才能の渇望者   作:祀綺

14 / 14
お久しぶりです。お待たせしました!!就職も無事決まり、一段落しましたので投稿です。短いですが許して下さい、お願いします。
それと、評価、お気に入りありがとうございます!!!!!!!こんなに投稿期間空いたのに、評価、お気に入りしたり、キープして頂きありがとうございます!感謝です。正直減ると覚悟していましたから…………
それでは、どうぞ!!!!!!!



偽りの死者の女王VS隻眼の小さき剣士

─オラリオ東南東ダイダロス通り─

 

現在そこでは、腐った肉体に装備を纏った巨体『ヘル』と1人の少年『グレイ』が対峙していた。先に動いたのはグレイ、ヘルに対し斜めに進み横から斬りこんだ。

 

「ハァ!」

 

ガキーン!!

 

「アハアハアハ!!!!」

 

「くっ!」

 

だがヘルはそれを大剣の腹で止め、そのまま振るいグレイを飛ばした。

 

「はぁぁあ、っ!……くっ、はぁ!」

 

「アハ!!」

 

ヘルはグレイに向け矢を放った。その矢は寸分違わず、上から弧を描く様に、グレイの頭部を射抜こうとした。その矢に反応し、辛うじて避けたグレイだが、その矢の威力の高さにより、刺さった地面が破壊されそのインパクトを僅かに食らってしまった。

 

「ふぅぅ……しっ!」

 

グレイは僅かに体制を崩したが、直ぐにヘルに向かい、走り刀を下に構えた。

 

──炎の呼吸 弐ノ型

 

─昇り炎天!

 

グレイの刀は炎を纏い、下から上へ円を描きながらヘルを斬る。然しそれは簡単に右の大剣によって防がれ、ヘルは上体を捻って左の戦斧を振り落としてきた。グレイはそれを辛うじて避け距離を取った。

 

「はぁ……はぁ……(くそ……圧倒的に手数が違う。それに、攻撃をまともに食らったら最後。推定Lv.4の一撃に今の俺は耐えられない)くそ……攻めきれねぇ」

 

たった最初の攻防。

たった一度でグレイは、ヘルとの戦闘に対して、苦戦を強いると判断した。

 

グレイは修業の多くの日々を常に、Lv.5の第一級冒険者達に相手してもらった事で、相手と自分の力量差や気配、動体視力などはスキルの補正も入り、もはやそれはLv.3に届く可能性があるかもしれない程高い。だからこそ、この先どう攻めればいいか、己と相手の差を感じ、攻めに集中出来ずにいた。

もし全力で攻めればいけるかもしれない、だが相手の攻撃を一度でも食らえば待つのは『死』のみ。グレイは一撃離脱をしながら、ヘルの周りを回る様に攻め、思考は様々な攻め手を考えていた。

 

(炎の呼吸で攻め続ける?だが戦斧で足場に高低差が出来て、上手く踏み込めない。なら水の呼吸……いや決定的な威力が無い。風?雷?岩?あぁどれもダメだ。今の俺では体が成長しきってない。どれも攻めか守り、片方しか出来ない!()()()()いや、あれはそもそも……なっ!?しまっ)

 

「アハ!!」

 

余りに思考する事に集中しすぎて、グレイは大剣の横薙ぎを受けて、壁を貫き家の中に吹き飛ばされてしまった。幸い刀で受けたもののそれは不十分であり、壁や家具などに体中を打ち付け、三軒先の壁にぶつかり止まった。

 

「はぁ……はぁっ!ゴフッ!……ちっ、今ので……肋に……罅が入ったな……あぁダメ……だ。視界が、ぼやけ…………る」

 

一撃を防いだとはいえ、グレイは全身を打ち付け壁に頭も強打していた。それ故に、視界はぼやけ壁に背をつけ、座り込むので精一杯だった。ヘルは着々と此方に歩を進めている。更にヘルは四腕から霧の様な物まで出し始めていた。

 

「アハアハアハアハ!!!!」

 

ヘルの腕から出ている霧の様な物は、流れる様にグレイの周りを囲み広がり始めた。広がると同時に、ヘルはグレイから一件半離れた位置で停止し、何かを()()すると再度進み始めた。

 

「うる、さい……耳障り、だ(……もう後がない……まさか、時間稼ぎも出来ないとは。あぁ、後始末すら出来ないのか……俺は、何も出来ないガキのまま……死ぬのか?)くそ、が……うざい、霧だ……な。……あ?そこに、誰か、居る……のか?」

