才能の渇望者   作:祀綺

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魂に刻まれた物

俺『グレイ・ズィーニス』が神ロキの率いるファミリア『ロキ・ファミリア』に入り『ヘファイストス・ファミリア』の『椿・コルブランド』と専属契約を行いダンジョンに探索に出た日から、既に1週間が経った。まだ季節は冬で、外はかなりの冷え込みが身体を包む。

そんな中俺は日がまだ昇らない早朝からバベルに向かい、迷宮探索を始める為にホームである黄昏の館を出た。

 

「布団が恋しい…………はぁ」

 

吐く息が白い。俺は手に息を吐き両手を合わせながら北のメインストリートを見渡した。人はそこかしこにちらほら見えるが、まだ多くは居ない。

 

「これなら、姿を隠さなくて良いな。やっぱり早朝が1番良い」

 

俺が寒い中、何故早朝からダンジョンに向かうのか……それは、人目につかないためだ。最初を含めた2日間、初日は帰ってからリヴェリアにとても怒られたが迷宮探索は禁止にならなかった。何でも

 

「今回はガレスの馬鹿の責任だ、初日で良く無事だったな。しかしだな………………」

 

と約1時間、夕食まで色々な小言を言われた。それで次の日も迷宮探索に日が昇ってから行ったのだが、やはりこの髪は目立つようだった。だから3日目から早朝に行く事にしている。

 

「帰りに椿の所に寄るか……ふぅ〜、今日は四階層に行こう」

 

もしリヴェリアが居たらとても怒られるだろうな、何故なら()()()()()()()()()()()()()なのだから。俺は初日から毎日ダンジョンに潜っているが、1度もロキにステイタス更新をしてもっていない。

こまめに更新をする事により、ステイタスは少しずつ良くなる。そして更に深い階層に潜れる訳だが、初日から3階層である程度戦えた俺にとって、ステイタス値は六階層に行かない限り余り関係ない。

何回も更新するのと、1週間程貯めて更新するのとでは、どのみち1週間後のステイタス値は変わらないのだから更新するのは、6階層に行くまで一定間隔にし、更新する時間を他の時間に当てるのが効率が良い。

 

「さて、4階層のどの辺りで狩るか…………決めた」

 

脳内に叩き込んだ地図を頼りに、4階層と5階層を繋ぐ階段がある奥付近で今日はモンスターを狩ることにした。そこでモンスターを軒並み倒し、魔石を回収していると気配を感じ通路奥へ行ってみた。

 

「見つけた…………この距離なら使ってみるか」

 

ちょうど自身から視認出来る程度の距離に居る、大型の犬程ある大きさで顔の中央にある単眼の蛙、フロッグ・シューターが4匹集まっていた。ここから、距離としては大分あるが俺の魔法には余り関係の無い事だ、自分の魔法の多様性には感謝するな。

そして俺は、4匹から目を離さず、自身の持つ唯一の魔法である【リィンカーネーション(輪廻を巡る者)】の詠唱を始めた。

 

「『我は花弁を散らす廻り者なり、我は輪廻を遡り呼び醒ます者なり』」

 

第一詠唱完了…………

 

「『我が選択するは ()()()() なり』」

 

第二詠唱完了…………

 

首を掻っ切り、そこから花弁が散る。

片膝を地面に付き、左手は下から何かを支えるように前に出し右手は何かを掴むように人差し指だけ前に向ける。次の瞬間、腕に収まった状態で

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

その銃を構え、スコープを覗く。十字模様に▽の目盛りが付いている。名称として、『光学レンズ式望遠スコープ』と言うがこの世界は猟銃しか存在しないので余り意味は無いだろう。

 

