才能の渇望者   作:祀綺

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砂漠の暴神

ロキがグレイを嵌めようとし、逆に嵌められた日から3日後の早朝。

 

「うぐっ!」

 

「ほら、まだまだ視野が狭い。常に相手から目を離さないのは良いけど、相手ばかりで周りが見えていないよ」

 

朝、日の出頃ロキ・ファミリアの本拠地(ホーム)にある訓練所で武器を使用した打ち合いを行っている影が2つ。

1人は迷宮都市の大手二大派閥の1つ、ロキ・ファミリアの主神を含めた曲者達を束ねる存在、ロキ・ファミリア団長『フィン・ディムナ』。

 

「さぁ立てグレイ、君の覚悟はこんな物かい?」

 

そして片や、最近冒険者になったばかりの新人でありながら、高い目標を掲げ無理な迷宮探索(ダンジョンアタック)を続けた『異常な人間(グレイ・ズィーニス)』。

 

「分かっている……もう1回!」

 

お互いが、自身の武器である木刀と木槍を構える。フィンは左足を前にし腰を僅かに下げ木槍を下段(げだん)に、グレイは左を前にやや前屈み(まえかがみ)の半身になり木刀を自身の横に水平に構え剣先をフィンに向け中段(ちゅうだん)に。

 

「………………ふっ!」

 

「…………踏み込みが足りないし、速さが足りないよ」

 

先に動いたのは、新人であるグレイ・ズィーニスであった。

半身の姿勢故の、右足で地面を強く蹴る様に前に出る事による推進力を持って突きを放つグレイ。それを冷静にフィンは、木槍の穂先を上げる事で木刀を滑らす様に去なし上げ、左右に穂先を動かす事でグレイの踏み込まれた右足を横から強く叩き距離を取る。

 

「がっ?!ぅあ……せぃ!」

 

「武器に振られるな、1つに視界を狭めるな、視野全てを俯瞰する様にするんだ」

 

グレイは痛みに僅かに怯むも、直ぐにフィンを追いかけ横に一閃するも勢い余り、武器を振った方に体を持ってかれた。直ぐに体勢を直し連続で切り込むが、全てフィンが木槍を巧みに使い攻撃を受け流し、空いた脇腹に柄の後ろ部分を当ててくる。

 

「うっ!はぁ……はぁ……ゔぅ」

 

当たり所が良かったのか、グレイは脇腹を抑えて膝を着いてしまった。しかし、目線だけはフィンから外されていなかった。

 

「ふぅ……今日はここまでにしよう。君は技や駆け引きを覚えるといい、当然視野を広く持つ事やフェイントも大事だ。汗の始末をしっかりする様に、朝食の時間に遅れないようにね。朝食後は休憩を挟みガレスとの組手、休憩して昼食、その後リヴェリアとの勉強会だから頑張るんだ」

 

そう言って、フィンは壁際の槍掛けに槍を置き訓練所から出て行った。

グレイは石で出来た地面に寝転がり空を見上げた。吐く息はまだ白く、見上げた空からは僅かに暖かな陽射しが差していた。

 

「……はぁ、結局バレるか……くそっ……ロキの酒……後でリヴェリアに出してやる………………」

 

 

──昨晩、フィンの執務室──

 

 

団長であるフィンを始め、副団長リヴェリア、ガレス、ロキとファミリアの実質トップが、グレイと対面する形で執務室に勢揃いしていた。

 

「グレイ、何故呼ばれたか。君なら分かっているんじゃないか?そして、何を言われるかもね」

 

「………………」

 

主神と最古参の3人に見られる中、グレイはただ正面のフィンを見続けていた。静かに、それこそ自分の返答は分かっているだろうと言っているかの様に、グレイとフィンは目線を合わせていた。

 

「……沈黙は返答と捉えるよ。君には明日からの迷宮探索を禁止する。そして僕やリヴェリア、ガレスからの指導を行う。早速明日の早朝から始める、訓練所に来るんだ」

 

