吾妻の逆行 -斬-   作:ルイレツ

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この小説は相当偏ったものの見方をしており、士族寄りの思考をしています。
自身の拙作では今はこれが限界です・・・


マァ坊の過去

吾妻の家に辿り着いたマァ坊、吾妻父、博多藤四郎。三人を家に迎え入れた吾妻とその母。5人が集まったことになる。

マァ坊を見た母が、お久しぶりですと挨拶をする。まさか息子の友人があなただなんて思いませんでした、と和やかに会話をしている。

吾妻がどこで知り合ったのかと尋ねると、

 

「ほら、応接間に飾ってあるあの絵。お父さんの隣に描いてあるのがあの人よ。」

 

吾妻はその絵を思い出す。吾妻一族の集まった絵だった。先の戦争で亡くなった祖父母。父と母。見知らぬ女性が一人。

そして父の隣に精悍な顔つきをした少年が描かれている。

よく見ると、髪型が総髪できれいに整えられているが、その顔はマァ坊とそっくりだった。

 

吾妻は何故そんなに重要なことを黙っていたのかと非難して問う。

 

「まぁ、後で話ぉや。いつ亡者が出てくるか分からんけん先に飯にしよう」

 

 

 

5人で食卓を囲む。吾妻母は急に二人の大人が増えたが、手慣れた動きで食事を多く用意した。

 

やかましい男であるマァ坊を中心にして会話が進んだ。

 

マァ坊は実は去年位からこの辺に住んでいたことや、どの面を下げて帰ればいいのかわからなかったなど、茶化しながら答えていた。

しかし、吾妻父は一切言葉を返さず重い雰囲気を漂わせていた。

 

 

 

 

食事が終わり一息ついた所。マァ坊は頬を両手でバシッと叩くと気合を入れてよし、とつぶやいた。

 

「もう八年前になるやろうか?そんから今日まであったことば話す。長うなるばい、起きとれよ」

 

吾妻に向けてニヤリと笑みを浮かべて全員に向けて話し始めた。全員がマァ坊に注視する。

しかし、吾妻父が待ったをかける。

 

「待て、まずはこちらが把握していることを話す。それからお前が知っていることを話せ」

 

そして、吾妻父は情報を整理するためにゆっくりと時系列順に話した。

 

 

 

 

 

 

 

今から八年前。

 

銘治10年。西暦で言うところの1877年。

 

国内は外国から流れてくる大量の文化による生活の変化。国際情勢のおける自国の圧倒的不利により、銘治政府は国を天の元一本化せんと活動を続けていた。

 

諸外国に対抗せんと国を纏めんとする政府に、異議を唱える集団があった。九州を中心とした武士たちである。大政奉還(以前までの江戸幕府の主権を天皇に返し、国をその威光の元纏めてもらおうとした。)を始めとして、いくつもの政策で弱体化した士族。

しかし、国は俺たちが守ると息巻く士族は、気合と根性で纏まり、未だ九州を中心に強大な戦力を保持していた。

 

 

諸外国に対抗するには老若男女全国民一丸となって軍備増強を謀らねば瞬く間に国は潰えるだろうと考えた銘治政府は士族を弱体化させ取り込まんと士族不利な政策を次々と強行。

 

銘治4年の廃藩置県により士族の統治の正当性を無くし、同年の解放令により身分の差を無くすという名目の元、士族は一般の国民と同じ扱いを受けることになる。

 

銘治6年の徴兵制布告により全国民より徴兵を行う。その徴兵対象は解放令によりただの国民となった士族も含まれており、さらに力を削いだ。

 

銘治7年たび重なる政府の圧力により一部の士族が大規模な反乱を決行。九州を中心に、全土に反乱が及ぶものと見た士族であったが、政府は陸海合同軍を派兵しその勢力の拡大を防ぐ。

 

 

そして、銘治9年。士族の反乱を重く見た政府は、警察等治安維持組織を除く全ての国民を対象とした廃刀令を発令。

 

 

武士の誇りに泥を掛けられ続けた士族は我慢の限界を迎え反乱を決意。

 

九州全土を巻き込んだ大規模な戦争が勃発。

最終的に政府軍6万、士族決起軍3万の軍が激突。双方に甚大な被害を与えて幕を閉じる。

 

