暇な時間の合間を縫って漸く書き終わりました。
後書きに現状で起こってる勘違いを長いですが書いておきます。
部屋へ戻って来ていつものように虹彩を調節してから、いざ書類仕事をしようとする時に思い出した。
あ、右手ぐにゃぐにゃじゃん。
飽く迄も形を元に戻しただけであって、治った訳では無い。意識しない限り動かないと言っても、そう言った物理法則とか人体の構造を無視するような動きは出来ない。ペンを持つ事は出来なくもないが、やったとしても右手に集中し過ぎて、左手だけよりも寧ろ時間が掛かる。
たった
固定具とかを作って補助させるって案も考えたけど、流石にそこまで細かい物は作れないし、作り方が分からない。
結論、左手だけで頑張る。
・・・まぁ、やりますけどね。
◇
順調・・・と言えば、順調かな?片手だけな分、二分割していた脳の処理をどちらとも使えるから脳内での処理速度は格段にアップしてる。
手を動かす速度も上がってると言えば上がってるけど、脳の上昇値に比べれば微々たるもの。つまり、身体がまるで追い付けていないのである。
始めてそろそろ朝になるけど、まだ十箱しか出来てない。片手だけなら十分かもしれないけど、両手の時には十五箱近く出来てた。
このペースで行けば、一日で出来るのは二十箱。一週間程、右手がこうなる前に一日三十箱を済ませていたから一ヶ月でこのダンボールの壁を処理するのは不可能ではないけど、かなりシビアだ。
悪いのは加賀さんでない事は分かってるけど愚痴くらい言わせて下さい。
うー、加賀さんのバカぁ
◇
そんな切羽っ詰まった状況下の昼の三時頃に呼び出された。恐らく出撃だろう。移動時間を歩くなんてのは勿体無いので、隠密行動はそこそこに人の力のみで全速力で執務室へ直行。
息が上がらないので息を整える必要も無くノック。用件はやはり出撃だったが、こんな時に限ってと言うべきか、いつもより交戦回数が多い。
執務室を出て港まで同じく全力疾走し、海岸で飛んで空中で艤装を展開してそのまま出撃。全速力で渡航して、そろそろ戦闘地域に入る頃になって気が付いた。
あ、弓引けない。
大問題である。
即座に急ブレーキを掛けて停止。試しに引いてみると、「かけ」という手袋のようなものを付けているのでそれが補助となってなんとか引けた。だが、違和感がありまくりで、なんとも心許無い。
きちんとした握りだと、なんとかいつも通りに引けるが少しずれるだけで引っ張ってる弦が外れる。これ、確実に戦闘中に引っ張り切る前に弦が外れそう。ここ最近は艦載機やらを操作する練度も上がって来たからあんまり撃墜されず、戦闘中に弾の軌道を変えたりしてるから弓を持つ事自体が少なくなってきたが、それでも不安はある。
取り敢えず偵察機を三機ほど出して、周囲の索敵を行うと割と近くに黒い影が複数あった。偵察機を戻して、周囲の状況把握用の偵察機を一機と運がいい事に空母は居なさそうなので爆撃機を五機で戦闘を開始。
◇
・・・ヤバい。
先の戦闘は無事に無傷で終えれた。あまり弓を引きたくないから、落とされないように慎重にした結果思いの外、時間が掛かってしまった。しかもその後の戦闘も何機か落とされて新しいのが中々出せなくて結構危なかったけど、最終的に小破までに留めて勝利出来た。
そして、後二回程戦闘が残ってる訳なんだけど、ほぼ詰んだかもしれない。
何故なら、水平線に半球の太陽があるから。
つまり、夜になる。
・・・ヤバいヤバいヤバい。これ、今すぐに戻った方がいいよね?だって、このまま進んで接敵しても私空母だから攻撃出来ないよ?周囲に偵察機を飛ばして見た感じ、未だに敵が居ない今しか戻るチャンスは無さそう。
でも、ここで戻るとここまで来た燃料が勿体無いしな。
それにすぐに見つければギリギリ後一回は出来そうな気がする。