「分かった…………」

 

そしてグレイは後ろを向き、そのまま執務室から出て行ってしまった。

 

「やっぱり、機嫌を損ねたね」

 

「仕方あるまい。このままでは、死ぬのは彼奴だ。どの道、我々からの指導は入る予定だった。それが早まったにすぎん」

 

「何、彼奴も分かっておるし、目標が決まっておるんじゃ。しっかり取り組むに決まっておる」

 

「そうだろうね。さてところでロキ?何で一言も話さないんだい?リヴェリアに見せてもらった、グレイのステイタスが書かれた羊皮紙の()()()()()を見せたのはロキ本人だろう?」

 

ロキはずっと壁に寄りかかり、腕を組んで黙ったままだった。ステイタスの写しを見せたのだって、リヴェリアが最初だったのだ。

 

「……これに関しては、全てフィン達に任せるわ。うちはちょっとやる事があるから、先に部屋戻るわ。おやすみぃ皆」

 

「あ、あぁお疲れロキ…………何か合ったのか?リヴェリア知らないかい?」

 

「知らん。だが珍しく神として、真面目な雰囲気だった」

 

「あぁ、毎日あんな感じだと良いのだけれどね」

 

その後、執務室では明日からの事についてフィン、リヴェリア、ガレスによって話し合いが行われた。

ロキはというと、部屋に戻りベッドにうつ伏せで寝転がっていた。

 

「……うぅ、まだ尻が痛い。リヴェリアのアホォ…………立っていても辛いなんて、どんな力で叩いたんや。ほんま加減っちゅうもんをしれやくそぉ………へへ、けどグレイには一矢報いたで、……うちを嵌めた罰や。ひひっひひひひっい!?うぅ〜痛い…………塗り薬、塗り薬……」

 

フィン達の見た神の威厳は、単なるやせ我慢であった。やはりロキはロキである。

 

「あぁ〜……薬……くす……ん?何やこれ?え〜なになに?」

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

朝食を食べ終えたグレイは、ガレスとの組手が行われる訓練所に行く前に、ある部屋に立ち寄っていた。

 

「アイズ……入るぞ…………」

 

扉を開け歩を進めると、部屋の中にあるベッドで金髪の少女が横たわっていた。

少女の名は『アイズ・ヴァレンシュタイン』。グレイと同じ村で育ち、兄妹の様に育ち、最後に両親を目の前で無くした。グレイにとってアイズは、ヘラ・ファミリアの皆が託した守るべき存在であった。

 

「…………アイズ」

 

返事は無い。規則正しい寝息が聞こえるだけ、『隻眼の竜』が村を襲った日から、アイズは目を覚ますと泣きながら暴れるそうだ。俺自身、その場には立ち会った事が無いが抑えに入るリヴェリアからは

 

「グレイ……見ない方が良いし聞かない方が良い。それがお前の為でもある」

 

と言われる。だからロキ・ファミリアに来てから、俺が見るのはいつも寝ている時だけ、会話すらしていない。見た所体に傷は見当たらない、顔には涙の通った後が見えるだけ。村に居た時の太陽の様な優しい明るい笑顔がまた見たい、その為にもアイズが7歳になるまでにランクアップを果たさないといけない。

 

「行ってくる、アイズ」

 

俺はアイズの頭を、撫でてから部屋を出た。そろそろ、ガレスとの組手の時間だ。俺はアップがてら、軽く走りながら訓練所に向かった。

 

「……ぃ……かな………で…………」

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「ふん!まだまだ軽いわ!もっと力を込めんか!グレイ次じゃ、かかって来い!!」

 

「はあぁぁぁぁぁぁあ!!!!」

 

Lv(レベル)

