無口な瑞鶴さん   作:榊 樹

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第3話:営倉での日々

用を足し終えた後、意識が朦朧としながらもトイレットペーパーで拭いて流してパンツとスカートを履いて元の位置、こちらをガン見してくる虚ちゃんの横に座り直した。

 

 

フッ、フフフ、ミラレタ。ゼンブミラレタ。キカレタ。フフフフフ、モウオヨメニイケナイ。フフフフフフフフフフフフフフフフフフフ。

 

 

それからも、意識が覚醒はせず、食事がくるまでずっと何かを心の中で呟いていたが、運ばれてきた朝食を一口食べると一瞬で正気を取り戻した。正気では無い物で正気を取り戻すのはなんとも皮肉な話だとは思ったが、まぁ、立ち直れたから結果オーライ。

 

 

因みに、服は返して貰っていません。未だに虚ちゃんが肩から羽織っています。あ、違った。羽織ってなかった。ちゃっかり、普通に袖に腕を通してるわ。そんでご丁寧に紐まで結んでる始末。完全に着ちゃってますね。

 

うん、ここから返してとは流石に言い辛い。いや、喋れんけどね?はぁ、飽きるまで貸しておくか。

 

 

それまで、私が上が晒だけの半裸状態になるが、これはきっとコラテラル・ダメージと言うやつなのだろう。そうだ、これは仕方無いのだ。だから、半裸の状態で私が何も感じないのも仕方無いのだ。決して、私に裸族の素質があるとかそんな事では無いのだ、うむ。

 

 

さて、今日もやる事が無いからその、なんだ。虚ちゃんによる死線(死んだ目線)攻撃に耐えながら瞑想でもしよう。

 

 

 

 

それからの日々は、

 

起床→トイレ→見られる→意識が朦朧とする→朝食→正気に戻る→瞑想→昼食→瞑想→夜食→瞑想→虚ちゃんを膝枕→就寝→夜中に虚ちゃんの寝言で起床→撫でて落ち着かせる→寝顔に癒される→再び寝る→それを数回繰り返す→起床

 

のルーチンワークを数日行った。

 

二日目の昼頃から視姦されるのに慣れてしまった。就寝時間になると虚ちゃんは当たり前のように私の膝に頭を乗せるようになった。大変良い撫で心地であります。

 

 

四日目には気付けば、味覚と嗅覚が死んだ。流石に艦娘という人外でさえも耐え切れなかったのだろう。でも、悪い事ばかりじゃない。お陰で食事が苦に感じなくなったし、それに味覚と嗅覚ぐらいドックに入れば修復できるだろ。あれ?いい事づくめじゃね?

 

しかし、痛覚はまだ残っている。そこで私は、味覚と嗅覚を克服?したんだから痛覚もできるだろ、と思い、痛覚の遮断を試みた。

 

結果から言うと出来てしまった。ただ、全身の痛みが感じなくなる所か、触覚までもが感じなくなった。これはなんかヤバイと思い、すぐに止めた。痛覚も触覚も無事に戻ってくれた。マジで焦った。

 

そして、私は痛覚遮断にハマってしまった。・・・いや、その、確かに危ないのは分かってるんだが、それでも何と言うか、新しい扉を開いてしまったと言うか、未知への好奇心って言うの?それが刺激されて、止めるに止められなくてね。そんな訳で暇潰しに痛覚遮断の練度上げが追加された。

 

後、ほんの少しずつだけど、虚ちゃんの夜泣き並の魘される回数が減った気がする。私が魘されているのに気付いてないだけかもしれんがな。

 

 

そう言えば、3日目の夜におかしな夢を見た。何時もなら夢を見る前に虚ちゃんに起こされるから見る事なんてできないんだけど、この日は眠りが深かったのか、そんな事は無く、目を覚ましたのが朝だった。

 