 

 

大きな戦争が起きたのだ、と長い前置きをした吾妻父。それから吾妻一族について語る。

 

 

 

当時のマァ坊と吾妻父は、祖父や一族のものと共に士族の反乱に参加することを決意。反乱決起軍に合流することにした。

 

しかし、政府の国政を務める一族と血縁関係がある吾妻の母。彼女と婚姻関係にある吾妻父を、内通者として疑われてはかなわない。

祖父は、吾妻父が反乱に加担しないことを命令。そして、マァ坊にこの戦争の後、家督を譲ることを宣言した。

 

マァ坊は自分が家長になるとおどけたように喜んだ。しかし、吾妻父は素直に喜べない。

数倍する政府軍を相手に戦い、勝利を収めるなど奇跡でも起きねば不可能である。

恐らく祖父は、自分たちが死のうとも、吾妻父が生きていれば血が絶やされることは無いと踏んだのだろう。

自身が参戦出来ないことを歯がゆく思いながら吾妻父は、夫婦と祖母の三人で帰還を待つことになる。

 

 

政府軍に決起軍は敗北。士族の責任者は全員処刑されてしまう。

 

 

吾妻父は、敗北の知らせを受けて祖父が、首領を務める一帯の士族の責任を負って処刑されたことを悟る。

祖母はその報告で心が弱り、病を患いしばらくして死んでしまう。

 

マァ坊はどうなったのか。何年も待てど生死の報告は愚か行方すら知れない。

 

もはや生存は諦めた。

 

その後、銘治12年に息子の吾妻が生まれ、マァ坊のことは記憶の片隅に追いやられていった。

 

 

そして銘治18年、現在。マァ坊はこの自宅に帰ってきた訳である。

 

 

 

 

 

 

 

 

吾妻の父はマァ坊に向かって謝罪を述べる。

 

「血を絶やすな。それを守るためにお前を平然と死地に見送った。許されるとは思っていない・・・」

 

「そんでそげん堅苦しか喋り方になったんかぁ!はぁ~悪かことぉしたばい!」

 

暗い空気を変えるためにわざとらしく明るい口調で話すマァ坊。

 

吾妻父は昔は方言で喋っていたのだ。

 

だが、自分は戦争に参加せず弟のみ参加させた。弟を死地に送り、自分は安全なところで暮らす。それを後悔し、堅苦しい言葉使いを戒めとした。

 

その暗い過去の話を聞いて博多藤四郎もマァ坊にあやかり明るい口調で別の話題を流す。

 

「なるほどぉー。やけん吾妻ちゃんもお父っしゃんの真似ばして本州ん言葉ば使うとったんやねぇ~」

 

すると、吾妻父は首を振り否定した。自分の息子に目を向けて話す。

 

「いや、この子は近くの子ども達と同じ喋り方をしていた。それが去年倒れてから急に言葉使いが変わった」

 

博多やマァ坊はそういうこともあるのか!と追求はしなかった。

 

吾妻は中身が20歳の自分と入れ替わっていることを悟られず済んだ。露骨にほっとする。

 

「そんなことよりもマァ坊の話が先決ですよ!時間は限られている、さっさと始めましょう」

 

視線をマァ坊に向けて先を促す吾妻。マァ坊は頷く。

 

「んなら、ここから俺ん話ばするけんねぇ!」

 

話をするだけなのに何故か頬を叩いて気合を入れているマァ坊。本当にやかましい。

 

話は戦争のさなかに戻るのだが、と前置きをして語る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦争終盤。決起軍は政府軍に勝ち目無しとして、自決するものや死に花咲かせようと敵陣に突撃を仕掛けるものなど、混乱を極めた。

 

祖父は残りの一族を引き連れて生きよとマァ坊に伝え、政府軍の集団に囲まれ一人でも黄泉に道連れせんと軍勢を率いて突撃。生死は不明になる。

 

祖父が活路を開いてくれたが敵は大群。再度包囲され銃火に晒される。高台に逃げ込んだが最早これまで。

 

