にビュウも頷く。何しろミストはカーナ騎士団一の腹黒である。そう簡単に死にはしまい。

 

 とかなんとか言っていたら今度は団体で来たわね。十人近くの男女が部屋に入ってきた。それを見てビュウが「これで主要メンバーは全員ですかね」と呟いた。なるほど。あと残っているのはクルーや商人たちぐらいらしい。

 

 サジンとゼロシンが見当たらないが、まぁあの二人のことだからまたどこかに潜んでいるのだろう。しかし確かゼロシンは友達が少ないのを嘆いていたはずだが、潜伏ばかりしてるから友達ができないんじゃないかしら?

 

「ヨヨ様、お初にお目にかかります。お、俺はこの艦の操縦士を勤めているホーネットと申します」

「そう。今後も良い航海をお願いね」

「は、はい」

 

 ホーネットと名乗った操縦士は若干緊張気味に私に返答した。まぁ、この尊き私を前に緊張するのは仕方ないが、しかしそんな彼に対して後方から冥い念が飛んでくる。

 

「な、なんだ!? 今、異様な寒気が……」

 

 どうやらホーネットも感じ取れたようだ。しかしそんな彼を気にする事もなく一組の男女が私に駆け寄ってきた。

 

「お久しぶりです、ヨヨ様! 私、アナスタシアです! あ、のろのろヘビーアーマーのバルクレイもいますよ!」

「ヨヨ様、このバルクレイ再会を心待ちにしておりました」

 

 ベレー帽の似合うやや背の低い茶髪の魔術師と、青い鎧を着込んだ体格の良い重騎士がそう私に挨拶する。

 

「あなたたちも変わりないようで何よりよ。アナスタシア、バルクレイ。また私の下で良い働きを見せて頂戴」

 

 この二人は元々カーナに仕えている身であり私も良く知っている。性格も職業もまるで接点の無さそうな二人なのだが、馬が合うのかよく二人一緒に行動している。そして言い争いが始まるのである。

 

「勿体ないお言葉であります。……しかし、のろのろは余計だ! このちんちくりんのアナスタシアめ!」

「な、なんですって!? ノロマのバルクレイのくせにー!!」

 

 ほら、早速始まったわ。先のアナスタシアの台詞にバルクレイが文句を付けると、二人はそのままの勢いで言い争いを始めた。相変わらずねぇ。懐かしいわ、うふふ。

 

「あ、あわわ……ヨヨ様の御前なのに……」

「ふふふ、構わないわ。あなたも元気そうね、エカテリーナ」

「は、はい……お久しぶりですヨヨ様」

 

 二人の言い争いに慌てていたのはアナスタシアと同じ魔術師のエカテリーナだ。彼女も二人と同じく昔から私に仕えるカーナの軍人だが、おどおどして引っ込み思案な性格でありアナスタシアとは正反対だ。

 ただ彼女、内に秘めたものは凄まじそうだ。何しろ先ほどホーネットに冥い念を飛ばして寒気を感じさせたのが彼女なのである。ホーネットも罪な男ねえ。

 

 次に私に近寄ってきたのは道化師のような外見をした謎の生物。

 

「モニョー!(アンタがヨヨ様だな! 確かに悪魔的にも様付けしたくなる人だぜ!)」

「マニョー!(オレ達プチデビが仕えるに相応しいぜ!)」

 

 なるほど、この子たちがあのプチデビルか。彼らが踊れば戦場は時に炎に包まれ、大地は割れるという正真正銘の悪魔であり死神である。しかし人外である彼らも礼儀というものは弁えているようだ。

 

「ヨヨー!(悪魔といえど、この私の尊さは理解できるようね。よろしく、死神さんたち)」

 

 私がプチデビ語でそう返すと、目を輝かせた幼い少女が歩み寄ってきた。

 

「すっごーい! ヨヨ様はプチデビの言葉がわかる人なんだね!」

「ふふふ、王女としての嗜みよ」

「私、ゴドランドのメロディア! ヨヨ様、よろしくお願いしまーす!」

 

 なるほど、いやに幼いと思ったらゴドランドの出身なのね。あそこは魔法都市の異名の通り、6歳から魔法を習う魔法先進国だ。彼女もこの幼さでウィザードとしては一流のようだ。色んな意味で将来有望そうね。

 

「ヨヨ様はプチデビ語もイケる方なのね〜。新情報だわ、脳内メモに書き留めなきゃ!」

「相変わらずね、ディアナ」

「はろー、ヨヨ様♪」

 

 軽いノリで私に挨拶する彼女はプリーストであるディアナ。当然ながら昔から私に仕えるカーナの軍人だ。この態度も私が許しているからこそである。

 彼女は私の臣下の中では地味であまり目立たない人物だが、僧侶にも関わらず情報屋まがいの事をやっているので、情報集めにどこでも溶け込めるように意図的にそうしているんじゃないかと一部で噂されていたりする謎の風格の持ち主である。

