時の流れを越えてやってきた17歳のハマーン様UC   作:ざんじばる

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平成も終わろうかというこの時代にハマーン様スキーがこれほどいるとは…
感無量でごわす。


船長と少女

「おい、お前ら……生きてるか?」

「返事がない……ただの屍のようだ……なんでそっとしておいてください、キャプテン」

「アホめ。本当に屍になりたくなきゃさっさと周囲の確認を始めろ、フロスト」

「ひでぇ。モビルスーツ二機を上に乗せたまま大気圏突破に不時着なんて離れ業を決めた俺にもっと労いの言葉とかあってもバチは当たんないんじゃないですかね?」

 

 予定外のアクシデントに見舞われたガランシェールは何とかアフリカは西サハラの砂漠へと不時着した。長々と砂漠を滑走した船は砂丘に刺さったことでようやく動きを止めたのだ。とんでもない衝撃を残して。

 

 その衝撃からようやく立ち直ったブリッジで船長のジンネマンはクルーの無事を確かめた。各自呻きながらも返事を返す中、フロスト・スコールだけは軽口で返してきた。それを無視してジンネマンは続ける。

 

「そのガランシェールをサーフボードにしてくれやがったモビルスーツ二機はどうなった?」

「あー……パイロットは気絶しているのか動き無し。ガランシェールと同じく砂丘に突っ込んでますよ。特にユニコーンはなんだありゃ、Inugami Familyかよ」

「なんだそりゃ?」

「西暦時代の古典ですよ。推理もので被害者があんなインパクトある死に方をするんです」

 

 フロストそう指さす先にはユニコーンの姿があった。頭から砂丘に突っ込み、大股開きの下半身だけが露出していた。なんとも間抜けな姿だった。毒気を抜かれたジンネマンは一つ頭を振ると、気を取り直すように言った。

 

「よし。クルーの半数は俺についてこい。とにかくパイロットを押さえるぞ。この状況で暴れ出されたらたまらん。残りはガランシェールのチェックだ」

「了解。船体チェックの指揮は俺がとりますよ。キャプテン」

「お前も着いてくるんだよ、ボケ」

「うぇー……」

 

 嫌がるフロストを引き摺ってジンネマンはブリッジを出た。

 

 

 

「まだ朝方だったのが不幸中の幸いだな」

「二度とこんなところには戻ってきたくなかったんですがねぇ……」

 

 砂漠の陽射しに打たれながら呟くジンネマン。その隣でフロストはぼやいていた。乗降用エアロックを開け、流れ込む砂に難儀しながらようやく外へと這い出た二人は擱座したモビルスーツへと歩みを進める。先に取り付いたのはユニコーンだ。

 

「トムラ。開けてくれ」

「了解です。キャプテン」

 

 ガランシェールのモビルスーツ整備担当、トムラが外部から制御してユニコーンのコックピットハッチへ解扉指示を信号を送った。パラオでの解析でこのあたりは解析できている。ほどなくコックピットが開いた。やはり見立て通り中のバナージは気絶していた。

 

 そして次はゼータプラスだ。ハッチ開放の準備を整えたトムラが視線でジンネマンに指示を請う。それにジンネマンは顎をしゃくることで答えた。彼の他にコックピットを取り囲んだ部下たちが銃を構えてその時を待つ。緊張が彼らを包む。ある意味バナージは見知った相手だったが今度の相手はそうではないのだから。

 

 プシュッっとエアが抜ける音とともにゼータプラスのコックピットも開放された。武器を棄てて出てくるように呼びかけるが中から反応は返ってこない。仕方なくフロストが率先してコックピットをのぞき込んだ。中ではノーマルスーツ姿の人物がコントロールパネルにうつ伏せるように倒れていた。こちらも気絶しているらしい。

 

 フロストたちがパイロットを運び出す。そしてゼータプラスの足下にできた日陰にそっと横たえた。慎重にヘルメットを外す。するとまだ幼さの残る少女の顔が現れた。その整った愛らしい顔にフロストは口笛を吹き。

 

「バナージのヤツ、こんなカワイイ子に助けられて降りてきやがったのか、隅に置けねぇな」

 

