私が完全に半裸の痴女と化した日の早朝。私は全力で虚ちゃんを起こしていた。
起きて!頼むから起きて!
後10分弱で食事が来ちゃうから!
「スゥ・・・スゥ・・・」
おい、嘘だろ!?ちょっと!本当に早く起きてよ!
奮闘すること5分後に漸く虚ちゃんは目を覚まし、私の上から退いて私と向かい合うように座った。
良かったぁ、本当に良かったぁ。
さて、晒を巻くか・・・晒、何処行った?
昨日、解いて自由落下し、そのまま放置していたので私の周囲にある筈の晒を探したが見当たらなかった。冷や汗が出そうになった時に、虚ちゃんが両手に私の晒を持っている事に気が付いた。
・・・・・・拾ってくれたのか?ありがとう。
所で何時まで持っているんだ?
「<●><●>」
え?両手を上げて、頭の後ろで組め?・・・こ、こう?
いきなり、ジェスチャーで動きを指示してきた虚ちゃんに驚きながらも言われた通りの動きをする。
もしかして、巻いてくれるのか?それは有難いんだができれば早くしてくれ。時間が無いのもそうだが、この体勢はかなり恥ずかしいんだ。あ〜もう!私の顔よ!いちいち熱くなるなと言っているだろ!
「<●><●>」
しかし、待てど暮らせど虚ちゃんは巻く気配が無い所か、私の胸をガン見している。
あ、あの、虚ちゃん?時間が、時間が本っ当に無いから早くしてくれない?
ガバッ!
そして、何を血迷ったのか、虚ちゃんは私の胸にまた抱き着いて、パフパフしだした。
時間が無いって言ってんだろうが。
ペシッ
反射的に心の中でツッコみ、頭を叩くと、虚ちゃんは顔を胸から離し、晒を巻き出した。いきなりボケ出した虚ちゃんに不安を抱くもそれは杞憂に終わり、もたつく事無く、かなり強い力で元通りに巻き直した。この締め心地、なんか安心する。
巻き終わり、虚ちゃんが私の横に座り直すと同時に食事が運ばれて来た。
もしかして、虚ちゃんも正確な脳内時計を持ってるのかな?欠陥品の私が数日で習得できたくらいだし、持ってても可笑しくはないか。海上でも必須スキルだと思うし。ん?とすると、味覚やら何やらも失ってたりするのか?だから、これ食べても平気なのか。
その後、かつて拷問のようなだった食事を2人とも難無く食べ終わり、食器が片付けられると、虚ちゃんが私の膝の上に乗って、私に身体を預けるように寄り掛かってきた。
いや、あの、うん。別に嫌では無いけどさ、幾ら何でも距離が縮まり過ぎじゃね?何かイベント的なのがあったのなら、まぁ、分からんでもないけどさ、そんなの無いじゃん?
