才能の渇望者   作:祀綺

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オクレテ、ゴメンネ……

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焦燥、先生、神の試練

ダンジョン上層─第十二階層─

 

アルマジロ型のモンスターであるハードアーマードの回転を、刀の側面を転がり上に行く様に去なす事で、空中に飛び腹を見せたハードアーマードを、自身もジャンプし刀で頭を貫き即座に抜いて腹を斬る事で殺す。地面に着地した時には、グレイとハードアーマードの核であった魔石のみが地面にあった。

ハードアーマードの魔石を見ながら、グレイは呟いた。

 

「何で……どうして……レベルが上がらないんだ…………あぁっ!」

 

立ち尽くすグレイの背後から、毛並みが銀に近い白の大猿のモンスターシルバーバックが走りながら接近し、その太い腕から繰り出された拳を振り下ろした。

 

──スパッ

 

しかし、その拳はグレイには届かなかった。振り返りざまに刀を横一閃したグレイによって拳ごと魔石を斬られたからだ。

グレイは刀を鞘に収め、斬られた魔石を拾いバックパックに詰めるとそのまま、出口のある方へ歩いていってしまった。その日、グレイがダンジョンに潜ったのは早朝、そしてダンジョンから出たのは昼前だった。グレイがダンジョンに潜る時間は1年半前に比べ大幅に少なくなっていた。

 

()()()()()()()

 

神会があった日から既に1年半経っていた。既にグレイは9歳、アイズは6歳になっていた。

グレイはステータスの伸びが、1年半前より著しく悪くなっている事に焦っていた。『約束の2年』アイズが7歳になるまで半年しか残ってなかった。

気づいたのは1年前。神会があった日から半年後辺りから、ステータスが伸び難くなった。最初は、ダンジョンに潜る時間がフィン達との訓練で減ったからと思った。しかし、半年前フィン達からの訓練全ての課程を終え、ダンジョンにまた多く潜れる様になってもステータスの伸びは変わらなかった。

 

ロキからは

 

「落ち込む事なんてないで?それでも、普通に比べればかなりいい方や。まぁ確かに前に比べて上がらんくなったな。最初やったからやろ、皆と同じように地道に頑張りグレイ」

 

そして、これが現在のステータスだ。

 

 

 

グレイ・ズィーニス

 

Lv.1

 

力:C 603 →C 610

耐久:D 546 →D 548

器用:B 746 →B 753

敏捷:B 718 →B 724

魔力:A 821 →A 831

 

《魔法》

リィンカーネーション(輪廻を巡る者)

・変身魔法

・詠唱式 【我は花弁を散らす廻り者なり、我は輪廻を遡り呼び醒ます者なり】

・第二詠唱 【我が選択するは───なり】

 

・ 選択される才能(人物)

武の覇王

【力、器用、敏捷、魔力に超補正、耐久が高減少】

白き死神

【器用、敏捷に高補正、魔力に超補正、力が高減少】

偽りの雷神

【器用、耐久に高補正、魔力に超補正、敏捷が高減少】

隻眼の剣

【力、敏捷に高補正、器用に超補正、魔力が高減少】

二天の祖

【力、敏捷に高補正、器用に超補正、耐久が高減少】

 

・解呪式無し自動で解除される、いずれ解呪不可になる

・通常の長文魔法より精神力を多く消費する

・花弁が散る

・一定の使用回数を超えると無詠唱で使用可能、代償として──を消失

 

 

《スキル》

【渇望者】

・獲得した経験値量増加(満たされた際に消失)

・──を求める程、全アビリティに高補正(満たされた際に消失)

・──が消失される事を一度だけ防ぐ(一度だけ発動後消失)

 

【廻り者】

・魔法の補正、威力向上

・花弁により周りの物質に干渉しエネルギーを得、魔法に使用する

 

【神后の寵愛】

・気配察知能力超補正

・動物系のモンスターとの戦闘で超補正

・全アビリティの成長を促進させる

・大切な存在が出来た場合、その人に【神后の加護】が出現する

 

 

 

これは、グレイが昨日更新した際のステータスである。アビリティトータル32の上昇である。確かに、普通に比べればかなり良い方である。だがグレイは異常な成長(イレギュラー)を見せた存在であるのを忘れてはいけない。

グレイが最初の更新で出した数値は、トータル640オーバーこれを見ると、32は初期の成長値の5%の上昇しかないのである。『最初は伸びやすいが、段々伸びにくくなる』これは冒険者なら全ての者に当てはまるが、成長促進のスキルを持つグレイとなると話は変わってしまう。