・・・・・・あと一回だけなら大丈夫だよね。
◇
はい、無理でした。太陽が沈み切るまでに見付からず、偵察機を戻そうと思った瞬間に見付けました。そして、こちらの存在がバレました。
あはは、完全にやっちまいましたよ。
・・・本当にどうしよう。
空母が居ないようだから制空権争いをする心配は無いけど、そろそろ夜になる今だとあまり関係無い。それにこちらに空母が居ると判明した時点で格好の獲物だと思われて逃がしてもらえそうにもない。速度的にも逃げ切れる自信が無い。
幸い、まだ日は沈み切ってない。残り時間は本当にギリギリではあるけど、このまま何もせずに夜になるのを待つよりもさっさと攻撃した方がまだ勝算はある。
正直、不安しかないけど、ここで殺らなきゃ私が無抵抗のまま殺られる。そんな殺られ方は出来ればしたくない。しかも、それが自分のミスから来るものなら尚更。
偵察機を戻したと同時に砲撃された。周囲に立ち上る水柱。距離がある分、命中率はかなり悪いようだが、それも時間の問題。
取りにくくはあるものの何とか矢をつがえて、爆撃機五機と偵察機二機を新しく出撃させる。
まだギリギリ見えるが、影のお陰で微妙にズレる。命中はしたが、あんまり効いてないみたい。あ、一機落とされた。
そんなこんなで敵の半分を撃破した頃に世界が闇に染った。七面鳥、という言葉が頭を過った。こちらは敵が見えずに回避がままならないが、敵も見えにくい筈。だが、次々と当てて、最終的には偵察機まで落とされた。
こちらへ砲弾が飛んでくる。弾道予測はまともに出来ないが、今までの経験でなんとか軌道はずらせた。だが左手がボロボロになった。皮はずる剥けるわ、爪は剥げるわで見た目は左手の方がヤバいが、中身は右手程では無い。表面の傷など怪我のうちにも入らない。
幸い、次弾装填に入ったのか、砲撃が一時的に止んだ。
取り敢えず、剥がれかかってる爪を邪魔なので全部剥がす・・・うむ、鬱陶しくなくなった。
さて、どうしたものか。考えてる時間はそこまで無い。
逃げるのは無理に等しい。迎撃するにしても副砲なんか付いてないし、あるのは艦載機のみ。ステゴロ・・・この手だと無理か。近付ける気もしない。
それに何故だろうか。常日頃から真っ暗闇に居たというのに、不安で心が押し潰され・・・そう・・・だ・・・・・・。
・・・、・・・・・・。
・・・ん?あれ?ちょっと待って。
空母が夜戦出来ない理由って、要は敵を捕捉し難かったり、着陸が難しかったりとそんな理由だったよね?・・・うん、記憶にもそうある。
・・・・・・・・・私、関係無くない?
虹彩をちょちょいと弄れば、ほらこの通り。昼間・・・とまではいかないけど、敵を捕捉して攻撃したり躱したりするのには問題ないレベルで辺りが見え易くなった。
・・・さぁ、夜はこれからだ。
Let's Party!!
◇
いや、まぁ、見えたからと言って、戦闘が可能になるだけで右手が治る訳でもないんでかなり苦戦しましたけどね。それでも倒せました!
ズイ (((ง˘ω˘)ว))ズイ
途中で戦闘機や偵察機の燃料が切れて、回収しようにも夜だから遣り難い。しかも、失敗すれば洒落にならないダメージを受ける事になるし、他の戦闘機の操縦も一時的にだが出来なくなる。
そこで考えたのが敵へと特攻させて自爆させる作戦。夜だから、やはり昼よりかは撃ち落とされ難い。しかも、直撃すればほぼ確実に大破以上になる。
残りの艦載機は一度に出せる量が少ないからまだまだ余ってる。一機で確実に敵を一隻は撃破出来るんなら、弾薬や燃料の消費も減る。
デメリットと言えば、その爆発の瞬間までずっと視界をリンクしてるからそこだけ凄い事になる程度。これは慣れればいいだけの話。
さて、このまま最後の戦闘区域へと向かいますか!