マァ坊は残った一族の連中に腹を括って突撃の準備をするよう指示。敵を巻き込み玉砕することで死に花咲かせようとした。

周囲の一族は人生の大一番がやってきたと笑って受け入れ準備を始める。

 

 

そこへ、煌びやかな装束を血や泥で台無しにした風貌の女性が駆け寄って来る。

 

「おい!マァ坊ッ!貴様ぁじいさまん約束はどうするんとっ!!!」

 

その女性は日本人離れした美しい風貌をもつ。戦場においてその美しさは違和感を持たせず、戦いに赴く戦神を思わせる美貌だ。

 

美しい葵色の髪を後ろに纏め、金細工の髪留めを付けている。その金細工には葵一葉紋の刻印が刻まれており、かの幕府の将軍家とのつながりを感じさせる。

 

目は気が強い印象を与え、少し釣り目だ。鼻は眉間に向けてしゅっと伸びており、秀麗な印象を与える。

口はその気の強さを表しており、今は犬歯を剥き出しにしている。

その体形は女性らしくなだらかな曲線を描き胸元は大きな円を描いていた。

体の色はやや白く、平時なら滑らかな絹の肌と言えるだろう見目も、今は血で汚れている。

 

戦用に仕立て直した着物は、袖や足元が短く切り揃えてある。その着物には立葵の見事な刺繍の入っている。

 

彼女はマァ坊の祖父の代より吾妻一家に仕えていると言う。

マァ坊はその精々20歳中頃と言った風貌で嘘をつくなと何度か言った記憶がある。

 

彼女曰く、時の将軍家に認められた大業物、名を信国重包と言った。

 

 

「マァ坊ッ!!聞こえとらんのかッ!!!」

 

「重ちゃん・・・怒鳴んなや・・・聞こえとるばい」

 

マァ坊の胸元を掴んだ信国重包は怒鳴り散らした。マァ坊は信国重包に突撃の準備をするよう伝える。

見事な散りざまを見せてやる、マァ坊がと言うと、信国重包はその顔面を殴りつけた!

 

「簡単に死ぬなや!!生きて血路ぉ切り開けやっ!!おまえにはじいさまん最後ば伝える義務があろうがっ!!」

 

「なんね?俺一人ぃ尻まくって逃げろ言うんね?」

 

確かにマァ坊一人なら力ずくで包囲を突破することも出来るだろう。

しかし、今のマァ坊は大将だ。部下を残して逃げるわけには行かない。

重包は言葉を濁す。

 

「そりゃぁ・・・」

 

「分ったらさっさと準備ばせんかい!おまぁの剛剣ばありゃ少しは生きれると!」

 

信国重包はとんでもない剛剣の使い手で、普通の女性と変わらない身長で2尺5寸はある太刀を片手で振り回す達人だ。

今日まで続く戦も目の前の女傑に助けられた回数は数えきれない。

 

ならば、今度も皆を救って見せると信国重包は気炎を上げる。

 

覚悟を決めた信国重包と一族の皆。一斉に高台から突撃し、血路を開いた。

 

 

 

 

 

 

血路を開くため突撃したマァ坊。しばらくすると、敵はマァ坊と一族の勢いに飲まれたのか散り散りになる。

 

どれほど戦ったのだろうか、敵軍の姿が遠くにまばらに見える程度になり、そこでマァ坊は我に返った。

 

「おおぉーい・・・皆おらんがかぁーー・・・吾妻一族ばここにありぃ・・・!」

 

返事はない。

自身の体も冷静に見ると、銃撃や裂傷、槍の穂先が刺さったままなど、体の至る所から血が湧き出す重症だ。

 

「ははッ!こいつぁ・・・だめかもしれん」

 

すると、敵陣から軍団再結集の合図が鳴らされる。周囲の戦闘が終わり、粗方の決起軍を倒したので軍団の再編を謀っているのだ。

 

ならば、最後の力を振り絞り、連中が軍を再編中している最中に奇襲してやろう。

覚悟を決めて敵陣に視線を向ける。すると、後ろから声が掛けられる。

 

「マァ坊!無事!?」

 

声の主は信国重包で、所々かすり傷はあるものの、軽傷だ。

重包はマァ坊の様態を見ると絶句。青い顔をして駆け寄った。

 