 

霧に囲まれたグレイの傍に、1つの人影が現れていた。霧の影響で誰かは分からないが高さは1.7M程だろうか、線の細さから女性だと分かる程度だった。

その女性は唐突にグレイに話し始めた。

 

 

──どうした、死ぬのか?お前は何も残せていないだろう

 

あぁ死にたくない。まだ何も残せてもない。だがもう体が動かない

 

──お前は諦めるのか……その程度で

 

諦めたくない。だがあいつを殺す力が今の俺には無い

 

──分かっていて挑み、そして死ぬのか、滑稽だな

 

あぁ確かに滑稽だ。自分の後始末すら出来ない

 

──あの日決めたのではないのか、覚悟を……自身の宿命を

 

決めた。黒龍を殺す。アイズを守る。例え己の全てが消えても

 

──なら何故、今立ち上がりあの()()()()()を消さない

 

立ち上がろうにも、頭を強打し肋骨に罅が入って力が入らない

 

──お前の覚悟は、その程度の理由で消える代物だったのか

 

違う、覚悟はある。しかしそれを示す力が俺には無い

 

──示す力か、なら問う。お前にとって、力とは何だ

 

俺にとって力は、俺の進む道を邪魔する奴を消し去る技、そして大切なものを守りきれる技

 

──ならば、それを示して見ろ。力を望むのなら与えてやろう、後はお前次第だ。……死ぬなよ()()()()()()()()()()

 

 

「あ?おい……それはどういうことだ!っ?!傷が……治ってる ?ちっ!」

 

「アハ!!……?アッ?!!??!」

 

グレイはヘルが近づいているのに気づき、咄嗟に距離を取った。そして先程まで居た場所にヘルは斧で攻撃したのだった。本当であれば、ここでグレイの命運は尽きていた。しかし問題が生じたのである。

 

ヘルの腕から出ている霧。これには、包まれた者に強力は幻覚作用をもたらす力が備わっている。これを使うことで、ヘルは街に入った冒険者の方向感覚など狂わし捕らえていた。更に視点によっても、方向感覚を狂わす力も僅かに持っていた。

そして、ヘルは生みの親であるグレイに、幻覚を見せたまま葬ろうとしたのだ。だが実際はグレイは幻覚に囚われず攻撃を避けた。それにヘルは困惑したのだ。

 

なぜ避けれる?なぜ幻覚を見ていない?なぜ傷も治ってる?訳が分からない。何なのだこの生みの親(不可解な存在)は?

 

ヘルにとって問題とは、グレイが見た幻覚が()()()()()()()()()()()()()だったという事。

そしてグレイにとっての奇跡は、見せられたものにより傷が癒え攻撃にすぐ反応出来た事だ。

 

これにより、グレイの体力は元に戻り体制も建て直した。

 

「……示せ、か。……なら示してやる、この()()()()()()でな(後の事は今はいい、後で考えろ!。今此奴をこの場で、5()()で始末する!)行くぞヘル、残りの5分……今までの俺だと思うなよ」

 

グレイは、左眼を今まで隠していた眼帯を、駆け出すと同時に掴み捨てた。

 

そして開かれた瞳は、右と同じ茶色

 

 

 

 

 

 

 

 

眼帯により隠されていたその瞳の色は()()()。所々が切れた白輪が浮かぶ紅赫色の瞳だった。その瞳が赤く紅く煌めき、グレイの走った後の空中に線を残す。

 

「ふっ!」

 

グレイはヘルの間合いに入る。ヘルは右上の腕に持つ大剣を、自身の身体能力を存分に使い振り下ろす。確実にその一撃は、グレイを頭から分断するのは時間の問題だった。

 

「アハ!!」

 

しかし大剣が地面を割った時、大剣や周りの地面には血は一滴も付いておらず、更にグレイは何も無かったかの様に、大剣の真横に僅かに体勢をずらし、しゃがめていた。

 

「アァ?ッ!」

 

「凄いな。()()は始めから使うべきだった……っ!」

 

───シィイィィイ

 

──全集中・雷の呼吸 伍ノ型

 

─熱界雷!!