夜のあれ?あれは私が痴女になっただけじゃん。ってか、あれが仲良くなるイベントとか認めたくないんだけど。仮に百歩譲って、あれが仲良くなるイベントだったとしよう。なら何で、膝枕をした時の昼間は特に何も起きなかったんだい?強いて言うなら、スカートをクイクイ引っ張る、ってのがあったけど、現状とあまりにも差が激し過ぎると思うんよ。
と、まぁ長々と垂れているものの、先述した通り 、別に嫌な訳では無いので、大人しく椅子に徹しますけどね。自動で頭を撫でてあげる機能付きの椅子だ。ほら、ここがええんか?ん?うりうり。
◇
同日の昼間
食事が運ばれて来る瞬間に隣に座り直した虚ちゃん。これで、脳内時計の説がかなり濃厚になった。
食べる時もちゃっかり私の上に座り、大人しく食べさせられる虚ちゃん。それにあっさりと順応する私。食べ終わり、食器が片付くとまた私の膝の上に乗り、寄り掛かって来た虚ちゃんを撫でながらふと、疑問に思った事がある。
それは私のスペックだ。艤装の、では無く、身体のスペックだ。その中でも身長、体重とあるが、気になったのはバストだ。脳内知識によると、瑞鶴型の平均はB〜Cで、個体差はあるらしいが、かなり大目に見ても、DよりのCと言った所が限界らしい。
ここで、昨夜の私の胸を思い出してみよう。明らかにEはいってたぞ。かなり大目に見て、Dと言い張れる事もなくはないかもしれんが、どう考えてもCではない。何が原因でこうなったのか、適当に考えてみるとやはりこの2つしか考えれなくて、他が思い浮かばなかった。
まずは、精神が『私』という事。『私』自体がかなりぶっ飛んだ存在なので、一層の事、胸までぶっ飛んだものにしようという事になったのか。
次に、大型建造による不具合。
まだ試作機っぽかったし、また何かと不具合が発生してしまったとか・・・仮に、仮にこれが正常だと仮定してみよう。大型建造・・・大型・・・元は小型・・・そして、晒を巻いた私のバストは見かけ上、B〜C。更に当時の男性陣の反応。まさか大型建造って、そう言う事?え?何?そんな下らない理由で発明された物から私は出てきたの?嘘でしょ?
いや、止めよう。所詮は憶測でしか無いからな。なんの根拠も無い事で批判的意見を持つのは良くない事だな。・・・私の身体的特徴は根拠に成り得るか?
いやいや、もしかしたら本当にただの不具合かもしれんしな。それに、ここは軍隊だ。そんな乱れに乱れた理由で貴重な資金を使うとも思えん。この世の中の男共がそんなどうしようもなく拗らせたヘタレの童貞みたいな野郎共で無い事を祈ろう。
◇
夜
この日は久しぶりに夢を見た。内容は前回と同じ。ただ、最後の人影の黒い影が少し薄くなってたような気がしたけど、気のせいか?
夢を見終わり、目を覚ますと時間は食事が来る10分前だった。現状を考えると、この何故か決めた時間に正確に起きる習慣?は本当に役に立つ。さて、虚ちゃん起きなさい。い〜や〜、じゃない。って、何拒否しとんのや。ビックリしたわ。
「<●><●>」
起きたね。さ、早く退いて
「・・・スゥ・・・スゥ」
いや、何、二度寝しとんねん。あれか?君は私を焦らせるのが好きなのか?お母さんそんなドSな娘に育てた覚えはありません!
冗談はこの辺にして、早く起きて。流石にこれ以上は不味いから。うん、いい娘いい娘。え?今日も巻きたい?あの恥ずかしい格好をまたしろと?・・・まぁ、いいですけど。ほい。って抱き着くな。絶対やると思ったわ。
◇
食事を無事食べ終わり、虚ちゃんが私の膝の上に乗って寄り掛かって来た。昨日でやってくる事は分かっていたので、少し壁から離れて、上半身が斜めになるように壁に背を預ける。
すると、虚ちゃんが座ってからこちらに顔を向けて特に何かする事も無く、また前に戻し、寄り掛かった。多分、お礼的な何かを言いたかったんだと思う。あってるか分からんがそれなりに何を考えてるのか分かり始めたと思う。
これも、激し過ぎる触れ合いの成果だろうか。全くもって不本意である。
◇
次の日の早朝
この日の夜は特に夢を見る事は無かったが、夜中に一度も起きる事が無かった。それはつまり、虚ちゃんが夜泣k・・・魘される事が無かったと言う事。
もしかして、克服したのか?という期待を込めて下を見てみると
「んぅ・・・んぅ・・・」
私の片方の綺麗なピンク色の胸の頂き、俗に言う乳首を咥えてこれまでの比では無い程に安心したようにぐっすりと眠っていた。
[悲報]私、瑞鶴擬きは生後2週間足らずで母役で幼児プレイをする。
私はもう、ただただ現実を受け止め、考えない事にして、いつも通りの起こしてボケにツッコンで晒を巻いてもらう朝を迎えた。
◇
何もする事がなく、虚ちゃんを撫で撫でしながらボケーッとしていると、朝の事を思い出した。
そう、今朝の幼児プレイだ。
私が寝る前は普通に抱き着いて寝ていた。これは間違い無い。とすると、私が寝ていた夜中の間にあの体勢になったという事だ。おかしいな、身じろぎ一つで起きる事の出来る私が人間の敏感な部分を刺激されて起きない筈が無い。
うん?敏感?あれ?咥えられてるのに何も感じなかったような・・・。もしかして、不感症ってやつか?HAHAHA、はぁ。また、欠陥が見付かったかもしれん。今回のは艦娘としては支障が無いからまだマシだけど。
で、話を戻すと、幾ら不感症だからといって、触れられたりするとその感触はある訳だ。不感症は性的興奮を感じ難いか、全く感じ無いという症状の筈だしな。私がやってる触覚遮断は寝ている間は何かあったらいけないから何時も切っている。切ってるって事はつまり、感覚があるって事な?