「マァ坊・・・すぐに治療せんと!」

 

その傷の治療をするためにマァ坊の甲冑を脱がしにかかる。

しかし、マァ坊は治療の手を跳ね除けると敵陣に向かって歩き始める

 

「もういいよ!マァ坊っ!家に帰らんね!!」

 

「うっさいッ!!気のいい仲間ぁ皆死んでしもうた!!大将首取れるまで帰れっかい!!!」

 

聞く耳を持たないマァ坊に涙ながら懇願する信国重包。

このままではマァ坊は死んでしまう。信国重包はマァ坊の腰にしがみついて動きを止めようとする。

しかし、マァ坊は取り押さえようとする信国重包を足を大きく振りかぶって蹴り飛ばし、言った。

 

「俺ぁこのまま敵大将首ば取りん行く!おまぁが俺ん代わりにみんなん最後ぉ伝えぇ・・・」

 

「だめっ!一緒に帰らんね!」

 

埒が空かないと思ったマァ坊は腰の刀を抜き振り回した。

 

「行けやッ!!邪魔なんじゃァッ!!!」

 

涙を滝のように流して行くな行くなとつぶやく信国重包。

マァ坊は血を失い過ぎたせいか、その体に黒い靄が掛かって見えた。

 

「そろそろ不味かかなぁ・・・やるかっ!!」

 

死の間際を悟る。信国重包を捨て置き、最後の命を燃やすマァ坊。

敵陣に霞んだ目を向け奇声を上げながら特攻をする。

 

しかし、敵陣に辿り着く前に他の政府軍に見つかり、鉄砲の雨を受ける。

 

そして、そこでマァ坊の意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

重苦しい空気が吾妻達に広がる中、マァ坊はあー・・・と気まずい声を上げる。

そしてしょうもないことを言い出した。

 

「俺ぁマァ坊って言われんのはな!敵さんにぃ斬りかかった声がまぁぁぁぁ!!!って聞こえるからばい!ハッハッハァ!!」

 

だからマァ坊なんじゃ!とアホのように笑ったが、流石に吾妻達は笑う雰囲気になれず、マァ坊の笑い声もどんどん尻すぼみになった。

 

誰も一言も喋らない。そんな空気のなか、吾妻父は冷静な口調で質問をした。

 

「重包さんはどうなった?」

 

マァ坊は信国重包を最後にみた光景を思い出し、苦い顔をして返事をする。

 

「分らん。最後ぉ心配してくれたんに追っ払ったもんやし、愛想尽こぉしてどっか行ったんかもなぁ・・・」

 

自分が無体を働いた自覚があるのか、暗い表情に沈むマァ坊。再度重苦しい空気が漂う。

 

このままでは話が進まない。吾妻は先を促す発言をする。

 

「肝心のここまでこれた理由を聞いてないぞ、マァ坊。」

 

そうじゃったな、とマァ坊は話の続きを語った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄砲の銃撃に晒され意識を失ったマァ坊。

 

 

そして、気が付けば暗い闇の空間に漂っていた。ぼんやりと夢の中の気分で浮かんでいると感情が黒く染まっていくのを感じた。

 

何故政府は武士を冷遇したのか。許せぬ。

 

何故一族や仲間は殺されなければならなかったのか。

 

何故皆を守れるほど自分は強くなかったのか。

 

このままでは国や国民が銘治政府により腐り果てるのでは―――

 

 

―――許せん。許せん許せん許せん許せん許せんッ!!!!!!

 

―――腐った政府の存続が許せん!呪われよ!

 

―――国家を追い詰めた世界が許せん!呪われよ!

 

―――伝えねば!吾妻の一族は腐った政府と勇敢に戦ったのだと。

 

―――向かわねば!我が家に!

 

―――そして吾妻の一族を奪った人類に大いなる災いあれ!!!

 

 

 

そしてマァ坊は暗い闇を漂いながら我が家の帰路に向かう。

 

どれくらいの時間が経ったのかは分らない。

マァ坊は己の抜け殻が自宅に近づいていくことをまるで他人のように感じた。

 

そして、自宅までもうすぐのところ。一人の少年を見つける。

 

その少年は、前髪が目を隠すまで伸び表情をうかがい知れない。

服装は身なりのよさそうだが、本人の顔が地味なので、貧相に見えてしまう。

 

だが、マァ坊は気付く。あれは吾妻の一族だと。伝えねば、吾妻の最後を!

