ゴッド★ロックシューターの方はもう少し待って下さい。
ここは?
気付けば、一面真っ黒な空間に居た。本当に何もなく、どうしようかと悩んでいると記憶が少し蘇って来る。
あぁ、そうか、死んだのか。ってそれしか思い出せんのかい。
そんな下らない事を考えていると何やら声が聞こえてきた。いや、聞こえたと言うよりも脳にちょくせつ響くような、そんな不思議な声だった。
ハツノオオガタケンゾウ!
ウデガナルゼ
タイチョウ!シザイガゼンゼンタリマセン!
ナニ!?
ゴアンシンヲ。ソレデモツクッテミセルノガワタシタチヨウセイサンデスカラ
ハンギャクジダイニクラベレバ、コノテイドピンチノウチニモハイリマセン
え?なに?なんかボソボソ聞こえるんですけど?あと、トンカチとかで金属を叩くような音も聞こえてきたんですけど?
ア
オイ、イマダレカ「ア」ッテイワナカッタカ?
タイチョウ!ゼンゼンタリマセンデシタ!
ダカライッタロ!
イマサラチュウシナンテデキナイゾ!?
テカ、コレフツウドコロカ、レッカバンズイカクジャネ?
ハツノオオガタケンゾウデコノテイタラク!
ヨウセイサンノナオレヨ
シカタナイ。セメテムネダケデモオオガタニシヨウ!
オマエテンサイカ!?
え、なんかめっちゃわちゃわちゃしてる気配がするんですけど?ホントにどんな状況?
フゥ、コレデアトハギソウダナ
ビミョウニアマッタカラ、カミデモノバスカ
・・・ナァ、カナリヤバイコトニキヅイタ
ドシタ?
ムネガズイカクトシテハキカクガイニナッタカラ、ドノギソウモアワナクネ?
・・・・・・・・・ヤッベ
チョ、ドウスンノ!?
・・・サラシヲキツクマイテミカケダケデモチイサクスレバアルイハ
ソレダ!ホカニホウホウモジカンモナイカライソグゾ!
ブーラジャー!
うおっ!?なんかいきなり凄い圧迫感が襲って来たんですが?そして、今更気付いたんですけど、身体が動かないのは何故?
コレデドウダ?
オ?ギソウハイケタゾ
ギソウハ?
ウン。ギソウハ
・・・ツマリ?
テキゴウスルヨウセイサンガイナイッス
バカジャネェノ?
ア、モウジカンガナイヨ
!?シカタナイ、シアゲニトリカカルゾ!
レッツパーリー!
ッ!?こ、今度はなんぞ?なんか布みたいなのが身体を巻き出したぞ?
身体に巻き付く感覚が収まると、急に大量の記憶が頭の中に流れ込んできた。容赦無く次から次へと一気に流れ込んで来るそれらだったが、頭が痛くなるような事は無く、きちんと把握することができた。
この記憶は、翔鶴型航空母艦二番艦「瑞鶴」の記憶か。あまりにもリアル過ぎて実際に体験したみたいだな。いやまぁ、艦だからどのみち見てるだけなんだけど。それと・・・成る程、どうやら私は艦娘の瑞鶴として転生するのか。
入ってきた記憶は、艦である瑞鶴としての記憶と艦娘について、あとは一般常識だけでいいのかな?そして、ここは建造前の艦がいる場所、工廠の中ってこと?そんで、今さっき建造が完了したのか。
ん?体がある?というか、今まで無かったってことか。全く気が付かなかった。動かなかった原因はこれか。
この身体は・・・ズイ (((ง˘ω˘)ว))ズイなるほど。この身体も瑞鶴と言うのか。服装は翔鶴型とやらと同じだな。けど髪は、色は瑞鶴と似てるけど記憶の中の瑞鶴よりも長い。腰よりも少し長いくらいかな?
ん?明るい?