 

初期の上昇から考えると32の上昇は少なすぎるのである。これはグレイにとっての異常(イレギュラー)であった。それにより、結局集中が続かずダンジョンを早く切り上げてしまう。前なら更に長く潜っていただろうが、終わらして帰るという選択肢がある事にフィンやガレス、リヴェリアの教育が実を結んでいることが知れる。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

黄昏の館

 

ホームに戻ったグレイは、自身の部屋の窓を開け窓枠に腰掛けた。グレイの部屋は、黄昏の館の南東塔の最上階にある。高さがありオラリオを一望出来るそこで最近はよく本を読む。その本はかなり古く内容は極東の英雄譚であった。

グレイの主武装は『刀』である。しかし刀を扱う剣術はフィンでもガレスでもリヴェリアですら、知らず教えて貰えなかった。

 

フィンは

 

「剣術?んん……どうしようか……グレイ、剣術には多くの流派があり、その中で自分にあった物を自分で見つけるしかないだ。それに僕の主武装は槍だからね、生憎教えれそうに無いよ、すまないグレイ」

 

ガレスは

 

「困ったのう……確かに刀を扱うには剣術を知っておかねば、刀が直ぐに壊れてしまう。儂も教えれそうに無いすまんな」

 

リヴェリアは

 

「私は魔法が専門だからな……本?あぁ確か指南書等もあるにはあるが、刀に合うものがあるかどうか……刀自体極東の島国特有の物だ。すまないなグレイ、代わりと言ってはなんだがその類の物を探してみる」

 

ロキ・ファミリア屈指の武術と知恵の持ち主達もお手上げだった。唯一リヴェリアが見つけてきた刀関連の書物は少なく、今読んでいる本含め4冊。残りの3冊は入門編の様な物や、刀の扱いなどで余り役に立ちそうもなかった。

なら何故この英雄譚を読んでいる理由というと、それは気晴らしとこの本の内容にあった。

 

時代背景はきっと神々が下界に降り始める頃の時期だろう。出てくる者達は大まかに分けて二種類。

 

 

【鬼と人】

 

 

人が鬼を倒す、そんな内容だ。そしてその人達は様々な技を使っていた、それも刀で。本自体がかなり古く、絵や字が霞んで読みずらくなっていて、ほぼイメージとして見ているだけだが面白い。特にこの一番出てくるこの左の額に痣がある少年が使う、炎が出る技はかなり惹き付けられる物がある。

ここ数日はダンジョンでの集中が続かない事への気晴らしに、剣術など調べ探した結果の産物で見つけたこの本にハマり、ダンジョンから帰っては読んでいる。

 

ペラ

 

「………………おぉ」

 

ペラ

 

「………………んん」

 

ペラ

 

「………………へぇ」

 

トン

 

「…………結局全て見てしまった。…………極東の物なら椿に聞いて見るか、彼奴の事だから居るとは思うが……」

 

本を読み()終わった頃には、既に夕方になっていた。グレイはそれでも、椿の工房兼家に向かった。相当この本について、知りたがっているのが分かる。

グレイは気づいていないが、本を読んで(見て)いる事をリヴェリアに見られていた。それを見てリヴェリアはいい方向に成長したと思ったらしい。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「……椿、居るか?」

 

夜という事もあって、静かに尚且つ中に居れば気づく位の大きさで声を出した。鉄を打つ音や匂いもしない事から作業に没頭している訳では無い。

 

「椿?…………居ないのか」

 

しかし、扉を開け中に入れば、静寂と灯りのみ椿の姿は無かった。灯りがある事から、外出はして無いと判断し取り敢えず、椅子に座り待つことにした。

 

「……何処行ったん「お?グレイではないか。どうした?こんな夜に珍しい」……居たのか椿、居たのならあぁあ?!」

 

「何だ何だ。急に叫んで騒がしい」

 

そこには、()()()()()()()()()椿()が居た。風呂に入っていたのか、身体からは湯気が昇り、髪は濡れ首にタオルを巻いていた。あまりの事にグレイは、椅子から立ち上がり直ぐに後ろを向いた。

 

「何で、服を着てない!」

 

「ん?……あぁ〜風呂上がりで忘れとった。いつも風呂上がりは上裸でな…………それよりグレイ、もしかして恥ずかしがっておるのか?初々しい奴め」

 