(流石に気分が高揚してます)
◇
終わったよ。
やっと倒せた。
ふ、ふふっ、駆逐艦怖い。
夜だとここまで厄介だなんて思わなかった。そう言えば、さっきの戦闘は夜になる前に出来るだけ数を減らそうと駆逐艦だけ撃破してたんだった。
ヤバいよ。デストロイヤーなんて随分と大袈裟だと思ったけどそんな事は無かったわ。記憶でも見てたっちゃ見てたけど、こうして体感してみると改めて思う。
駆逐艦ヤバい(語彙力)
てか、なんで自爆特攻をすいすい避けるん?機体が消えた分、寧ろ消費が激しくなったんだけど。まぁ、二隻しかいなかったから何とかなったけどね。海面に違和感を持って聴覚を強化して魚雷に気付かなかったら、マジで沈んでたのは否定しない。
テンションが馬鹿みたいに上がってたのは、そうしないと何故か心が不安で押し潰されそうだったから。これは周囲がきちんと見えても変わらない。夜の海そのものに恐怖を感じているようだった。正直、出来る事なら夜の海は二度と御免だ。
それに夜の戦闘に慣れてないからか、被弾率が跳ね上がってる気がする。お陰で大破になって入渠出来るのはラッキー・・・とでも言えばいいのだろうか。
うー、駆逐艦の子達に申し訳無くなってしまう。本来なら夜になる前には終わってた筈なのに、下手に警戒して被弾が増えるとか、阿呆なんじゃなかろうか。
・・・・・・今、ふと加賀さんは私が夜戦できる事を知ってたから右手を砕いたのかと思ったけど、そこの所はどうなんだろ?加賀さんも同じ空母で発艦の仕方も確か同じだから、片手が使い物にならなくなると戦闘に支障が出る事も大破しないと治す事も出来ない事は知ってるだろうし、同じな筈。
それを承知の上でやったのだったら、そうとしか考えれない。だって、加賀さんにも駆逐艦の子達にもメリットが無いんだから。加賀さんは恐らくだけど他の子を本当に大切に思ってる。それは言動を見てれば分かる。
言動を・・・見てれば。
・・・・・・まぁ、私は欠陥機だしね。その思いの片隅にほんの一欠片だけでもいいから私も居れば、なんて・・・高望みが過ぎるよね。
◇
まだ真夜中と大差ない明るさだが、そろそろ日が昇ってくるだろう時間帯に鎮守府に戻って来た。
帰投中に最近出来るようになった自力での止血をして、ダラーんとしてた片目を海へと放り捨てて肉が崩れ落ちそうな場所を払い落としたり、ボロボロの晒で何とか巻いて準備万端。陸地に着いたと同時に無駄にデカい胸を抱えて全力で執務室へと向かう。片方が抉れていたから楽でいいわ。
あ、提督、戻りました・・・って、そんな慌ててどうしたんですか?
扉を開けば、この時間帯は起きていない筈の提督が執務室でソワソワしていた。そして、入って来たのが私だと気付くと何やら珍しく安否確認をするとホッとあからさまに息を一つ吐いた。
「無事、戻ったのならいい。さっさと・・・うえっ、いつもいつも気色悪い姿で戻って来やがって!さっさと入渠して来い!」
うぃーす。
いつもより少し酷いやり取りを終えて、専用の入渠場へゴー。そんな時、いろいろ有り過ぎて(主に書類)周囲への注意が散漫となり、横から歩いて来る子に気付くのが遅れた。
慌ててブレーキを掛けたがもう遅い。
曲がってこちらへ来る小学生くらいの袴を着た少女にその姿をバッチリ見られた。
「へ・・・?あ、ぁあ、いやぁあぁあああああああああああぁぁぁ!!?!?」
過去最大の叫び声。流石にこの大きさだと周囲がなんだと寄って来る。だから、慌てて黙らせようと近付けば、
「ひぃぁああああ・・・ぁ・・・ッ」
肺にある空気を全て吐き出すかのような金切り声と共に白目を剥いて失神した。
・・・ど、どうしよ、これ。
医務室という存在を思い出して、取り敢えずそこへ送ろうとしたが、周囲が静かな事もあり、聴覚を強化しなくとも近付いてくる足音に気が付いた。
あ・・・あぁ、えっと、どうしよ。このまま居たら来た子も怯えちゃうし、えっと・・・撤退!