さらにやはりというか、容姿も変わった。

両目の瞳は青くなり、十字模様が入るが十字の線を繋ぐ細線は無く、代わりに中心に瞳孔と重なる様に二重丸がある。髪は灰髪から金髪になり、全身を包む様に白色の無地の防寒着の様な物を着ていて、フードを深く被り目元しか見えない。顔にはマスクの様な物をしているが、服のネックが高く顔の半分を隠しているためその全貌は見えない。腰に服の上から頭より大きい、先の尖った銃弾と呼ぶには長くでかい物が数個紐でぶら下がっている。足は爪先まで包帯の様な物が巻かれている。

 

この世界には銃という物が流通していない。何故なら、モンスターに銃で撃つよりLvを上げ剣等で切った方が効率は良く、火薬などの高価な物を使わないからだ。だからこそ上級貴族や王族など金持ちしか狩りに使う猟銃しか無い。

 

ならば、猟銃を見た事のある鍛冶師にとってこの狙撃銃は異様だろう。何故なら、火薬を使用せず氷の弾丸を形状記憶物質で射出する、特殊機構だからだ。

 

銃の名は『雪娘(スネグーラチカ)

 

それを扱える様になる人物(才能)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───白い死神と恐れられた狙撃兵

 

 

『シモ・ヘイヘ』

 

──才能

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『白い地獄』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《超人的な集中力と忍耐力が身につき、狙撃の才能に目覚める》

 

それがシモ・ヘイヘの才能『白い地獄』の能力であるが、このままでは名前負けしていると思う筈だ、確かに超人的な集中力と忍耐力は凄まじい。しかし『白い地獄』と呼ぶには些か無理があると思うだろう、しかし能力はまだあるのだ。

 

 

───カシュッ

 

 

 

ズビャッ───

 

氷の弾丸が撃ち出され、フロッグ・シューターの単眼を貫く。それに伴い残りの3匹が此方に気づき向かってくる。そして、即弾を込めまた撃ち出す。それを2連続行い、残り1匹は既に20Mを切ったそこから舌を伸ばし攻撃しようとした時、フロッグ・シューターとグレイはダンジョンから消えた。

 

「……グェ?」

 

フロッグ・シューターは困惑していた。後少しで舌が当たると思った時、殺すはずの人間は消えていた。それどころか、ここは何処だ?母なるダンジョンの中では無い。辺り一面『冷えきった銀世界』

 

──カシュッ

 

「……ギュエ!」

 

1歩動こうとした途端、フロッグ・シューターは魔石を残し灰になった。そして、気づけば周りは銀世界では無くなり、洞窟の様な迷宮に戻っていた。

 

「やっぱり、狙撃は楽だな」

 

残っているのは、白い死神と化したグレイのみ。

『白い地獄』の本来の能力、相手を才能が最も発揮できる『雪原』に強制的に引きずり込む事が出来る。その雪原は圧縮された精神空間である為、第三者の介入は不可能。これが白い地獄の本来の能力である、超人的な集中力と忍耐力は付属なのだ。

 

俺は魔石を拾いながら、己の今の感情について考えた。

 

「…………やっぱり……物足りない」

 

何か物足りない……ダンジョンに潜って、いや物心ついた時からどこか心の中で思っている事だ。未だに何か分からないが一つ分かる事がある。きっとこれは『俺』という存在、魂そのものに刻まれた物なのだろう。本能的に俺はそれに飢えているのだと実感出来る、何故そんな物があるのか今は分からないが、何れきっと自分で何を得たいのか、何に飢えているのか分かる時が来ると思う。

 

「……椿の所にも行くから、今日はここまでにするか」

 

俺は魔石の入った袋を、持って魔法を発動させたまま帰る事にした。この才能は燃費がそこそこ良いのと、フードとネックで顔が隠れて目立たないため最近よく使うのだ。しかし、『白い地獄』を使うと多くの精神力を持ってかれるが、スキルのおかげでカバー出来るためかなり今は使い勝手が良い、と言っても今は戦闘したら精神疲弊(マインドダウン)しそうな為、モンスターを避けて帰る事になる。

 

「明日は6階層に挑むから、帰ったら更新だな」

 