見たものは艦だった頃の空母瑞鶴の記憶だとは思う。私が甲板の上に居て、景色がコロコロ変わり、最後には沈んでいき、完全に沈む瞬間に目が覚めた。私が自我を持った時に流れ込んできた記憶と一緒の展開だった。艦娘としてはよくあるような話らしいんだけど、沈んで目覚める瞬間に乗組員でも私でもない人影が甲板に居た。

 

何だったんだろう、あれ。

 

この身体の元の人格とかか?だとするとなんか申し訳ない気がするな 。まぁ、考えても答えなんて分かんないだろうから、今は置いとこう。

 

 

 

 

五日目

瞑想をしている時に、ふと思ったんだけど私は虚ちゃんの事について何も知らない。でも、知りたくはあるが私は口が訊けないし、何より幾ら夜を共にしてるからって、今の状態の虚ちゃんに話し掛けられるほどの勇気が私には無い。あ、夜を共にするってそのままの意味ね?

 

なので、自分なりに現状と今までの事からいろいろと推測してみよう。うん、思い付きだったけどなんだか楽しそう。

 

 

でもその前に、虚ちゃんの姿を細部までよく思い出せない。そして、虚ちゃんはこちらをガン見してるからそんなに長く何度も見る事が出来ない。以上からチャンスは一度。そのチャンスでチラッと見て脳に焼き付ける。

 

ふふっ、普通なら無理難題だろう。しかし!艦娘という人外になった今、人間離れした技など私には容易いことよ!

 

 

べ、別にビビってる訳では無いよ?ただ、人を無言で見続けるのはなんか相手に不快感を与えそうじゃん?現在進行形でそれに晒されている私が言うんだから間違いない。え?虚ちゃんもしてるからお相子?

 

・・・いや、考えてもみろ。虚ちゃん見た目、幼女だぞ?しかも見るからに精神が崩壊してそうな風貌だぞ?そこに追い打ちをかけろっての?鬼か。

 

ん?チラ見もそれなりに不愉快?・・・気にすんな。

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・チラッ

 

 

「<●><●>」

 

 

スッ

 

 

よ、よし。

いけた。

完璧に記憶した。

これならいける。

 

 

さて、まずはこんな所に軍服でもないセーラー服?を着ている一般人なんている筈が無いから私と同じ艦娘であることに間違いないだろう。・・・あれ?私、艦娘だよね?何か別の新しい生命体とかって言わないよね?

 

いや、やめよう。どつぼに嵌ってしまいそうだ。 ってか、序盤から話が外れてしまった。

 

 

コホン。

そして、見た目は中学生か小学生高学年くらいだから、駆逐艦だと思う。もしかしたら、軽巡の可能性もなくはないけど、勘で駆逐艦だと思う。まぁ、他の艦娘なんてエロピンクくらいしか見たこと無いけどね。記憶には他の娘のデータなんて無いし。あ、あの委員長みたいな人も艦娘かな?

 

 

髪は黒色?で三つ編みに結んで肩から前に出している。結んだのは私だけどね。他に特徴的な所と言えば、やっぱり目だな。

 

こちらまで引き込まれてしまいそうな程の底の見えないひと・・・み?ん?なんか若干、光戻ってね?う〜ん、覚え間違えしたかな?この短時間のインターバルでまた目を合わせて確認するのは辛いので、この件は一旦保留。

 

 

座り方は体育座りで壁にもたれながらこちらを四六時中ガン見してる。瞬きしなくて目が痛くならんのかな?あ、私もしてないから人の事言えんな。

 

 

後は・・・そう言えば、艤装ってどうなってんの?この娘は見た所、服しか着てないし、機械的なものはこの部屋にも見当たらない。

 

 

ん〜〜〜〜あ、記憶に有った。何々?イメージすれば展開される?掛け声があると出し易い、か。ふむ、幸い、自分の艤装についての情報もあるし、試してみるか。

 

 

 

艤装展開!!

 

 

 

・・・・・・しーーーーーーん。

 

 

何も起きねぇじゃねぇか!!これじゃ、私が痛いやつみたいじゃん!おい巫山戯んなよ!?なんだよこの知識!