私が出した答えはその場を全て丸投げして逃げる、だった。
◇
「早く医務室に運んで!」
瑞鶴と接触して気絶した艦娘、瑞鳳が発見されたのは彼女が気を失ってからすぐの事だった。
偶々、報告に行こうとした駆逐艦が悲鳴を聞き付けそちらへ急行。泡を噴いて倒れている瑞鳳を発見し、応援を呼んだ。あまりにも大きな悲鳴な為、寝ていた艦娘の殆どもやって来ており、作業は迅速に行われた。因みに提督は初めての徹夜明けの為、自室でぐっすりだ。
運ばれて行く瑞鳳を眺める艦娘達はそれぞれ、心配や不安、恐怖などといった感情が心中で渦巻いていた。なにせ、安全だと思っていた鎮守府内での事件。
ただでさえ疲労しているのに、これでは解決するまで警戒して満足に休息を取る事も出来なくなる。
瑞鳳が運ばれ、手持ち無沙汰になったその他はここに居ても仕方ないのでそれぞれが持ち場へと戻って行った。そんな中、憤怒を押し殺したような表情で開いた窓を見る加賀におずおずと話し掛ける駆逐艦が居た。最初に瑞鳳を発見した子だ。
「あ、あの、加賀さん」
「ん?何かしら、初月」
「瑞鳳の悲鳴を聞いて、駆け寄った時に・・・見たんだ」
「見た?一体何を?」
「長い三つ編みをした子が何処かに急いで駆けて行くのを・・・」
「・・・そう。なら、その長い三つ編みの子がこの窓から飛び降りでもしたのね?」
それを小耳に挟んで立ち止まる艦娘が居た。それを気にせずに話を聞く加賀とそもそも気付いてすらいない初月。
「え、あ・・・うん、その通り・・・でも、見えたのは三つ編みと後ろ姿がちらっとだけだから、まだ」
「いえ、もう殆ど確定したも同然でしょうね。提督自身がこんな事を出来るとは思わない。何の為にアレにこんな事をさせたのかは・・・まぁ、恐らくいつものサディズムが抑え切れなくなったのか、何らかの指示があったのか、そこはいいわ。どれだけ言い繕ってもこちらへ実質的に手を上げた事に変わりは無いんだもの。陸で起こった事だから、最低でも調査は入るでしょうね。あのクズを消すいい材料になるわ」
加賀の見解を聞き、どこか不安そうな表情をする初月。
「・・・やっぱり、瑞鶴はあちら側・・・なんだろうか」
「まだそんな寝言を言ってるの?アレと他の瑞鶴を一緒にしないこと。信じるのは勝手だけど、信用はしないようにね。寝首を搔かれるのは貴女よ。翔鶴、貴女は別に気負う必要は無いわ。アレは貴女の妹なんかじゃない」
「ッ!?」
いきなり話を振られて肩を跳ねさせる翔鶴。居た事に今更気が付いた初月。翔鶴は瑞鶴との執務室での初邂逅以降、顔を合わせていない。
正確には翔鶴自身が抱いていた瑞鶴のイメージとの格差故に勝手に怯えて差し伸ばされた手を弾いたと言う後ろめたさから翔鶴が避けている。無論、周囲も艦として姉である翔鶴が誰よりも瑞鶴を必要以上に避けているのは分かってはいるが、その原因が翔鶴自身にあるとは誰も知らない。
しかも、避けているのに瑞鶴の事を気にしている様子を度々見掛ける。それは単に純粋な善意(推測)を振り払うという失礼な行いをどうやって謝ろうかなどと考えているだけだが、周囲からは姉として責任を感じているとしか思われていない。
妹の瑞鶴と触れ合いたいという欲求があるが、姉としてどう接すればいいか、そもそもあれは本当に瑞鶴なのかなどとも考え出す為、その頻度は増してあながち間違いでも無いが、余計な勘違いが加速するのは止まらない。
因みにその勘違いを翔鶴は気付いていない。周囲を気にする精神的な余裕が今の翔鶴にはあまりないのも起因している。
「でも、私は・・・」
「翔鶴も初月も見たでしょ。アレの何処が瑞鶴だと言うの?あのクズに従順に従い、命令とあらばこうして同じ艦娘にすら手を掛ける。艦として指揮官の命令に従うのは正しいのでしょうけど、それが国の為になるのかしら?翔鶴、貴女は特別なのだからしっかりしなければ、駆逐艦の子達も不安になる」
「・・・はい」
「・・・私は先に戻っておくわ。初月、別にアレに対してどう思おうと勝手だけど、心は許さないようにね」
「・・・うん」