 

いてもたってもいられずその少年に駆け寄りたい衝動に襲われる。

 

吾妻!吾妻!吾妻!

 

そして今すぐその少年を抱きしめたい!

 

抱きしめた少年の首を引きちぎれば(・・・・・・・・)さぞ気持ちいいだろう!

 

そして近づきその頭に手を掛けた時、

 

マァ坊の意識は桜の花びらに包まれたかの如く桃の色に染まり、

 

 

気が付けば初夏、吾妻一家の自宅の近くに突っ立っていた、と言うことである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんでなしてこんな所におるか分らんばい、混乱しておまぁを殴っちもうた」

 

そして混乱の極みにあったマァ坊は近所の子どもに吾妻を預け、逃げ出したというわけだ。

 

あの時はごめんなと再度謝ったマァ坊。吾妻は気にしていないと伝え、会話を続ける。

 

「しかし、なんですぐ実家に顔を出さなかったんだ?」

 

吾妻の疑問に、マァ坊は、自分が訳の分からない存在になって、しかも身内の人間を襲おうとするなど恐ろしくてかなわなかったと答える。

しかし、吾妻の近くにいると自然と心が落ち着き、段々と仲良くなるにつれて恐怖も薄れていったと語る。

 

「もしかしたら俺ぁさっきの亡者どもの仲間だったんかもしれん。」

 

そう締めくくる。マァ坊の話は終わったようだ。

 

これまでの話を受けて、博多藤四郎は自分の考えを述べた。

 

「禍憑・・・いえ、亡者が人間に戻るなんて考えられんっちゃ」

 

博多曰く、負の感情で動く亡者が人間に戻るとは考えにくいそうだ。ましてや一度死んだと思われる人間である。それを元に戻すとしたら、国を物理的に一つ吹き飛ばす量の正の力が必要になるらしい。

時空や摂理を歪める強大な力。

吾妻と接触したことで復活できたのなら吾妻はとんでもない正なる力を保持していたことになる。

博多は吾妻の頭や肩に触れて何かを探ったが、成果は得られない。

 

「確かにいくらか力を持ってるばい・・・でも、とんでもない量ってわけでもないっちゃ。」

 

ムムムと顔に手を当てて考えている博多。頭の髪飾りが博多の考える仕草に合わせて動き、面白い。

これは本部に連絡しなくちゃと、博多は呟く。

 

長い話が終わり、吾妻は一息つくことが出来た。急須のお茶がすっかりぬるくなった。

吾妻母は新しいお茶を入れることに決め、吾妻はそれを手伝いに後に続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新しいお茶を飲み、5人が一息ついていると、

玄関の扉が慌ただしく開く。そして男の声が届いた。

 

「すみません!ハットリです!急ぎの連絡がありますっ!!」

 

それは何時もの胡散臭げな声を、緊張で震わせていた。

 

「どうした!」

 

吾妻父が連絡を促す。ハットリはドカドカと家に上がり込み吾妻父に声を届けた。

 

「街の郊外に大勢の亡者が出現!現在治安維持部隊が対応、随時集結していますが、相手は全く減少せず苦戦!吾妻さんと博多さんは至急援護を!」

 

連絡を受けた吾妻父は博多のほうに視線を向ける。博多は小さくうなずくと、風の如く部屋から消え去る。

吾妻父は出かけると吾妻母に言うと玄関に向かう。

外にでた吾妻父は地面を蹴り、宙を飛んでいるかの速度で地面を爆走していった。

 

 

 

吾妻父と博多を見送った4人は自宅に戻りこれからどうするか思案する。

 

すると吾妻母がハットリにお茶を出した。

 

「どうぞ。」

 

「ああー。ありがとうございますぅ・・・ちょうど喉が渇いてましてねぇ・・・」

 

緊急事態にもかかわらず我が道を行っている二人に目を向け、

 

この豪胆さが少し羨ましいと感じる吾妻だった。

 

 

 




吾妻空気。吾妻ァー!
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