冒険者はダンジョンに潜り、経験や収入を得て日々の生活を行い神々に認められる程の偉業を成す事により、自身の魂の器とでも言うのだろうか、自身のLvを上げより上位の存在へと自分を昇華させる。Lvを1つ上げるだけで戦闘において圧倒的な差が生まれる。Lv.1とLv.2、『数値的』に見れば大した事は無いが『Lv』として考えた場合、それは天と地の差が現れる。『Lv.1がLv.2に勝つ』それは絶対と言っていい程起こらない事だ。

 

なら更に差が開いた場合はどうなるか。

 

Lv.1(レベルワン)のグレイとLv.5(レベルファイブ)のガレス。その間にあるのは、天と地よりも差がある。ただの蟻が竜に挑む様な物に等しい。

グレイとガレスの組手。グレイの攻撃はガレスにとって、止まるほどにスローに見えるだろう。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。攻撃を受けた所で、Lv.5更に言えば脳筋のガレスには衝撃すら伝わらない。逆にグレイが拳を痛める程の強度だ。

 

「ぅつ〜〜……ふぅ、はあぁ!!」

 

「そうじゃ、諦めるな。打ち続けろ、迷宮の戦闘において痛みなどに怯むのは、命を差し出す様な物……その隙を迷宮は見逃さん。更に、武器に頼りすぎるのもいかん。武器が無くなった際には身体1つでモンスターを倒さなきゃならん。その為の組手、その為の体術じゃ」

 

グレイは果敢にも蹴りや拳打を打ち込むものの、ガレスは難なく受け止め打ち返し会話する余裕すらある程だった。

 

「ぅぐ……ふぅ……ふぅ……」

 

「さぁてと、時間は…………良し!グレイ!組手は終いじゃ着いてこい」

 

「はぁ……はぁ……あ、あぁ?」

 

ガレスは組手を辞め、グレイに着いてくるように言い訓練所から出て行った。グレイは息が乱れているが、タオルで汗を拭きながらガレスの後を追いかけた。着いて行った先は所狭しと様々な武器が置いてある部屋だった。

 

「ガレス……此処は?」

 

「まぁ、お主には椿の武器もあるし此処とは縁が無かろうて。此処は武器庫じゃ、今までファミリアの構成員が使ってきた武器や、まだ使っとらん新団員の為の武器が置いておる…………例えば、あったあったこの槍なんか懐かしいのう」

 

ガレスは飾られている古い1本の槍を手に取り、懐かしそうに昔を思い馳せる様に見ていた。

 

「その槍は?」

 

「これはなぁ、ロキ・ファミリア結成当時間もない頃フィンが使っておった槍じゃ。彼奴度々此処に来て、手入れをしておる様じゃな」

 

その槍は古くなり多くの傷があるが、まだ戦える、まだ貫ける、まだ折れないと言っている様な不思議な輝きを放っていた。

 

「……その様子じゃと、この槍に込められた思いが分かった様じゃな」

 

「思い?武器のか?」

 

ガレスは槍を元の場所に戻し、椅子を2つ出しテーブルのある場所に置いた。

 

「まぁ座れ。……武器の思い、正式にはその使い手の思いじゃ。武器を持ちどんな思いで戦ったのか、何を感じていたのか、そう言った物じゃよ。まだ駆け出しじゃった頃、よくダンジョンで死にかけその度に生還した。フィンも儂もリヴェリアも死にかけそして、その手に持つ武器と共にあった。あの槍には当時のフィンの思いが宿っとる。フィンも昔はよく無茶をしとった。敵を貫き、手傷を負っても槍の様に折れんかった、その挫けぬ持ち主の思いが槍にも宿っとる」

 

「……持ち主の思い」

 

「そうじゃ。武器は持ち主の思いを知り、持ち主を助けてくれる。じゃから今のお主は見ておれんかった。今のお主はさながら、手入れのされない1本の刀じゃ。刀は刃こぼれがしやすい、だがお主は早朝から晩まで迷宮に篭って居る。それこそ、夕食を皆で取ったのは1、2回じゃろ。身体も装備、武器の1つじゃ。それでは、斬れる物も斬れなくなり何時か折れてしまう。自分の身体を見ろ、そのままでは身体は、お主の思い所か命さえ奪ってしまう」