もしかしてWi⚪ipedia並に嘘情報とか混じってんのか?マジで洒落になってねぇぞ!?

 

どうやって艤装を出せばいいんだ?唯でさえ性能低くてコミュニケーション能力も最悪なんだぞ?その上、艤装が出せないって・・・艦娘として終わりじゃん!?役に立たないどころか、完全に穀潰しだよ!肉壁すら成れないぞ?

 

ヤバイぞヤバいぞ、これがバレたら冗談抜きで私の人生(艦生?)が終わる。これはできるだけ隠しておかなくてはいかん。少なくとも配属先に行くまでは。

 

 

その後も記憶を漁ってみたり、色々試してみたりしたものの、艤装の問題が解決する事は無かった。そして、出撃以外で艤装展開なんてしないだろうから、バレる事なんて無いだろ、という思考に辿り着き、心に余裕が生まれた。開き直ったとも言う。

 

 

 

 

今は十日目の就寝時間になろうとしている。六日〜十日の間も特に変わり映えのない時間を過ごした。その間に、痛覚遮断のON/OFFが楽に出来るようになった。イメージとしてはドラゴ〇ールの初めて超ヤサイヤ人になる難易度と、超ヤサイヤ人に成れる事が当たり前になった時の難易度。

 

他にする事も無いから一つの事に集中出来てかなり捗った。明日からは部分的なON/OFFを試そうと思う。

 

 

しかし、あれだな。いくら暇潰しを楽しんでも景色が石の壁だけの殺風景のままだと気が滅入ってくるな。何かそんな気持ちを吹き飛ばしてくれるような事が起きないだろうか?

 

例えば、新しい住人が来るとか、ここから出られるようになるとか。ここから出られると言えば、私の処遇は結局の所、どうなったのだろうか?もう一週間を過ぎているぞ?もしかして、忘れられたとかじゃ無いよな?解体されるよりかはマシかもしれんが一生をここで過ごすのは流石に嫌だぞ。

 

まぁ、慌てても艤装も出せない艦娘に何か出来る訳では無いんだけどね。はぁ、本当に何で出ないのだろうか?これも精神が『私』になった弊害とかか?だとしたら、どんだけ鬼畜な二度目の人生(艦生?)だよ。生まれた瞬間、牢屋だぞ?驚く暇も無いよ

 

 

「<●><●>」

 

 

ん?あぁ、虚ちゃんごめんね。

お膝どうぞ

 

 

電気が消えて、完全に消灯時間になっていてもボーッとしていたら、虚ちゃんにスカートの裾をクイクイと引っ張られた。寝やすいように座り直して、ポンポンと膝を叩いて虚ちゃんを招く。

 

すると、すぐに虚ちゃんは頭を私の膝に乗せて横になった。そして、私がその頭を撫でる。一分も経たずに寝息が聞こえてくる。

 

 

私は思ったんだ。怖いのは知らないからだと。そして、大切なのは言葉によるコミュニケーションではなく、日々のちょっとした触れ合いなのだと。なので、あまり意味があるとは思えないけど、日々のちょっとしたスキンシップ?触れ合い?を増やしてみた。

 

具体的には、さっきしたみたいに膝をポンポンと叩いたり、昼間に偶に撫でたりとかそんな感じ。こうする事で、虚ちゃんに私が受け入れてくれてる、的な事が伝わると思う。

 

 

実際、寝る時に私が膝を出さなかったらスカートの裾をクイクイと引っ張るようになった。いい傾向だと思う。因みに、それを虚ちゃんが初めてやったのが一昨日だった。

 

虚ろな目でもかなりの破壊力を持つ上目遣いに突然の不意打ち、更に今までとのギャップで萌死にという感覚を初めて味わった。あれは卑怯だと思う。鼻血を出さず、すぐに正気に戻って対応した事を褒めて欲しい。この体から鼻血が自然に出るかは分からんがな

 

 

この出来事は滅入った心を復活させる程の事では無いのか?と思うかもしれんが、半分正解で半分不正解。これやるの夜の寝る前に一度、それも私が膝を差し出すのが遅れた時だけだからそれ以外は前と大して変わらないんだよ。私が求めたのは長時間影響する変化。