体を確認していると、正面から光が漏れてきた。光は徐々に大きくなり、私を包み込んだ。光が止むと、そこは工場のような建物の中で軍服?を着た人達が居た。
ふむ、予想の斜め上を来たな。
建造が初めてって訳ではないだろうから、何か特別な建造の仕方でも発見したのかな?場所は工廠の中だろう。
ん?特別な建造?
少し疑問に思ってチラッと後ろの方を見るてみる。そこには、記憶にあった建造施設より数倍デカい機械が佇んでいた。
あー、もしかして、大型建造ってやつか?だとしたら、状況的にも考えて、ここは大本営の敷地内の可能性が高いな。更に、集結してる人の数の事も考えると稼働試験的な意味合いでの建造の可能性もあるかな。これ、中身が違うってバレると絶対に面倒臭い事になるね。断言出来る。
「あの、貴方は?」
一番近くに居たthe委員長みたいな人がそう問い掛けてくる。何やら疑いつつ、値踏みするような視線。明らかに何かがおかしいと思われている。
この場合は、自分の艦種と名前を言えばいいんだよね?やっべぇ、なんか緊張してきた。主に上手く嘘を隠し通せるかという方面で。
緊張して動けないでいると、黙っている私に辺りがざわざわしだした。早く何か言わないと余計な誤解が広がるだけだと考え、取り敢えず、まずは自己紹介をしてみる事にした。
心を落ち着かせ敬礼をして
「・・・」
・・・あ、あれ?声が出ない。というか、口が動かせない。
「・・・」
あー、これはダメなやつですね。動く気配が全くしない。喉だけ鳴らそうとしたけど、震える様子も無し。あ、あちらさん方も本格的に困惑してきてるな。ふむ、ホンマにどないしよ。
何がアカンって、傍から見たら私が完全におかしな娘に見えるってことだな。自己紹介する所を何も喋らずに敬礼してるだけだよ?あちらさんも私が喋るだろうと思ったのか緊張して若干空気が張り詰めちゃってるよ。なのに私が一向に喋らないから、あちらさんも喋ろうか喋るまいか微妙な空気になっちゃったよ。沈黙が痛ぇよぉ。
結構冷静そうに見えるかもしれんが、悶え死にそうな所を必死に抑えてる状態だからな。うぉぉ、誰でもいいからこの空気を何とかして〜。
そんな私の願いが叶ったのだろうか。先ほど私に問いかけた女性がおずおずとしながら、確認するように私に問い掛けてきた。
「あ、あの貴方は、ず、ずい・・・かく?で宜しいのでしょうか?」
ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ
そう、私が瑞鶴・・・・・・なんで名前知ってんの?あ、同型艦ってのがいるからなのかな?って考えてる場合じゃないわ。せっかく繋いでくれたパス。これを生かさない手はねぇ。と言っても喋れないので私は首を縦に振り、肯定の意思を示す。
「あの、何故、何も仰らないのですか?」
何故と言われましても、こちらが聞きたいくらいなんですが。うーん、取り敢えず首を横に振ってみるか?
「・・・」
何か難しい顔をして考え始めてた。
「もしかして、喋れないんですか?」
・・・よくそこまで正確に伝わったなと、私自身が疑問に思ってしまった。いや、状況的に考えて、妥当な回答か。
彼女の推理力に半ば驚嘆しつつも、きちんと首は縦に振って、肯定の意思を示しておく。すると、更に難しい顔をして初老の提督の所に行き、何かを話し始めた。
あの人は、恐らく元帥クラスの人だろうね。勘だけど。オーラっつうの?あるもんなんだな、実際。少しして、委員長がピンクの髪の娘を呼んで近付いてきた。
「検査をしますので、こちらの明石に付いて行ってもらえますか?」
「どうも!工作艦の明石です!」
そう元気よく挨拶して来たのはエロい目的としか思えないようなスカートを履いたセーラー服姿のピンク髪の美少女だった。心無しか目も輝いて見えるのは目の錯覚か何かだろうか。
頭を下げて一礼をし、すぐに移動する。
検査室?に行くには取り敢えずここから移動しなければならないので、皆の間を通るのだが視線が痛い。バレないように視線を動かして見てみたが、殆どの人にガン見されてた。中には失望のような眼差しの人も居る。
大型建造だとすると、大量の資材を使ったのだろう。それが既存の、その上、欠陥付きなら当たり前か。ただ、視線が何やら胸辺りに集中している気がするのは気のせいか?気の所為だな、うん。身長的なアレでそう見えるだけだ。
でも、こちらからすれば、勝手に作って、生まれたばかりでその反応は理不尽過ぎるが、特にこれといった怒りなどの感情は湧いてこなかった。その事に違和感を覚えたが、気にせず視線を前に戻し、明石さんに付いて行った。彼女が今にもスキップしそうな雰囲気を出してたが、何がそんなに楽しいのだろうか?