椿は、面白半分で身体を寄せてくる。凄くセクハラ慣れしている様に感じる。

 

「やめろ!……それより、これの事に……ついて知らないか?!」

 

「ほれほれ〜……ん?何だこれは…………ってグレイ、これを何処で手に入れた?」

 

椿は上にやっと着物を着て、渡した本を開き、見ながら聴いてきた。その反応は驚愕と好奇心の様な物だった。

 

「ん?確か古本の中から、見つかったってリヴェリアが……」

 

「ん〜なんとも、まさかオラリオで目にする事になるとはな…………グレイこれはな、『鬼殺伝記』と言ってな、極東の島国ではな『鬼滅物語』、『鬼狩り』何て呼ばれている物だ。伝記、物語と言っても主人公の名前や敵の名前すら分からん物だがな。まぁ老人の中でも知る人ぞ知るといった感じで、もう殆ど知られておらん物だ」

 

椿は椅子に座り、その本を開きながら説明をし始めた。俺も椅子に座り話を聴き始めた。

 

「刀の製法を知った頃に、手前はある話を聞いてな。これを探したが持っている人は居なく、『あぁ〜名前はちょっと聞いた事あるかも』としか聞けなくてな、困ったものよ。……ある話と言うのは、この物語が大昔の本当の話で、この剣士達は特殊な刀を使っていた、と言う物でな。本当ならその製法を知らねば!と躍起になって探したが空振り続きで結局諦めた」

 

本当の話?ならこの剣士達の使う技は流派は、実際に存在するのか?

 

「その話誰から聞いたんだ?」

 

「知り合いの爺様が居ってな、その人が良く話しておった。何でも昔まだ小僧だった時に、特殊な刀を作り鍛える鍛冶師に会ったと話していた、何でもひょっとこ(火男)の面を着けていたとか…………まぁその爺様も手前がオラリオに来る前に、亡くなってしまったが」

 

「…………そうか、ありがとう。夜にすまなかったな、それじゃあまた」

 

「ふむ、グレイも帰り気をつけるのだぞ?最近物騒な話を良く聞くからな。次来た時は刀を持ってこい、研いでやろう」

 

俺は僅かながら心躍らせ、椿の家から帰るのだった。もし本当ならこの流派を継いだ人に会えるかもしれないと……何故なら此処は来る者を拒まない、全てを受け入れる迷宮都市(オラリオ)なのだから。

 

 

 

「ふむ、手前もまた暇な時にでも探してみるか…………とそう言えばあの爺様に何か渡されておった様な……………………あぁ!そう言えば、鉱石を渡されたな………………何処置いたっけ……」

 

椿は山の様に積み上げられた鉱石や、モンスターのドロップアイテムを見て、流石に片付けと整理をするかと思うのだった。

(尚、今までも何度か思ったが結局されずじまいだった)

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「もう少し、この本を見てみるかって…………やばいな、リヴェリアに怒られる…………?誰だ」

 

黄昏の館に帰る途中、ふと上を見上げると、月の光で影になっていて顔は見えないが、屋根の上に全身を外套で隠した大柄な人が居た。外套を着ていても分かる程の筋肉質な肉体……恐らく男だろう、背中には2つの大剣の様な剣を背負っている。それにこのビリビリと肌を刺す威圧感、間違いなく、フィンやガレスと同等かそれ以上の第一級冒険者(実力者)である事を物語っている。その男が音も無く、二階建ての屋根から降りて俺の前に立った。

 

「……お前、何者だ」

 

現在、グレイは腰にある小さなバックパックに、本を入れているだけで装備は一切されていない。然し、第一級冒険者のガレスに仕込まれ、独自のやり方を混ぜた武術がある。

グレイは、直ぐに構えタイミングを見ていた。

 

「…………」

 

ズドンッ!!

 

「ガハッ!!?」

 

何だ今のは!?全く反応出来なかった!?何をされた……俺は吹っ飛び、相手は今俺が居た所で拳を前に出している。ただ、相手は俺を殴っただけだ。だがそのスピードがおかしいだろ…………やばい……相手が近ずいてくる……体が竦んで動けない、呼吸もまともに出来ない……どうする、どうする!どうする!どうする!!どうする!!!落ち着け!考えろ!!思考を止めるな!!何か……何かないか!!