 

 

それでも、それ以来、距離が縮まったと言うか、お互いに心を少し開いたと言うか、とにかく仲良くなったと思う。傍から見たらいつもと変わらず、能面で会話が一つとして無いような二人だけど、私はだいぶ仲良くなってると思う。・・・悲しいのが、私は、としか言えない事だな。やっぱり喋れないのって不便だな。

 

 

とまぁ、こんな感じで今日も終わるなぁとか思って寝たんだよ。事件が起きたのはその後だった。

 

 

 

 

ん?始まるな。

 

 

「ニクイ・・・ニクイ・・・」

 

 

はいはい、落ち着きな。

 

なでなで

 

「ニクイ・・・ニク・・・イ・・・・・・すぅ・・・すぅ・・・」

 

 

最近出来るようになった私の新たな特技。虚ちゃんの悪夢が始まる予感をキャッチして、先に起きる。はっきり言おう、使い道がまるで無い。利点も無い。

 

色々と考えてはみたが本当に応用のしようが無い。下手すれば、他の人の悪夢か寝言の時には使えずに、虚ちゃん限定って可能性も大いにある。そうなれば、もっと出来る事が減る。まぁ、どうでもいいけどね。

 

 

思考を完結させると私は再び眠りについた。

 

 

 

 

その後も何度か先に起きてあやすを繰り返していた。しかし、ついに事件は起きた。

 

その時、私は普通に寝ていたが膝の重みが無くなるのと同時に胸に何かが触れる感覚を覚えた。私は眠りながら起きるという芸当をしてしまった脳に本当に人間辞めたんだ、と実感した。精神のターニングポイントが何ともしょうもない話ではあるがな。

 

 

さて、そんな事よりも今の現状について眠りながら考えていこう。まず、今も胸を何か(十中八九、手だと思う)が揉んでいる感触がゆっくりではあるが確かにある。だけど、それがゆっくりにしてはあまりにも遅すぎた。これに一つの仮説を立てた。今の私の状態だと思考速度がかなり上がっているのではないかと。実際に馬鹿みたいに正確になった脳内時計で時間を測りながら適当に考え事をしてみると、いつもの10分の1しか進んでいなかった。

 

以上の事から、仮説の思考速度向上は間違いでは無いと思う。検証はまたするとして、今は取り敢えずこの仮説が正しいという事にしよう。

 

次に、体が動かない。と言うか力が入らない。これ、あれだ。体が起きてないんだと思う。だから、きちんと目を冷ませばこの問題は解決すると思う。

 

で、次。膝の重さが消えた事だ。これは虚ちゃんが私の膝から退いた事を意味する。つまり、虚ちゃんが起きたか誰かが退けたかだ。足の感覚は残ってるから血が通ってないという選択肢は無い。牢屋の扉は寝る時も途中で起きた時も閉まったままだし、開閉する時は結構な金属の音がする。それに気付かない筈が無いから、後者は無い。なら、虚ちゃんが起きたという事になるのだが、それだと可笑しい事がある。

 

この10日間、虚ちゃんは毎晩同じ時間に寝て、毎朝同じ時間に起きていた。私のせいで寝る時間が少し前後する事もあったが、それでも起きる時間が脳内時計が完成してからは1秒もズレてない事が分かった。そして、今の私の脳内時計はその起きる時間を示してない。

 

あ、寝てる時も何故か脳内時計は動いてる。これには流石に少し引いた。便利だからそんな事はすぐ気にならなくなったけどね。

 

 

うーん、謎が深まるな。恐らく、私の付近に聞こえる聞き慣れた小さな呼吸音から、虚ちゃんが普通に起きたが正解だと思うんだけど、何の為に起きて、そして何故、私の胸を触ってるのかが分からない。

 

 

ふむ、もういいや。

目を開けよう。

 

 

思考速度が元に戻ったのを感じ、瞼を開いて視界に写ってきたのは

 

 

モミモミ フニフニ

 

 

私の胸を揉みながら自分の胸を揉んで首を傾げている虚ちゃんだった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・え?