その場で俯く二人を置いて出撃の準備へ向かう加賀。目的の場所には既に出撃準備を終えた加賀を除いた艦隊が居た。皆に謝罪を入れた後に、一人瞑想中の艦娘に加賀は声を掛けた。
「ごめんなさい、赤城さん。すぐに準備するわ」
「はい」
加賀に赤城と呼ばれた少女は、パチリと目を開けて加賀の方へ向くと無表情に無機質な声でそう一言だけ返して再び瞑想を開始した。それを苦虫を噛み潰したよう表情で見た後に艤装を展開する加賀。
加賀がここまで提督に殺意を抱く一因として、この赤城が挙げられる。元々、赤城という艦娘自体が戦闘狂や殺戮兵器のような部分がある。そして、この赤城はそれが顕著だ。だが、着任当時は寧ろ真逆のような戦場に出るべきでは無いとすら思う程に心優しい少女だった。
この鎮守府へ着任したのは加賀が先であり、後から赤城が来た。加賀は赤城と嘗て同じ一航戦だった事もあり、出撃だろうとよく行動を共にする。
初めは深海棲艦を殺す事にすら忌避する臆病な性格だったし、それでも味方を傷付かせたくないからと感情を押し殺して必死に敵を屠った。加賀はそんな赤城を見ていられず、提督へその事を進言し艦隊から外すようにお願いした。
提督が事務仕事が苦手だと知っており、せめて事務仕事をさせてはどうか、と。この時の加賀はまだ提督という男がどういう人物なのか把握し切れていなかった。いや、信じたくなかったとも言える。
加賀の進言を聞いた提督はその話を聞いてからは、寧ろ嬉々として赤城を多用しだした。そして、加賀自身も一緒に出撃させられた。
下手に口を出して赤城さんと別れさせられる方がマズいと考えた加賀は不満を抱きつつもそれに従った。その結果、赤城の徐々に変化していく様をまざまざと見せ付けられた。
日に日に消えていく口数。
日に日に消えていく表情。
日に日に消えていく笑顔。
日に日に消えていく感情。
日に日に消えていく人間性。
気付いた時には日々の生活すらも戦場の為に捧げる機械と化していた。こちらの指示には最低限従うものの、口を開くのは食事か、加賀に話し掛けられた時くらい。たとえ、圧倒的に不利でも敵を見付ければ自身の被害など考えずに戦闘を続行出来る限り戦い続ける。
酷い時で肉が抉れて骨が見えた事もあった。もう腕が上がらないであろう傷で弓を何度も引いていた。赤城が完全に壊れたと理解するのに、そう時間は掛からなかった。
(許さない、絶対に)
赤城が元からこうであればここまでは思わなかったのかもしれない。壊れたのが赤城でなければここまで復讐心に囚われなかったのかもしれない。
だが、そんな事は関係無い。あの心優しかった赤城を壊した。その事実だけで万死に値する。
自ら僅かに出た禍々しいオーラに気付かず、加賀達は出撃した。
かなり長めです。
時系列順?での勘違いとその他諸々を書きます。
まず、瑞鶴だけ個室をもらってること。
他の皆は大部屋みたいな場所での生活。
真っ暗な地下の牢屋とは知らない
次、姉である翔鶴を泣かせた。
翔鶴は新参ではあるものの、瑞鶴と違って普通に笑顔とか出来るし、空母故に夜が暇なので駆逐艦や周囲のお世話も誰よりもしてるので結構慕われてるし、恩義を感じてる子もチラホラ。根っからの善人。
そして、普通の翔鶴よりも強い(性能的な意味で)ので、最近は戦闘面でも頼りにされてる。
そんな人が瑞鶴に必要以上に避けてる。
結果、周囲は瑞鶴に悪印象を抱く。
因みに、避けてる理由の一つ本文にも書いたように翔鶴が瑞鶴の手を弾いた事が挙げられ、顔を合わせにくいなどの理由がある。
それを一人で抱え込んで、周囲に大丈夫、と無理してる感丸出しの笑顔で対応してるので瑞鶴に対しての負の勘違いが加速。
次、初の入渠後に出会ったとある艦娘(誰かは決めてない)。
この時の瑞鶴の髪は完全に風呂上がり風に濡れていて、瑞鶴は無傷。
その後も出撃してる所は何度も見たが、怪我をしてる所を見た事が無い艦娘(見るに堪えないから瑞鶴自身が隠してる)。
他の子はギリギリまで入渠する事を許されないが、瑞鶴はいつも入渠してる。
瑞鶴用の入渠場が新設された事も噂で耳にした。
結果、瑞鶴だけ優遇されてる。
なんで?
