「そこで、漆黒の剣と漆黒の三人に指名依頼をしたいんです」
「我々に指名依頼ですか」
それじゃあ、漆黒アンド漆黒の剣で共同クエストだ―と張り切ったところで、昨日のギャルゲ主人公が依頼をしたいと言ってきたのである。なるほど、俺に惚れちゃったかな? フラグ、立てに来ちゃったかな? だが男だ──!
どうやら、最近物騒だからと、いつもお願いしているブロンズの冒険者からシルバーに変えようと思っていたところ、お店に来てこれだと思ったらしい。
調べてみるとすごそうなダークエルフのとフルプレートの戦士、第三位階まで行使できるマジックキャスターと異色のわりにカッパーでお安く一緒に雇える俺達に目をつけたのだとか。
黒なのに異色とかコレイカに!? というのはおいておいて、渡りに船ではある。
最初は依頼を受けない形でのフリーのモンスター狩りの予定だったけど、実はこれ、組んでるのがランク差がある場合、寄生の可能性を考慮して、上のランクの実績にはなっても、下のランクの実績にはあんまりならないらしい。
お金は儲かるものの、ランクも上げたい俺達としてはそんなに美味しくないのだ。
じゃあ依頼受けろって? ハッハッハ。カッパーはモンスター退治なんてほとんどなくて、薬草採取とか、ペット探しとか庭掃除とか雑用依頼ばっかですよ。
モモンガさんにそんなことやらせたらデミウルゴスさん案件ですわ。コワイ!
逆に、指名依頼は大きな実績になるらしい。まあ、ギルドもランク上げて依頼料高くしないと儲けにならないもんね。
そうして依頼を受けた我々であるが、大量に薬草を持ち帰る気らしく、馬車移動である。
しかし、馬車連れて歩いてるとパーティー感あるよね。ない? 古い? いやあ、変わり者ばかりなアインズ・ウール・ゴウンにいると古いゲームを薦められる事もあったりしてさあ。
ドラゴンほんとに探してる? なゲームとか、俺好きで──。
「しっかし、モモンさんはすごいですね」
「オーガもゴブリンもまっぷたつだもんなー。あ、ナーベちゃんもすげえ輝いてたよ!」
「黙れ、ゾウリムシ」
「チーノさんもすごかったですよ。マジックアローでどうしてあんなに正確な射撃ができるのか……」
「威力もニニャより強いもんな」
「さすがエルフの御仁である」
「これは抜かれるのはあっという間ですね」
エ・ランテルを出て、野宿で今日の活躍についてみんなであれこれと話しているのだ。
しかし、自然の中でキャンプとか、富裕層の趣味だよな。すごい。
パチパチ音をたてる焚き火とそのしっかりとした暖かさと背中の温度の違いが特別な時間を感じさせて、表情を緩める。
「モモンさんはナーベさんとチーノさんでずっとチームを組んでたんですか?」
「あ、いえ──チーノさんといっしょでした……」
「二人だけですか?」
「いいえ、たくさんの──それこそ皆さんのように仲のいいメンバーと一緒でした」
「その方は──」
遠くを見つめるようにじっと静かになるモモンガさん。皆のことを思い出しているみたいだ。
そんなモモンガさんにフォローを入れるつもりで彼らのチーム名について質問すると、漆黒の剣について楽しそうに語る彼ら。
まさしく仲良しチームな彼らに、モモンガさんはかつての自分たちを思い出してホクホクしているようだ。
モモンガさんの気分がいいと俺も妙に嬉しくなるが、その空気がニニャの一言で消え去る。
「そんな日は来ませんよ」
そう言うとモモンガさんは立ち上がると場所を変えてしまった。
ナーベもついていく。
モモンガさんについていく
→モモンガさんについていかない
頭の中にゲームでよくある選択肢が浮かぶが、俺はついていかなかった。
マーレだったら何も迷わずついていっただろう。
けど、仕方がなかったとはいえ、俺はおいて行ったペロロンチーノなのだ。そして、死んだからこそ、一緒にいる。
もし生きていたとき──徐々に仲間がいなくなって、姉がゲームをやらなくなったとき、俺はユグドラシルを続けていただろうか。最終日まで一緒にいただろうか?
新しいゲームに移って、次のゲームに誘って、断られたらそれっきりだったのではないだろうか。他のみんなと同じように、最後までは──一緒にいなかったのではないだろうか。
墓場に一人きりのアンデッドは何を思っていただろうか。
「あの、すみません、怒らせちゃって」
「いや、しょうがないよ。俺も、その時離れてて、戻ったらモモンガさんだけだったんだ」
「全滅、であるか。パーティーを失った方はあんな顔をする」
「似たようなものかな? みんな冒険をやめて別の未来を歩いたんだ」
確かに、自分はテロで死んだ。
みんなはおそらく死んではいないけれど、世界を去ったことは、あの世界で生きていたモモンガさんにとって死ぬのと何が違ったのだろうか。
「俺たちは最高の仲間で、周りが驚くようなこともたくさん成し遂げて──でも、みんないろんな道を歩き始めたんだ」
「そういうのあるよな。家継がなきゃいけないとか、結婚して商人になるとか。パーティー変わることって」
「俺もダークエルフの里に帰ってたから、一人にしちゃってて。これからは一緒だと思うけど」
マーレとして生きていた自分は少しづつ減っていくギルメンと、それに合わせてだんだんと沈んでゆくモモンガさんのことをよく知っている。
自分は──彼をちゃんと昔のモモンガさんらしく生きれるように支えられるだろうか。
──まあ、モモンガさんはあの癖の強いアインズ・ウール・ゴウンのギルマスだったのだ。大丈夫だろう。
どこでも可愛がられる弟気質のペロロンチーノは軽く考え、漆黒の剣たちと会話を再開した。
一人──ナーベと一緒にいても一人であるモモンガさんが、一人で何を考えているか知らずに。
モモンガさんについていく
→モモンガさんについていかない
ああ、モモンガさんについていかなかったばっかりに……。
フラグが……!
中々更新できずすみません。期待するのは?
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ダイジェストでもいいので完結
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別に書いているのが終わったらしっかり更新