 

グレイは下から上へ、黒い雷と共にヘルの2本の右腕を斬り上げた。グレイが斬った場所は脇の下。

人体の構造上、関節や脇の下は他に比べ曲げが入る為柔らかくなっている。故にグレイの攻撃が直にヒットしたが為に、ヘルの2つの右腕が共に切断された。

 

「アァア!!」

 

「騒がしい奴だな。次行くぞ!(あと、4分20秒……行ける!)」

 

ヘルが初めて、グレイ…いや、人に対して距離を取った。それは腕を切断されたからでも、次の攻撃をされそうだったからでも無い。

ただ純粋にグレイに対して、下に見ていた生みの親に対して()()したからである。確実に上である自分が、下であるグレイに対して抱くはずの無い感情であった。

 

ヘルが後ろに飛んだ事で開いた距離を、グレイはすかさず詰めた。ヘルは残った左腕に持つ、戦斧を振り回し、矢を槍の如く乱れ突き始めた。だがグレイはそれを紙一重で躱し続け、ヘルとの距離を近ずける。それに対し、ヘルが後ろに引き距離を保とうとする。

 

グレイとヘルの戦闘は、圧倒的にグレイが形勢を逆転し、ヘルを追い詰めていた。しかしヘルもただでは殺られない、推定Lv.4の全力の能力で、徹底して攻撃と距離を取る事に力を注いでいた。

 

「でかい図体で小賢しい!(あと2分30秒も無い!急げ!何時までも後ろに引きやがって、上手く距離を掴めない。……あぁくそ、やるしかないか)……けど、示せと言われたからな。おい、何処の誰かは知らないが、示せと言ったんだしっかり見とけ」

 

そう言いながら、離れた距離を詰める事を止めたグレイは、何度も深呼吸し始めた。その間、ヘルは微動だにせずただグレイの動きを見ていた。攻め続けられヘル自身も、グレイに対し完全に勝ちではなく、この場から逃げ切る事に優先事項を変えていた。

数回の深呼吸を終えたグレイはゆっくりと、変化の起きた()()()()開いた。

 

「これが……俺の今出せる覚悟だ」

 

グレイは、凄まじい速さでヘルに走り始めた。それに対しヘルは残った戦斧を振りかぶった。

両者の獲物がぶつかり合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

決着はついた。

 

グレイとヘル、両者が接触する瞬間、グレイは身を捻り余りの速さに姿は一瞬消え、次の瞬間にはヘルは縦一文字に切り裂かれ、地につくと同時に灰とかした。

グレイは縦に裂けたヘルだった物の間に、刀を振り上げた状態で制止していた。

 

「ふぅ……うっ!あぁぁあ!痛っ!はぁ…はぁぁ……何とか、5分以内で決着がついた……(脳と眼球に対する負担が想像以上だった。あとちょっとで、悪くて失明…良くて視力の大幅な低下……危なかった)体が出来上がってないから、負担が高いな」

 

『一寸の極み』は、間合いを極限まで把握、認識が可能となる。

 

更にこれらは、ゾーンと呼ばれる事もあるタキサイキア現象を強制的に発動させる事によって、世界がスローモーション、つまりゆっくりに見えるからこその技でもある。

リュー・リオンの魔法を避けた際には、これを一瞬のみ使用し避けた。何故一瞬なのかというと、これの長期間使用は脳と眼球に多大な負担を掛ける。

今の成長が終わってない体では、一瞬とはいえ油断出来ないのだ。

そして一寸とは3.03センチメートルの事。この世界の表記では0.3M、この短い距離を極限まで把握出来る事は、凄まじい事である。そしてタキサイキア現象とは一瞬の事でもある。これを自分の意思で、ましてや長時間発動させる事は、説明の通り負担が並ではないのだ。

 

更にグレイは最後、片目を閉じ多大な負担を更に増やし、能力を自身の限界まで出した為、凄まじい負担が襲った。代わりに、ヘルの行動は更に遅く見え的確に対処出来たのである。

 

グレイは魔法が解除されたのを確認した後、左目を閉じたまま上から水を掛け、更に上から包帯を巻き応急処置をした。奥へ移動しようとしたが、灰の山に埋まる様に地面で光る物が視界に入った。

 

「これはヘルの魔石か、……何だ?!」

 

ヘルの魔石をグレイは拾い、奥へ移動をしようとした瞬間、魔石が強く光りグレイを包んだ。その光は直ぐに収まったが、グレイの表情は曇っていた。

 

「………………ちっ、巫山戯るなよ」

 

グレイは魔石を仕舞うと、奥へ移動する為歩きだした。

奥は他より僅かに開けた場所、広場の様になっていた。そこには、数多くの冒険者が倒れていた。よく見たら、一緒に来たガネーシャ・ファミリアの冒険者も倒れている。

 