瑞鶴がほぼ裸の状態で執務室を出たり入ったりしてるのを見た。
誰かが邪推して身体を売ってる?という結論をポロッと口にする。
それが広まる。
瑞鶴さんは提督の狗であるとここで気付く。
因みに入渠場が新設された以外は全て勘違い。
入渠場が新設されたというよりも、古いのを設置しただけ。
性能は昔の酷い入渠場の回復速度を上げて、痛みを数十倍に引き上げたという徹底ぶり。
なお、瑞鶴にはメリットしかない模様。
次、食堂にて。
上記の事から、特徴的な容姿な為にすぐに誰か分かり、困惑やら憎悪などの感情を抱いた。
食堂のお姉さんとは間宮さんのこと。
瑞鶴だけ美味しい料理や十分な補給をしてる噂を聞き、事情を聞くとそれを真に受けた。
横領、賄賂などで数少ない資源をお前に食わせるか、という事で鬼のような形相になっていた。
この時、タイミング良く放送が流れ悠々と去って行く瑞鶴に対して、何故来たのかという理由が嘲笑ったり冷やかしに来たと思った。
案の定、勘違いである。
次、上記と本文より加賀さんが手を握り潰したのは、貴女ならこんな傷などすぐに入渠で済ませれるでしょ?という皮肉のようなもの。
そして、瑞鶴を治すのに使われてる資源は横領の一部なので、それも把握済み。
どうやって把握したとかはよく考えてないです。
なので、今回の瑞鶴のさす加賀は勘違い。
優秀な加賀さんでも無能の提督が夜に空母一隻で出撃させるなんて流石に思わない。
次は気絶した瑞鳳。
片目が無い、身体の至る所の肉が抉れてる、ボロボロの包帯を割と適当に巻いている、それが脚を動かさずに真顔でこちらへ向かってくる(ブレーキしたから)、廊下は本文の距離でギリギリ瑞鶴の姿が見えるくらいには暗い。
これで驚くなと言う方が無理。
その後の瑞鶴は加賀さんの推測通りに窓から飛び降りて、艦娘の力を艤装無しで発動して逃亡。
初月は瑞鶴がどんな姿かを髪が見事に隠して見えない。
ここでボロボロな姿を目に出来ていれば瑞鶴は救われてた。(本人の意思は無視する)
赤城さんについては本文に記載した通り。
感情を押し殺してたら、気付けばそれが当たり前になっていた。
ミイラ取りがミイラになる的な感じ(若干違う気がする)
感情が無いので、本人は特に何とも思わない。
傷付いても無反応なのは痛みが無い訳ではなく、慣れたから。
五感は普通に作動してる。
因みに、赤城さんの傷は瑞鶴にとっては当たり前のもの。
この事に気付くのは・・・いつになるのだろうか。
あ、臭いに関しては入渠したら大丈夫。
話せない事と顔については、そもそもあまり長く相対してないので気付かない。
加賀さんは話さない部分は本編の通りもありますが、顔については怒りのあまり冷静な判断がしにくいなどのガバ設定です。
抜けがあったら追加しますし、各話の後書きにも後々追加します。
それでは次回も気長にお待ちください!
2019/03/15
タグ追加しました