 

その時だった。

 

後ろしか見えないが、知らない着物を着た男が目の前に現れた。その途端、変わった聞いた事の無い音が聴こえた。

 

「……余り見過ごせる様な状況では無いな」

 

───ゴオォォオ

 

──ヒノカミ神楽・炎舞(えんぶ)

 

一瞬だった。

 

男は一瞬で外套の大男の目前に移動し、上段からの縦一閃と下段からの縦一閃を行った。余りの速さにほぼ同時に斬った様に見えた。

なら何故、上段と下段の順に二度斬ったか分かるかというと、斬った軌道が燃えたのだ。それが上からとやや遅れて下から燃えたから分かった。

そして、ここで一つ思い出した。あれは…………

 

(あの本で見た少年が使っていた技の一つだ)

 

「!!…………くっ!」

 

「ほう、今のを防ぐか。加減したとは言え良く反応したものだ」

 

「ふぅ………………」

 

大男は攻撃を背中の大剣で防いだ後、此方を一瞥し夜の路地裏の闇にいなくなった。

 

「大丈夫か、少年」

 

どうやら、出逢いは直ぐに訪れた様だった。

 

正面から見た男には、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それを確認した後、グレイの意識は沈んで行った。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「…………ん……あぁ…………!」

 

此処は…………俺の部屋?あの時、確か……あぁ確か誰か助けてくれた。まさか、その人が俺を運んでくれたのか?

 

「やっと起きたか、この馬鹿者」

 

「うぅ…………リヴェリア」

 

扉の方を見ると、飯の乗ったトレーを持ったリヴェリアが居た。

 

「うぅとは何だ。起きたのなら、これを食べろ。食ったら支度をしろ…………お前をここまで運んでくれた者が、お前を待っている」

 

「え?」

 

運んでくれた者ってあの剣術の?俺は、急いで飯を食った。あの剣術を使った人物と、剣術について早く聞きたい。

 

「……!ごほっ!ごほっ!」

 

「おい!急いで食うからだ。ほら水だ。客人は待ってくれている、そう慌てるな…………」

 

 

─────

────

───

──

 

─フィンの執務室─

 

机に乗って座っているロキ、ソファに座って対面する様に座るフィンと男、壁に寄りかかり男を見るリヴェリア、フィンの後ろで立っているガレス、フィンの隣に座るグレイ。

この空間は今、緊張や探りなど様々な事柄が飛び交っていた。その中で初めに口を開いたのは、団長であるフィンだった。

 

「まず最初に、グレイを助けてくれて感謝するよ。代表として言わせて貰う、ありがとう」

 

グレイもフィンに続いて男に向かって感謝をした。

 

「ありがとう、ございます」

 

「……感謝される様な事では無い、偶然目に入った為助けたにすぎん」

 

男はただ淡々と、目を閉じながら話す。

 

「それに、面白い物も見つかった。ただ私はそれを返しに来たに過ぎない」

 

そう言って、男は目の前に1冊の古本を置いた。それは、グレイの持っていた『鬼殺伝記』だった。グレイはそれを見て驚いた。何故、男が自分の物を持っているのかと。

 

「殴られ、飛ばされた時に落としたものだろう。失礼だが、君の物を物色させてもらった。何分君を届ける場所が分からなかった為、許して欲しい。幸い地図があった為連れてこれた」

 

確かに、あの小さい腰に巻くバックには、念の為印を付けた地図も入れている。だから、届けれたのか。

 

「ありがとうございます。所で名前……教えて貰えませんか?」

 

男はそこで、あっ言ってなかった見たいな表情を出した。

 

「すまない、名を言うのを忘れていた。私の名は……『鬼士神 炎雷(きしがみ えんらい)』極東のあるファミリアの剣士だ、と言っても既に私1人だが」

 

姿から分かる通り、やはり極東の人だった。そして、全滅したのか分からないが既にファミリアには自分1人だと言った。そこには、哀しみと後悔の念を含んでいた。

場が静まった後、直ぐにフィンが話を切り替えた。

 

「自己紹介をありがとう、僕達の紹介はさっきしたから良いね。それと僕の質問に答えて貰っていいかな?」

 

炎雷と名乗った男は静かに頷いた。質問に答える位の事はするらしい、と言うか既に自己紹介終わっていたのか……何時したんだ。

 

「単刀直入に言うよ。君はこのオラリオに何しに来たのかな?直感だけど、君は僕やガレスより強い。それこそLv.5を超えるだろう?オラリオの外でそんな高みに行けた君が何故今更、オラリオに来るのか気になってね。ダンジョンのモンスターとの戦いに来たのかい?それとも改宗(コンバージョン)をしに?まぁ後者だったら是非家に来て欲しいけどね」

 

今更だが確かにそうだ。オラリオの外でLvが高位に行ける存在が……いや待て、どうやってそこまでLvを上げれた?