 

自分の身体を見る。外面的に見て傷は少ないだろう、けど内面的に見れば疲労などが溜まっている。確かにこれでは動けなくなってしまう。

 

「身体という武器を労り、日々修練をする。そうすれば必ずその思いに応えてくれるはずじゃ。グレイ、武器は道具では無い身体の一部なんじゃ。でないとお主が槍から感じた様に、周りにはお主の辛い思いしか伝わらん」

 

俺から伝わる思い…………強くなる、強くなって守る、そう良いように思って頑張っても、周りには無茶している様にしか伝わらないって事か……自分を守れてこそ、他を守れるって言うのはこう言う事なのか。だけど……

 

「……ん、分かったよ」

 

「……そうか!なら良いんじゃ。……良し!様々な武器の手入れの仕方を教えてやろう。身体然り、装備然り色々じゃ、此処には道具もあるからのぅ」

 

そうして、身体のケアの仕方、装備品の手入れの仕方などを教えて貰った。ガレスは脳筋かと思ったが、意外と手先がかなり器用だった事に驚いた。それは、昼食の時間ギリギリまで続いた。

 

そしてガレスの言葉は、今のグレイには完全には届かない。

 

(ガレス……言ってる事は正しいと思う。けど強くないと自分の身体すら、守れないじゃないか……自分が守られるんじゃ駄目だ。やっぱり強くないと駄目なんだよ)

 

グレイ自身が自分という物を理解していない為に

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

正直に言う。

 

俺は騒がしいのは嫌いだ。正しくは、騒がしすぎるのが嫌いだ。何事も度が過ぎると嫌いな物だ。騒がしいのは別に良い、楽しい事もあるけど限度があるだろう。

 

「…………はぁ」

 

ロキ・ファミリアは食事を朝、昼、晩と、3回ファミリアの全員で食事を摂る。外出していたり等で一緒に食べない事もあるが、基本此処でホームにいる奴は食べている。結成当時から、ロキや最古参の3人が決めた事の1つらしい。

 

「おぉ!皆!珍しくグレイが此処で飯食ってるぞ!」

「何だと!本当か!?」

「私、朝に団長と訓練してるグレイを見たわ!」

「私はガレスさんとの組手を見かけたよ

「グレイにお、お礼言わなきゃ……」

「私も言わなくちゃ!レオさんには助けてもらったし」

「俺も言うぜ!冒険者になったのだって、レオさんに憧れたからだからよ!」

 

「「「お〜い!グレイ!!少し、話があるんだが(話があるのだけど)今いいか(今いいかしら)!?!??!」」」

 

「ぅ…………」

 

離れた所に居た他の団員が、飯の乗ったトレイを持って数人が他を引き連れて近ずいてくる。何だあの野次馬は…………飯すらまともに食えないなんて、まだ迷宮で食ってた方がマシだ。

 

「どうしたお前達、騒がしいぞ」

 

多くの人の声が響き渡る中、その凛とした声は不思議とその場の騒ぎを沈めてしまった。

 

「り、リヴェリア様……」

 

「リヴェリア副団長、す、すいません」

 

「副団長……」

 

その場の者が各々謝る中、このままだと埒が明かないと判断したのかリヴェリアは手で制止した。

 

「もういい、分かった。グレイが居るとなると……あぁ、そういう事か。お前達、少し静かに出来なかったのか。まぁいい少しグレイを借りるぞ、来てくれグレイ」

 

「あ、あぁ分かった」

 

その場ですぐ飯を平らげ、トレイを片付け一度部屋に戻り歯を磨いた後に部屋の前に居たリヴェリアについて行った。

 

