ヨヨですけど、何か問題でも?   作:れいのやつ Lv40

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ヨヨ様の華麗なる脱走作戦

「たかがドラゴンの分際で、この尊き私の行く道を遮るとは随分と大きく出たわね?」

 

 私は眼前の不届きな存在に大してそう声をかける。全く、万死に値する不敬である。対して、そいつは唸り声で答えを返した。

 

「グルルルル……」

 

 そう生意気にも私の道を妨げたドラゴン──レンダーバッフェが低く唸って私を威嚇する。さっきくたばった将軍……名前なんだったかしらあの金髪? そのドラゴンが私の前に立ちはだかるとは。全く、死んでからも面倒な男だわ。

 さっき名前を呼んでいただろって? ふっ、そんな昔のことは忘れたわ。私は過去を振り返らない女なのよ。そう、この尊き私に必要なのは輝かしい未来だけなのだから! 

 

「しかし、襲って来ないのね?」

 

 さっきからこのドラゴン、レンダーバッフェは唸り声で威嚇してくるばかりで、私に攻撃を仕掛ける素振りは全くない。まぁ、私はサウザーにとって死なれては困る人物のようだからね。どうやら、こいつも私が殺すと問題がある人物だと理解しているらしい。さすがに将軍格の愛竜だけあってかなり賢いと見える。

 

「だが残念。それぐらいじゃ私の歩みは止められないわ」

 

 並の女ならドラゴンに道を塞がれた時点で戦意喪失するのかもしれないが、あいにくこの偉大な私には全くの無意味である。むしろ、移動手段が向こうからやってきてくれたことに感謝しなければならない。ちょうどこのラグーンからの脱出手段が必要なところだったのだ。

 

「ちょうどいいわ。お前、私を乗せて飛びなさいな」

 

 私のその言葉に、レンダーバッフェは一瞬ポカンとした表情を見せた後、再び唸りを上げる。あら、人がこれほど誠意を見せて頼んでいるというのに、薄情なドラゴンね。

 

「もう一回だけ言うわ。『乗 せ て ?』」

 

 もう一度私が()()()を纏いながら心を込めて頼むと、突如レンダーバッフェが怯えたようにその巨体を竦ませた。

 

「ねえ? 乗せてくれるわよね?」

 

 そうして再びお願いすると、ようやく私の誠意が伝わったらしくレンダーバッフェは激しく首を上下させた。そうそう。最初からそうすればいいのよ。

 

「ふふふ、誠実な子は好きよ? 人間も竜もね」

 

 逆に不誠実な輩は嫌いだ。特に約束を破ったり人の信頼を裏切る奴は死ぬべきであるというのが私の持論だ。そういう輩は生きていても害悪にしかならない。

 

「さて、これで足も手に入れたことだし……」

 

 後は、このラグーンからおさらばして愛しのビュウのところへ向かうだけなのだけれど……。

 

「ねえ。お前、宝物庫的な場所とか知っているかしら?」

 

 将軍格のドラゴンであるこいつなら宝物庫の場所ぐらい知っていてもおかしくない。

 さすがの私といえど、このまま身ひとつで脱出するというのはいささか心許ないし、非常時に備えて、魔力回復用のマジックジンあたりは欲しいところである。もし宝物庫があるなら是非とも()()()()()いきたいところだ。

 

「知らないですって? 嘘ね。今、お前の気が乱れたわよ」

 

 知らないふりをするレンダーバッフェであるが、私の目は誤魔化せない。問い掛けた時、明らかに動揺していたのがバレバレである。つまりこいつは宝物庫がどこにあるか知っているというわけだ。

 

「ほら、知っているんならさっさと案内なさいな」

 

 ごねるレンダーバッフェを蹴り飛ばし、案内するよう促す。なんか若干涙目になっているように見えるが、どうせ敵のドラゴンなのだし多少雑に扱っても問題あるまい。

 

 レンダーバッフェを盾にしながらしばらく歩くと、この距離からでも存在感を主張する建造物が目に入ってくる。

 

「ん、あれがそうかしら?」

 

 レンダーバッフェが快く案内してくれた先にあったのは、いかにも頑丈そうな大扉で閉ざされた宝物庫らしき建物だった。

 

「さて、どうすべきかしらね?」

 

 見れば、魔法的な保護もかけられているようで、さすがに厳重そうだ。これだけの大扉となると破壊するにはやや骨が折れそうだ。まあ()()でやれば多分いけるとは思うが……。

 

「ん? 中で足音がするわね」

 

 どうやら中に誰かいるようだ。これは好都合である。出て来たところを襲撃させてもらおう。

 

「ふんふふ〜ん♪ オレ様は綺麗好き〜♪」

 

 と、大扉を開いて何やらご機嫌で鼻歌を歌うモヒカン男が宝物庫から現れた。背中には槍を背負って……いや、アレはモップに槍がついてるみたいね。あと手に持っているのは……雑巾かしら? なんかうちの騎士団員並にアクの強そうな奴ね。

 

「全く、みんな雑に色々放り込みやがって。もっと綺麗に整理整頓を心がけろってんだ」

 

 と、何やらぶつぶつと呟きながら大扉を閉めようとする、いかにも神経質そうなモヒカン男。今がチャンスね! 

 

 

「フレイムゲイズ!」

「うおおおおっ!?」

 

 隙だらけの男に向かい火炎魔法フレイムゲイズを唱えて不意打ちをかます。そしてすかさずレンダーバッフェに()()()して追撃させる。

 

「────!!」

 

 それに応えたレンダーバッフェが咆哮して口から火炎──ヘルファイアを吐き出す。それによってモヒカン男は成す術なく爆炎に包まれる──が。

 

「ゲホッ、ゴホッ! な、なんだなんだ!? いきなり襲撃してきたと思ったらヨヨ王女じゃねえか!? なんであんたが監視も無しに出歩いてやがる!?」

 

 ──そう悪態をついて、モヒカン男が大したダメージも無さそうに炎の中から再び姿を現した。あら、あれでその程度で済むだなんて、意外に実力者なのかしらこの男? こうなっては仕方がないわね。 

 

「この世で最も尊きこの私、ヨヨが手ずから相手をしてあげましょう」

 

 この尊き私の手によって葬られる事を光栄に思うがいいわ!




【レンダーバッフェ】
パルパレオスの愛竜。
原作ではパルパレオスが反乱軍入りした際にこいつも反乱軍入りする……わけではなく、教会イベント時にパルパレオスと別れて飛び去ってしまい、その後帝国との最終決戦で普通に敵として登場する。が、イベント時と敵ユニット時ではなぜかフィールドグラが異なる。
敵ユニットとしてはまあまあ強いものの、さして特徴のある敵ではなく基本的に成り行きで倒されるだけの存在。
「サラマンダーより、ずっとはやい!!」ことで有名だが、実は回想シーンでのスピードを見るとサラマンダーの方が速く飛んでいたりする。
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