やっほー、俺はオッドアイでキュートなダークエルフにして、美男の娘であるマーレであり、超かっこいいバードマンのペロロンチーノだ!
ギルド長のモモンガさんについ、いつもの癖で独り言代わりにメッセージで話しかけたら、いつもと違ってしっかり返事をもらったばかりか、ペロロンチーノであることを認めてもらった。
これはとても嬉しいことだ。
テロの被害で死んでしまった俺は、いつの間にかユグドラシルのNPCに転生していた。
憑依、のほうが正しいかもしれないが、自分としてはペロロンチーノは自分の前世だ。
ねえちゃんであるぶくぶく茶釜は俺に改行で隠して、設定を刻み込んだ。
『ペロロンチーノの生まれ変わりであり、前世の記憶を持っている』
そういう意味の設定だ。
だからそう、俺はペロロンチーノでもあるが、マーレでもあるのだ。
姉ちゃんのはずのぶくぶく茶釜……様には肉親へのものとは違った、崇拝に近い愛情と忠誠も感じる。マーレとしての意識を強く感じていると、モモンガさんをモモンガ様と呼びたくなるし、ひざまづきたくもなる。
けど、本人曰くモモンガさんはふつーのサラリーマン。大量の人間に跪かれるのは辛いだろう。
様扱いされるのも、友情を裏切られたように感じるのではないだろうか。
いなくなったことに裏切られたように感じながらも、再会の喜びに見えないしっぽがぶんぶん振られているのを感じたくらいだから。
モモンガさんに喜んでもらえることに喜びを感じながらも、今も平伏する守護者たちに焦りを感じた。
(気安い職場の同僚に実は社長の息子だとバレて距離を置かれているって感じかぁ?)
それが悲しく感じるのは、守護者たちの前では自分はペロロンチーノではなくマーレであると思うからだ。
「あ、あのぅ、その、さっきも言いましたけど、騙すつもりはなくって……」
「あ、のさ、マーレ……」
「ま、マーレ! さっきの話は本当でありんすか!? ほんとーにペロロンチーノ様なんでありんすか!?」
何かを言おうとしていたお姉ちゃんのアウラを押しのけ、ペロロンチーノの生み出したNPCであるシャルティア・ブラッドフォールンがものすごい勢いでよってくる。
抱き合ってると言えなくもないくらいに近い。
ちょっと首を動かせばキスができそうなくらいだ。
さすが、自分の理想をこれでもかと詰め込んだだけあって、シャルティアは美しく、かわいらしい。
それに、いい匂いがする。
「あ、ああ、そうだよ。お前のひとつひとつを愛を込めて作り上げた記憶がある。――でも、マーレで」
「ああ、至高の御方!」
マーレでもある、と言おうとした瞬間に抱きしめられ、肺から息がぐっと吐き出される。
力強い。さすが戦闘系のLV100である。
「ちょ、ちょっとあんた! マーレに抱きつくんじゃない! あんたは死体とかアンデットが好みでしょうーがっ!」
「自分を制作した至高の方は別腹でありんす! 久しぶりの逢瀬なんだから、放って置いてほしいでありんす」
「お、弟が毒牙にかかるところ見逃せるはずないでしょー!」
ポカポカという感じの掴みかかった喧嘩が始まるけど、それが仲良し同士のものであることはよく知っているので放って置く。
「マーレ様。いえ、ペロロンチーノ様とお呼びしたほうが?」
「い、いえ、マーレと呼んでください。様も不要です」
そのやりとりだけで、気持ちを察したのか、うなずく。
「ふうむ。マーレ、至高の方がお隠れになっていた事実には深い悲しみを覚えるが、新しい生を受けていたことは喜ばしいことだ。それで、君のようなことは他のものにも起こり得るだろうか?」
そわそわとした様子のデミウルゴスさんが話しかけてくる。
まあ、気持ちはわかる。
至高の御方々に、それも自分の造物主に体を捧げられるなら本望だと彼らは思うだろう。
それに、彼は自分をマーレとして扱ってくれるようだ。
「うーん、でもぉ、あくまでボクの事例はぶくぶく茶釜……様がボクの設定をそう書き換えたからなったんだと思うんです。
も、モモンガ様は至高の御方々の設定をお願いされたからって本人に許可なく勝手に書き換えたりしないでしょうから、お願いするのも難しいかと……」
「なるほど。まあ、ウルベルト様はお隠れになってはいないようだから、それにもかかわらずこちらに呼びつけるような真似は不敬にあたるか。しかし、マーレ、君からはなぜ至高の御方々の雰囲気がしないんだい?」
実際それは自分にも悩ましい点であったが、仮説は立てている。