「さて……冒険者の救出は完了。ひとまず、周りを把握するか」

 

グレイは、壁を蹴りそのまま屋根まで登った。屋根から周りを見渡すと、街のあちこちから煙が上っているのが確認出来た。更に屋根の上を走りながら、此方に走ってくる団体が見えた。

先頭は『疾風』リュー・リオン、ロキ・ファミリア団長『勇者』フィン・ディムナ。その2人の後ろに続く様に、20人程の冒険者が此方に走って来ていた。

先頭のリューが、屋根の上に居るグレイに気づき声を掛けた。

 

「ズィーニスさん!良くご無事で…って、その目は大丈夫何ですか?!」

 

「あぁ大丈夫だ。それより、早く運ぶぞ。時間が惜しい」

 

リューを初め他の冒険者が下に降り、倒れた冒険者の救助を始めた。フィンはグレイの横に並び、指示を飛ばしている。ふとフィンがグレイに話しかけた。

 

「……随分、無茶をしたみたいだねグレイ」

 

「見た目程、怪我はしていない。それより、良いのかフィン。部隊の指揮は……」

 

「あぁ、大丈夫だよそこは、オッタルが繋いでいる。まぁ戦闘を見越して来たのだけど、杞憂だったみたいだ」

 

「…………」

 

グレイは一瞬下のリュー達を見てから、その場を離れようとした。それをフィンは呼び止めた。

 

「グレイ……その感じだと、()()()()()、いいや()()()()()()かな?……まぁ何にせよ、無事で良かったよ。一度バベルに戻って休むといい。此処は、任せてくれ」

 

それじゃ、と言ってフィンは下に降りてしまった。グレイは少しその場に立ち止まると、バベルに向け屋根の上を駆け出した。

 

「急げ、時間が無い。……全く、嫌になる」

 

グレイの心の闇は更に広がり、蠢き出した。それが何を示すかは分からないが、グレイが真に自分が求める物を知るのは近い。

 

 

 

 

そして離れた場所から、走り去るグレイの後ろ姿を目で追う、屋根の影に隠れた人影があった。

 

「頼まれた事はしたぜ。全く……何とも無理難題を押し付けられたものだ。まぁ彼がこのまま、この先どうなるのか。俺としては彼には相応しい()()()を、あげたいからな」

 

その人影は、右手で目を隠し笑った。

 

「さぁ次代の役を揃えようじゃないか!」

 

指の隙間から覗くその目は、何を観るのか。今は誰も…………いやこれからも誰にも分からない。

 

 

 

─オラリオ南西、城壁の外─

 

多くのガタイのいい冒険者が、大盾を構え壁の様になり構えていた。

 

ゴゴゴゴゴ

 

「盾構えろ!!防御魔法展開!!来るぞ!」

 

ギュウゥグァアアアァアアアァアァァアアオォオオォォオ!!!!』

 

ドオォォオン!!

 

凄まじい衝撃音、そして数多くの冒険者達が吹き飛ばされていた。倒れた冒険者達の先に見えるのは、()いや()と表現すべき巨体を誇るモンスターが、とぐろを巻き居座っていた。

 

全身を黒く鈍く光る鱗に覆われ、鼻頭から尾の先に向け背に鋭い棘が生えている。頭には天に向かい伸びる、根元が捻れた角が2本、その後ろから地に向かい伸びる、根元が捻れた角が2本の計4本。瞳孔が縦に伸びる、血の様に赤い目が両サイドに横に並ぶ様に2つ。鋭い牙が生え並び、先の割れた細い舌がある巨大な口。

 

能力喰い(スキルイーター)

ミドガルズオルム

 

巨蛇竜(ミドガルズオルム)は、ふと南東を見つめた。それは何かを悟った様だった。

 

そして、ミドガルズオルムは天に向かい吠えた。

 

グウゥウウゥオオォオォオオォオォォオオ!!!!!!!!!!!』

 

それは、何を感じ取った為の咆哮なのだろうか。人類には知る由もない。

 




皆様の優しさに感謝感激雨あられですーー!!!!

これからも、不定期ですが、よろしくお願い致します!!

感想、評価、お気に入り、よろしくお願いします!!

それでは皆様、良い年越しを

ヒロイン

  • リュー・リオン
  • リヴェリア・リヨス・アールヴ
  • アイズ・ヴァレンシュタイン
  • 椿・コルブランド
  • その他原作キャラ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。