気づいたら悪の親玉扱いされていたけど今日も元気に頑張りましょう! 作:体は物語でできている
「お前が高校に行くとか冗談だろ。お前が高校に行く必要なんてないだろ」
そもそも千に高校で学べるものはない。俺に高校の勉強を教えているのも千だし、必要知識を与えてくれたのも千だ。
「一回行ってみたくなったのさ。高校」
「・・・お前何歳だっけ?」
「200から先は数えてない」
あっけらかんと答えるロリババアこと名無路 千。あまりにあっけらかんというのだから、思わずスルーしそうになる。
「知ってるか?高校は15~18歳が通う場所なんだぜ?」
「それとこれとは別問題だ」
「・・・千がいなくなったら、誰が俺に勉強を教えてくれるんだ?」
「そもそも君、16才だろ?学校行っててもおかしくないだろ?一緒に行こうよ。ていうか行くぞ」
「・・・学校の授業は肌に合わない。それに拘束時間が増える。俺の最終目的を知っててそれを言うか?それにどうせ学校に行ったら俺の周囲の人間は泡吹いて気絶するぞ」
中学一年生の入学式、俺がまだ千に拾われて一年もしない頃。出席した人間をすべて気絶させるという漫画の主人公もびっくりな事態を起こしたことがある。気配強化の制御ができておらず、オーラが色々漏れ出ていたらしい。俺のオーラが人を昏倒させるだなんて意味不明だが・・・。それ以来、元々千に教えてもらっていたほうが色々な意味でうまくいっていたため学校には行かなかった。まあ、裏ルートで学校は卒業したことにしたし、高校にも籍だけはあるが・・・。
「その心配はない。この私が君の『気配強化』を奪たんだよ?」
「・・・」
「それでも不安なら、私の近くにいるときは君の漏れ出てるそのオーラを隠してあげよう。なに任せ給えよ。これでも、私は完璧無敵の美少女だからな」
「ハッ、ロリババアの間違えだろ」
ガンッ!
鈍い音とともに、俺の額は地面に激突した。否、千の踵落としによって地面に『叩きつけられた』っの方が正しいのだが。
「学校の授業が肌に合わないなら、変わらず私がここで教えてやる。時間に関しては私がここに帰ってきてからの時間の流れをゆっくりにしてあげよう。これなら問題ないだろ」
逃げ道がどんどん塞がれていく。このロリ・・・少女なら時間の流れぐらい簡単にいじれるだろうし、変わらずここで勉強を教えてくれるだろう。確かに問題点はなくなった。しかし・・・
「解せないな、お前何でそこまでして学校に行きたいんだ?それに何で俺まで連れていきたいんだよ」
「これからの君の目的のために役に立つからっと言えば信じるのか?」
・・・微妙なラインだ。だが、千が今まで俺に俺の不利益になるようなことをさせたことはない。
「分かった、行くよ、行けばいいんだろ」
「ふむ、よろしい~」
口角を上げ、美しく微笑む千を
「足退かしてくれない?」
頭を千に踏みつけられたままでは色々格好がつかない。俺は大人しく懇願することにした。
「あ、今日のパンツは藍色のレースだったな」
グシャ――――――ー
鳴ってはいけない音が部屋に響いた。
「さて、高校に行くにあたってあの男に会いに行かないとな」
俺は、高校に千を入れるための段取りを考え始める。
「ああ、笹野原だっけ」
「そうそう、笹野原 景士。能力者を育てるためだけに作られた開発地区。創設者にして、先端学園理事長。そして、世界でも五本の指に入る能力者だ」
分かりやすく肩書を言ったが、やはりとんでもない男だ。
「50年ぐらい前に作られた場所だろ?結構最近だよね」
「50年を最近なんて言うなよ・・・」
「あ、思い出した。君を雲来中学にねじ込むのに協力したあの小僧だね」
あの時すでに70歳近かったあの男を小僧呼びとか・・・。
「開発地区に行くのは少し面倒くさいな」
「まあ、明日にでも行けばいいだろ。漣の『空間転移』でひとっ飛びだし」
幹部の一人であるあの男を思い浮かべる。かなり気難しい奴だが、仕事だといえば従ってくれる。
「・・・まあね」
「不在の間は繊細さんに働いてもらうか」
「なら今から頼みに行ったほうがいいよ。繊細 逃人はもう少ししたら就寝時間に入る」
「了解、じゃあ、今から頼みに行ってくる。ついでに夕飯も買ってくるよ」
そう言って俺は、財布をもって部屋から出て行った。