マーレをペロロンしちゃお★   作:もこもこ@

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018 あれ、最初に名前よんでくれてな……いや、なんでもないよ! エンリ!

 

 ちょっとぶりに戻ったカルネ村は、ノーガード戦法からしっかりと転換したらしく、村の周りには木の柵ができており、近づくとゴブリンたちに囲まれていた。

 

「ご、ゴブリン!?」

「おおっと、旦那さんがた、申しわけないですが、ちっとおとなしくしてもらえますかねえ。特に後ろの御三方はやばいっていうのが肌に伝わって来やす」

 

 モモンガさんがちらりとこちらに視線を向けてくるので、頷く。

 これはゴブリンの笛の効果だろう。

 ゲームでは雑魚いゴブリン数体を召喚するだけのカスアイテムだが、護衛にはちょうどいいだろうと思ってあげたのだが、どうにも数が多いし、ゴブリンとしてもレベルが上っているようだ。ゴブリンファイターとか、アーチャーとか言ってもいいくらいである。

 野良のゴブリンとは比べ物にならない、戦士だ。

 

 ──まあ、殴ればひき肉になると思うが。

 

「ペロロンチーノさん! ……あ、ンフィーも!」

「あ、エンリのアネさん」

「エンリ!」

 

 馬車に乗っていて安全のためにと漆黒の剣に守られたンフィーレア馬車を降りて飛び出す。エンリがかけてくる。

 ん? いまなんて? 

 

「ペロロ──」

 

 急いで口をふさいだ。

 そうだ。チーノという偽名はカルネ村では通じないのだった。

 口を塞ぎ、他に聞こえないように耳元で伝える。

 

「冒険者としてはチーノって名前で登録しているから、チーノって呼んでほしい。村のみんなにも伝えてほしいんだけど──」

 

 コクリコクリと頷くエンリに手を離すとぱあっと明るくなる。

 

「無事冒険者になれたんですね、ぺ……チーノさん!」

「エンリもゴブリンたちに慕われているようでなにより」

「あはは……まさかこうなるなんておもわなかったけど、ゴブリンさんたちはみんな働き者で──」

 

 子犬のようにブンブンと振られているのを幻視する。

 またあえて嬉しいと隠すことなくさらされる好意に嬉しくなるが──

 

「エンリ! 無事で良かった」

「ンフィー。どうしたの? 薬草採取にはちょっと早い気がするけど」

「ええと、このあたりが危なかったって聞いて心配になって」

「ほんと? ありがとう! ンフィーってば優しいわね。村もいろいろ売りに出したいと思ってたところなのよ」

 

 ぺかーっと笑顔を浮かべるエンリと、頬を赤く染めるンフィーレア。そして、ペロロンチーノは彼が昨夜語っていた、カルネ村の想い人の話を思い浮かべる。

 

 なるほど、敵か。

 

 エンリとエンディングを迎えないとこの目隠し根暗系薬師がエンリを薬でデロンデロンにしてしまうのだろう。

 格の違いを見せてやるっ。

 

 と、幼馴染系主人公のはずのンフィーにとってはむしろ突然現れたイケメンチャラ男枠のペロロンチーノが勝手なことを考えながら決意した。

 

 

 **

 

「……なんであいつばっかり……」

 

 カルネ村の滞在する時間はいつだって至福のときだ。

 特に心配だったエンリが無事だったとわかったからには。

 両親のことは残念だったが、それこそ、自分たちの年齢を考えれば結婚するのも選択肢のひとつだと言いたかった。

 当然ネムだって一緒にひきとるつもりだ。

 

 なのに、エンリは嬉しそうに『ありがとう! でも大丈夫! チーノさんが助けてくれたから』って左手をぎゅっと右手で抑えて微笑んだのだ。

 

 気づいていたけど、気づかなかった、左手の薬指にキラリと輝くきれいな光に。

 

『え、エンリ、結婚したの!?』

 

 その年の天候や農作物の出来に影響を受けやすい農家で、不作が続くと身売りが多くなる。

 今王都では奴隷売買が禁じられているが、それでも娼館に釣れられていく娘は多いし、近隣の村に嫁という形で結納金と交換で差し出されることも多い。

 

 今まで自分以外の男の影はなかったのにいきなりなのだから疑うのも仕方がなかった。

 

『あはは。違うわよ、ンフィー。これはね、マジックアイテムなの。ゴブリンの笛と一緒にもらったのよ』

『そんな。簡単にもらえるようなものじゃないよ。代わりに何を差し出したの!?』

『特に何も求められてないけど……そうよね! もらうだけなんて虫のいい話だわ』

 

 そう決心するように頷いて、彼女は何かを決めてしまった。

 しまった。

 エンリは義理堅いのだ。

 それに、本人満更でもない用で、むしろ行き場のなかった感謝を相手に向けられることを喜んですらいるようだった。

 

 ──だから、僕はそんなエンリを見ていられなくて家を出た。

 

「あ、……」

 

 ドアの前には護衛をしてくれた冒険者の、ニニャさんがいた。

 どこかバツのわすそうな顔でこちらを見ている。

 

「どうしたんですか?」

「あ~、えっと、この家の子って」

「僕の幼馴染のエンリの家です」

「彼女って、その、もしかして……」

 

 そうだった。僕は彼らに大切な人がカルネ村にいると知っていたのだった。それに、態度を見ればわかってしまうのだろう。エンリ以外は。

 

「……そうですよ、僕の好きな人です」

 

 エンリ相手じゃなきゃこんなに簡単に言えてしまうのに。

 そうだ。アイツは僕がエンリを好きだって知ってたじゃないか。

 なのに、応援するどころか奪うような真似をするなんて。

 

 ぎりっ。

 

 強く歯を食いしばると、それに合わせて暗い気持ちが固まっていくようだった。

 

(エンリは騙されている)

 

 だって、おかしいじゃないか。平和でずっと何もなかった村が兵士に襲われるなんて。そんなときにちょうどよく助けが来て、それがいるはずのない凄腕のダークエルフだなんて。

 ありえない、ありえないことがあるなら理由があるはずだ。

 理由があるなら、あのダークエルフが悪いやつで、いいものになりすますためのタイミングをはかっていたのなら。

 

 アイツは悪いやつだ。だって、名前だって偽物だったんだから。

 

(エンリを取り戻してみせる)

 

 僕はそう誓った。

 

 




オーバーロード世界で実際にナザリックの脅威になれるのって
・ワールドアイテム
・番外席次
・白金の竜王

そしてンフィーですよね。ンフィーはギルド武器を使えるため乗っ取りができるのでは、という脅威なので、そもそもたどり着ける可能性がないですけど。
チャイナ服を着ればワンチャンある……なさそう。

そして敵視されたペロロンチーノさん。ペロロン❤ンフィ~のコンビは組めなさそうですね。残念。

リアルが忙しくて最近投稿ペースが隔週になってますががんばります!
よかったら応援してください。

中々更新できずすみません。期待するのは?

  • ダイジェストでもいいので完結
  • 別に書いているのが終わったらしっかり更新
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