以上の事を踏まえて、疑問に思った事がある。限界を超えるとこの体はどんな反応をするのか?だ。意識的に動かさなければ瞬きすらしないこの体。しかし、それだとおかしな点がある。心臓などの内側の動きについてだ。
私はそんなものは全くと言っていい程に動かそうなんて思っていない。寧ろ、止めてみようなんて思った時もある。だが、心臓の鼓動は止まることは無かった。
今思えば何をトチ狂った事をしたのだろうかと過去の自分を小一時間説教したいが、やってしまったものは仕方ない。多分、病んでたりしてたんだろ。
んで恐らく、生命維持に最低限必要な事は自動で行われているのかもしれん。今回のはその機能が原因で、これまでの睡眠不足が重なり、動いている事に気付かない程、かなり深い眠りに着いたのだと思う。
例えるなら、オートモードが無いラジコンカーみたいな感じかな?脳がコントローラーで、指示するまで動かない。しかし、充電が無くなれば動かなくなる。その充電を溜める方法は睡眠という事か。
・・・。
紙装甲、紙威力、紙コミュ力、硬フェイス、睡眠に食事が必要。
・・・これってさ。
軍艦時代の方がまだ・・・マシじゃね?
少なくとも、コミュ力と顔と睡眠に食事は気にしなくてもいいんだからさ。
いや、決め付けるのはよくないか。態々蘇ってまでこの姿になったんだから、それなりに理由はある筈と考えるべきか。私が憑依した理由は・・・・・・偶然だろうけど。
◇
更に一週間が過ぎた。特にこれと言った変化は無く、今日も朝食をして虚ちゃんの髪を弄ったりして遊んでると誰かが入って来た。
時間を確認してみるが、まだ食事の時間では無い。どうしたのだろうと、素早く髪を元に戻してそちらに視線を向けるとなんか凄くイライラしてる憲兵さんが居た。
「翔鶴型二番艦瑞鶴、お前の処遇が決定した。出ろ」
と言って牢屋の鍵を開けた。
処遇・・・処遇?なんの?私の?・・・・・・・・・あ、そういやそうだった。私って、処遇待ちだったんだ。一ヶ月くらい過ぎたから素で忘れてた。
牢が開けられ、立ち上がってそちらへ歩こうとすると、スカートが強い力で引っ張られた。私は反射的に身体を動かす事が出来ない。だから、突然止まったりは出来ずにそのまま歩いた結果、スカートがずり落ちた。
凍る空気。露わになる紐パン。スカートを握ったまま固まる虚ちゃん。状況が理解出来ない私。一層顔を顰めた憲兵さん。
私はいち早く我に返り、ずり落ちた後も数歩歩いた為に完全に脚から抜けて虚ちゃんが握り締めているスカートに手を伸ばすが、その手は空を切った。
スカートの行方を探すと虚ちゃんが胸で抱き締めてた。
ちょ、待って待って!虚ちゃん、返して!お願いだから返して!不味いって!これは流石に洒落になってないってば!ねぇ、分かってる?私今、男の憲兵さんの前で上は晒だけ、下はパンツ一丁、おまけに靴を履いてんだよ!?変態だよ!紛れも無い変態だよ!下着に靴って・・・なんて度し難い変態なんだ!!?