神が降臨する以前から迷宮からモンスターが地上に出てくる事もあったそうだ。例は三大冒険者依頼(クエスト)として人類の目標になっていた、古代モンスター、既に倒された『陸の王者(ベヒーモス)』『海の覇者(リヴァイアサン)』そして、いずれこの手で倒すと決めた因縁の敵『空の皇帝(隻眼の竜)』がいる。

そして、他にもいる多くの動物型のそうしたモンスターは地上で繁殖して定着したりして、数千年間生存している。繁殖するものは魔石の力を消費するので、地上に出て生き残ったものの子孫は、迷宮のものとは比べ弱体化しダンジョンとは違う。

 

そんな奴らを倒した所で、得られる経験値もたかが知れている。実際オラリオの外ではLv.2なら強者、Lv.3なら英雄として扱われる程のオラリオとの差があるのだ。

ならどうやってLvを上げれたのだろうか。もし上げたとして、1人を残して全滅したファミリアの主神が改宗を許すだろうか?謎が深まるばかりであった。

 

「私が来た理由は改宗では無い。私の目的は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

炎雷は俺の方を見ている。……え?もしかして俺なのか……その継子っていう者は…………そう思っていると、今まで黙っていた主神であるロキが話始めた。

 

「今まで黙っとったけど一つ聞かせえ。お前の主神の名前はもし『火之迦具土神…………私のファミリアはヒノカグツチ・ファミリアだ』……やはりな、彼奴のとこの子かい。フィン……こっからはうちが話す」

 

閉じている様に見える目が開いた途端、ロキの雰囲気が変わった。これは酒の事で切れた時やファミリアに何かした敵に向ける時の顔……フィンとガレス、リヴェリアですら早々観ない闇派閥に向けた眼と同じ物だった。

 

「落ち着いてくれロキ。……分かった。だが一つ聞かせてくれ、神ヒノカグツチはどんな神物なんだい?」

 

「そうじゃロキ、神威が僅かに上がっとるぞ」

 

「落ち着けロキ、相手にも失礼だ」

 

古参の3人が、ロキを落ち着かせようと声を掛ける。それで少し神威が抑えられいつもの雰囲気に戻った。しかし目はそのまま相手を射抜く様に見ている。

 

「すまんすまん、火之迦具土神っちゅう神はな、言ってしまえば身体と精神が真逆なんや、そりゃ性格はええ奴やで、天界でも16の神の親やし、面倒見は意外とええ。だけど身体は言わば呪いや、本神も悔やんどる。常に身体は燃え続け、近づくもの全てを燃やす。それで親に殺されかけたらしいしな」

 

「なら何故彼らは死んでいない?」

 

リヴェリアが根本的な事を質問した。確かに近づくもの全てを燃やすならどうやって更新をするのだろう。

 

「下界に降りて神の力を封じたら、弱まったらしいで。だけど長時間は危ない……きっと下界に降りた神で、カグツチより更新を早く出来る奴はおらんで…………まぁ良い奴ではあるな。カグツチは1000年前に降りて以来、殆ど極東に引きこもってるらしくてこっからは、聞いた情報だけや」

 

ロキが何故か本を片手に持ちながら話し始めた。これからどんな話をされるのか、その場に居た、炎雷以外の者はロキの発言に集中していた。

 

「下界に降りてからカグツチは、ある人間とある生き物を見たらしい。それは、鬼と呼ばれている者とそれを倒す事を生業としている者達や……当然人は食われ、鬼は何処かへ行って消えた。そんな鬼を殺す者達の長を始め、実力者数名に神の恩恵を与えた。そして、ある1人の者と共に実力者数名に各々が合う技を作り上げたらしい……まぁこんなとこやな。結構前にヘルメスの奴が喋っとったから、多分合ってるはずや。まぁ後は……」

 

「あぁ後は任せてくれ。その作られた技の種類は、『水の呼吸』 『雷の呼吸』 『炎の呼吸』 『岩の呼吸』 『風の呼吸』 『日の呼吸』の6種類の呼吸だった。実力者達は長い歳月を使いその技を会得した。