 などと皮肉めいたことを言っている。その後ろでジンネマンは息を呑んでいた。その少女の髪色に既視感を覚え、宇宙でフル・フロンタルが言っていたことを思い出したからだ。

 

「馬鹿な…………ハマーン・カーンのクローン……本当に実在したのか……?」

 

 戦慄と共に呟いた。

 

 

 

 ◇

 

 

 

「邪魔するぞ」

 

 一声かけてジンネマンはガランシェールの一室へ入った。そこに拘束されている少女が目覚めたという報告が入ったからだ。捕虜ではあるが相手は女だ。事前に声をかけたのは最低限の礼儀だった。

 

 同じく収容されたバナージは一足先に目覚めている。ガランシェールの影に入るまでユニコーンを庇っていたゼータプラスのコックピットはかなりの高温になっていたのか、パイロットの少女は熱中症も患っていた。その分回復が遅れたらしい。

 

 バナージは拘束していない。無駄なので。彼の方はすっかり無気力な状態になっていて、反抗はおろかまったく無気力な状態だった。その姿にジンネマンは心底うんざりさせられた。こちらはそうではないといいがなどと考えながら部屋へと踏み入った。

 

 そのジンネマンを紫水晶の瞳が見返していた。拘束されているというのにその瞳には恐れも、その反対に怒りもない。静謐を保っていた。目が覚めたら見知らぬ船に身動きできない状態でいるのにあまりに剛胆じゃないか。そう鼻白んでいるジンネマンに対して先に少女が口を開く。

 

「貴様は? ジオンの人間か?」

「……一応ネオ・ジオンだ」

 

 何の気負いもなく上からものを尋ねてくる少女に戸惑いながらも素直に答えるジンネマン。そんな自分に気づき、相手のペースに呑まれてなるかと話の主導権を握りにいく。

 

「お嬢ちゃん、あんたは現在俺達の捕虜になっている。こちらとしても年端もいかない女子供に手荒いことはしたくない。これからいくつか質問するが素直に答えてくれると嬉しいんだがね」

「答えるかどうかは聞いてから考える。まずは言ってみるといい。許す」

 

 けれど少女は変わらない。まるで相手の方が上の立場と錯覚しそうだ。いや、第三者がこの場にいたら間違いなくそう思うだろう。けれどここで声を荒げるのも大人げない。ひとまず向こうは質問を受け付けようとはしているのだ。そうまずは質問だ。

 

「それじゃあまずは……お嬢ちゃん、あんたの名前と所属を聞かせてくれ」

「ハマーン」

「ハマッ——!?」

 

 が、いきなりの爆弾発言にジンネマンは噴き出すしかなかった。そんな彼の態度にハマーンと名乗った少女は眉を顰めている。

 

「……自分から質問しておいて何だ? 人の名前を聞いてその態度、無礼であろう」

「い、いや……すまなかった」

「結構。それで貴様は?」

「は?」

「貴様の名を聞いている。人に名を問うなら本来、貴様から名乗るのが礼儀だぞ」

「……スベロア・ジンネマン。この船の船長をしている」

「そうか」

 

 もはやここまで来てジンネマンは話の主導権を握ることを諦めた。とにかく必要な情報さえ引き出せればいいのだ。どちらがマウントを取るかなど些細なこと。そう自分に言い聞かせて会話を続行する。

 

「それで……あんたの所属は?」

「アクシズだ」

「……ふざけているのか?」

「ごく真剣なのだがな……まあいい。ジオン共和国とでも理解しろ。あとは……そうだな。軍属ではない」

「軍属ではない……? あのキュベレイに乗っていたのはお嬢ちゃんなんだろう?」

「そうだ」

「モビルスーツのパイロットが軍属じゃないというのはどういうことだ」

「私はミネバ様専属の護衛だ。私兵のようなものだと考えてくれればいい」

 

 

 

「はぁ? なぜそれが俺たちネオ・ジオンと戦闘する?」

「私兵だと言っただろう。すべてミネバ様の命令だ。ユニコーンとそのパイロットをネオ・ジオンに渡すな。守れというな」

「そのためにネオ・ジオンの兵の命を奪ったと?」

「そうだ。ミネバ様の御ためなら連邦もネオ・ジオンも知ったことか。貴様らこそ、なぜザビ家の正当な後継者であるミネバ様に危険が及ぶような戦闘をした? 不敬であろう」

 