「多分ですけど、ペロロンチーノがギルメンであり、マーレがギルメンではないせいかと」
「ううん? それはどういう意味だい?」
ゲームの概念のない彼にはちょっと伝わりづらいかもしれない。
ギルメンは、確かに皆LV100だが、強さにオーラを感じているわけではない。
もしそうなら、他のプレイヤーにもなにか感じてしかるべきだが、時々現れる侵入者に感じるものはなかった。
「至高の御方々はアバター……分身をもって、ユグドラシルに降臨してました。けれど、別のアバターになった場合、ギルドの所属状況や強さは引き継がれず、一部のアイテムを共有するのみという状態だったんです。今のボクが、ぉ、おそらくそうなんだと思います」
マーレとしての自分を意識すると、自信がなくなるというか、どこか気弱になる感じがする。
マーレはペロロンチーノの別アカウント。
そんなイメージが近いだろうか。
中身はペロロンチーノで、体はマーレ。だからマーレの状態を引き継いでおり、ギルメンではない。
だから、ペロロンチーノだが、皆にとっての至高の御方ではない、と思うのだ。
「なるほど。すると、モモンガ様にギルドに入れてもらえば元通りなのかな?」
それは……それはどうだろう?
至高の御方のオーラを纏いそうだ。
しかし、アインズ・ウール・ゴウンは41人のギルドだ。
この人数で、募集はやめようと皆で決めて、それ以降増やされることはなかった。
皆がやめていっても、モモンガさんはメンバーの入れ替えをしなかった。
ペロロンチーノをギルメンから外して、マーレを入れる。
それを彼は行うだろうか。してくれというべきだろうか。
ペロロンチーノの友情が、マーレの崇拝がそうしたいと思えなかった。
「わ、わからないですけど、それはモモンガ様がき、決めると思います……」
「そうだね。出すぎた真似をしたね。謝るよ」
「い、いえ……」
「さて、二人の相手は君にまかせて、私は働くとしよう。アルベド。命令をくれるかい?」
「ええ」
じっとこちらを見つめるだけだったアルベドさんは、デミウルゴスさんの言葉にそれぞれに命令をだしてゆく。
シャルティアも、自分の仕事が重要なのを理解しているのか、『またあとで』と耳元で囁いていなくなった。
耳が甘い気がする。
残ったのはお姉ちゃんだけ。
何かを言おうとして、口がモゴモゴと動くが声にならない。
姉ちゃんに嘘をついたり悪いことをしたときもそうなったよな。と懐かしくなる。
「マーレ、あんたはマーレなんだよね」
「う、うん。ペロロンチーノであっても、マーレのままだよ」
「なら、いいや。ちゃんと仕事、しなさいよ。ビビって飛び降りれずにモモンガ様を待たせるような真似、何度もしたらだめだからね」
闘技場で飛び降りれずにもたもたしたときのことを言っているようだ。けど、翼があったときと違って、翼がないのに高いところから飛び降りるのはめちゃくちゃ怖いのだ。
お姉ちゃんはわかっていない。そう思う。
誰もいなくなった闘技場でため息をつく。
モモンガさんのためにも、ペロロンチーノでいたい。お姉ちゃんのためにも、マーレでいたい。
両方の気持ちがある。
自分は誰なのだろうか。いつかちょうどいいところに収まるのだろうか。
マーレはねえちゃんによって、幼く、可愛かった頃のペロロンチーノをイメージして生み出されたせいか、マーレでいても、ペロロンチーノでいても違和感はない。
ペロロンチーノの自分になるときはどこか背伸びして話しているような気持ちになるので、主はマーレであるようだった。
――ならいいか。
モモンガさんは大事な友人であるが、姉は大切な存在なのだ。
守護者たちはモモンガ様が言うので、マーレがペロロンチーノだと信じたが、
至高のオーラがないため、本人の希望どうり敬いつつも
自分たち以上至高の御方以下に置いている感じ。
なお、ギルメンになった瞬間、平伏しだす模様。
--追記--
不死者のOH!を購入したのですが、茶釜様を姉御呼びなんですよねー。
姉ちゃんのイメージやった……。
直すべきか悩ましい……。
中々更新できずすみません。期待するのは?
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ダイジェストでもいいので完結
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別に書いているのが終わったらしっかり更新