◇
「この中で検査をします」
少し歩いた所に、工廠みたいな所に着いた。中から、機械音がそれなりに聞こえてくるが、喧しい程でもなかった。明石さんの声が少し高く息が荒く、獲物を見つけたような目付きをしている気がするがきっと気の所為だろう。
中は広い空間が広がっていた。機械やらなんやらがあって、それがかなりのスペースを取っていたが、それでもまだ余裕がある程だった。開けた瞬間にかなりの音が響いて、気圧されたが、すぐ我に帰り、明石さんに付いて行く。入って中に取り付けてある扉に入ると、病院の設備のようなものが沢山あった。
これでも一部らしく、奥には仕切りがある。恐らく、あの向こうに他のがあるんだと思う。
服を脱いで診察服のようなものを着て診察台に座り、明石さんが私の診察服を脱がして注射器を取り出した。なんの為に着替えたんだろうか・・・。
「少しチクッとしますよー」
んっ・・・慣れない痛み。
「それでは暫くの間、おやすみなさぁ〜い♡」
え、ちょ、は?
抵抗する間もなく、私の意識は闇へと落ちていった。
◇
特に何の脈絡も無く目を覚ます。辺りを見回すと明石さんが目の下に濃い隈を付けながらにやけ面でヨダレ垂らしながらパソコンを弄ってた。
何故かその姿を見ただけで途轍も無く関わりたく無くなって来る。終始にやけ面で『グヘヘ』とか言いながらパソコンを弄るその姿は何かの中毒者と見間違う程だ。先程の天真爛漫な明石さんはどこへ?
「あ、お久しぶりのおはようございます!もう終わったのでゆっくりしていて下さい」
こちらに気付いた明石さんは同時に正気に戻ったようで、笑顔でそんな事を宣いだした。そして、コピー機から出てきた紙を持って結果を報告しだした。
「身体的な欠損などはありませんでしたね。能力値に関してですが、他の瑞鶴と比べて速度が少し出るようですね。と言っても、突出して速い訳ではありませんが。逆に、装甲がかなり落ちていました。軽巡の平均的な装甲よりも余裕で下です。軽巡といい勝負してます。声が出ない原因は今の所はまだ分かりませんでした。以上が結果報告となります。あ、見ます?」
マジで?なら、精神が『私』なのが原因とか?まぁ、いっか。今考えても何も変わらないだろうし。
あ、どうも。
読み上げる際の明石さんの顔に関しては何もツッコまないようにしよう。あれは内から抑えきれない欲望が溢れ出ている時の表情だ。完全に手遅れです。救いはありません。今後は、エロピンクとでも呼ぼうか。
「それでは、私は報告に行きますので暫くここで待っていて下さいね」
切り替え早いな。すぐにキリッとしだした。 隈は健在だけど、流石は大本営所属と言った所か。それでも私の中での評価は既に底辺となっていますが。
エロピンクはデータを印刷した紙の束を持って出ていった。そんなこんなで、1人取り残されてしまった。・・・暇になった。取り敢えず、いろいろと整理しようか。
1、多分、私は転生?憑依?のような形でこの瑞鶴の体を持ってこの世界に生まれ落ちた。
2、恐らく大型建造で建造された。
3、何かが原因で私は喋る事と表情を表に出すことができない。(表情に関しては、見てないので分からないが感覚的に動いてない事が分かる)
4、その結果、検査を受ける事となった。
5、検査結果に異常は無し。強いて言うなら装甲が空母としては紙装甲と呼ばれても仕方ないくらい。
