モモンガは指に3つの流星を模したマークが浮かぶ指輪を嵌めた。
指輪の名前はシューティングスター。
超位魔法<星に願いをウィッシュ・アポン・ア・スター>を消費無しで3回発動できる課金アイテムで
ある。消費した選択肢に合わせて表示される願いの中から一つ選んで実行される魔法だった。
通常レベルを大量に消費するだけあり、恐ろしいほどの効果がある魔法であり、ボーナスを全ブッパしてようやく手に入れた思い出のアイテムだ。
ユグドラシルからこの世界に渡り、設定の改変でマーレにペロロンチーノが宿ったことで、モモンガは一つの希望を得ていた。
すなわち……
コレ使えばギルメンをこの世界に呼べるのでは――?
確かに、ギルメンはリアル事情やユグドラシルに飽きるなりして去っていった。
けれど、この世界は美しい。
汚染のない世界であり、未開の地である。
彼らの探究心を沸かすだろう。幸福を感じてくれるだろう。
――また、同じように遊べるはずだ。
叶うのではないか? その思いは指輪をはめて眺めているうちに、叶うはず、叶えようと変わってゆく。
「指輪よ! 俺は願う! 我が友たちをこの世界に呼んでくれ!」
――願いは、受け入れられた。
「セバス! セバス!! 皆を、皆を探してくれ! ギルメンが、皆が近くにいるはずだ!」
大声を上げ、モモンガはセバスを呼ぶ。
ああ、一分一秒も待てない。
モモンガはドアを吹き飛ばすように開くと、部屋の外へと走る。
「どうしたんですか? モモンガさん」
「え? あ、ああ、セバス。その、ギルメンが――ん? 今なんて?」
「は? いや、セバス――だよな?」
「セバスですか? どこにいるんですか?」
不思議そうにしたセバスは後ろを振り返ったり、左右を見回したりしている。
いや、セバスはお前だから。
そう突っ込みたい心を抑えた。
――こ、これは、いや、まさか。
「すみません! タッチさん、また後で!!」
「あ、はい……おかしいな。ひげが伸びまくってる……? 娘に怒られるぞ……」
なんだかテンションの下がっているセバス……の中にいるたっち・みーさんを置いてかける。
ちくしょーー! 俺は呼んだだけじゃん。
守護者の中に入れなんて言ってないだろうがああぁ!
「おや、モモンガさん。どうしたんですか? そんなに急いで。いかなる時も優雅さを忘れてはいけない。魔王とはなにか。俺の教えを忘れちゃったんですか?」
「でみ――いや、ウルベルトさんですね!」
「? ええ、見ればわかるでしょ? 何を言っているんですか? しかし、いつの間に俺はログインしたんですかね? ユグドラシルを引退したような気がするんですが夢ですかね?」
「いえいえいえ! 夢じゃないですよ!」
「あ、モモンガさーん、なんか俺の体めっちゃ重いんですけど―」
「ん? コキュートス?」
「え? デミウルゴス?」
「いや、俺は武人建御雷だけど」
「は? ホントですか? 俺はウルベルト・アレイン・オードルですよ」
「え?」
「え?」
クエッションマークが見えるような二人のやり取りをよそに、モモンガは走った。
「あの、モモンガさん、なんだかモモンガさんにときめくんですけど、コレもギャップ萌えって感じですかね?」
とか言いながらすり寄ってくるアルベドから逃げるようにして走った。
ごめんなさい、タブラさん。
俺、男は駄目です――!
「――はっ、そういえば、ペロロンチーノさんどうなってんだ!」
元々からしてマーレに入っていたペロロンチーノさんである。
そう考えれば、唯一シャルティアだけ無事ということになるだろうか。
シャルティアの部屋に向かう。
外からでもわかる争う声が聞こえる。
「だ、大丈夫か、シャルティア!」
そこにいたのは――
「うおおおおおお、シャルティアの胸を、胸を触るだけだからああぁ」
「や、やめろおおお、誰だか知らないがシャルティアを汚すんじゃねえええ」
「な、なに? なんなの? どっちが本物の愚弟なの?」
自分の胸を揉もうとするシャルティアと、それを阻止しようとするマーレだった。
自分の胸を揉もうとするペロロンチーノさんと、それを阻止しようとするペロロンチーノさんだった。
「ぺ……ペロロンチーノォオオオ!!!」
人生最大と言える大声を出した。
――ああ、コレは俺の望む姿じゃない。
夢であれば――。
**
「ってほんとに夢かよ!!」
カバリと起き上がる。
疲れた、寝たいな、と言ったせいか、ペロロンチーノさんが持ち出したのは完全なる狂騒。
アンデットの精神耐性能力を無効化し、精神系魔法を有効化する効果があり、その後にスリープをかけられたため、1時間ほど眠りに落ちてしまったようである。
「――夢なんて見るもんじゃないな」
騒がしい彼らの姿。
けれど皆が皆、ほんとの姿じゃなくて、なんだか言いようのない悲しさを感じた。
「――ペロロンチーノさんに会いに行くか」
眠ってから気づいたが、今は4/1。エイプリルフールだ。
ユグドラシルの中にいた彼の時間間隔は狂いまくっているはず。
「嘘のつき放題か」
――さて、なんと言って彼を騙そうか。
モモンガは精神が高揚するのを感じた。
エイプリルフールネタをやってみたくてですね。
それに、今なら「ペロロンチーノォオオオ!!!」を最速で使えると思ったらですね!
まあ、23時なのでセーフですね!
中々更新できずすみません。期待するのは?
-
ダイジェストでもいいので完結
-
別に書いているのが終わったらしっかり更新