 

 

そして、虚ちゃんは私が起きている事に気付くと手を止めて、私の膝に跨って、私の背中に両手を回し、私の晒の結び目を解いた

 

思った以上にキツく巻かれていた晒は一気に緩み、次第に床に落ちていった。故に(あらわ)になる今まで押さえ付けられていた私の中々に立派で形の整った乳房。その両方を虚ちゃんは何かを確認するかのように数回両手で揉むと、また両手を私の背中に回して腕で私の胸を寄せて枕にして寝た。

 

 

・・・・・・!!!?!??!?!!!??!?

 

 

待て待て待て待て待て!お願い待って!!何が起こったの!?何が起こってるの!?今どいう状況!?そしてこれは本当に現実!?とうとう私の気が狂い出して幻覚でも見てるのか!?てか、さっきから体が動かないんだけど!!?あまりにも急展開過ぎてそれなりに高性能な脳の処理が追い付かないよ!!!

 

 

はぁ、はぁ、はぁ、あー少し落ち着いた。

 

 

まだ驚き足りないけど、取り敢えず今は一つずつ解決していくか。

 

 

 

まず、これは現実だ。私が狂ったとか寝惚けてるとかそんな事はまず無いと、相も変わらず完全に覚醒している頭が否定している。ただ、現実を受け入れたくない自分も居る。いや、だって虚ちゃん容姿が子供と言っても中学生くらいだよ?甘えてくれるのは嬉しいけど、これはちょっと・・・ねぇ?だって、私完全に半裸だよ?上半身裸だよ?今まで晒があったからまだ良かったけどそれすら無くなったんだよ?さっきから、顔が熱くて仕方無いんだけど。

 

 

てか、未だに体に力が入らない。これ、あの寝ながら起きるヤツの代償か?う〜ん、今は放置しよう。

 

 

次に何故、虚ちゃんがこのような奇行に走ったのか。

私が起きてから見た光景から察するに、胸の方が枕として適してる事に気付いたからだと思う。疑問に思う事が有るとすれば、何故いきなりそのような事を思ったのか、虚ちゃんに私の羞恥心を気にするという考えは無いのか、とかだな。おい私の顔、いい加減赤くなるのを止めろ。上手く思考ができん。

 

 

お?体に力が入り出した。

時間は大体数分くらいか?

どちらにせよ、検証が必要だな。

 

 

 

さて、退かすか。虚ちゃんには悪いが流石にこれは恥ずかし過ぎるからな。

 

 

起きて

 

トントン

 

 

「スゥ・・・スゥ・・・」

 

 

肩を叩いてみたが起きる気配無し。

 

 

起きてぇ〜

 

 

ユサユサ

 

 

「スゥ・・・スゥ」

 

 

肩を持ち、揺らしてみたが、これまた起きる気配無し。

 

 

仕方無い、引き剥すか。

 

 

肩に両手を掴んだまま離そうとしたが動かなかった。ビックリするくらいの力で私に掴まっていた。背中に回している両手を解こうとしてもこちらも無理だった。

 

 

・・・・・・虚ちゃん、君、起きてるでしょ?寝てるとは思えないくらいの力なんですけど。

 

 

 

「・・・・・・ニクイ・・・ニクイ・・・」

 

 

このタイミングで魘されるの!?嘘でしょ!?後、出来れば私の胸に埋まりながら『ニクイ』を連呼しないでほしいな!なんか、私の胸が悪いみたいじゃないか。謎の罪悪感に悩まされるよ・・・。

 

落ち着かせる為に頭を撫でてやろうとすると胸が少し濡れている事に気付いた。

 

・・・・・・卑怯だなぁ、もう。これじゃ、受け入れるしかないじゃないか。はぁ、明日いや、今日の朝か。食事を運んで来る数分前までならそのまま寝てていいよ。

 

 

「スゥ・・・スゥ・・・」


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