「ロキ、連れてきたぞ」

 

「入ってええでぇ〜」

 

「は?何でロキが……」

 

連れてこられたのは、何故かロキの部屋だった。どうしてだ……リヴェリアの勉強が待っているんじゃないのか。

 

「……ようグレイ、随分フィンとガレスにやられたみたいやなぁ?」

 

「あぁ?……何だ?酔いどれ絶壁」

 

両者の間に火花が散る。それを見てリヴェリアは、溜め息を吐くだけだった。

 

「ロキ……いい加減にしろ。せっかく今日、グレイに勉強を教えるはずだったのだ。この借りはしっかり返させてもらうからな」

 

「すまんな、リヴェリア。じゃあ後任せとき」

 

リヴェリアは、消沈した様子で部屋を出て行ってしまった。部屋に残された俺はどうしたらいいんだ。

 

「グレイ率直に言うで……今日、今夜の神会(デナトゥス)について来い。理由は移動中の馬車で話すさかい、早う支度せぇ」

 

「は?おい!……って何だよ……おい」

 

俺はロキの話に、ついて行けないまま部屋の外に出されてしまった。訳が分からないが、仕方なく部屋に行って着替えと言われても迷宮探索の服しか無かった為、いつもの黒の戦闘装束を着て玄関に出た。そこには既に馬車が手配されていて、いつもと違いドレスを着ているロキが乗っていた。俺はロキの対面に座ったすると、直ぐに馬車は動き出した。

 

「早うせい!グレイ……ってお前、いつもの戦闘服かい!他の無かったんか?」

 

「うるさい。無いものは仕方ないだろうが、それより理由って何だよ」

 

「あぁ……それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神会があったの忘れとったんや。酔っ払って招待状の事すっかり頭から抜けててなぁ〜」

 

「良し帰る。今からでもリヴェリアの勉強会に出る」

 

俺は馬車の扉に手を掛け出ようとしたら、ロキが慌てて止めてきた。

 

「ほんまの理由は、『今一番勢いのある新人をファミリアから連れてくる』それが、今回の神会の参加条件だったんや。最近うちのファミリアでも新人は居ても、勢いがあるかどうか分からんかったから。今回は別に良えかな〜なんて……面白い事もせんようやったから忘れとったんや」

 

俺はもう一度、座席に座り直しロキの話を聞くことにした。その神会に興味があったからだ。

 

「神会は基本、ガネーシャ・ファミリア以外の人は参加出来ないじゃ無いのか」

 

「そうや、だけど今回『新人』を連れて来いっちゅう条件がある。何かあるに決まっとるやろ。だからグレイ、新人の中でも異常(イレギュラー)なお前が少し周りを見とき」

 

「ちっ………貸しだからな。こんな所で、時間を潰す暇は無いのに」

 

「わぁった、わぁった。そんじゃよろしくな……っと着いたみたいやな。行くで、グレイ」

 

どうして俺が…………まぁ新人が集まるという事は、今後の活躍次第で、名前が広まる奴が居ると言う事。顔を覚える位はするか…………

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「俺が!!!ガネーシャだ!!」

「うるせー!あははは!ガネーシャうるせー!」

「お!お〜い皆、極東のあの引き込もりが居るぞ!」

「引き込もりの天照姉様、呼ばれてますよ?」

「うぅ〜!知らない!!私だって、好きで引きこもってなかったもん!ん?今悪口言った!?」

「……どうします?月詠姉様」

「悪口?知りません。素戔嗚尊あんた、母様呼んでよ」

「母上は下界に降りてません。あ〜元気にしてるかな〜」

「オ・レ・が〜〜〜ガネーシャだ!!」

「騒がしすぎる、特にガネーシャ……シヴァが降りてきたらどうなるだろうか……」

「おい!インドラ!それは俺の子供だぞ!!!」

「お〜お〜相変わらず硬いぜ〜阿修羅?な、君どうよ?うちに改宗しない?」

 