 

 そして、私は残る最後の一人に目を向ける。彼女もディアナと同じく私に昔から仕えるカーナのプリーストなのだが……。

 

「げほごほごほ! よ、ヨヨ様……お久し……げっほっごっほ!」

「大丈夫? フレデリカ」

 

 そう、彼女こそがこの私をしてビュウの側室候補として一目置いている人物、フレデリカである。そして彼女、軍人なのだがいつも寝込んでいるほど身体が弱い。今も部屋に入ってきた時からこの調子でずっと咳込んでいた。

 

「げほげほっ! ごほ……よ、ヨヨ様、少々お待ち下さい……」

 

 フレデリカはそう言うと、懐から明らかに人体に悪そうな色のクスリを取り出し、一気に飲み干す。そして、飲み終えると効果音でも聞こえて来そうな勢いで背筋を伸ばして私に向き直った。

 

「ヨヨ様ぁ! 改めてお久しぶりでございますぅ! ご機嫌麗しゅう!」

「お、おう」

 

 あれだけ咳込んでいた状態から一瞬で立ち直るとは。おかげでちょっと妙な返答をしてしまった。

 

「このフレデリカ、今まさに天にも昇る気分ですー!」

 

 それはあれよね? 主君である私と再会できて天にも昇る気分なのよね? さっきのクスリの作用じゃないわよね?

 

「私は命を救う僧侶ではありますが、ヨヨ様のためならば戦場では悪魔にもなりましょう!」

「そ、そう。それは頼もしいわね」

 

 頼もしいが、フレデリカってもう少し大人しい印象だったのだけど……こんな娘だったの?

 

「そしてオレルスの全てをヨヨ様に捧げるのです! そう、それこそが大宇宙の意思なのですぅー!」

 

 そんな事を言いながら病人らしからぬ俊足を発揮し、フレデリカは颯爽と部屋を後にした。……色々と大丈夫かしら、あの娘。そんな事を思いながらふとビュウに目を向けると。

 

「ビュウー! ヨヨ様って素敵だねー!」

「お、おう。メロディア、今日はテンション高いな」

 

 ──メロディアが無邪気にビュウに抱き着いていた。

 

「ひいっ!?」

 

 ──思わず神竜の波動を纏ってセンダックをガクブルジジイにしてしまう私。ええい、うろたえるんじゃないわ私よ。カーナ王族はうろたえないッ!

 ふぅ。思わずちょっと冥い念が漏れてしまった。エカテリーナの事を言えないわね。

 

 しかし、メロディアとビュウでは年齢が離れすぎている。今すぐどうこうなることはないはずだ。

 

(いや待て。私たち貴族の感覚からすれば年齢一桁で婚約やら結婚やらは珍しくないわ)

 

 むむ……そう考えると油断できない。あの娘も側室候補に加えておくべきかしら。

 

 幼い頃は私も彼女のように無邪気に人前でビュウに抱き着いたりしていたが、ああいうのは子供の特権である。幼いからできることだ。

 しかし人は皆、大人になるものだ。そう、あの幼いメロディアもいずれは。そして無邪気だった過去を懐かしむのだろう。

 

「ビュウ……大人になるって悲しいことなの」

「突然どうされました!? というかやめて下さい!? そのセリフは俺に効く!!」

 

 失ったもの(ロリ属性)を嘆いてそう言ったらビュウに精神ダメージを与えてしまったわ。なぜ。

 そんな私とビュウのやり取りを見てメロディアが「んー?」と首を傾げていた。うーん、かわいい。やはりかわいいは正義。これはこの世の真理だわ。メロディア、侮りがたし。




【フレデリカ】
カーナ陥落前からカーナに仕えているプリーストであり、ビュウやヨヨとは反乱軍結成以前からの仲間。病弱でいつもベッドで寝込んでいる。

イベントすらないサブキャラであり単なる仲間の一人なのだが、原作ヨヨにフラれたビュウに「戦いが終わったら一緒に薬屋を始めませんか?」とプロポーズまがいの言葉をかけてくれる事から『バハラグの真のヒロイン』としてかなりの人気を誇る。
某掲示板の「RPG最萌トーナメント」では公式イラストや立ち絵すら無いのを逆手に取り有志が様々なフレデリカを描き『フレデリカ百態』として支援した結果、ロマサガ3のモニカなど人気キャラを破り準優勝にまで上りつめたという猛者。

……なのだが、そこはバハラグのキャラである。彼女もどこかまともではない。
彼女、ガチのヤク中であり、倒れたり震えが止まらなくなったりするとすぐにクスリに走る。常に軍事物資並の量の回復薬を持ち歩き常用しているヤバい一面の持ち主。
上記のプロポーズ(?)も「大丈夫です。売り物には手を出しません……」というオチがついたりする。
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