四階層からモンスターの気配を感じながら、モンスターを避けて移動し、3階層2階層1階層と時間をかけ移動し、外に出た時は太陽が真上から僅かに傾いた地点に合った。

それから、ギルドで換金をして東方の第2区画の中心地にあるヘファイストス・ファミリアの拠点の近くにある工房群の中の一軒家に向かった。工房群は迷宮都市にとって魔石を使った技術の中心地に当たり無くてはならない場所だ。

 

「相変わらず、鉄の匂いが凄い……」

 

場所柄様々な加工場があり、当然鍛冶師も多く居る此処は鉄の匂いがする。俺は別に嫌いという訳では無いが、場所によっては風などの影響で匂いが籠るため気をつける必要があると思う。

 

「……椿居るか?武器を取りに来たんだが……」

 

レンガ造りの建物に入ると、ちょうど椿が武器の研ぎを行っていた。椿は最近どうやら、名が売れてきているらしく専属契約も頼まれたとか……先に専属契約をしていて良かったと思う。

 

「お!来たかグレイ!待っておったぞ。武器なら……ほれ、要望通り刀だ。しかし良かったのか?」

 

「良いんだよ、それより料金おいて置くぞ」

 

椿は研ぎの終わった1本の刀を見ながら、困惑の表情を浮かべていた。俺が頼んだのは、前に椿がLv.2の時に打った刀を、モンスターのドロップアイテムを混ぜ打ち直す事。今の椿なら第二等級武装、素材によっては第一等級武装も作れる程の実力がある。

しかし、それを使って武器の力を自分の力と勘違いしない為に、わざと昔の椿が試作品として作った刀に俺が取った『ゴブリンの牙』『コボルトの爪』を合わせてもらった。

本当は試作品だけで良かったのだが椿が

 

「確かに試作品とはいえ、手前は全て全力で作っておる。だがな、専属契約をした者に試作品だけ渡すのは、鍛冶師として許せん!グレイ!ドロップアイテムを寄越せ、それと合わせて試作品を鍛え直す!」

 

と言うものだから、椿の剣幕に押され了承してしまったのが、つい2日前だ。何でも1日でも出来るが専属契約して、初の渡す武器だから気合いを入れたいと……ガレスの言った通り鍛冶師という人種は頑固というか……何というか変わっている。まぁ嫌いでは無いと思った。

 

「じゃあな椿、武器ありがとう」

 

「次はしっかり最初から、手前に作らせろよグレイ!」

 

手だけ上げ俺は、椿の工房を出た。気づけば後少しで夕暮れだ、僅かに見える建物の間から見える空は微かに紅く染まりかけていた。

 

「こっからなら急がないと……」

 

俺は通路を駆け抜けメインストリートに出て急いで、北にあるロキ・ファミリアのホームである『黄昏の館』に向かった。

この時は慌てていたせいか、最初の頃の影響で目線に慣れていたせいか、裏路地からの目線に気づかなかった。

 

「……へぇ〜」

 

「どうしたんですか?メインストリートなんか見て、取引は終わりました。帰りますよ?」

 

「ん?あぁ……いや、随分面白そうな見るからに、新人の小僧を見つけてな、興味が出た」

 

「珍しいですね、貴方様が弱い新人に興味を持つとは……」

 

「あれは、必ず化けるぜ。おい何人か尾行させろ。しっかり手中に収めねぇとな」

 

「分かりました『()()』様」

 

「さぁて兄貴やホルスの奴より、早く下界に来れたんだ。楽しまなきゃそれこそラーの親父に失礼だしよ…………あぁやっぱり下界は最高に楽しいぜぇ〜」

 

この暗黒期において、現迷宮都市(オラリオ)では彼らの様な存在を『闇派閥(イヴィルス)』と呼ぶ。

 

 




今までで一番長かった、この調子で目指せ8000文字!

オリジナルで闇派閥って難しいです、特に神を誰にするかは大変。

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それでは、次回もよろしくお願いします!
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