6、その結果を明石が報告しに行き、私はお留守番。
知識面は前世の自分に関することは死んだこと以外思い出せない。しかし、それ以外ならある程度なら覚えてる。与えられた知識は艦娘や深海棲艦に関する事。
こんな所かな?問題は結果を聞いた大本営がどういった対応を取るかだな。瑞鶴がこの世界で珍しいならまだ希望はあるけど、さっき見た反応からするに、その可能性は薄い。となると、解体か、それとも実験材料っていう可能性も捨てきれないな。はっきり言って、建造は失敗のようなものだし、その原因が私を調べることによって分かるかもしれない。・・・最悪の場合、逃げようかな。
いや、それは今は止めよう。あまりにも愚策過ぎる。初期装備で大本営の警備を突破できるとは思えないし、仮にできたとしても、生きにくいだろうし、すぐに捕まるだろう。はぁ、考えれば考える程、今の状況の悪さが身に染みる。
気分転換にさっき貰ったデータを見てみようか。
どれどれ・・・・・・ふむ。
そうやって心の中では嘆いているが、身体は背を起こした椅子に微動だにせず、いい姿勢で座っている。意識をしたらある程度動くだろうけど、無意識とかでは動かないなこの体。ふむ、誰か来るまでこの体を少し調べてみるか。
◇
大本営の会議室では、十数人の白い軍服を着た男性達が議論をしていた。内容はもちろん、大型建造という新しい建造方法での試験運転で建造された、あの見るからに異常で異様な『瑞鶴』だ。
「資材が足りなかったのが原因か?」
「明石からの報告書を見る限り、そうとしか言えんな」
「やはり、あれはすぐさま解体するべきではないか?身体を十分解剖したのだ。これ以上、危ない綱を渡る必要もあるまい」
「嫌、それは流石に早計が過ぎると思うぞ」
「では、一体誰があの瑞鶴を引き取るんだ?少しの間なら営倉にでも入れていればいいだろうが、長期間は無理だ」
「かと言って、貴重なサンプルである事も事実であるし、何より建造に使用された資材と解体した時に得られる資材では割に合わなさ過ぎるぞ」
「確かにそうだが、仮に裏切られた時のことを考えれば、先に始末しておいた方がいいと思うが?あの姿は、あれにあまりにも酷似していると思う。また、あの時の惨劇が繰り返されるかもしれん」
「いっそのこと、モルモットにするか?」
「嫌、それはダメだ。この数日間だけでも誤魔化すのがやっとだったのだ。万が一にでも他の艦娘にバレた場合、または、そのストレスから完全に覚醒した場合、目も当てられない事態になりかねない。それなら、取り敢えず何処かに配属させて経過を見守る方がまだいい」
「となると、万が一の事も考えて戦力がしっかりとしている所のように、裏切られても被害を最小に抑えられる所に配属させるべきか?」
「ふむ、その案は悪くないだろう。私は賛成だ」
「他に異論の有る者は居るか?」
「「「「・・・・・・」」」」
「ふむ、では配属先は高練度の居る所で決まりじゃな。次の会議までに、どこかいい所を各自探しておくように。解散!」
その初老の提督、元帥の言葉と共に各自が席を立って部屋を出ていった。そんな中、一人だけ他よりも若く、端正な顔立ちをした二十歳半ば程の男の口端がつり上がったが、誰も気付く事は無かった。
明石の検査?を変更致しました。
こっちの方が面白そうだし、勘違いの要素?としては理に適ってるかなと思ったので。