 その指摘にジンネマンは苦虫を噛みつぶしたような顔をした。そして話を変えにかかる。

 

「こちらにも事情があった。好き好んで姫様を危険に晒したわけじゃない……そもそも、なぜ姫様がユニコーンをネオ・ジオンから守るように言うんだ?」

「知らん。おそらくは私などには計り知れん深慮遠謀がお有りになるのだろう」

 

 ———パイロットの方は単純に気になる異性だったからなのかもしれないが……

 

 そんなことはおくびにも出さずハマーンは言い切った。

 

「それで、その姫様は今もネェル・アーガマにいるのか?」

「…………パラオでの戦闘直後に地球に降りられた。連邦政府に直接かけあって事態の打開を図るとのことだ」

 

 続くジンネマンの質問に少々迷った後、ハマーンは答えた。まあ真実を告げても影響はあるまいと考えて。あるいは何かあったときの保険になるかもしれない。ミネバを保護するための。

 

「なんだと!?」

「具体的にどこに行かれたのかは聞かれても無駄だぞ。私も知らん」

「お前は姫様の護衛なんだろうッ? なぜそれが行き先を知らん!?」

 

 つい声を荒げてしまったその一言はハマーンの心を多いに抉るものだった。それは劇的な反応を引き起こす。

 

「私の出撃中にいつの間にかいなくなってたんだッ! 何も言わずッ! 行き先なんて私が知るわけないでしょッ!!」

 

 これまで冷静に、いっそ冷徹に受け答えしてきた少女の突然の激高に、ジンネマンは彼女も置き去りにされたのだと気づいた。主に遺された命令を守り、そして不安に蝕まれながらも必死に強者の仮面を被っていたのだと。そこに気づいてしまえば目の前の少女の華奢な肩や四肢にどうしても目が行ってしまう。自分がこんな年端もいかない少女にどれほど酷なことを言っていたのか、嫌でも気づかざるを得なかった。

 

 ハマーンも自分の失態に気づいたのか、気まずそうな顔をして視線を逸らした。ジンネマンを視線を下ろし床を見詰める。そうして。どうしても聞きたかったことだけを最後に聞くことにした。

 

「マリーダは……パラオで鹵獲されたモビルスーツのパイロットは無事か?」

「……ああ。ネェル・アーガマで治療を受けていた。重症ではあるが命に別状はないようだった…………先の戦闘で出撃して以降のことは知らないが」

「そうか。情報感謝する」

 

 そう言ってジンネマンは踵を返した。そうして部屋を出て行こうとして扉付近まで進んだところで振り返る。

 

「なんだ? まだ聞きたいことがあるのか?」

「……お嬢ちゃんはハマーン・カーンのクローンなのか?」

「………………そうだ」

「そうか……」

 

 ハマーンの答えに頷くと去り際に一言残していった。

 

「そんなに無理して偉ぶって話す必要はないんだぞ」

「余計なお世話だッ」

 

 条件反射的に声を荒げたハマーンを見て今度こそジンネマンは部屋から出た。その表情を子供に向けるような慈しみと、そしていたたまれないというような歪みを混ぜ込んだ顔にして。

 

「……ホント…………余計なお世話なのよ……」

 

 静かになった部屋に残されたハマーンの呟きだけが響いた。

 




一方その頃…

リディ「俺は…とんでもないところに君を連れてきてしまった」ダキッ
ミネバ「……(うせやろ?)」
リディ「君の力になれると思ったのに…」
ミネバ「……(はーつっかえ)」
リディ「何があっても君だけは守る」
ミネバ「……(あほくさ)」
リディ「だからここにいてくれ…俺の傍に…俺を…ひとりにしないで」
ミネバ「……(バナージ元気かなー。会いたいなー)」
とりあえず腕だけはリディの背中に回すミネバ。

その後悲劇の主人公面したリディがお馬でパカパカ暴れん坊将軍ムーブしてシーン終了。

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