多くの様々な神々がガネーシャ・ファミリアが用意した広い会場に、自身のファミリアの、新人を連れ回し騒いでいる。

 

「お〜お〜、こんな多く集まるなんて珍しいな。見た感じ、極東の三姉弟に、中の悪い帝釈天と阿修羅、ん?……げっ!ヘイムダルやん」

 

「ロキ……俺は言われた通りにすればいいか」

 

「おう頼むわ。ほんじゃ終わるまで頼むで…………ごら〜!ヘイムダル!!」

 

「げっ!?崖胸!?やべっ!」

 

我が主人は、知神だろう神ヘイムダルと追いかけっこを始めてしまった。俺は壁際で飲み物を飲みながら、ロキに言われた通り周りを観察し始めた。

 

「……(新人……という事は全員がLv.1。冒険者になったばかりの奴、ランクアップ手前の奴……ロキが言っていた『何かある』どう言う事だ)……この飲み物美味いな」

 

「それは、葡萄を搾った飲み物です。やはりお酒以外も準備していて良かったですね」

 

「ん?……誰ですか」

 

俺と同じ飲み物を持った女が、話しかけて来た。流石に知り合いでも無いから敬語で返事をした。その女は、両腕が見える場所は全て包帯が巻かれていた。服も看護服と冒険者というよりまんま医者の類い、何処かの医療系ファミリアか?

 

「すいません、名乗り遅れました。私、セト・ファミリア所属の『フローレンス・ナイチンゲール』と申します。長いので、ナイチンと呼んでください。今後もよろしくお願いします」

 

「俺はロキ・ファミリア所属……グレイ」

 

「ロキ・ファミリア!それは凄いですね。ん?」

 

セト・ファミリア?聞いた事が無いので、大手ファミリアでは無いのは分かる。悩んでいたのがバレたのか、ナイチンは神々の居る所の一角を指さした。

 

「彼処でお酒を嗜まれているのが、セト様です」

 

「な!?……あれがセト……」

 

指さした所には、『獰猛な何かが居た』いやそう錯覚しただけだ。

髪は綺麗な黒でオールバック、肩まで伸ばされている。両目は紅く瞳孔は縦になっている。肌は赤銅色で黄金律を思わせる程の肉体、無駄な筋肉はなく全てが実戦において邪魔をしないだろう。

サンダルを履き服は下半身のみに腰布をしている。手首や足首に黄金や水晶の光る腕輪や足輪をし、同じ材質だろうネックレスや腰布の上に黄金の三角形のプレートを提げている。

 

一瞬ただの人が見れば、黄金を携えた青年に見えるだろう。しかし、俺は違う。多分フィンやガレスといった実力者も、同じ事を言うはずだ。

 

 

 

 

『何なんだ、アレは』

 

 

 

 

神は下界に降りる際、神の力等を封じ一般人と変わらない状態で降りてくる。例外として知られるのは『神フレイヤの魂を見る眼』、『ゼウス、オーディンの神の気配を完全に消す』、『多くの神が持つ直感』等を俺はロキから聞いた。最後のは人より少し直感が働く程度らしい。

それらの力を封じている筈なのに、神セトからは直接見られていないのに、威圧感や絶対強者の風格を感じ、背後に巨大な黒狼が幻視する程だ。

 

「……神セト、他の神々と一線を越えている」

 

「そうでしょう?セト様は美しく逞しい……今まで見てきた男神の中でも他を寄り付かせない風格……私は魂ごとセト様の全てに惚れ奪われた思いです。……あっ……ふふっどうやらお呼びの様です。行きましょう」

 

「あ、あぁ分かった」

 

正直気が乗らない。この距離でこの威圧感……もっと近ずいたらどうなる?……これが強さ……力を持った神の姿か………冷や汗が止まらない。………何故か嫌悪感が凄まじい。

 