「おい、早くしろ」
ひえっ! なんか憲兵さんの声が底冷えしてるぅ!虚ちゃぁん!お願いだから返してぇぇぇ!!
一方、そんなカオスな状況を見て、即座に目を逸らした紳士な憲兵さん。
(ちっ、折角、訓練終わりのシャワーで仲間の筋肉を堪能出来るまたと無いチャンスだったってのによ。なんで女体なんぞを見せ付けられなきゃなんねぇんだよ。さっさとしろよ。裸の付き合いという名のパラダイスが全部おじゃんだ)
何を隠そう。この憲兵さん、変態紳士(ホモ)である。心情的には女風呂を命懸けで覗いて、入ってるのがオバサンばかりだった中学生のようなもの。本人的には地獄絵図から目を逸らしてるだけである。
その後、数分の格闘の上で漸く回収完了。いそいそとスカートを履き終わると同時に虚ちゃんが私の胸の包帯を緩めながら抱き着いて来た。そして、憲兵さんが更に顔を顰めた。
いや、あの、虚ちゃん?行って欲しくない事は十二分に理解出来たよ。出来たけどさ、駄目なものは駄目なんだよ。だから離して?ね?ん、いい子いい子。
頭を撫でていると次第に離れて行く虚ちゃん。
そう言えば、なんで虚ちゃんは牢に入ってたんだろ?ま、いっか。そんじゃ、縁が有ったらまた会おう。じゃあね。
完全に離して、その場に突っ立ってる虚ちゃんを他所に牢から包帯を巻き直しながら出て行く。憲兵さんが舌打ちをしながら、鍵を閉めた。そして、営倉から出て廊下を歩いて行くと憲兵さんが小言を漏らして来た。
「ちっ、汚らわしいもの見せてんじゃねぇよ。よりにもよってなんでそんな痴女みたいな格好してんだよ」
け、汚らわしい・・・。私の身体ってそれなりにスタイルいいと思ってたけど、そんな事は無かったのか。 すみません。悪気は無かったんです。お目汚しして本当にすみません。
ん?痴女?
・・・・・・・・・あ、上着返してもらうの忘れた。
◇
車に乗せられ、揺られること数時間。その間、憲兵さんはずっと不機嫌で、理由がさっきの私だろうから凄く申し訳ないし、思った以上に精神的にダメージを負った。
やっと着いた先は波打ち際の大きな敷地に建物。港か?と思ったがどうやら鎮守府らしい。
憲兵さんの案内はここまでらしい。
「精々、ボロ雑巾のように働いてろ」
という捨て台詞を吐いて去って行った。
勿論ですとも。欠陥品なんでそのくらいになるまで仕事をせねばならぬのは当然の事。でも、改めて言ってくれるなんて、あの人は愚痴しか聞いてないが根はいい人なのかもしれない。
意志を固めた所で早速、門付近にある地図を見て執務室へ向かう。所々で恐らく艦娘と呼ばれる人達を見掛けて、偶に目が合う時があるが、その時はヒッ!って感じに怯えられる。
涙が出ないこの身体に感謝感謝。
執務室の扉の前に到着し、ノックをすると中から声が掛かったので入室した。
中には中年の男性と少女が書類仕事をしていた。
「お、おお、よく来たね」
無言で敬礼する私にすっごい引き攣った笑みを浮かべる提督。
先が思いやられて来た。