 

水の様に変幻自在に変化する技

雷の様に速く強力な抜刀を行う技

炎の様に激しい烈火の如し技

岩の様に攻守共に弱点の無い技

風の様に荒々しく敵を切り裂く技

 

そして水、雷、炎、岩、風、全ての元になった呼吸『日の呼吸』、他の呼吸はこの劣化にすぎない。他の呼吸を会得した者は多く居たが、この呼吸を扱えたのは1人のみだった。その者が主神と共に技を編み出した者だ。その者は長と主神をトップとし、各々の呼吸の一番の実力者を水柱、雷柱、炎柱、岩柱、風柱と呼ぶ幹部にし自身も日柱とした。ファミリアでありながら、この組織の名を鬼殺隊と呼ぶ。

それらが、私が所属するファミリアの初期の頃だ。既に鬼狩りは500年程前に、ある日の呼吸の使い手によって終わりを迎えた。この『鬼殺伝記』はその時を描いた記録書の様な物だ」

 

なんというか…………かなり複雑です。つまり……え……何?

 

「すまない、無駄話が長かった。その500年前に鬼狩りを終わらせた人が、後世にもしまた鬼が現れた時の為にと、技を受け継がせ続ける事を遺したのだ。故にその時の全ての呼吸や技を含め今まで増えた物を託す継子を探して、ここまで私は来た。そして、君を見つけた。神ロキ、どうか彼を私の私達の継子にさせて欲しい」

 

炎雷がロキに対して頭を下げた。炎雷、ロキ以外が全員ロキを見る中、ロキは発言した。

 

「どうして、そこまで焦ってるんや。確かに今グレイは剣術を知りたがっとる、本人が良かったら別にええで。だけどあんたのその焦りだけが気になるんや」

 

炎雷は顔を上げると、懐から数冊の本を出した。

 

「……確かに私は焦っている。今から5年前、ファミリアが私以外全滅した際から世界を見て回った。良い人材を見つけても、誰も扱えれそうに無かった。私の時間は残り僅か、まだ動けるうちに継子を見つけ、私達の技の集大成を教えなければ死んで行った者達の、ファミリアの先代達の想いも失ってしまう。だからどうか少年に技を継いで欲しい」

 

また炎雷は頭を下げた。それもさっきより深く。

この人はきっと、何回も大切なものを失ったんだ。それでも一つでも多く残そうと頑張ったんだ、なら…………俺は周りを見た。誰も否定的な顔をする人はいなかった。

 

「俺で良ければ、どうか継子にして下さい。俺は強くなりたいんです、だからこちらこそお願いします」

 

「!……よろしく頼む。少年」

 

「こちらこそお願いします、先生。それとグレイって呼んでください」

 

俺は先生と固い握手をした。これからの修行を乗り越えて、強くなりたい為に。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

ある空間に、その男は居た。

 

「やはり、元の物語より多く外れている。彼という転生者(イレギュラー)が居る為か、様々な物が寄っていき合成されている。それにより、彼の為に用意した試練や敵も変質してしまった。まぁその分、彼の努力や才能が見れる。…………ふふっ面白くなってきた。だが、この世界の基準でなくても強過ぎるな…………仕方ない。その変質を利用させて貰おうか」

 

男の前には、グレイに才能を与えた時に使ったパネルが出てきた。

 

そこには

 

魔法喰らい(マジック・イーター)

 

能力喰らい(スキル・イーター)

 

と書かれていた。

 

「俺にも、測定不能な君の才能の物語を見せてくれよ?■■■ ■■いやグレイ・ズィーニス君?」

 




読んで頂きありがとうございます。

オクレテスイマセン<(_ _)>

お気に入りや、評価を解除せず待っていてくれて、ありがとうございます。
なんか主人公このまま、良さげに行けー!とは行かせない。何故かって?渇望して貰わなくちゃタイトル詐欺っすから…………ぐへへへっうっ?!(自分で作品のハードル上げる馬鹿者)

感想、評価、お気に入り、
よろしくお願いします!
愚痴は感想欄(他の方の迷惑にならないように)でも、TwitterのDMでもどうぞ

それでは、令和もよろしくお願いします。
そして、次回もお願いします。

ヒロイン

  • リュー・リオン
  • リヴェリア・リヨス・アールヴ
  • アイズ・ヴァレンシュタイン
  • 椿・コルブランド
  • その他原作キャラ

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