「セト様、お連れしました。ロキ・ファミリアのグレイさんです。それと少々威圧し過ぎかと……」

 

「ん?あぁすまねぇな。グレイって言ったか、よろしくな。俺はそこに居るナイチンが所属する探索・医療系ファミリアの『セト・ファミリア』主神セトだ」

 

「どうも。グレイ・ズィーニス……です」

 

挨拶をした途端、神セトは不敵な笑みを浮かべた。それを見るだけで震えが増す。

 

「ズィーニス……レオの息子か……」

 

「え?!……父さんを知ってるんですか?」

 

「あぁレオには()()()()()()()()()()()()……っとすまねぇ時間取らせたな。しっかりこの神会を楽しめ。せっかく資金をガネーシャに渡して、開かせたんだからな。このご時世だ、今後互いのファミリアの新人同士の交流や連携も大切だ。……さて時間か、ナイチン帰るぞ。()()()()()()()()()()()()()ロキによろしくな」

 

そう言って、最後に俺の肩を軽く叩いて一人と一神は帰って行った。だんだん動悸が収まる。中にはああいった神も居るのか…………

そこからは、特に何も無く。ロキと合流し他のファミリアの主神や新人に挨拶をして回った。やはり大手なだけあってロキとの挨拶回りは大変だった。

 

「……あぁ……疲れた……うっ飲み過ぎた……グレイ、水取って」

 

「はぁ……ロキ、少しは神セトを見習って欲しいな。全く」

 

「ぶふっ!?!」

 

「うっ!汚ぇぞロキ!」

 

ロキは飲んだ水を吹き出し、咳き込んでしまった。そのお陰で、馬車の中は水浸しである。

 

「はぁ……はぁ………グレイ、お前今セトって言ったんか」

 

「あ、あぁどうしたんだよ」

 

ロキはその閉じた様な目を開き、取り乱して肩を掴んで来た。いつものロキとは正反対の剣呑とした雰囲気だった。

 

「セト言ったら、あの破壊神の野郎やで!?()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()やで!?おったんか彼奴!!」

 

神なのに第二級冒険者を殺した。

 

第二級冒険者って言ったらLv.3〜Lv.4だぞ……それを素手で……確実に現在下界に居る神々で最強……規格外過ぎる。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

─ある馬車の中─

 

「どうでした?セト様。グレイ・ズィーニスは」

 

「あぁ最高だった。彼奴の中にはまだ居たしよ、予想以上に育ってたな。てっきりレオが取り出していると思ったんだが、これは好都合だぜ」

 

「何が居るんですか?この無知なナイチンに教えて下さいセト様」

 

「あぁいいぜ。知らなくても無理はねぇ、知ってる奴はレオが研究所事潰したからな。あん時はお前はまだL()v().()()だったしよ。Lv.4からの奴数名がやってた研究だし、おっと話がそれたな。まぁ簡単だよ、

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

それの一環で子供がいる第一級冒険者、第二級冒険者を探したらよぉ〜何とびっくり、あのヘラ・ファミリアの副団長レオ・ズィーニスに子供がいるじゃねぇか。それで攫って飛び切りの奴を埋め込んだのよ!まぁ結果、ダンジョンの中の研究所は破壊、研究所に居た奴は皆殺しだ」

 

「まぁそれはそれは、ですが研究はどうなったんですか?」

 

「あ〜研究所の奴の中にも、モンスター入れててな。現在進行形で飼育、強化中だ」

 

 

 

今まさに、過去と現在の歯車が噛み合い回り出す。

 

 




過去最長であります!

長いからもしかしたら、誤字あったらすいません。

感想、評価、お気に入り、指摘お願いします!

それでは、次回もお願いします。

ヒロイン

  • リュー・リオン
  • リヴェリア・リヨス・アールヴ
  • アイズ・ヴァレンシュタイン
  • 椿・コルブランド
  • その他原作キャラ
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